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残酷な精霊
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「こんな事してる場合じゃないって!」
「ねぇ、ライム」
「どうしたの?」
「キスしていい?」
カイウスは何を言い出すのか、今の状況分かっているのか?
今ここでキスしたら、黒髪から元のカイウスに戻ってしまう。
そんな事したら、地下牢から出た瞬間騒ぎになる。
カイウスが悪魔だって知られて一番困るのはカイウスじゃないのか?
俺は嫌だと首を横に振ると「俺が嫌い?」と聞いてきた。
嫌いなんて、そんな事あるわけないのに…なんでそんな事…
「好きだよ、好きに決まってる…でも今戻ったら」
「少しだけでいい、キスしたい」
「俺はどのくらい魔力を吸収するか調節出来ないんだ…だから」
「今の姿を見られたくないんだ!お願いだ、俺が俺であるうちに…君に喰われたい」
「どういう……んぅっ!?」
カイウスの言っている事が一つも理解出来なくて聞こうとしたら唇に触れられた。
そのキスは、俺が…というよりカイウスが俺を喰らうような前身の力が抜けるほどのキスだった。
カイウスの腕を掴んで、離れかそうとするが力が全然入らない。
舌がカイウスの舌から逃れようとしても、追いかけられて絡まる。
どのくらいしていたのか、少しだけと言っていたのにがっつり濃厚なキスをしてしまった。
ダメだと分かっていても、拒めない。
カイウスの唇が離れると、俺がカイウスの力を吸ったというよりカイウスに力を吸われたような気分になる。
指先に力が入らなくて、カイウスに腕を伸ばすと強く握られた。
腰を掴まれて、支えられてカイウスに抱き抱えられた。
カイウスは手を何処かに向けると、手に炎をまとっていた。
上の方から、なにか音が聞こえて俺が来た方向に影が見えた。
誰かが降りて来るのだろう、でもカイウスは階段に向かって炎を放つと階段が破壊されて崩れた。
下に降りようとしていた人達はそのまま崩れるようにして落ちていった。
何人か降りていて、俺とカイウスに灯かりを当てた。
慌ててカイウスの顔を隠そうといたが、カイウスの姿は黒髪のまま変わっていなかった。
俺は確かにカイウスとキスしたのに、元には戻っていない。
一度それで戻らなかった事はあるが、今回もその偶然?
足になにか当たって、下を見ると人の腕があって胴体がなかった。
カイウスがやったのか、びっくりしてカイウスにしがみつく。
俺の腰を掴んで、周りを見ないように引き寄せられた。
「宮殿に戻ろう」
「でも、入り口を開いている間無防備になるんじゃ…」
カイウスの力はまだ病み上がりで、本調子ではない。
だから鎧の人物の時にカイウスは俺だけ宮殿に向かわせた。
もう俺だけ宮殿に戻らないからな!とカイウスの服を掴む。
しかし、カイウスは俺を見てゆっくり微笑んだ。
階段が崩れて落ちた兵士達が立ち上がっているのが見えた。
カイウスは「今の俺を元のカイウスだと思うなんてな」と俺にだけ聞こえる声で囁いて兵士達に手をかざした。
俺の腰に触れていた手は目元を覆って、視界が遮られる。
なにがあったのか全く見えないが、兵士達の悲鳴だけが聞こえた。
「あの不調が嘘みたいに力が湧き上がってくるんだよ、もうライムと離れないから…安心した?」
「う、ん…」
カイウスは言った通り、さっき地下牢で散々力を使っていたのに疲れている様子はない。
カイウスの言っている事は本当なんだろう。
でも、また変な暴走をしてしまうかもしれない…むやみに力を使わせたくはない。
カイウスの腕を掴むと「危ない」と言われたが、俺からしたらカイウスの方が心配だ。
宮殿にすぐに戻るなら、無駄に人を殺める必要もない筈だ。
それを伝えると、カイウスは何も答えなかった。
目の前をカイウスに隠されているから、カイウスの顔は分からない。
