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1章 新しい家族
2話 少年、思い出す②
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しばらくすると目が覚めた。いつの間にか意識を失っていたみたいだ。そっと外を見ると村近くの森の側だということがわかった。僕は見つからないようにそっと逃げ出したがすぐにバレて荷馬車に閉じ込められてしまった。
荷馬車の中には僕を抜いて数十人という多くの子供や若い女の人が乗っていた。その中の数人が僕の方を向いたけど興味無さげにすぐに目をそらした。乗っている人のほとんどは逃げる気力も自由になりたいと思う気持ちもなにも無さそうだった。僕は一番手前にいた女の人に話しかけてみた。
「お姉さんは誰?ここにいる人はみんな捕まった人ですか?」
話しかけたお姉さんは13、4歳くらいの長髪の綺麗な人だった。こちらの世界で初めて見た凄い美人さんだ。他の人と違い自分の意思をしっかりと持ったままのようだった。
「お姉さんって新鮮でいいね。私は...ルルミア。荷馬車に乗ってる人は基本的にみんな捕まって奴隷になった人が多いよ。一部の人は親が借金返済のために売った子だけど。」
「親が子供を売るなんて僕には考えられない。僕の母さんは商人から僕を守って殺されてしまったから。」
「優しい親だけじゃないのよ...。現にそういう子が居るのだから。」
「ルルミアさんの親は...」
「ルルって呼んで。私はそう呼んでほしい。」
「わかったよ。ルル。ルルの親は優しい人だった?」
「親は優しくなんて無かった。私は望んでここにいるの。商人に頼んで親にお金は払ってないし。」
「えっ、望んで⁉」
「ええ。私は家で虐げられてたの。でも売ったりしようとはしなかった。だから逃げたくて奴隷になったの。まぁ更に大変な目に合うかもしれないけどね。」
そう言ってルルは笑っていた。僕みたいに連れてこられてではなく望んで奴隷になる人も居るのだと僕は初めて知った。
話していると突然荷馬車が動き出した。荷馬車には窓がないからやることがなかっただから僕はルルと他愛ない話をしていた。
しばらくすると荷馬車が止まった。目的地に着いたのかと思ったがただの休憩のようだ。外から話し声が聞こえてきた。
「商人さんよぉ、奴隷は禁止のはずだろ。捕まったりしたとき俺らを巻き込むんじゃねぇぞ。」
「バレないようにしてるから大丈夫さ。それに、奴隷も商品だ商人は商品を扱う職業だ問題ねぇさ。」
「それにしても、買ってくれるやつはいるのか?禁止されてるものを買ったら買ったやつも罰せられるだろ。」
「問題ないさ。物好きな奴がいるからな。それにお得意様には伯爵家の人間もいる。いざとなればいる奴隷を全て売ってでも逃げるさ。」
「伯爵様もか。それなら大丈夫そうだな。まぁ俺らは金貰えれば何でもいいが。今回は売れそうか?」
「上玉が沢山居るから売れるだようよ。それに特別な小僧も手に入ったしな。」
「ちげぇねぇ。」
「「ハハハハハッ」」
商人と盗賊の話だったらしく商人は、奴隷のことを商品と呼び人とすら見ていなかった。それに伯爵といわれる上級貴族がバックについていることに絶望した。
そして、不愉快な笑い声に怒りが芽生えた。
また荷馬車が動き出した。しかし少しした後に悲鳴と「隠れて移動するために、奥まで来ちまったのがいけなかったのか。」という声。それと、荷馬車の扉にある鍵が壊れる音がした。
ルルは怯えていた。他の人たちも震えている。僕は何が起きたのかわからなかったが鍵が壊れたのなら逃げるチャンスだと思った。
鍵が壊れたドアはすんなり開いた。そしてそっと開いた隙間から見た光景に血の気が引いたのが自分でもわかった。
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荷馬車の中には僕を抜いて数十人という多くの子供や若い女の人が乗っていた。その中の数人が僕の方を向いたけど興味無さげにすぐに目をそらした。乗っている人のほとんどは逃げる気力も自由になりたいと思う気持ちもなにも無さそうだった。僕は一番手前にいた女の人に話しかけてみた。
「お姉さんは誰?ここにいる人はみんな捕まった人ですか?」
話しかけたお姉さんは13、4歳くらいの長髪の綺麗な人だった。こちらの世界で初めて見た凄い美人さんだ。他の人と違い自分の意思をしっかりと持ったままのようだった。
「お姉さんって新鮮でいいね。私は...ルルミア。荷馬車に乗ってる人は基本的にみんな捕まって奴隷になった人が多いよ。一部の人は親が借金返済のために売った子だけど。」
「親が子供を売るなんて僕には考えられない。僕の母さんは商人から僕を守って殺されてしまったから。」
「優しい親だけじゃないのよ...。現にそういう子が居るのだから。」
「ルルミアさんの親は...」
「ルルって呼んで。私はそう呼んでほしい。」
「わかったよ。ルル。ルルの親は優しい人だった?」
「親は優しくなんて無かった。私は望んでここにいるの。商人に頼んで親にお金は払ってないし。」
「えっ、望んで⁉」
「ええ。私は家で虐げられてたの。でも売ったりしようとはしなかった。だから逃げたくて奴隷になったの。まぁ更に大変な目に合うかもしれないけどね。」
そう言ってルルは笑っていた。僕みたいに連れてこられてではなく望んで奴隷になる人も居るのだと僕は初めて知った。
話していると突然荷馬車が動き出した。荷馬車には窓がないからやることがなかっただから僕はルルと他愛ない話をしていた。
しばらくすると荷馬車が止まった。目的地に着いたのかと思ったがただの休憩のようだ。外から話し声が聞こえてきた。
「商人さんよぉ、奴隷は禁止のはずだろ。捕まったりしたとき俺らを巻き込むんじゃねぇぞ。」
「バレないようにしてるから大丈夫さ。それに、奴隷も商品だ商人は商品を扱う職業だ問題ねぇさ。」
「それにしても、買ってくれるやつはいるのか?禁止されてるものを買ったら買ったやつも罰せられるだろ。」
「問題ないさ。物好きな奴がいるからな。それにお得意様には伯爵家の人間もいる。いざとなればいる奴隷を全て売ってでも逃げるさ。」
「伯爵様もか。それなら大丈夫そうだな。まぁ俺らは金貰えれば何でもいいが。今回は売れそうか?」
「上玉が沢山居るから売れるだようよ。それに特別な小僧も手に入ったしな。」
「ちげぇねぇ。」
「「ハハハハハッ」」
商人と盗賊の話だったらしく商人は、奴隷のことを商品と呼び人とすら見ていなかった。それに伯爵といわれる上級貴族がバックについていることに絶望した。
そして、不愉快な笑い声に怒りが芽生えた。
また荷馬車が動き出した。しかし少しした後に悲鳴と「隠れて移動するために、奥まで来ちまったのがいけなかったのか。」という声。それと、荷馬車の扉にある鍵が壊れる音がした。
ルルは怯えていた。他の人たちも震えている。僕は何が起きたのかわからなかったが鍵が壊れたのなら逃げるチャンスだと思った。
鍵が壊れたドアはすんなり開いた。そしてそっと開いた隙間から見た光景に血の気が引いたのが自分でもわかった。
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