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裏の話7
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時は遡る事、数時間前。
捨て駒の特攻隊として神がいるであろう扉の前でその時を待っていた。
恐怖に震えている兵士はいなくもないが、ほとんどの兵士は目が血走っていた。
人ならざる力を手にする薬の多量摂取による禁断症状なのだろう。
薬を噛み砕く音があちこちから聞こえる。
ハイドレイは、げんなりした顔で剣を握りしめていた。
ローベルト卿に従う兵士のほとんどが見返りを求めている。
ハイドレイが来て日は浅いが、それでも分かる。
薬がほしくてローベルト卿から離れられないんだ。
薬をばら撒き出す前はなんで従っているのか分からない。
その時は純粋にローベルト家に見返りを求めず仕えていたのかもしれない。
怯えている少数の兵士もきっと逃げ出す事が出来ないからここにいる。
ローベルト家は裏切り者を許さない、騎士団の間でも有名な話だ。
ローベルト家から逃げて来た人を、情報提供する代わりに保護する約束をした。
でも、決まって次の日になる前に保護した人は死んでしまう。
ローベルト家の人間だとは思っていたが、誰がとかは分からなかった。
今なら、裏切り者を殺した犯人が分かる。
ジークという男、かなりの強さがあり…ローベルト卿に絶対忠誠を誓う兵士。
暴力的で、痛みも感じないとライムに聞いていた。
痛みが感じないからこそ、兵士の間で不死身と呼ばれているのだろう。
おそらく、人間の中で一番強いんだと思う。
そんな男がいたら、確かに逃げる気も起きない。
ここにいる兵士達は、命を捨てるためにここにいる。
薬を飲んでいる奴らも、勝つ事より自分に与えられた神の力を試したいのだろう。
ハイドレイがここにいるのは神を殺すためでも捨て駒になるためでもない。
騎士団に入った時から憧れているカイウスを助けるためだ。
カイウスを助けられるのはたった一人だけ。
ハイドレイに出来る事はこれしかなかった。
自分だって騎士の一人だ、神だってなんだって悪い奴に背を向けたりしない。
死ぬ時も、正義を貫いて死んだ方が誇らしい。
騎士団とは、国に忠誠を誓うとは、この事なんだ。
ゆっくりと時間が過ぎていき、緊張が走る。
扉の前を睨んでいたら、兵士の一人がハイドレイ達の前に出た。
「待ってるなんてオレの性に合わねぇんだよ!」
「っ待て!」
兵士の止める声を聞かず、その兵士は扉に向かって殴りかかった。
普通の人間ならびくともしないであろう扉だが、薬を多量摂取している兵士に掛かれば吹き飛ばす事は簡単だった。
大きな音を立てて、閉ざされていた場所に大きな穴がぽっかりと口を開いていた。
開いたから、神に気付かれたのは確実だ。
兵士達はゾロゾロと中に入っていき、ハイドレイはある違和感を感じて足を止めた。
可笑しい、あの場所は確か結界が張っていた筈だ。
だから誰も近付ける事が出来なかったんだ。
なのに、何故今結界がないんだろう…結界をなくすメリットはなんだ?
誘き寄せるためしかない筈だ。
そう思って、ハイドレイは気付いて後ろを振り返った。
そこにいたのは兵士の服とは明らかに違う服を着た二人の男だった。
目元に包帯を巻いている茶髪の男リオは手に大きなマシンガンを持っていた。
肩に乗っていた鷹が羽ばたいた瞬間、ハイドレイの周りが一気に血の水溜まりになった。
ハイドレイは間一髪気付いて、入り口から離れたから当たりはしなかった。
しかし、扉の向こう側に行った人達は原形をとどめなくなっていた。
残ったのはハイドレイと後ろにいた数人の兵士だけだ。
まさか、後ろに敵がいるとは思ってなかったのか慌ててこちらも攻撃を仕掛けている。
そんな適当に剣を振り回しただけでは勝てない。
また茶髪の男がマシンガンを構えたが、それを隣にいた男が止めた。
「待てよ、俺にもやらせろよ」
腰まで長い三つ編みで赤髪の男ハーネルは上に向けて手を伸ばしていた。
何もない空中から、バチバチと電流が見えた。
その瞬間長槍に変わり、ニッと笑っていた。
薬を飲んだ奴らでさえ、力を武器に変える事なんて出来ない。
コイツらが神、カイウスを合わせて二人だと思っていたから驚いた。
さすがに二人を相手にするのは、死にに行くのと同じだ。
残った兵士達でどのくらいいけるか分からない。
でも、やらないと死を待つのと同じ事になる。
「ちょっとは楽しませてくれよ、退屈なんだよ」
「…任務」
『さっさと終わらせようぜ』
捨て駒の特攻隊として神がいるであろう扉の前でその時を待っていた。
恐怖に震えている兵士はいなくもないが、ほとんどの兵士は目が血走っていた。
人ならざる力を手にする薬の多量摂取による禁断症状なのだろう。
薬を噛み砕く音があちこちから聞こえる。
ハイドレイは、げんなりした顔で剣を握りしめていた。
ローベルト卿に従う兵士のほとんどが見返りを求めている。
ハイドレイが来て日は浅いが、それでも分かる。
薬がほしくてローベルト卿から離れられないんだ。
薬をばら撒き出す前はなんで従っているのか分からない。
その時は純粋にローベルト家に見返りを求めず仕えていたのかもしれない。
怯えている少数の兵士もきっと逃げ出す事が出来ないからここにいる。
ローベルト家は裏切り者を許さない、騎士団の間でも有名な話だ。
ローベルト家から逃げて来た人を、情報提供する代わりに保護する約束をした。
でも、決まって次の日になる前に保護した人は死んでしまう。
ローベルト家の人間だとは思っていたが、誰がとかは分からなかった。
今なら、裏切り者を殺した犯人が分かる。
ジークという男、かなりの強さがあり…ローベルト卿に絶対忠誠を誓う兵士。
暴力的で、痛みも感じないとライムに聞いていた。
痛みが感じないからこそ、兵士の間で不死身と呼ばれているのだろう。
おそらく、人間の中で一番強いんだと思う。
そんな男がいたら、確かに逃げる気も起きない。
ここにいる兵士達は、命を捨てるためにここにいる。
薬を飲んでいる奴らも、勝つ事より自分に与えられた神の力を試したいのだろう。
ハイドレイがここにいるのは神を殺すためでも捨て駒になるためでもない。
騎士団に入った時から憧れているカイウスを助けるためだ。
カイウスを助けられるのはたった一人だけ。
ハイドレイに出来る事はこれしかなかった。
自分だって騎士の一人だ、神だってなんだって悪い奴に背を向けたりしない。
死ぬ時も、正義を貫いて死んだ方が誇らしい。
騎士団とは、国に忠誠を誓うとは、この事なんだ。
ゆっくりと時間が過ぎていき、緊張が走る。
扉の前を睨んでいたら、兵士の一人がハイドレイ達の前に出た。
「待ってるなんてオレの性に合わねぇんだよ!」
「っ待て!」
兵士の止める声を聞かず、その兵士は扉に向かって殴りかかった。
普通の人間ならびくともしないであろう扉だが、薬を多量摂取している兵士に掛かれば吹き飛ばす事は簡単だった。
大きな音を立てて、閉ざされていた場所に大きな穴がぽっかりと口を開いていた。
開いたから、神に気付かれたのは確実だ。
兵士達はゾロゾロと中に入っていき、ハイドレイはある違和感を感じて足を止めた。
可笑しい、あの場所は確か結界が張っていた筈だ。
だから誰も近付ける事が出来なかったんだ。
なのに、何故今結界がないんだろう…結界をなくすメリットはなんだ?
誘き寄せるためしかない筈だ。
そう思って、ハイドレイは気付いて後ろを振り返った。
そこにいたのは兵士の服とは明らかに違う服を着た二人の男だった。
目元に包帯を巻いている茶髪の男リオは手に大きなマシンガンを持っていた。
肩に乗っていた鷹が羽ばたいた瞬間、ハイドレイの周りが一気に血の水溜まりになった。
ハイドレイは間一髪気付いて、入り口から離れたから当たりはしなかった。
しかし、扉の向こう側に行った人達は原形をとどめなくなっていた。
残ったのはハイドレイと後ろにいた数人の兵士だけだ。
まさか、後ろに敵がいるとは思ってなかったのか慌ててこちらも攻撃を仕掛けている。
そんな適当に剣を振り回しただけでは勝てない。
また茶髪の男がマシンガンを構えたが、それを隣にいた男が止めた。
「待てよ、俺にもやらせろよ」
腰まで長い三つ編みで赤髪の男ハーネルは上に向けて手を伸ばしていた。
何もない空中から、バチバチと電流が見えた。
その瞬間長槍に変わり、ニッと笑っていた。
薬を飲んだ奴らでさえ、力を武器に変える事なんて出来ない。
コイツらが神、カイウスを合わせて二人だと思っていたから驚いた。
さすがに二人を相手にするのは、死にに行くのと同じだ。
残った兵士達でどのくらいいけるか分からない。
でも、やらないと死を待つのと同じ事になる。
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