44 / 82
寄り道
しおりを挟む
シリウスは「陸じゃないと召喚出来ない」と言っていた。
手を何もない場所にかざすと、足元にあの魔法陣が現れた。
魔物を召喚するつもりなのだろう、俺達の周りに大きな風が吹いた。
少年を守るように抱きしめると、すぐに風は止んだ。
「いってて…ちょっといきなり過ぎませんか?若様」
俺達の他に誰かの声が聞こえて、シリウス越しに見ると金髪が見えた。
緩くカールしている腰まで長い髪の…男だろうか、魔物がいた。
耳が尖っていて、エルフ族なのだとすぐに分かった。
そして俺はゲームでこの男を見た事があり、げんなりする。
確か、魔王軍にいる男でかなりの女好きだった。
ヒロイン達にちょっかい掛ける嫌な奴だった、そして美味しいところはいつもシリウスに取られる残念なイケメンだ。
エルフ族だから、顔は整っているのは認めるけど…
そして魔王軍の中で唯一シリウスに舐めた態度をしている。
恐れ知らずというより、ただのバカだと思っていた。
「若様、宝玉探しは捗ってますかー?」
「シュバインに会いに行く」
「長に?」
「道を開いてくれ」
チャラエルフにそう言うと、驚いた顔をしていた。
「珍しい、長の事を嫌いだと思ってました」と言っていた。
魔王軍では、皆に友人だと思われていないようだ。
思っていたのはどうやら俺と、もしかしたらエルフの長だけなのかもしれない。
シリウスがチャラエルフを睨むと、さすがにヤバいと思ったのか背筋を伸ばしていた。
そしてやっと俺と少年に気付いたようで、また目を点にさせていた。
俺達はどう自己紹介したらいいのか分からない。
人間だと言うわけにもいかないし、魔物だと言うと嘘がバレる気がする。
この子は迷子のエルフだと言えばそれで終わりだが、シリウスが迷子を助ける魔王かと言われたら言葉に詰まる。
シリウスはなんて言うのかと思ったら、そもそも説明する気が一切なかった。
「早くしろ」
「わ、分かりました…それでは扉を開きます」
チャラエルフはそう言って、両手で木に触れた。
すると、木が大きく揺れて形が変わっていった。
隣同士の二本の木が寄り添うように頭を下げて、アーチ型になった。
そして、アーチ型の向こう側にあった景色が歪んだ。
この先が、エルフの国に繋がっているのか…確かに歩いてエルフの国に行くより近道だ。
チャラエルフは「あれ?これだけ?」と戸惑っていた。
「もう帰っていい」
「分かりましたー、褒美を楽しみにしておりますー」
最後まで締まらないなと思っていたら、横から視線を感じた。
チャラエルフが俺の方を見ていた、物凄く不審そうな顔をして…
少年は同じエルフ族だが、魔王軍の仲間だからか俺の後ろに隠れていた。
俺に近付くのも嫌だった筈なのに、ちょっとは慣れてくれたという事なのか?
シリウスは後ろを振り返ったから、シリウスの傍に近付いた。
もう一度チャラエルフの方を振り返ると、そこには誰もいなかった。
「どうした?」
「…いや、褒美って何の話だ?」
「魔物同士、借りを作りたくないから褒美を渡しているだけだ」
「へぇ…魔王なのに?」
「魔王だからといって、無償で信用してはいない」
シリウスはそう言って、エルフの国に続く門を潜った。
すると、シリウスの姿が何処にもなくて…ワープゲートなんだなと思った。
魔王の命令は無償で聞くべきだと言っているのかと思ったが、シリウスはちゃんとしているんだな。
借りを作りたくないって事は、魔王と兵士という立場だが対等に扱ってるって事だよな。
シリウスの知らない一面を感じて、また違って見えた。
人間の天敵だけど、シリウスはただ命令するだけの魔王ではないんだなと感心した。
門をずっと眺めていたから、少年が俺の服を軽く引っ張っていた。
あ、シリウスを待たせるのは悪いな…俺と少年もゲートの中に入った。
次の瞬間、周りが海だった事が嘘のような森が広がっていた。
ゲートの入り口で待っていたシリウスと共に森の中を進む。
他の魔物なんていない、皆耳が尖っているエルフだ。
それに眩しいくらいの美形だらけだ、俺…浮いてるな。
シリウスが通るとエルフ達がコソコソ話していたり、慌てた様子で何処かに走る者もいた。
シリウスは迷わずそのまままっすぐ歩いているが俺達は周りをキョロキョロ見ていた。
屋台もあり、建物は全て木と草で出来ていそうだが、俺達人間とエルフ族の国はあまり変わらないようだ。
手を何もない場所にかざすと、足元にあの魔法陣が現れた。
魔物を召喚するつもりなのだろう、俺達の周りに大きな風が吹いた。
少年を守るように抱きしめると、すぐに風は止んだ。
「いってて…ちょっといきなり過ぎませんか?若様」
俺達の他に誰かの声が聞こえて、シリウス越しに見ると金髪が見えた。
緩くカールしている腰まで長い髪の…男だろうか、魔物がいた。
耳が尖っていて、エルフ族なのだとすぐに分かった。
そして俺はゲームでこの男を見た事があり、げんなりする。