でも、腕を下ろしてくれて分かってくれたんだとホッとした。
「ライム、コイツらは人じゃない…だからライムが気にする事はないよ」
「なんで、人だよ…」
「ローベルトの屋敷の中に直接入って分かった、例外なく精霊のにおいがする奴らばかりで虫唾が走る」
カイウスの声は本当に嫌悪感がむき出しになった声だった。
皆、薬を飲んでるんだ…精霊王であるカイウスからしたら許す事が出来ない悪なんだろう。
ほとんどミロのように力の魅力に取り憑かれて薬に溺れた。
それは力が欲しいと本物の悪魔に願ってしまった人の弱さだ。
ローベルト卿は国の反逆者、人ですらあらずだとカイウスは言った。
罪のない者は体の一部を薬とされた精霊達だ……精霊達の代わりにカイウスが薬飲んだ人をこの手で終わらせている。
俺の目を覆っているカイウスの手が震えていた。
「ライムには申し訳ないって思ってる、俺の敵はライムの家族だから」
「……俺だって許せない、でも俺も同じ人だから…罪を償わせたい…死んだら、それも出来ないよ」
「そうだね、ローベルト卿にはいろいろ聞きたい事があるから捕まえるつもりだけど…他の奴は見つけ次第殺さないといけない、それは国からも許されている」
カイウスの言葉に驚いて、目を覆う手を掴んだ。
呆気なく視界が見えるようになり、カイウスが冷たい瞳で俺を見つめていた。
冷たいけど、怒っているとかではなく俺を無表情で見つめていた。
さっきまで兵士がやってきていて、声が響いていたのに全く声がしなくなった。
皆………想像すらしたくなくてカイウスの服を掴んだ。
カイウスは「帝国の命令じゃない、人間に良いように使われるのは不本意だ、俺は俺のために人間を殺す」と言っていた。
カイウスの仕事はローベルト家の関係者の処刑、そうなっているなんて知らなかった。
カイウスは優しいから、俺の家族を殺すなんて言えなかったんだろう。
でも、今のカイウスは言いたい事をはっきり言うタイプだから俺に何でも教えてくれる。
ただ、このカイウスはいつものカイウスではなくカイウスの本音とあらゆる感情がコントロール出来ていない危険なカイウスだ。
だから、思考も見ていて危なっかしくて不安になる。
「騎士団長の仕事はライムも殺す事…俺がそんな仕事するわけないだろ、精霊達もそれを望んでいない」
「それってどういう…」
「精霊はライムが思っているより、優しい性格じゃないんだよ…自分勝手で残酷な生き物、俺もライムと離れ離れにされて気が立っていたから殺した、理由なんて簡単な事だ……精霊が人間なんていらないって言えばどんな奴でも俺は殺す……元々俺達しかいなくていいんだから」
元のカイウスは騎士団長としてと、精霊のためにローベルト家と戦っていた。
でも今のカイウスは精霊のためにしか動かない、そして俺と自分と精霊のためにローベルトの人間を殺めていると言った。
「大人しくすればライムに何もしないって言われたけど一分しかライムと離れるの耐えられなかった」と俺の頬に触れていた。
それじゃあ、カイウスが今までしてきた事はどうなるんだ?
黒いカイウスも昔はそうだった、でもそれは理不尽な世の中に絶望していたからだ。
今は何をしているのか詳しくは知らないが、落ち着いたと思っている。
俺の事を信じてくれて、俺も受け入れる事が出来た。
何もしていない罪のない人までも巻き込むなんて、そんな事はダメだ。
カイウスはローベルト卿だけ殺さないつもりみたいだが、何処までカイウスが本気か分からない。
やっぱり、カイウス…いつもよりずっと攻撃的になっている。
今まで見てきたカイウスの中で、一番人間に負の感情を抱いている。
それに口では俺に優しくしてくれるが、きっと俺の事もその人間の中に入っている気がした。
あの冷たい瞳が全てを物語っている。
「ねぇ、ライム」
「どうしたの?」
「キスしていい?」
カイウスは何を言い出すのか、今の状況分かっているのか?
