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第24話
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……結論から言う。最悪だった。
優しくするなどといったのはどの口か。…最初は、確かに優しかった。しかし、一度目の射精で完全にタガが外れたルドは、その後二度三度と求め、抱きつぶされた。何度ルドが精を吐き出したのかは覚えていない。なにせ覚えていないところにまで彼の精がある。とっくに乾いてカピカピだけれど…
もはや全身ルドの分泌物で汚されたといってもい。精を受ける前には全身を嘗め尽くされた。あまりの羞恥に抵抗したけれど、無意味だった。当然、何度も彼を受け入れた『あそこ』は、違和感を通り越して入れられっぱなしの感覚しかない。
タガが外れたルドは、思いつく限りの行為を私にした。その中には様々な体位で行うものもあり、そこそこ柔軟に自信があったはずなのに全身関節痛だ。
そして朝。そんな満身創痍になった私を、満足げに見下ろすあほルドがいる。
「素晴らしい夜だったな」
(……後で覚えてろこの野郎!)
あほルドが手配した侍女は、ベッドの上で全裸で全身カピカピになった私を見て悲鳴を上げた。全身間接痛でまともに動けない私を、最初はあほルドが湯あみに連れていこうとしたのを侍女一同が阻止してくれた。万が一そこで二回戦が始まろうものなら、私に命は無い…
早朝から湯を用意させたのを申し訳ないと思いつつ、とにもかくにも湯につけてくれた侍女たちには感謝しかない。湯で温められて幾分痛みが和らぐと、あらためて浴槽から出て全身が泡に包まれる。
カピカピが取れ、再度湯につかる。…湯は一度張り替えられた。
「…大変、お疲れ様でした」
侍女のねぎらいの言葉が身に染みた。
身体は清められ、湯で幾分痛みは和らいだもののまだ満足に動くには程遠い。侍女の肩を借りて何とか部屋に戻り、すぐさまベッドに腰を下す。
「どうぞ」
「ありがとう」
コップに注がれた水を一気に飲み干す。渇きを覚えていた喉を通る水の味は実に……
「っ!?」
違和感を覚えたときには既に遅く、のどを通り過ぎていた。ただの水の味…ではなかった。わずかに感じた苦み。ハーブや薬湯とは違う苦み。
すぐさま目の前の侍女を睨みつける。侍女はさきほどの私を労わる瞳を消し、冷徹な闇をその瞳に宿していた。
「…気付かれるとは。驚きましたよ」
何を飲まされたのかは分からない。けれど、おそらく……毒。しかし何の毒なのか、それがわかるほど毒には精通していない。何が目的なのか、それ次第では盛られた毒の効果も見えてくるけれど。もしこの侍女の背後に…ヴィッツ王弟殿下がいれば、最悪のパターンが想定される。
万全であれば目の前の侍女くらい簡単に制して助けを呼びに行ける。けれど、今の体調ではそれすらわからない。毒が回るのを待っているのか、侍女は私から離れた扉の前から動かない。
(今しか……!)
毒が回るまで。それが今の私の運命のタイムリミット。
体は痛い。けれど、痛いからと言って動かないままでいるなんてできるわけがない。
手にしたままの空のコップを侍女に向かって投げつける。そのコップを、侍女はあっさりと受け止める。受け止めるまでも、視線はずっと私に向いたまま。
(まずいわね……かなり、できる)
ただの侍女じゃない。鍛えられた刺客だ。余裕を感じる、けれど警戒は解いていない、油断はしていない。
この危機を脱する方法は二つ。彼女を制して外に助けを呼びに行くか、この距離が空いているチャンスを生かして窓から逃げるか。
「残念ですが、逃げることはできません」
刺客のその言葉の真意を図る前に、最悪の状況がおとずれる。窓の前にいつの間にか誰かが立っていた。窓は開いていない。ということは最初からこの部屋に潜んでいたということか。新たな刺客の登場に冷や汗が流れる。
けれど好都合。もう悩む必要はなくなった。選択肢は一つしかない。
刺客を倒して外に助けを呼ぶ。
手段を決めた私は、痛む身体を無理やり動かし、刺客へと肉薄する。
「しっ!」
渾身の拳。腹部へと狙いを定めた一撃は、しかしあっさりとかわされ空を切る。その拳は掴まれ、そのまま腕を締め上げられる。さらに首にまで腕を回され、のどを締め上げられてしまった。
「っ……!」
「もう動けない。叫べない。……侮りましたね。『初めて』の後に万全で動けるなどと思わないでください」
『初めて』を強調され、頬が熱くなる。それが災いしたのか、身体から一気に力が抜ける。
(毒が……!)
