エロゲー主人公に転生したのに悪役若様に求愛されております

雪平@冷淡騎士2nd連載中

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寄り道

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シリウスは「陸じゃないと召喚出来ない」と言っていた。

手を何もない場所にかざすと、足元にあの魔法陣が現れた。

魔物を召喚するつもりなのだろう、俺達の周りに大きな風が吹いた。
少年を守るように抱きしめると、すぐに風は止んだ。

「いってて…ちょっといきなり過ぎませんか?若様」

俺達の他に誰かの声が聞こえて、シリウス越しに見ると金髪が見えた。

緩くカールしている腰まで長い髪の…男だろうか、魔物がいた。
耳が尖っていて、エルフ族なのだとすぐに分かった。

そして俺はゲームでこの男を見た事があり、げんなりする。

確か、魔王軍にいる男でかなりの女好きだった。
ヒロイン達にちょっかい掛ける嫌な奴だった、そして美味しいところはいつもシリウスに取られる残念なイケメンだ。
エルフ族だから、顔は整っているのは認めるけど…

そして魔王軍の中で唯一シリウスに舐めた態度をしている。
恐れ知らずというより、ただのバカだと思っていた。

「若様、宝玉探しは捗ってますかー?」

「シュバインに会いに行く」

「長に?」

「道を開いてくれ」

チャラエルフにそう言うと、驚いた顔をしていた。

「珍しい、長の事を嫌いだと思ってました」と言っていた。

魔王軍では、皆に友人だと思われていないようだ。
思っていたのはどうやら俺と、もしかしたらエルフの長だけなのかもしれない。

シリウスがチャラエルフを睨むと、さすがにヤバいと思ったのか背筋を伸ばしていた。
そしてやっと俺と少年に気付いたようで、また目を点にさせていた。

俺達はどう自己紹介したらいいのか分からない。

人間だと言うわけにもいかないし、魔物だと言うと嘘がバレる気がする。
この子は迷子のエルフだと言えばそれで終わりだが、シリウスが迷子を助ける魔王かと言われたら言葉に詰まる。

シリウスはなんて言うのかと思ったら、そもそも説明する気が一切なかった。

「早くしろ」

「わ、分かりました…それでは扉を開きます」

チャラエルフはそう言って、両手で木に触れた。
すると、木が大きく揺れて形が変わっていった。

隣同士の二本の木が寄り添うように頭を下げて、アーチ型になった。
そして、アーチ型の向こう側にあった景色が歪んだ。

この先が、エルフの国に繋がっているのか…確かに歩いてエルフの国に行くより近道だ。
チャラエルフは「あれ?これだけ?」と戸惑っていた。

「もう帰っていい」

「分かりましたー、褒美を楽しみにしておりますー」

最後まで締まらないなと思っていたら、横から視線を感じた。
チャラエルフが俺の方を見ていた、物凄く不審そうな顔をして…

少年は同じエルフ族だが、魔王軍の仲間だからか俺の後ろに隠れていた。

俺に近付くのも嫌だった筈なのに、ちょっとは慣れてくれたという事なのか?

シリウスは後ろを振り返ったから、シリウスの傍に近付いた。
もう一度チャラエルフの方を振り返ると、そこには誰もいなかった。

「どうした?」

「…いや、褒美って何の話だ?」

「魔物同士、借りを作りたくないから褒美を渡しているだけだ」

「へぇ…魔王なのに?」

「魔王だからといって、無償で信用してはいない」

シリウスはそう言って、エルフの国に続く門を潜った。
すると、シリウスの姿が何処にもなくて…ワープゲートなんだなと思った。

魔王の命令は無償で聞くべきだと言っているのかと思ったが、シリウスはちゃんとしているんだな。
借りを作りたくないって事は、魔王と兵士という立場だが対等に扱ってるって事だよな。

シリウスの知らない一面を感じて、また違って見えた。

人間の天敵だけど、シリウスはただ命令するだけの魔王ではないんだなと感心した。

門をずっと眺めていたから、少年が俺の服を軽く引っ張っていた。
あ、シリウスを待たせるのは悪いな…俺と少年もゲートの中に入った。

次の瞬間、周りが海だった事が嘘のような森が広がっていた。
ゲートの入り口で待っていたシリウスと共に森の中を進む。

他の魔物なんていない、皆耳が尖っているエルフだ。
それに眩しいくらいの美形だらけだ、俺…浮いてるな。

シリウスが通るとエルフ達がコソコソ話していたり、慌てた様子で何処かに走る者もいた。

シリウスは迷わずそのまままっすぐ歩いているが俺達は周りをキョロキョロ見ていた。

屋台もあり、建物は全て木と草で出来ていそうだが、俺達人間とエルフ族の国はあまり変わらないようだ。
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