今ここでキスしたら、黒髪から元のカイウスに戻ってしまう。
そんな事したら、地下牢から出た瞬間騒ぎになる。
カイウスが悪魔だって知られて一番困るのはカイウスじゃないのか?
俺は嫌だと首を横に振ると「俺が嫌い?」と聞いてきた。
嫌いなんて、そんな事あるわけないのに…なんでそんな事…
「好きだよ、好きに決まってる…でも今戻ったら」
「少しだけでいい、キスしたい」
「俺はどのくらい魔力を吸収するか調節出来ないんだ…だから」
「今の姿を見られたくないんだ!お願いだ、俺が俺であるうちに…君に喰われたい」
「どういう……んぅっ!?」
カイウスの言っている事が一つも理解出来なくて聞こうとしたら唇に触れられた。
そのキスは、俺が…というよりカイウスが俺を喰らうような前身の力が抜けるほどのキスだった。
カイウスの腕を掴んで、離れかそうとするが力が全然入らない。
舌がカイウスの舌から逃れようとしても、追いかけられて絡まる。
どのくらいしていたのか、少しだけと言っていたのにがっつり濃厚なキスをしてしまった。
ダメだと分かっていても、拒めない。
カイウスの唇が離れると、俺がカイウスの力を吸ったというよりカイウスに力を吸われたような気分になる。
指先に力が入らなくて、カイウスに腕を伸ばすと強く握られた。
腰を掴まれて、支えられてカイウスに抱き抱えられた。
カイウスは手を何処かに向けると、手に炎をまとっていた。
上の方から、なにか音が聞こえて俺が来た方向に影が見えた。
誰かが降りて来るのだろう、でもカイウスは階段に向かって炎を放つと階段が破壊されて崩れた。
下に降りようとしていた人達はそのまま崩れるようにして落ちていった。
何人か降りていて、俺とカイウスに灯かりを当てた。
慌ててカイウスの顔を隠そうといたが、カイウスの姿は黒髪のまま変わっていなかった。
俺は確かにカイウスとキスしたのに、元には戻っていない。
一度それで戻らなかった事はあるが、今回もその偶然?
足になにか当たって、下を見ると人の腕があって胴体がなかった。
カイウスがやったのか、びっくりしてカイウスにしがみつく。
俺の腰を掴んで、周りを見ないように引き寄せられた。
「宮殿に戻ろう」
「でも、入り口を開いている間無防備になるんじゃ…」
カイウスの力はまだ病み上がりで、本調子ではない。
だから鎧の人物の時にカイウスは俺だけ宮殿に向かわせた。
もう俺だけ宮殿に戻らないからな!とカイウスの服を掴む。
しかし、カイウスは俺を見てゆっくり微笑んだ。
階段が崩れて落ちた兵士達が立ち上がっているのが見えた。
カイウスは「今の俺を元のカイウスだと思うなんてな」と俺にだけ聞こえる声で囁いて兵士達に手をかざした。
俺の腰に触れていた手は目元を覆って、視界が遮られる。
なにがあったのか全く見えないが、兵士達の悲鳴だけが聞こえた。
「あの不調が嘘みたいに力が湧き上がってくるんだよ、もうライムと離れないから…安心した?」
「う、ん…」
カイウスは言った通り、さっき地下牢で散々力を使っていたのに疲れている様子はない。
カイウスの言っている事は本当なんだろう。
でも、また変な暴走をしてしまうかもしれない…むやみに力を使わせたくはない。
カイウスの腕を掴むと「危ない」と言われたが、俺からしたらカイウスの方が心配だ。
宮殿にすぐに戻るなら、無駄に人を殺める必要もない筈だ。
それを伝えると、カイウスは何も答えなかった。
目の前をカイウスに隠されているから、カイウスの顔は分からない。
でも、腕を下ろしてくれて分かってくれたんだとホッとした。
「ライム、コイツらは人じゃない…だからライムが気にする事はないよ」