一気に毒が回ったのか抵抗する力が抜け、力が抜けたことでより締め上げが強くなる。きしむ腕の痛みと、徐々に不足する空気で意識が薄くなっていく。
(こんな…こと、で……)
毒の効果が分からない恐怖、相手を見誤った己の不甲斐なさ、そして……ルドに二度も私が失われるという絶望を与えてしまうのではないかという不安。
混濁した負の想いは、このままでは終われないという活力を生み出す。
「…毒が回りましたね。あとは連れて…!」
一瞬拘束が緩んだ隙をつき、締め上げられた腕で逆に刺客侍女の服を掴み、震える脚を叱咤させて回転、遠心力をつけて投げ飛ばした。
「くっ!まだ動けるなんて…」
「はーっ、はーっ…!」
解放された喉から空気を取り入れる。しかし悠長にはしていられない。刺客侍女はうまく受け身を取り、こちらに向かってくる。すぐさま扉に手を伸ばし、鍵に手をかけて回そう…として、鍵から指が滑る。
(回せ…な…)
…そこまでが限界だった。鍵を回す力すらもはや入らず、足で立つこともできずにその場で膝をついた。そのまま倒れ込んで……扉に頭をぶつけた。そのにぶい音が、外にまで響いた。
「どうなさいました?」
扉の外から響く親衛隊の声。もう全身力が入らない。けれど、これに応えなければ終わる。私は、残る力のすべてを振り絞った。
「助け…!」
それ以上は紡げなかった。誰かの手が私の口を塞いだから。けれど……
「…シセリア様!扉を開けてください!」
親衛隊はすぐに危機を察知してくれた。ドンドン扉をたたく音が聞こえる。
(早く…!この扉をこじ開け…)
私の意識はそこまでが限界だった。担ぎ上げられる感覚を覚えたけれども、そこで意識は途切れた。
***
次に目覚めたのは、見覚えのない天井を見上げてからだった。未だに毒の影響があるのか、身体は動かせない。さらに見れば、手足には鉄製と思われる枷が付いている。寝かせられているのはソファーの上。動くのは頭だけ。その頭から見える範囲にあるのは、見覚えのない部屋。高級と思われる調度品はあるが必要最低限。調度品の割には部屋の狭さが際立つ。一人用…それも、まるで閉じ込めるためのような……
「目が覚めたようですなぁ」
聞き覚えのある声に、ようやく部屋にはほかにも誰かがいることに気付いた。
「…あなたが、犯人なんですね」
優雅にソファに佇み、こちらを見下ろしているのは…ヴィッツ王弟殿下。
この状況下で他の可能性を考えようがなかった。
「ええ、その通りです。聞きましたよぉ。毒を飲まされたのにひと暴れしてくれたとか。いやはや、やはり兄上の嫁ともなると、只者じゃありませんねぇ」
呆れたような、それでいて蔑むような笑みを向けてくる。そんな顔は見たくなかったので、別の方向に顔を向ける。部屋にはヴィッツ王弟殿下の他、あの刺客二人がいた。窓からは空しか見えない。
ヴィッツ王弟殿下は離れに幽閉されていたはず。なら、ここはその幽閉先?幽閉先に連れてこられたとして、一体何の目的が?
