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裏の話8
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ライムと別れた後の時間に遡る。
リーズナはカイウスがいるであろう小屋に向かって走っていった。
途中で床の揺れに足が取られそうになったが、走る事は止めなかった。
カイウスには時間がない、神によって支配される前に元のカイウスに戻さなくてはいけない。
ここで、他の神の分身とか現れたらリーズナは戦う事が出来ない。
そこは他の人間達を信じるしかない。
神の一番の目的はライム、だからライムに力を渡した。
カイウスを傷付ける事だけはしたくなかった。
そう思えるのは、絶対にカイウスは元に戻ると信じているからだ。
小屋があったところまで戻ると、そこには何もなかった。
正確には、小屋があったであろう破片は散らばっている。
それだけで、それ以外は何もない…神かカイウスによって破壊されたようだ。
「リーズナ」
『っ!?』
後ろから、よく知る声が聞こえて振り返るよりも先に体が軽く吹き飛ばされた。
宙で体を回転させて、地面に着地して警戒する。
今ほど、柔軟な猫の姿で良かったと思った事はない。
リーズナを呼ぶのは仲間以外でただ一人しかいない。
目の前に現れたのはカイウスで、リーズナを冷めた瞳で見つめていた。
感情も抜け落ちたような、その姿のカイウスはリーズナの知らないカイウスだった。
カイウスとリーズナは常に繋がっていて、意識も共有するところはしていたのに今のカイウスになってから、リーズナはカイウスに拒絶されて意識すら近付けなかった。
日に日にカイウスが変わっていっているようで、悲しくなる。
『カイ、小屋から出たのか…なら俺と来てくれるよな』
「何故?」
『お前に会いたい奴がいるんだ』
「……そう」
リーズナの役割はカイウスを外に出して、ライムのところに連れて行く事だ。
ライムだけじゃない、皆がカイウスを待っているんだ。
神がいない今、連れて行くなら簡単かと思っていた。
しかし、カイウスはリーズナに剣を向けた。
そう簡単にはいかないかと、リーズナはカイウスの攻撃を避けた。
一振りの次の攻撃が早くて、リーズナの目の前に剣が迫ってきた。
元々持っていたリーズナの少量の力とカイウスの力がぶつかり弾かれた。
間一髪攻撃は当たらなかったが、次も運良く力同士がぶつかるか分からない。
そんな運に頼る戦いは危険すぎる、リーズナはカイウスから距離を取った。
「リーズナ、お前も裏切るんだな」
『裏切るって何の事だ?』
「お前もライムと同じかという意味だ」
カイウスの言っている意味は分からず、説明する気もないみたいだ。
ただ一つ、カイウスがライムに抱く気持ちが危険という事だけは分かる。
人格が変わっても、愛しい人は変わらなかった。
それが、ライムの名を口にしただけで憎悪を抱くほどに変わっていた。
記憶を失っているから、ライムへの気持ちはまだ他の人格より一緒にいる時間が短い。
神がカイウスになにかを吹き込んだとしたら、こうなるのかも知れない。
元のカイウスがいたからこそ、ライムへの愛だけは忘れなかった。
このカイウスは、もう皆が知っているカイウスではない。
今のカイウスを見て、元のカイウスの消滅を意味しているのかもしれないと恐ろしくなった。
カイウスを止められるのは、誰もいなくなったという事にもなる。
『カイウスを出せ』
「カイウス?目の前にいるだろ」
『俺が言っているのは元のカイウスの事だ』
「それって、俺が偽物だって言いたいのか?」
カイウスは口が笑っていたが、目はリーズナを殺すほどの殺気立っていた。
自分が偽物だって言われて、いい気分になる奴なんていない。
カイウスの攻撃を避けて、リーズナは次の作戦を考える。
無理矢理今の状態のカイウスを連れて行けば、ライムに危険が及ぶ。
そんな事、あのカイウスが望む筈はない。
カイウスの体力を削ってから運ぶのも現実的ではない。
カイウスが疲れる前に、リーズナの方が限界を迎えるだろう。
もう一度、カイウスの中に入る事が出来たらいいが…元の人格が危険な状態だと無理だろう。
「俺には何もいらない、愛も仲間も…俺に必要なのは力だけ…リーズナ、俺の力を返してもらう」
カイウスは剣に力を込めて、一気にリーズナに向かって振り下ろした。
地割れと風となった無数の刃がリーズナに襲い掛かる。
とっさに人の姿に戻り、地面に転がっていた板を掴んで盾にしてしゃがみ込む。
猫の姿は避けるのに最適だが、物を掴む事は出来ないから不便だ。、
直撃は避けられたが、腕や体のあちこちに傷が出来ていた。
ボロボロになった板を捨てて、体の痛みを無視しながら立ち上がる。
次の攻撃に備えようと、警戒しながらカイウスから距離を取る。
カイウスの周りにはさっきまでなかった白い霧のようなものがまとわりついていた。
そして現れたのは、全身真っ白な男だった。
「カイウス、何を遊んでいるんだ」
「お前には関係ない」
「…ふふ、猫と戯れても仕方ないだろ」
「それは俺の力だ、返してもらう」
「必要ない、そんな毒など…ライム・ローベルトの力があればお前は完成する、もうすぐ死体が運ばれてくる…お前がそれを吸収すればいい」