確か、魔王軍にいる男でかなりの女好きだった。
ヒロイン達にちょっかい掛ける嫌な奴だった、そして美味しいところはいつもシリウスに取られる残念なイケメンだ。
エルフ族だから、顔は整っているのは認めるけど…
そして魔王軍の中で唯一シリウスに舐めた態度をしている。
恐れ知らずというより、ただのバカだと思っていた。
「若様、宝玉探しは捗ってますかー?」
「シュバインに会いに行く」
「長に?」
「道を開いてくれ」
チャラエルフにそう言うと、驚いた顔をしていた。
「珍しい、長の事を嫌いだと思ってました」と言っていた。
魔王軍では、皆に友人だと思われていないようだ。
思っていたのはどうやら俺と、もしかしたらエルフの長だけなのかもしれない。
シリウスがチャラエルフを睨むと、さすがにヤバいと思ったのか背筋を伸ばしていた。
そしてやっと俺と少年に気付いたようで、また目を点にさせていた。
俺達はどう自己紹介したらいいのか分からない。
人間だと言うわけにもいかないし、魔物だと言うと嘘がバレる気がする。
この子は迷子のエルフだと言えばそれで終わりだが、シリウスが迷子を助ける魔王かと言われたら言葉に詰まる。
シリウスはなんて言うのかと思ったら、そもそも説明する気が一切なかった。
「早くしろ」
「わ、分かりました…それでは扉を開きます」
チャラエルフはそう言って、両手で木に触れた。
すると、木が大きく揺れて形が変わっていった。
隣同士の二本の木が寄り添うように頭を下げて、アーチ型になった。
そして、アーチ型の向こう側にあった景色が歪んだ。
この先が、エルフの国に繋がっているのか…確かに歩いてエルフの国に行くより近道だ。
チャラエルフは「あれ?これだけ?」と戸惑っていた。
「もう帰っていい」
「分かりましたー、褒美を楽しみにしておりますー」
最後まで締まらないなと思っていたら、横から視線を感じた。
チャラエルフが俺の方を見ていた、物凄く不審そうな顔をして…
少年は同じエルフ族だが、魔王軍の仲間だからか俺の後ろに隠れていた。
俺に近付くのも嫌だった筈なのに、ちょっとは慣れてくれたという事なのか?
シリウスは後ろを振り返ったから、シリウスの傍に近付いた。
もう一度チャラエルフの方を振り返ると、そこには誰もいなかった。
「どうした?」
「…いや、褒美って何の話だ?」
「魔物同士、借りを作りたくないから褒美を渡しているだけだ」
「へぇ…魔王なのに?」
「魔王だからといって、無償で信用してはいない」
シリウスはそう言って、エルフの国に続く門を潜った。
すると、シリウスの姿が何処にもなくて…ワープゲートなんだなと思った。
魔王の命令は無償で聞くべきだと言っているのかと思ったが、シリウスはちゃんとしているんだな。
借りを作りたくないって事は、魔王と兵士という立場だが対等に扱ってるって事だよな。
シリウスの知らない一面を感じて、また違って見えた。
人間の天敵だけど、シリウスはただ命令するだけの魔王ではないんだなと感心した。
門をずっと眺めていたから、少年が俺の服を軽く引っ張っていた。
あ、シリウスを待たせるのは悪いな…俺と少年もゲートの中に入った。
次の瞬間、周りが海だった事が嘘のような森が広がっていた。
ゲートの入り口で待っていたシリウスと共に森の中を進む。
他の魔物なんていない、皆耳が尖っているエルフだ。
それに眩しいくらいの美形だらけだ、俺…浮いてるな。
シリウスが通るとエルフ達がコソコソ話していたり、慌てた様子で何処かに走る者もいた。
シリウスは迷わずそのまままっすぐ歩いているが俺達は周りをキョロキョロ見ていた。
屋台もあり、建物は全て木と草で出来ていそうだが、俺達人間とエルフ族の国はあまり変わらないようだ。
47
あなたにおすすめの小説
【完結】王子様たちに狙われています。本気出せばいつでも美しくなれるらしいですが、どうでもいいじゃないですか。
竜鳴躍
BL
同性でも子を成せるようになった世界。ソルト=ペッパーは公爵家の3男で、王宮務めの文官だ。他の兄弟はそれなりに高級官吏になっているが、ソルトは昔からこまごまとした仕事が好きで、下級貴族に混じって働いている。机で物を書いたり、何かを作ったり、仕事や趣味に没頭するあまり、物心がついてからは身だしなみもおざなりになった。だが、本当はソルトはものすごく美しかったのだ。
自分に無頓着な美人と彼に恋する王子と騎士の話。
番外編はおまけです。
特に番外編2はある意味蛇足です。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する
ユッキー
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。
そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる