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番外編
ハーレム男(ジム・シュタイン)
オレが前世を思い出したのは、4歳になったばかりの頃だった。
誕生日ではしゃぎ過ぎて、転んで頭を打ったんだ。
で、気絶してる間に、前世を思い出した、ってより、もう一度体験した、って方が近いかな。
まー、平凡な男だったね。趣味がギャルゲーってのがまた、平凡さに拍車をかけている。
だが!オレは思い出したんだ!この世界より発展している元の世界を!
その時からオレは、いわゆる神童だった。だって4歳児のおベンキョーだぜ?目ぇ瞑ってても出来るっての。
それから1年経った頃、この国の第1王子が婚約した。
クローディアス・レンドールと、エヴァンジェリン・シャイルードル。
ちょっと待て!それってエヴァたんじゃん!オレのイチオシだった、超絶美少女の!
つまりここは、『綺羅星の花たち』通称『キラハナ』の世界じゃん!!
ってことは、ジム・シュタインであるオレって、主人公じゃねーか!!
まあ、『キラハナ』って売れなかったんだけどな。
貴族令嬢が攻略対象なのは珍しいし、みんなものスッゴク美少女だったんだけど、いかんせん、エロもないし、ゲームが簡単だったんだわ。
オレのイチオシ、エヴァたんなんて、選択肢が出るたびに『なでなで』を選ぶとあっという間に好感度が上がって攻略出来ちゃう。
まあ、エヴァたんはそれからが本領発揮なんだけどな!
ブクブク太った主人公のために料理を作り、運動メニューを作り、ダイエットに協力してくれるんだ。
目標に到達すると満面の笑みで誉めてくれるのがまた、イイんだよなぁ。
のちのアプデで、エヴァたんを初めに攻略すると、ハーレムエンドが追加になったんだよねー。
エヴァたんのダイエット指導により美少年に化けるジムに、他の美少女たちも攻略されちゃうんだ!
そりゃ?エヴァたんが1番ですけど?イチオシですけど?
他のコたちだって美少女だしさー、みんなオレのこと好きになるんだから、受け入れてあげなきゃ可哀想だよね!
それに、選りすぐりの美少女ばっかりオレのものになるんだから、攻略対象以外のオンナのコだって、オレになびいちゃうと思うんだよね!
いやぁ、学園中のオンナのコがオレのものになっちゃったら、どうしようかなぁ!
ただ、ブクブク太るのは無理だった……。そこまで食べるの、好きじゃないし。そもそも、そんなに食べたい!と思う程、美味しくない。……うちだけ?
けど、料理チートする程の知識、ないんだよなー。
うーん……学園に入る時期を遅らせてまで頑張ってみたけど、ゲームの主人公程太ってないかなぁ。
ま、いっか!オレが主人公なのは変わらないんだし!
▼△▼△
いたぁ!エヴァたんだ!めっちゃ可愛い!可愛いってか、美少女?
うわぁ、あのコがオレのものになるのかー。
異世界ってサイコー!
でも、警戒してるのか、『なでなで』させてくれない。
何で男侍らせてんだよ!邪魔すんじゃねー!
エヴァたんはオレのモンだっつーの!
『なでなで』さえできればオレのモンなのにー!!
あ、これはまさか定番の、エヴァたんも転生者なのでは⁉︎
あ、また男とくっついてやがる!だーかーらー、エヴァたんはオレのモンだっての!エヴァたんがオレのモンにならないと、ハーレム出来ないじゃん!
いい加減、優し過ぎたのかな。もっと、強引に行かないと!
……は?王太子が呼んでる?何で?
▼△▼△
「何の用だよ」
「貴様!不敬だぞ!」
「あー、構わない。それを咎めてると話が長くなるからな。まあ、言いたいことはひとつだ。エヴァンジェリンに触れようとするのはやめたまえ」
「はぁ⁉︎何でアンタの言うこと聞かなきゃなんねぇの」
「それは、私が彼女の婚約者だからだな」
薄っすらと浮かべた笑顔が胡散臭え。大体、何でこんなに取り巻きを連れてんだよ!
「婚約者だから何だよ⁉︎エヴァたんはオレのモンだっつーの!」
「我々の婚約は、王命だな。つまり、きみは国家反逆罪を科されたいと?」
「はぁ⁉︎ふざけんなよ、何も知らない癖に!!」
前世からの推しを!どれだけエヴァたんに課金したかを!オレのハーレムを!!!
許してたまるか、オレは主人公だー!!!
オレは拳を振り上げ、勇ましく王太子とやらに殴りかかった。
▼△▼△
オレはロープでグルグル巻きにされて、うちの立派な馬車に放り込まれた。うち、金だけはあるから。
……じゃない!何でオレが退学になるんだ!悪いのはアイツだろ!
「ムームームー!」
何で!オレはただ、エヴァたんを!オレのハーレムを!
『──攻略失敗。ゲームオーバー──』
「……は?」
今、何か、変な声が……。
『──速やかに回収します──』
うわっっ!引っ張られる!何だ、これ!!エヴァ……た……。
▼△▼△
「ジム!」
馬車に走り寄り、シュタイン男爵夫人はドアを開けた。可愛いジムが不敬罪なんて、どんなに傷ついただろう!
「かぁしゃま」
「……は?」
「ジム、ひとりでこわかったの。かぁしゃまいなかったの」
「……ああ、ジム……」
まるで4歳に戻ってしまったジムを、シュタイン男爵夫人はギュッと抱きしめた。
「いいのよ、お部屋に戻りましょうね。母さまがいなくて寂しかったわね。お部屋には、大好きなクマちゃんをたくさん用意しましょうね」
「エヴァたん!エヴァたんがほちいの!」
「ええ、銀色のクマさんね」
ニコニコしながら手を繋ぎ、2人はゆっくりと屋敷に戻って行った。
誕生日ではしゃぎ過ぎて、転んで頭を打ったんだ。
で、気絶してる間に、前世を思い出した、ってより、もう一度体験した、って方が近いかな。
まー、平凡な男だったね。趣味がギャルゲーってのがまた、平凡さに拍車をかけている。
だが!オレは思い出したんだ!この世界より発展している元の世界を!