随分な言われようだ、リーズナの力だって立派なカイウスの力の筈だ。
リーズナはカイウスがいるであろう小屋に向かって走っていった。
途中で床の揺れに足が取られそうになったが、走る事は止めなかった。
カイウスには時間がない、神によって支配される前に元のカイウスに戻さなくてはいけない。
ここで、他の神の分身とか現れたらリーズナは戦う事が出来ない。
そこは他の人間達を信じるしかない。
神の一番の目的はライム、だからライムに力を渡した。
カイウスを傷付ける事だけはしたくなかった。
そう思えるのは、絶対にカイウスは元に戻ると信じているからだ。
小屋があったところまで戻ると、そこには何もなかった。
正確には、小屋があったであろう破片は散らばっている。
それだけで、それ以外は何もない…神かカイウスによって破壊されたようだ。
「リーズナ」
『っ!?』
後ろから、よく知る声が聞こえて振り返るよりも先に体が軽く吹き飛ばされた。
宙で体を回転させて、地面に着地して警戒する。
今ほど、柔軟な猫の姿で良かったと思った事はない。
リーズナを呼ぶのは仲間以外でただ一人しかいない。
目の前に現れたのはカイウスで、リーズナを冷めた瞳で見つめていた。
感情も抜け落ちたような、その姿のカイウスはリーズナの知らないカイウスだった。
カイウスとリーズナは常に繋がっていて、意識も共有するところはしていたのに今のカイウスになってから、リーズナはカイウスに拒絶されて意識すら近付けなかった。
日に日にカイウスが変わっていっているようで、悲しくなる。
『カイ、小屋から出たのか…なら俺と来てくれるよな』
「何故?」
『お前に会いたい奴がいるんだ』
「……そう」
リーズナの役割はカイウスを外に出して、ライムのところに連れて行く事だ。
ライムだけじゃない、皆がカイウスを待っているんだ。
神がいない今、連れて行くなら簡単かと思っていた。
しかし、カイウスはリーズナに剣を向けた。
そう簡単にはいかないかと、リーズナはカイウスの攻撃を避けた。
一振りの次の攻撃が早くて、リーズナの目の前に剣が迫ってきた。
元々持っていたリーズナの少量の力とカイウスの力がぶつかり弾かれた。
間一髪攻撃は当たらなかったが、次も運良く力同士がぶつかるか分からない。
そんな運に頼る戦いは危険すぎる、リーズナはカイウスから距離を取った。
「リーズナ、お前も裏切るんだな」
『裏切るって何の事だ?』
「お前もライムと同じかという意味だ」
カイウスの言っている意味は分からず、説明する気もないみたいだ。
ただ一つ、カイウスがライムに抱く気持ちが危険という事だけは分かる。
人格が変わっても、愛しい人は変わらなかった。
それが、ライムの名を口にしただけで憎悪を抱くほどに変わっていた。
記憶を失っているから、ライムへの気持ちはまだ他の人格より一緒にいる時間が短い。
神がカイウスになにかを吹き込んだとしたら、こうなるのかも知れない。
元のカイウスがいたからこそ、ライムへの愛だけは忘れなかった。
このカイウスは、もう皆が知っているカイウスではない。
今のカイウスを見て、元のカイウスの消滅を意味しているのかもしれないと恐ろしくなった。
カイウスを止められるのは、誰もいなくなったという事にもなる。
『カイウスを出せ』
「カイウス?目の前にいるだろ」
『俺が言っているのは元のカイウスの事だ』
「それって、俺が偽物だって言いたいのか?」
カイウスは口が笑っていたが、目はリーズナを殺すほどの殺気立っていた。
自分が偽物だって言われて、いい気分になる奴なんていない。
カイウスの攻撃を避けて、リーズナは次の作戦を考える。
無理矢理今の状態のカイウスを連れて行けば、ライムに危険が及ぶ。
そんな事、あのカイウスが望む筈はない。
カイウスの体力を削ってから運ぶのも現実的ではない。
カイウスが疲れる前に、リーズナの方が限界を迎えるだろう。
もう一度、カイウスの中に入る事が出来たらいいが…元の人格が危険な状態だと無理だろう。
「俺には何もいらない、愛も仲間も…俺に必要なのは力だけ…リーズナ、俺の力を返してもらう」
カイウスは剣に力を込めて、一気にリーズナに向かって振り下ろした。
地割れと風となった無数の刃がリーズナに襲い掛かる。
とっさに人の姿に戻り、地面に転がっていた板を掴んで盾にしてしゃがみ込む。
猫の姿は避けるのに最適だが、物を掴む事は出来ないから不便だ。、
直撃は避けられたが、腕や体のあちこちに傷が出来ていた。
ボロボロになった板を捨てて、体の痛みを無視しながら立ち上がる。
次の攻撃に備えようと、警戒しながらカイウスから距離を取る。
カイウスの周りにはさっきまでなかった白い霧のようなものがまとわりついていた。
そして現れたのは、全身真っ白な男だった。
「カイウス、何を遊んでいるんだ」
「お前には関係ない」
「…ふふ、猫と戯れても仕方ないだろ」
「それは俺の力だ、返してもらう」
「必要ない、そんな毒など…ライム・ローベルトの力があればお前は完成する、もうすぐ死体が運ばれてくる…お前がそれを吸収すればいい」
随分な言われようだ、リーズナの力だって立派なカイウスの力の筈だ。
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