死にたい公爵令嬢と死なせたくない王弟様

天音 翔

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少女

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今回はとても短めかと思われます。
少し、読んでいて苦痛となるかもしれない表現が混じっています。

本文とは、比較的関係してこない、と思うので、嫌だと思う方は読まなくても、物語の内容は理解出来るはずです┏○ペコッ

__________________




『死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい。

死ねないのなら誰か殺して。今すぐ殺して。』



その少女の心は酷くすごく虚しい感情で濁りきっていた。

その懇願するような悲痛な想いはこの世界の創造主の元へと聞こえてしまうほど、強いものであった。

自ら自身の頭を叩き、日焼けのない白い腕を何度も引っ掻き、刃物を持ち腕を切り、〝死にたい〟と叶えることの出来ない現実を身体にぶつける。


 『私のような、出来損ないの娘なんて死んだ方がいいのよ…どうせ、お兄様の様に、作法も礼儀も出来ない。

お母様みたいにあんなに誰にでも好かれる美しい容姿で、清らかな心を持っている訳でもない。

お父様みたいにお仕事出来なくてみんなと比べて覚えが悪い。

勉強だって、出来ないくせにきちんとやろうとしないもの……成績は下がってる。

こんな子、愛してくれるわけない…

どうせ私はこの家の本当の子どもじゃないのよ。養子かなにかなのよ……』

そういうと、少女は、再び刃物を握る。

思いっきり切ると、腕から純血の赤い血が流れ出す。

しかし、何故か、腕の傷は直ぐに塞がり、流れ出た血も消え去った。

少女は、自然と何故か治ることを知ってしまったため、大好きな両親にも、大好きな兄にもバレないということがわかり、毎日、毎日繰り返しているのである。



これは決して、少女自信のもつ力がそうしている訳では無い。

これは彼女をの力である。彼らは、常にこの少女を見守っていた。

そう。この世界に、この脆く儚い心を持った少女の魂が生まれ落ちた瞬間から、ずっと。


この世界では、魂が新たな生を迎えるとき、世界の中心にある、魂を生み出す母胎である〝マィア〟に戻り、その魂の負った傷や穢れなどを癒し祓う。

 しかし少女の魂は前世の世界で、酷い身体的苦痛、精神的苦痛、凄まじい穢れを受けたことにより、〝マィア〟で生まれ変わる際に癒されるはずだった傷が穢れか、全て癒し祓いきれなかったのである。

そこで、この世界の創造主は、この世界でこの少女が心を癒すことができるようにと、少女と相性のよい今まで居た力なき精霊達に名を与え、上級精霊とその彼らを纏める聖霊を生み出した。



 聖霊と上級精霊は、その創造主にしか従わず、また、この少女を主とする。

彼らは少女を常に見守り、自害しようとする少女の傷を癒していた。周囲に悪意のある者を近づけないようにする結界も張り、少女が安心できるようにしていたのだった。

だが、彼らの唯一無二の大切な護るべき少女は、人のことを信じることが出来ない。

だから、この歳になっても精霊という存在を知ることなく、見ることも出来ない。

そのため、彼らか癒してくれていることも、結界を貼ってくれていることも知らないのである。

少女は、私は死ぬことをゆすされて居ない存在なのだと、死にたくても死なせては貰えないのだと勘違いし、皆の知らぬ間に余計に魂の傷を自ら癒すどころか、深く、もっと深くつけてしまう。



そう。月日が過ぎた今もまだ、少女は、愛する家族であっても、一つも人のことを信じようとはしない。




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