死を取り扱う精霊の物語

Spitfire

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2 翼を持つこと

2-1

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「……っとと」
みんなの宿題を職員室に運ぶ為、3階の第5講義室から出たところだ。
かなり分厚い宿題をみんな持つのはきつい為、一緒にいたココラに頼んだ。
「……ごめんね、いきなり頼んで」
赤い精霊ココラは別に大丈夫だよと言いそうな顔で僕を見たあと、微笑みを作り先に階段を降りていく。
僕も同じように階段を踏みしめていく中。
「わぁー!」
階段の手すりを滑り台のようにして降りる小さな精霊たちが僕より先に降りていった。
クロープとフルール、その小人のように小さい姉妹精霊にとってコレは楽な移動方法なのだろう。むしろ小さな精霊にとってはこの階段は地獄のようにしか思えないと思う。
エレベーター……というものをつけてあげればいいものを。
そんな事を思いながら階段に一歩投げ出した時、悪魔は囁いたのかもしれない。
スカッと1個目の段差を踏み外してしまったのだ。
「……あっ……」
短い悲鳴すら出せなかった。
そもそも上げさせても貰えなかった。
そのまま僕は2段目の段差も逃し、3段、4段……最後の段も逃しながら転げ落ち、そのまま――――――

ゴンッ

「……ク……」
何かが聞こえる。
「ぉ……べ……ター」
何だろう、叫んでる?
「ベクター!」
「……っ!?」
ベクターというものに反応して俺は目を覚ます。
「起きた!!」 
目を覚まし、体を起こすと、ちょうどお腹辺りにピンク髪の女の子、その声は俺が起きたことに驚きと安堵を感じたのか、ほっと肩を下ろす。
「キミ、階段からこけて、壁にぶつかってたよ」赤毛の少年?少女??どっちか分からない掴む所ないその子はのんびりのとんでもない事を言ってきた。
俺が階段から落ちて頭を打った……って事だよな……。
そんな事を考えた途端、後頭部がひび割れてなにか吐き出しそうな喉の痛みを感じ取り、勢いで後頭部がを抑えた。
「まだ痛そうだね」
赤毛の子は僕の後頭部を優しく撫で、「痛いの痛いのとんでいけぇ」と、おまじないをして、
「あ、キミの仕事はじーくくん?がしてくれてたよ」
っと言い残し、部屋を後にした。
「……ここは」
俺は見渡すようにこの部屋を見渡した。
見る感じ優しみのある水色のカーテンで僕の周りが囲まれているが、ここは医務室か何かか?
「保健室だよ、とりあえず今は安静にしててね?」
そう言うと小さい少女も居なくなる。
数分……いや、数十分間。俺は痛みを引くのを待った。
ある程度落ち着いた後、俺は自身の体でも見ていた。
「ふーん……」
特に変に使えないという感じは無い。むしろ普通だ。
とりあえず、問題ない事を知れたあとは、バックの中でも漁り始めた。
……ふと、室内にある鏡を見て、軽く鼻で笑っては、部屋を後にした。
相変わらずの少ないものの頭痛は襲ってくる。
「はぁ……クソッタレが」
ほんとにクソッタレだ。頭が痛いと集中が切れてしまうからな。
「早く治んねぇかな……」
そうブツブツ言ってると、
「あ、すみません……宿題終わってる方ですか?」
っと言う声が聞こえる。
「ぁ?」
「……ひっ!?」
一体誰か?後ろを向き変えると、怯える小人のような奴がいた。
今まで見た人型の中ではとびきり小さく、福は汚れており、所々インク臭い。
しかし、その小人は俺の威圧が声でビビったのか?怯えて、ちょっと後退っている。
「……わりぃ、ちょっとモヤモヤしててな……ん?宿題??」
小人が持つにはあまりに大きく、分厚い本を見て、彼は勉強に行き詰まった者なのだろう。
「……どんな内容だ?」
小人と本を持ち、近くの教室に運ぶ。
小人は慌てたり、怖ばったりして泣きそうであるが、俺が小人の宿題を開け、2人で見る。
「なんだ……そーゆうのか」
宿題の内容は人間界の都会についてだ。
「……ふーん、都会ねぇ」
懐かしく思いながら俺は、小人に問題の解き方や答えの導き方を教えてやった。
小人はその小さな口をぽかんと開けながら説明を聞いていく。
時間が刻々と過ぎ、小人の宿題を終える。
「な、なるほど」
小人はある程度理解をして、続け様に「ありがとうございます」と言いながら小さな体とあの子以上の本を運び始める。
「……あ、そうだお前さん」
「はい?」
「名前を聞いておきたい、名前は?」
ペンキの匂いを持つ小人はちょっと黙り込み、ある程度すると。
「レ、レタシエです……!」
そして、名を聞いたあとは2人はお互いに別の事をしに、走り出した。

ある程度日が暮れ、皆寮に帰るという所。
俺はとりあえず適当に外でのんびりしていた。
理由は簡単、自分の寮を知らないからだ。
溜息をつきながら、俺は空を眺めてる。
その時、ふと周りを見渡していたら、甘く、美味しそうな匂いが漂っているのに気が付いた。
「この匂いは」
……周りを見渡す。
この甘い匂いは嗅ぎなれている。
蜂蜜。そう、この甘い香りの正体は蜂蜜。
蜂蜜は昔から人間達の友として、そして深く寝ずいていた。
お菓子や料理に使われてたのはもちろん、石鹸、美容品などなど、様々な所で活躍している。
こういう俺も、昔は蜂蜜石鹸で体を洗ったり、蜂蜜と生姜入りの紅茶を母さんに作ってもらったな。
……体が勝手に動く。その懐かしく、美しい匂いにつらていくと。
「あ、ベクター!!」
そう、男の子のような声で僕を呼ぶ者がいた。
「何してるのー?」
ふと、声主の方を見る。そこには首元を泡で満たした子供の竜がいる。
「……君は」
ボソリと、呟くように言う。
彼には聞こえてないが、彼のことは何故か分かってしまう。
ラフィ。何故かこの子の名前は覚えている。
「何してるのー!!」
自分の事を無視されていると思ったのか、口を膨らませて、俺を見る彼だが、一瞬にして、彼は何故かキョトンとした顔を作る。
「……ベクター……じゃない?」
彼は僕をベクターじゃないと言う。
「俺は、ベクターだよ」
やはり彼はいまいち納得がいかないようで、首を傾げたり、俺を見たりする。
「やはりなんか違う、なんかこう……つんつんしてるよ」
ラフィという子はフワッとしてるようなイメージだったが、今回ばかりは鋭そうだ。
「……ふーん」
とりあえず俺はそんなことをどうとも思わずにいたが。そんな事を吹き飛ばす匂い蜂蜜を感じた。
「……!?」
俺はラフィをがっしりとホールドする。
「えっ!?」
ラフィは慌てる。そして俺を見る。
「……すぅ」
ラフィの体を嗅ぐ。
「いい匂い……」
慣れた匂い、大好きな匂い、そんな匂いを嗅ぎまくる。
「……ベクターってはちみつ好きなの?」
ラフィはそんな事を言いながら、俺をどかし、見ている。
「……うん、大好きかも」
……正直俺もここまで好きだったんだなと思った。子供の頃はよく嗅いでたからな。
「……ふーん」
ラフィは何か深い笑みを作り出していた。企むようなその笑みはすぐに消え、俺の手を引っ張る。
「ど、どこに!?」
彼に訪ねるも、答えは……、
「お楽しみ!」
だった。
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