どうしてか、知っていて?

碧水 遥

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番外編

ピンク女(マリナ・ストーン)

「やったぁ!!あたし、ヒロインじゃん!」

 鏡を覗き込んで、あたしは飛び上がって喜んだ。

「あー、思い出して良かった!明日っからもう学園に通うんだもん、ゲームが始まっちゃうじゃん」

 まあ、思い出せたんだからいいか。

 ここは、『綺羅星に祈りを』っていうゲームの世界だ。だって、ヒロインのマリナ・ストーンあたしがいるんだもん!

 このゲームは、ちょっと変わった成り立ちをしてて、始めはギャルゲーだったんだよね。悪役令嬢たちが攻略対象の。

 ただ、あんまり売れなかった。まあ、お色気も殆どない、ただ女の子が異様なくらい可愛いだけのゲームだったみたいだから。

 アプデでハーレムが出来るように、とか、隠しキャラとか、色々追加したみたいなんだけど、それでもさっぱりだった。

 で、開発チームは何を考えたのか、そこにキラキラな王子さまたちを加えて、乙女ゲーにしちゃった訳。

 攻略対象だった女の子たちが悪役令嬢になったから、めっちゃ可愛いんだよねー。あたし、割と悪役令嬢推しだし。

 でも!あたしがヒロインになったからには、是非とも攻略しなくっちゃね!だって、イチオシだったクローディアスさまがいるんだもーん!

 部屋から出たら、家族?に、めっちゃびっくりされた。このコって、元々ピンク色の髪と瞳じゃなかったみたい。

 一生懸命説明したのに納得してくれなくて、入学式は過ぎちゃうし、結局は『お前なんかうちの娘じゃない!』って追い出されちゃった。

 まあ、学園に行くからいいんだけどさー。



▼△▼△



 学園の寮に入って、明日からのスケジュールを確認する。

 ここで出会いイベントがあって、それからこっちに行って出会いイベントをこなして、それからクローディアスさまね!

 うふふー!楽しみ!

 ニヤニヤしてたみたいで、同室の人にドン引きされた……。

 次の日から、順調にイベントを起こした。始めにジェレミーに会って、次にルイズフェルドに会って、それからクローディアスさまに紹介してもらうのよ!

 あれぇ?おかしいな、クローディアスさまって、堅苦しい婚約者に疲れ果てていて、マリナヒロインの飾らない明るさに惹かれていく、って設定じゃなかった?

 クローディアスさまは、どんなに明るく話しかけても、苛められたと泣きついても、ちっともあたしに興味を持ってくれなかった。

 代わりに、ジェレミーとルイズフェルドが、うるさいくらいにまとわりつくようになっちゃったけど!

 違うのぉー!

 ああ、そうか!悪役令嬢エヴァンジェリンが悪いんだ。だってアイツ、あたしをちっとも苛めない。

 まさかアイツも転生者なんじゃないでしょうね!

 転生した悪役令嬢って卑怯だよね、子どもの頃から会ってるからって、先に攻略しちゃうの。
 どうせヒロインに奪われるんだから、素直にゲームの通りにしてればいいのに!

 あたしはわざわざ悪役令嬢に会いに行って。それなのに。

 何よぉ、アイツ!お金⁉︎お金で婚約者になったって言うの⁉︎
 あたしはヒロインザマァにならないよう、こんなに努力してるっていうのに!
 お金がないから、クローディアスさまのお妃さまになれないなんて!

 ひどい、ひどすぎるよぉー!

 メソメソ泣いていたら、クローディアスさまの声が聞こえた。

 話しながら通り過ぎたみたい。

「側妃を取る?いや、今は考えていないな。もちろん、相応しい女性ひとがいれば別だが」

 そっか!側妃!側妃になればいいんだ!

 みたいでムカつくけど、クローディアスさまの傍にいられるなら別にいいもんねー!
 それに、公務?とかしなくていいかもだし!

 あたしは実家に手紙を書いて、淑女教育を受けたいって言ってみた。真面目にやるならオッケーだって!ようやく元に戻ったのか、って喜ばれた。

 今度こそアイツにぎゃふんと言わせてやるんだから!



▼△▼△



 何で?何で退学になったの?あたし、何もしてないじゃん?エヴァンジェリンアイツに対する不敬罪って何よ!

 あたしは、今までジェレミーとルイズフェルドに貰ったプレゼントと一緒に、ストーン家うちの馬車に放り込まれた。

 プレゼント持ってけるだけいいけどさ、何でクローディアスさまは助けてくれないんだろう。
 もしかして、、レイモンドに抱きついちゃったのがダメだった⁉︎

 あれはぁ!事故なのにぃ!だって、いきなりレイモンドが目の前に出て来たんだよ?あたしが抱きつこうと思った訳じゃないのぉ!

 ハッ、まさか!レイモンドったら、自分の目の前であたしがクローディアスと抱き合うのを止めたかったのかな。
 レイモンドは趣味じゃないから、全く攻略してなかったんだけど、いつの間にかあたしを好きに⁉︎

 何だぁ、言ってくれれば良かったのにぃ。

『──攻略失敗。ゲームオーバー──』

「……は?」

 今、何か、変な声が……。

『──速やかに回収します──』

 ヤダっ!引っ張られる!あたしは!アタシ……!
あた……し……?



▼△▼△



「マリナ!マリ、元に戻ったんだな!ああ、良かった、あんなアバズレ、うちの子じゃないと思っていたよ」

「お帰りなさい、マリナ!」

 両親に抱きしめられて、マリナはちょっぴり首を傾げた。
 何故ここにいるのか判らなかったのだ。

 あれ?アタシ、学園に行ったんじゃなかったっけ?
あ、とりあえず挨拶は元気に!

「ただいまー!何かね、夢でも見てたみたい!」
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