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2章 学園での生活

36話  婚約パーティー①

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 別室に来て僕はメイドさん達に手伝ってもらって着替えた。
 前世では考えられないような良質な布、小さいけれど立派な宝石、日本にいたときは到底身につけることが出来ないようなものだ。

「僕には立派過ぎると思うんですけど.....」

「何を言ってるんですかリディル様。
こういうときは着飾るのです!姫様もきっと着飾ってますよ」

「そうかなぁ......」

「そうですよ!
さ、前を向いてください」

返事をしてくれたのは1番年配のリーダーらしきメイドさんだ。

「よし!
さ、出来ましたよ!いい感じです!」

「ありがとうございます」

「メイドには敬語を使わなくてもいいんですよ。姫様をきちんとエスコートしてくれれば私どもは満足ですから
頑張ってくださいよ」

「はい!」




 メイドさん達が出て行って1人になった部屋で少し父さんのことを考えた。

(そういえば、父さんと一緒に隣国へ行ってもルルとは一緒にいられるらしいけど、父さんは一応貴族だから王様もルルを隣国に一緒に行くことを許してくれたのかな.....
そういえば、父さんの爵位はどれなんだろう。ルルが一緒に来れるなら伯爵以上なんだろうな)

なんてことを考えていたらさっきのメイドさん達とは違う人が呼びに来た

「リディル様、パーティー会場へ案内いたします」

「あ、はい」

案内されるままついて行くと扉の前でルルがいた。

「ルルミア嬢、お手を」

「はい」

僕は習ったことを思い出しながらルルをエスコートして会場へ入った。





 会場へ入るといろんなところから視線が飛んできた。
今は髪をそのまま白くしているから余計に視線が突き刺さってくる。

 王様が話すから僕とルル壇上に移動した。

「皆の者、今日はルルミアとリディルの婚約パーティーである。集まってくれたことに感謝する。」

王様そう挨拶すると会場で主に女性の方が笑顔で拍手してくれた。

「1つ言っておかねばならぬことがある。
リディルはフォール公爵家の養子ということになっていたが実の父親が引き取りたいと言ってきたため、公爵家の養子から公爵家の後ろ盾のある子供になる。」

王様の言葉を理解した人達がザワザワし始めた。
そして、その中の1人が声を上げた。

「陛下、後ろ盾とはいえ公爵家の子供ではなくなった平民如きにルルミア王女殿下を嫁がせるのはいかがなものかと思います。
そのような下賤の輩より私の息子の方が王女殿下にはふさわしいかと思います。
第一髪色を白に偽るなど法に反します!」

言い切ったとばかりにドヤ顔している人に王様は軽くため息をついて言い放った。

「そなたの言い分はわかった。
では本人に聞いてみようか。
ルルミアよ、そなたはどうしたい?」

「陛下、私はリディル様以外と婚約するつもりもありませんし、したいとも思いません」

キッパリと言い放ったルルに王様は満足そうにうなづいていた。
拒否された人は父子揃って僕を睨みつけてきた。





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