状況は良くない。毒は抜けておらず動かせない。さらに手足は拘束され、完全に身動きは封じられている。けれど、身体が動かせないという状況なだけで、他に別段異常は無い。身体の節々と…ぶつけた頭が痛いだけ。命にまだ影響がない状況に、無意識にほっとした。
「……その余裕、気に入りませんねえ。あなた、自分の立場分かってますかぁ?」
ほっとしたのが余程気に食わなかったらしい。苛立たし気に歯をむき出しにしてきた。そこまで余裕はあるわけでもないけれど…と言ったところで火に油になる気しかしない。ここは時間稼ぎも兼ねて、その目的を探るべくあえて下出に出てみよう。
「…分かりません。何故私はここに連れてこられたのですか?」
「分からない?分からないですと?ふっ……あはははは!この状況で何故!?」
率直に聞いたら大笑いされた。が、むしろ都合がいい。これで相手は『馬鹿な私』に懇切丁寧に説明してくれる。
「いやはや…まさかこんな大馬鹿者とは思いませんでしたよぉ」
わざと誘発させたのだから大馬鹿者呼ばわりされても気にならない。けれど、あえて相手の優位を確信させるために、表情だけは悔し気に。睨みつけて、歯を噛み締めて。
「ふふ…悔しいですか?悔しいですよねぇ?でもいいですよぉ。この次期王となる私が、あなたに説明してあげますよ」
「……」
表情は変えず、しかし話は気になるという風にしておく。それに満足したのか、饒舌に語りだした。
「簡単なことですよ。あなたを生かして返してほしければ、自害なさい。そう兄上に命令したのです」
「………」
「大切な、大切な王妃がやっと見つかったのです。断れない、断れませんよねぇ?これほどまでに溺愛しているのだから、まさか自分の命惜しさに見捨てる…なんてことできるはずがありませんよねぇ?」
「そんな…」
言葉上は悲し気に、態度は顔を伏せて。もちろん内心は違う。ルドは絶対に自分の命を絶って私だけを助けようとはしない。彼は自身の命の重さを知っている。そして……同様に、私の命も。
うぬぼれかもしれないけれど、ルドが私を見捨てることも絶対にない。彼なら、こんな取引に応じない。きっと…自分のことも、私のことも助けようとする。
「期限は今日の日暮れまで。それまでに自身の首を民に晒すように言ってあります。でなければ、代わりにあなたの首が晒されるのです」
「………」
窓を見る。太陽は頂点をすぎ、傾き始めている。既に猶予は無かった。
「…もし、ル…陛下が取引に応じなければ?」
「簡単ですねぇ。世継ぎを生む王妃を守れず、世継ぎの可能性を失ったものは王の資格が無い、と民に喧伝すれば、後は勝手に王の座から退くでしょう」
つまり、取引に応じようと応じまいとルドを退位させ、自身が王座に就くことは確定事項ということか。
「兄上が自害すれば……あなたのことは私の愛妾にでもしてあげましょうかと思いましたが、ねぇ……」
ヴィッツ王弟殿下の目が舐めるように私の身体を見下ろす。その行為に怖気がする。
「よもや、一足違いで兄上に穢されたとは……。兄上の『中古』になんて触れる気も起きませんねぇ」
中古呼ばわりにはさすがに本気でいらっときた。けれど、そのおかげで触れてこないと分かると思うとなんだか複雑…
「ですが……興味はありますよぉ」
そう言い、何故か立ち上がる。その目に……あの情欲の火をともして。
「兄上は一晩中あなたの体に酔いしれたとか……そこまでの『身体』、きっと素晴らしいんでしょうねぇ」
その言葉と、一歩ずつ近づいてくる意味が、身体中に嫌悪と恐怖を纏わりつかせてくる。触れる気なんて起きないなどと言ったのはどの口か。前言撤回が早すぎる。
「…近づかないでください」
「いいじゃないですかぁ。兄弟だけあって似てるんですから」
似てるからなんだというのか。というか、作りは似てても雰囲気も性格も違って別人でしかない。身体に力を入れようとしても、まだ全然入らない。
「無駄ですよぉ。まだしばらく毒は抜けませんし、手枷は鉄製。大人しくしていれば、気持ちよくさせてあげますよぉ」
あなたに触れられた時点で気持ち悪いだけ。気持ちよく何てなるわけがない。けれど、今の私にそれに抗う術は無く、出来ることはにらみつけることだけ。
「…この状況で泣き叫ぶことすらしないなんて、ほんと可愛くない方ですねぇ。でも、すぐに啼かせてあげますよぉ」
もうすでにあと一歩のところまで近づかれた。そして、そのままソファーに上がり、私の上に覆い被さってくる。その下碑た顔が近い。
「さて、では……」