その時からオレは、いわゆる神童だった。だって4歳児のおベンキョーだぜ?目ぇ瞑ってても出来るっての。
それから1年経った頃、この国の第1王子が婚約した。
クローディアス・レンドールと、エヴァンジェリン・シャイルードル。
ちょっと待て!それってエヴァたんじゃん!オレのイチオシだった、超絶美少女の!
つまりここは、『綺羅星の花たち』通称『キラハナ』の世界じゃん!!
ってことは、ジム・シュタインであるオレって、主人公じゃねーか!!
まあ、『キラハナ』って売れなかったんだけどな。
貴族令嬢が攻略対象なのは珍しいし、みんなものスッゴク美少女だったんだけど、いかんせん、エロもないし、ゲームが簡単だったんだわ。
オレのイチオシ、エヴァたんなんて、選択肢が出るたびに『なでなで』を選ぶとあっという間に好感度が上がって攻略出来ちゃう。
まあ、エヴァたんはそれからが本領発揮なんだけどな!
ブクブク太った主人公のために料理を作り、運動メニューを作り、ダイエットに協力してくれるんだ。
目標に到達すると満面の笑みで誉めてくれるのがまた、イイんだよなぁ。
のちのアプデで、エヴァたんを初めに攻略すると、ハーレムエンドが追加になったんだよねー。
エヴァたんのダイエット指導により美少年に化けるジムに、他の美少女たちも攻略されちゃうんだ!
そりゃ?エヴァたんが1番ですけど?イチオシですけど?
他のコたちだって美少女だしさー、みんなオレのこと好きになるんだから、受け入れてあげなきゃ可哀想だよね!
それに、選りすぐりの美少女ばっかりオレのものになるんだから、攻略対象以外のオンナのコだって、オレになびいちゃうと思うんだよね!
いやぁ、学園中のオンナのコがオレのものになっちゃったら、どうしようかなぁ!
ただ、ブクブク太るのは無理だった……。そこまで食べるの、好きじゃないし。そもそも、そんなに食べたい!と思う程、美味しくない。……うちだけ?
けど、料理チートする程の知識、ないんだよなー。
うーん……学園に入る時期を遅らせてまで頑張ってみたけど、ゲームの主人公程太ってないかなぁ。
ま、いっか!オレが主人公なのは変わらないんだし!
▼△▼△
いたぁ!エヴァたんだ!めっちゃ可愛い!可愛いってか、美少女?
うわぁ、あのコがオレのものになるのかー。
異世界ってサイコー!
でも、警戒してるのか、『なでなで』させてくれない。
何で男侍らせてんだよ!邪魔すんじゃねー!
エヴァたんはオレのモンだっつーの!
『なでなで』さえできればオレのモンなのにー!!
あ、これはまさか定番の、エヴァたんも転生者なのでは⁉︎
あ、また男とくっついてやがる!だーかーらー、エヴァたんはオレのモンだっての!エヴァたんがオレのモンにならないと、ハーレム出来ないじゃん!
いい加減、優し過ぎたのかな。もっと、強引に行かないと!
……は?王太子が呼んでる?何で?
▼△▼△
「何の用だよ」
「貴様!不敬だぞ!」
「あー、構わない。それを咎めてると話が長くなるからな。まあ、言いたいことはひとつだ。エヴァンジェリンに触れようとするのはやめたまえ」
「はぁ⁉︎何でアンタの言うこと聞かなきゃなんねぇの」
「それは、私が彼女の婚約者だからだな」
薄っすらと浮かべた笑顔が胡散臭え。大体、何でこんなに取り巻きを連れてんだよ!
「婚約者だから何だよ⁉︎エヴァたんはオレのモンだっつーの!」
「我々の婚約は、王命だな。つまり、きみは国家反逆罪を科されたいと?」
「はぁ⁉︎ふざけんなよ、何も知らない癖に!!」
前世からの推しを!どれだけエヴァたんに課金したかを!オレのハーレムを!!!
許してたまるか、オレは主人公だー!!!
オレは拳を振り上げ、勇ましく王太子とやらに殴りかかった。
▼△▼△
オレはロープでグルグル巻きにされて、うちの立派な馬車に放り込まれた。うち、金だけはあるから。
……じゃない!何でオレが退学になるんだ!悪いのはアイツだろ!
「ムームームー!」
何で!オレはただ、エヴァたんを!オレのハーレムを!
『──攻略失敗。ゲームオーバー──』
「……は?」
今、何か、変な声が……。
『──速やかに回収します──』
うわっっ!引っ張られる!何だ、これ!!エヴァ……た……。
▼△▼△
「ジム!」
馬車に走り寄り、シュタイン男爵夫人はドアを開けた。可愛いジムが不敬罪なんて、どんなに傷ついただろう!
「かぁしゃま」
「……は?」
「ジム、ひとりでこわかったの。かぁしゃまいなかったの」
「……ああ、ジム……」
まるで4歳に戻ってしまったジムを、シュタイン男爵夫人はギュッと抱きしめた。
「いいのよ、お部屋に戻りましょうね。母さまがいなくて寂しかったわね。お部屋には、大好きなクマちゃんをたくさん用意しましょうね」
「エヴァたん!エヴァたんがほちいの!」
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ニコニコしながら手を繋ぎ、2人はゆっくりと屋敷に戻って行った。
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