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2章 学園での生活

閑話  ルドゥリアーナ②

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 彼女と彼の婚約パーティー、会場には隣国、ベルナーラ王国の国王陛下と宰相様も参加していた。

(国王陛下の雰囲気がなんとなく.......いや、でも.......)

ふと頭をよぎったことを払いながらそれでも考えてしまっていると陛下の声が聞こえた。

「皆の者、今日はルルミアとリディルの婚約パーティーである。集まってくれたことに感謝する。」

陛下の言葉で我に帰った私はお話が終わると拍手をした。
見ると綺麗で可愛いドレスに身を包んだ彼女を彼が隣で支えるように立っていた。いや、支えるというか、彼女がもたれかかるようにして立っている。しかし、それよりも驚いたのは彼の髪色だ。学院ではいつも金髪だったのに今は白髪だ。白髪は魔力が最も多い証拠だ。
私はしばらく呆然としていた。が、陛下の次の言葉を聞いて私は頭がパンクしそうになり、会場はザワついた。

「1つ言っておかねばならぬことがある。
リディルはフォール公爵家の養子ということになっていたが実の父親が引き取りたいと言ってきたため、公爵家の養子から公爵家の後ろ盾のある子供になる。」

「実の父親が引き取りたいと言ってきた」私はこの言葉に違和感を覚えた。
普通なら、公爵家の養子となっている彼を引き取りたいなど思っても実行に移すためには大変な勇気がいる。それに、普通の人が直接公爵家に行っても相手にされるはずがない。なら誰に言ったのか。それは、公爵家よりも地位が同じか高く、陛下や公爵家当主にも物怖じせずに話せる人物。
私はそこまで考えてハッとした。

(似た雰囲気、陛下にも物怖じせずに話せる、そして.....彼と同じ髪色に瞳の色)

はじめに思ったこと、それが当たったかもしれない。

(もしかして........,
いや、でも、本当に?)

人が考えているのに、煩わしい声が耳に入ってきた。

「陛下、後ろ盾とはいえ公爵家の子供ではなくなった平民ごときにルルミア王女殿下を嫁がせるのはいかがなものかと思います。
そのような下賤の輩より私の息子の方が王女殿下にはふさわしいかと思います。
第一髪色を白に偽るなど法に反します!」

私は声の方を見た。そこにいたのはレナム伯爵だった。
レナム伯爵は彼を良く思っていない貴族の1人だ。選民意識が強く平民を道具が何かのように思っている。さらに長年自分の息子を王にしようと彼女の婚約者となることを願っていた。だからこそ、後から出てきて彼女の婚約者になった彼を嫌っている。私はレナム伯爵が嫌いだ。権力者に媚びるのが上手い。事実私のお父様にも媚を売っていた。そもそも、「法に反する」という言葉が伯爵の口から出たことが驚きだ。自分は沢山後ろ暗いことをしているくせに今更どの口がそれを言うのか。

「そなたの言い分はわかった。
では、本人に聞いてみようか。
ルルミアよ、そなたはどうしたい?」

陛下は半分呆れまじりに彼女へ問うた。そんなもの、今更問う必要があるのかと普段の彼女を知っている私は思ってしまった。

「陛下、私はリディル様以外と婚約するつもりはありませんし、したいとも思いません。」

彼女にキッパリ言われたことに怒ったのか、親子は彼を睨み付けていた。
それでも認めたくないのだろう。レナム伯爵は尚も騒ぎ立てている。
しかし、レナム伯爵の声に応える人たちがいた。そのほとんどがレナム伯爵によって甘い汁を吸っていた男爵や子爵の人たちだった。

しかし、私を含めた学生やその母親はだと思われる人は男達を冷めた目で見ていた。
彼女と彼の態度はわかりやすい。前々から分かり易かったのが婚約発表をしたことによって更に磨きがかかっていた。
彼女が彼に見せる態度は私にも一度も見せたことが無いようなことも多い。彼も彼女にはすごく甘いと思う。
それを知っている人たちは男達を冷めた目で見るのは仕方がないと言えるだろう。なんなら、彼女自身も今、すごく怒っているだろうと思う。

そんな男達に陛下は呆れまじりに言い放った。





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