伸びてきた手がどこに触ろうとしているのか、それが分かるのに防げない自分が情けない。だけど、ここでそれを表情に出すわけにはいかない。キッと、ヴィッツ王弟殿下を睨みつけて……その『上』に、同じ紅い瞳を見た。
「えっ」
驚きで思考停止した直後、今度はぽたりと液体の滴る音。それは、ヴィッツ王弟殿下の腹部を貫いた剣から滴る血の音。その剣はグリエの愛剣で、手にしているのは…天井からこちらを見下ろすルド。
「なっ…!」
自分の腹部を貫く剣の存在に気づいたヴィッツ王弟殿下が驚愕に顔を染めた直後、その体が横に飛んだ。それが、ルドが刺した剣で横に飛ばしたのだと分かったと同時に、天井からルドが降り立った。天井の羽目板の一部が外れており、そこから出てきたのだと理解した。
「私の女に触れようとは……もはや慈悲は不要のようだな」
こちらに背を向け、顔は見えない。だけど、その背から発せられる威圧感が相当の怒気をみなぎらせているのはわかる。
「…大丈夫か?」
しかし、私を気遣おうと振り向いた顔は無表情。必死で怒りの顔を見せまいと隠しているようで、少し怖い。でも、今はその気遣いと…なにより助けに来てくれたことが嬉しかった。
「大丈夫です。…ありがとう」
それしか紡げず、しかし心は思った以上に安心感に満たされていた。目のふちから何かが流れたのを感じて、ようやく自分が泣いていることに気付いたくらいに。
それに気づいたルドは、腹立たし気に眉尻を上げた。そして、すぐさま元凶へと顔を向け直す。
「くっ…そ……」
血の流れる腹部を抑えて立ち上がろうとしたヴィッツ王弟殿下は、しかしすぐさま倒れ込んだ。
「どう…やって、ここに…」
「この塔も、離れと言えど王宮の一角。貴様も知らない通路があった。それだけだ」
「くそ……」
その隠し通路を使い、ルドは天井から現れたのか。しかし、まだ状況は解決していない。
「こうなったらもうかまわん!こいつを殺せ!」
ヴィッツ王弟殿下は血を吐きながら叫ぶ。その命令を聞いた刺客二人が、一斉にルドへと向かった。……と思ったら、一人は扉へ、もう一人の刺客侍女はルドの脇を通り過ぎ、そして懐から鍵を取り出した。
「このような仕打ちを受けさせてしまい、申し訳ありません」
そう言い、カチャンの音とともに枷が外された。もう一人の扉に向かった刺客は扉を開け放ち、そこから親衛隊が入り込んできた。
目の前で起きている状況がよく分からない。ぽかんとしていると、ルドがこちらに振り向き、そしてその胸に抱き上げてくれた。
「どう、いう……?」
「彼らはスパイだ。二重の、な」
「…………」
まさかの展開についていけない。その間にも、ヴィッツ王弟殿下は親衛隊に縛り上げられていた。
「な、くそ!貴様らどういうことだ!」
ヴィッツ王弟殿下も状況が呑み込めず、怒声を上げ刺客たちを問いただそうとした。
「どうもこうもこういうことだ。彼らの雇い主はもはや貴様じゃない。私だ」
「なん……」
「貴様が刺客を使い、こちらの動向を監視していることはすぐにわかった。だからその刺客を懐柔し、二重スパイとして逆に貴様の動向を逐一私に報告するように指示しておいた」
「ばか、な……」
「貴様がシセリアをさらい、私に取引を持ち掛けることも事前に知っていた。…気は進まなかったが、貴様と完全に決着をつけるために、あえてそのままにした」
ということは、ルドは私がさらわれるのを知っていたと。……知っていて、抱きつぶしたのはどういうことか、しっかり質さねばなるまい。
私の怒りの波動を感じ取ったのか、続けてルドはぼそっと呟いた。
「…ただ、まさかこのタイミングだとは思わなかったが」
そんな言い訳は聞かない。通用させない。
優しくするなどといったのはどの口か。…最初は、確かに優しかった。しかし、一度目の射精で完全にタガが外れたルドは、その後二度三度と求め、抱きつぶされた。何度ルドが精を吐き出したのかは覚えていない。なにせ覚えていないところにまで彼の精がある。とっくに乾いてカピカピだけれど…
もはや全身ルドの分泌物で汚されたといってもい。精を受ける前には全身を嘗め尽くされた。あまりの羞恥に抵抗したけれど、無意味だった。当然、何度も彼を受け入れた『あそこ』は、違和感を通り越して入れられっぱなしの感覚しかない。
タガが外れたルドは、思いつく限りの行為を私にした。その中には様々な体位で行うものもあり、そこそこ柔軟に自信があったはずなのに全身関節痛だ。
そして朝。そんな満身創痍になった私を、満足げに見下ろすあほルドがいる。
「素晴らしい夜だったな」
(……後で覚えてろこの野郎!)