「なんで、人だよ…」
「ローベルトの屋敷の中に直接入って分かった、例外なく精霊のにおいがする奴らばかりで虫唾が走る」
カイウスの声は本当に嫌悪感がむき出しになった声だった。
皆、薬を飲んでるんだ…精霊王であるカイウスからしたら許す事が出来ない悪なんだろう。
ほとんどミロのように力の魅力に取り憑かれて薬に溺れた。
それは力が欲しいと本物の悪魔に願ってしまった人の弱さだ。
ローベルト卿は国の反逆者、人ですらあらずだとカイウスは言った。
罪のない者は体の一部を薬とされた精霊達だ……精霊達の代わりにカイウスが薬飲んだ人をこの手で終わらせている。
俺の目を覆っているカイウスの手が震えていた。
「ライムには申し訳ないって思ってる、俺の敵はライムの家族だから」
「……俺だって許せない、でも俺も同じ人だから…罪を償わせたい…死んだら、それも出来ないよ」
「そうだね、ローベルト卿にはいろいろ聞きたい事があるから捕まえるつもりだけど…他の奴は見つけ次第殺さないといけない、それは国からも許されている」
カイウスの言葉に驚いて、目を覆う手を掴んだ。
呆気なく視界が見えるようになり、カイウスが冷たい瞳で俺を見つめていた。
冷たいけど、怒っているとかではなく俺を無表情で見つめていた。
さっきまで兵士がやってきていて、声が響いていたのに全く声がしなくなった。
皆………想像すらしたくなくてカイウスの服を掴んだ。
カイウスは「帝国の命令じゃない、人間に良いように使われるのは不本意だ、俺は俺のために人間を殺す」と言っていた。
カイウスの仕事はローベルト家の関係者の処刑、そうなっているなんて知らなかった。
カイウスは優しいから、俺の家族を殺すなんて言えなかったんだろう。
でも、今のカイウスは言いたい事をはっきり言うタイプだから俺に何でも教えてくれる。
ただ、このカイウスはいつものカイウスではなくカイウスの本音とあらゆる感情がコントロール出来ていない危険なカイウスだ。
だから、思考も見ていて危なっかしくて不安になる。
「騎士団長の仕事はライムも殺す事…俺がそんな仕事するわけないだろ、精霊達もそれを望んでいない」
「それってどういう…」
「精霊はライムが思っているより、優しい性格じゃないんだよ…自分勝手で残酷な生き物、俺もライムと離れ離れにされて気が立っていたから殺した、理由なんて簡単な事だ……精霊が人間なんていらないって言えばどんな奴でも俺は殺す……元々俺達しかいなくていいんだから」
元のカイウスは騎士団長としてと、精霊のためにローベルト家と戦っていた。
でも今のカイウスは精霊のためにしか動かない、そして俺と自分と精霊のためにローベルトの人間を殺めていると言った。
「大人しくすればライムに何もしないって言われたけど一分しかライムと離れるの耐えられなかった」と俺の頬に触れていた。
それじゃあ、カイウスが今までしてきた事はどうなるんだ?
黒いカイウスも昔はそうだった、でもそれは理不尽な世の中に絶望していたからだ。
今は何をしているのか詳しくは知らないが、落ち着いたと思っている。
俺の事を信じてくれて、俺も受け入れる事が出来た。
何もしていない罪のない人までも巻き込むなんて、そんな事はダメだ。
カイウスはローベルト卿だけ殺さないつもりみたいだが、何処までカイウスが本気か分からない。
やっぱり、カイウス…いつもよりずっと攻撃的になっている。
今まで見てきたカイウスの中で、一番人間に負の感情を抱いている。
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