あほルドが手配した侍女は、ベッドの上で全裸で全身カピカピになった私を見て悲鳴を上げた。全身間接痛でまともに動けない私を、最初はあほルドが湯あみに連れていこうとしたのを侍女一同が阻止してくれた。万が一そこで二回戦が始まろうものなら、私に命は無い…
早朝から湯を用意させたのを申し訳ないと思いつつ、とにもかくにも湯につけてくれた侍女たちには感謝しかない。湯で温められて幾分痛みが和らぐと、あらためて浴槽から出て全身が泡に包まれる。
カピカピが取れ、再度湯につかる。…湯は一度張り替えられた。
「…大変、お疲れ様でした」
侍女のねぎらいの言葉が身に染みた。
身体は清められ、湯で幾分痛みは和らいだもののまだ満足に動くには程遠い。侍女の肩を借りて何とか部屋に戻り、すぐさまベッドに腰を下す。
「どうぞ」
「ありがとう」
コップに注がれた水を一気に飲み干す。渇きを覚えていた喉を通る水の味は実に……
「っ!?」
違和感を覚えたときには既に遅く、のどを通り過ぎていた。ただの水の味…ではなかった。わずかに感じた苦み。ハーブや薬湯とは違う苦み。
すぐさま目の前の侍女を睨みつける。侍女はさきほどの私を労わる瞳を消し、冷徹な闇をその瞳に宿していた。
「…気付かれるとは。驚きましたよ」
何を飲まされたのかは分からない。けれど、おそらく……毒。しかし何の毒なのか、それがわかるほど毒には精通していない。何が目的なのか、それ次第では盛られた毒の効果も見えてくるけれど。もしこの侍女の背後に…ヴィッツ王弟殿下がいれば、最悪のパターンが想定される。
万全であれば目の前の侍女くらい簡単に制して助けを呼びに行ける。けれど、今の体調ではそれすらわからない。毒が回るのを待っているのか、侍女は私から離れた扉の前から動かない。
(今しか……!)
毒が回るまで。それが今の私の運命のタイムリミット。
体は痛い。けれど、痛いからと言って動かないままでいるなんてできるわけがない。
手にしたままの空のコップを侍女に向かって投げつける。そのコップを、侍女はあっさりと受け止める。受け止めるまでも、視線はずっと私に向いたまま。
(まずいわね……かなり、できる)
ただの侍女じゃない。鍛えられた刺客だ。余裕を感じる、けれど警戒は解いていない、油断はしていない。
この危機を脱する方法は二つ。彼女を制して外に助けを呼びに行くか、この距離が空いているチャンスを生かして窓から逃げるか。
「残念ですが、逃げることはできません」
刺客のその言葉の真意を図る前に、最悪の状況がおとずれる。窓の前にいつの間にか誰かが立っていた。窓は開いていない。ということは最初からこの部屋に潜んでいたということか。新たな刺客の登場に冷や汗が流れる。
けれど好都合。もう悩む必要はなくなった。選択肢は一つしかない。
刺客を倒して外に助けを呼ぶ。
手段を決めた私は、痛む身体を無理やり動かし、刺客へと肉薄する。
「しっ!」
渾身の拳。腹部へと狙いを定めた一撃は、しかしあっさりとかわされ空を切る。その拳は掴まれ、そのまま腕を締め上げられる。さらに首にまで腕を回され、のどを締め上げられてしまった。
「っ……!」
「もう動けない。叫べない。……侮りましたね。『初めて』の後に万全で動けるなどと思わないでください」
『初めて』を強調され、頬が熱くなる。それが災いしたのか、身体から一気に力が抜ける。
(毒が……!)
一気に毒が回ったのか抵抗する力が抜け、力が抜けたことでより締め上げが強くなる。きしむ腕の痛みと、徐々に不足する空気で意識が薄くなっていく。
(こんな…こと、で……)
毒の効果が分からない恐怖、相手を見誤った己の不甲斐なさ、そして……ルドに二度も私が失われるという絶望を与えてしまうのではないかという不安。
混濁した負の想いは、このままでは終われないという活力を生み出す。
「…毒が回りましたね。あとは連れて…!」
一瞬拘束が緩んだ隙をつき、締め上げられた腕で逆に刺客侍女の服を掴み、震える脚を叱咤させて回転、遠心力をつけて投げ飛ばした。
「くっ!まだ動けるなんて…」
「はーっ、はーっ…!」
解放された喉から空気を取り入れる。しかし悠長にはしていられない。刺客侍女はうまく受け身を取り、こちらに向かってくる。すぐさま扉に手を伸ばし、鍵に手をかけて回そう…として、鍵から指が滑る。
(回せ…な…)
…そこまでが限界だった。鍵を回す力すらもはや入らず、足で立つこともできずにその場で膝をついた。そのまま倒れ込んで……扉に頭をぶつけた。そのにぶい音が、外にまで響いた。
「どうなさいました?」
扉の外から響く親衛隊の声。もう全身力が入らない。けれど、これに応えなければ終わる。私は、残る力のすべてを振り絞った。
「助け…!」
それ以上は紡げなかった。誰かの手が私の口を塞いだから。けれど……
「…シセリア様!扉を開けてください!」
親衛隊はすぐに危機を察知してくれた。ドンドン扉をたたく音が聞こえる。
(早く…!この扉をこじ開け…)
私の意識はそこまでが限界だった。担ぎ上げられる感覚を覚えたけれども、そこで意識は途切れた。
***
次に目覚めたのは、見覚えのない天井を見上げてからだった。未だに毒の影響があるのか、身体は動かせない。さらに見れば、手足には鉄製と思われる枷が付いている。寝かせられているのはソファーの上。動くのは頭だけ。その頭から見える範囲にあるのは、見覚えのない部屋。高級と思われる調度品はあるが必要最低限。調度品の割には部屋の狭さが際立つ。一人用…それも、まるで閉じ込めるためのような……
「目が覚めたようですなぁ」
聞き覚えのある声に、ようやく部屋にはほかにも誰かがいることに気付いた。
「…あなたが、犯人なんですね」
優雅にソファに佇み、こちらを見下ろしているのは…ヴィッツ王弟殿下。
この状況下で他の可能性を考えようがなかった。
「ええ、その通りです。聞きましたよぉ。毒を飲まされたのにひと暴れしてくれたとか。いやはや、やはり兄上の嫁ともなると、只者じゃありませんねぇ」
呆れたような、それでいて蔑むような笑みを向けてくる。そんな顔は見たくなかったので、別の方向に顔を向ける。部屋にはヴィッツ王弟殿下の他、あの刺客二人がいた。窓からは空しか見えない。
ヴィッツ王弟殿下は離れに幽閉されていたはず。なら、ここはその幽閉先?幽閉先に連れてこられたとして、一体何の目的が?
状況は良くない。毒は抜けておらず動かせない。さらに手足は拘束され、完全に身動きは封じられている。けれど、身体が動かせないという状況なだけで、他に別段異常は無い。身体の節々と…ぶつけた頭が痛いだけ。命にまだ影響がない状況に、無意識にほっとした。
「……その余裕、気に入りませんねえ。あなた、自分の立場分かってますかぁ?」
ほっとしたのが余程気に食わなかったらしい。苛立たし気に歯をむき出しにしてきた。そこまで余裕はあるわけでもないけれど…と言ったところで火に油になる気しかしない。ここは時間稼ぎも兼ねて、その目的を探るべくあえて下出に出てみよう。
「…分かりません。何故私はここに連れてこられたのですか?」
「分からない?分からないですと?ふっ……あはははは!この状況で何故!?」
率直に聞いたら大笑いされた。が、むしろ都合がいい。これで相手は『馬鹿な私』に懇切丁寧に説明してくれる。
「いやはや…まさかこんな大馬鹿者とは思いませんでしたよぉ」
わざと誘発させたのだから大馬鹿者呼ばわりされても気にならない。けれど、あえて相手の優位を確信させるために、表情だけは悔し気に。睨みつけて、歯を噛み締めて。
「ふふ…悔しいですか?悔しいですよねぇ?でもいいですよぉ。この次期王となる私が、あなたに説明してあげますよ」
「……」
表情は変えず、しかし話は気になるという風にしておく。それに満足したのか、饒舌に語りだした。
「簡単なことですよ。あなたを生かして返してほしければ、自害なさい。そう兄上に命令したのです」
「………」
「大切な、大切な王妃がやっと見つかったのです。断れない、断れませんよねぇ?これほどまでに溺愛しているのだから、まさか自分の命惜しさに見捨てる…なんてことできるはずがありませんよねぇ?」
「そんな…」
言葉上は悲し気に、態度は顔を伏せて。もちろん内心は違う。ルドは絶対に自分の命を絶って私だけを助けようとはしない。彼は自身の命の重さを知っている。そして……同様に、私の命も。
うぬぼれかもしれないけれど、ルドが私を見捨てることも絶対にない。彼なら、こんな取引に応じない。きっと…自分のことも、私のことも助けようとする。
「期限は今日の日暮れまで。それまでに自身の首を民に晒すように言ってあります。でなければ、代わりにあなたの首が晒されるのです」
「………」
窓を見る。太陽は頂点をすぎ、傾き始めている。既に猶予は無かった。
「…もし、ル…陛下が取引に応じなければ?」
「簡単ですねぇ。世継ぎを生む王妃を守れず、世継ぎの可能性を失ったものは王の資格が無い、と民に喧伝すれば、後は勝手に王の座から退くでしょう」
つまり、取引に応じようと応じまいとルドを退位させ、自身が王座に就くことは確定事項ということか。
「兄上が自害すれば……あなたのことは私の愛妾にでもしてあげましょうかと思いましたが、ねぇ……」
ヴィッツ王弟殿下の目が舐めるように私の身体を見下ろす。その行為に怖気がする。
「よもや、一足違いで兄上に穢されたとは……。兄上の『中古』になんて触れる気も起きませんねぇ」
中古呼ばわりにはさすがに本気でいらっときた。けれど、そのおかげで触れてこないと分かると思うとなんだか複雑…
「ですが……興味はありますよぉ」
そう言い、何故か立ち上がる。その目に……あの情欲の火をともして。
「兄上は一晩中あなたの体に酔いしれたとか……そこまでの『身体』、きっと素晴らしいんでしょうねぇ」
その言葉と、一歩ずつ近づいてくる意味が、身体中に嫌悪と恐怖を纏わりつかせてくる。触れる気なんて起きないなどと言ったのはどの口か。前言撤回が早すぎる。
「…近づかないでください」
「いいじゃないですかぁ。兄弟だけあって似てるんですから」
似てるからなんだというのか。というか、作りは似てても雰囲気も性格も違って別人でしかない。身体に力を入れようとしても、まだ全然入らない。
「無駄ですよぉ。まだしばらく毒は抜けませんし、手枷は鉄製。大人しくしていれば、気持ちよくさせてあげますよぉ」
あなたに触れられた時点で気持ち悪いだけ。気持ちよく何てなるわけがない。けれど、今の私にそれに抗う術は無く、出来ることはにらみつけることだけ。
「…この状況で泣き叫ぶことすらしないなんて、ほんと可愛くない方ですねぇ。でも、すぐに啼かせてあげますよぉ」
もうすでにあと一歩のところまで近づかれた。そして、そのままソファーに上がり、私の上に覆い被さってくる。その下碑た顔が近い。
「さて、では……」
伸びてきた手がどこに触ろうとしているのか、それが分かるのに防げない自分が情けない。だけど、ここでそれを表情に出すわけにはいかない。キッと、ヴィッツ王弟殿下を睨みつけて……その『上』に、同じ紅い瞳を見た。
「えっ」
驚きで思考停止した直後、今度はぽたりと液体の滴る音。それは、ヴィッツ王弟殿下の腹部を貫いた剣から滴る血の音。その剣はグリエの愛剣で、手にしているのは…天井からこちらを見下ろすルド。
「なっ…!」
自分の腹部を貫く剣の存在に気づいたヴィッツ王弟殿下が驚愕に顔を染めた直後、その体が横に飛んだ。それが、ルドが刺した剣で横に飛ばしたのだと分かったと同時に、天井からルドが降り立った。天井の羽目板の一部が外れており、そこから出てきたのだと理解した。
「私の女に触れようとは……もはや慈悲は不要のようだな」
こちらに背を向け、顔は見えない。だけど、その背から発せられる威圧感が相当の怒気をみなぎらせているのはわかる。
「…大丈夫か?」
しかし、私を気遣おうと振り向いた顔は無表情。必死で怒りの顔を見せまいと隠しているようで、少し怖い。でも、今はその気遣いと…なにより助けに来てくれたことが嬉しかった。
「大丈夫です。…ありがとう」
それしか紡げず、しかし心は思った以上に安心感に満たされていた。目のふちから何かが流れたのを感じて、ようやく自分が泣いていることに気付いたくらいに。
それに気づいたルドは、腹立たし気に眉尻を上げた。そして、すぐさま元凶へと顔を向け直す。
「くっ…そ……」
血の流れる腹部を抑えて立ち上がろうとしたヴィッツ王弟殿下は、しかしすぐさま倒れ込んだ。
「どう…やって、ここに…」
「この塔も、離れと言えど王宮の一角。貴様も知らない通路があった。それだけだ」
「くそ……」
その隠し通路を使い、ルドは天井から現れたのか。しかし、まだ状況は解決していない。
「こうなったらもうかまわん!こいつを殺せ!」
ヴィッツ王弟殿下は血を吐きながら叫ぶ。その命令を聞いた刺客二人が、一斉にルドへと向かった。……と思ったら、一人は扉へ、もう一人の刺客侍女はルドの脇を通り過ぎ、そして懐から鍵を取り出した。
「このような仕打ちを受けさせてしまい、申し訳ありません」
そう言い、カチャンの音とともに枷が外された。もう一人の扉に向かった刺客は扉を開け放ち、そこから親衛隊が入り込んできた。
目の前で起きている状況がよく分からない。ぽかんとしていると、ルドがこちらに振り向き、そしてその胸に抱き上げてくれた。
「どう、いう……?」
「彼らはスパイだ。二重の、な」
「…………」
まさかの展開についていけない。その間にも、ヴィッツ王弟殿下は親衛隊に縛り上げられていた。
「な、くそ!貴様らどういうことだ!」
ヴィッツ王弟殿下も状況が呑み込めず、怒声を上げ刺客たちを問いただそうとした。
「どうもこうもこういうことだ。彼らの雇い主はもはや貴様じゃない。私だ」
「なん……」
「貴様が刺客を使い、こちらの動向を監視していることはすぐにわかった。だからその刺客を懐柔し、二重スパイとして逆に貴様の動向を逐一私に報告するように指示しておいた」
「ばか、な……」
「貴様がシセリアをさらい、私に取引を持ち掛けることも事前に知っていた。…気は進まなかったが、貴様と完全に決着をつけるために、あえてそのままにした」
ということは、ルドは私がさらわれるのを知っていたと。……知っていて、抱きつぶしたのはどういうことか、しっかり質さねばなるまい。
私の怒りの波動を感じ取ったのか、続けてルドはぼそっと呟いた。
「…ただ、まさかこのタイミングだとは思わなかったが」
そんな言い訳は聞かない。通用させない。
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