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2章 学園での生活
閑話 アリーシェ③
しおりを挟む「断る!
そもそも貴様は誰だ。」
そんなことあるはずない。私は言われたことを一瞬理解出来なかった。だって、私はヒロインなのに......
けれどシル様の言葉にそういえば名前を名乗っていなかったと思い出した。きっと私とは分からずに断ってしまつまたのだろう。だから私はきちんと名乗った。
「私は、アリーシェ•メルヘイヤと言いますぅ。
どうしてダメなんですかぁ~?」
今度こそ断られない。断られるはずがない。そういう自信があった。けれどそんな自信も意味をなさなかった。
「親友と居るからだ。
それにお前と食べる意味もない。余計な噂が立つだけた。だから断る。」
親友とは隣の子だろうか。ならば私は構わない。それに、噂が立ってくれれば私とシル様を邪魔する人たちはきっといなくなる。それをシル様はわかっていないなと思った。
「親友ってぇ、リディルさんのことですよねぇ~。
リディルさんも一緒で良いですからぁ~。」
シル様の表情はちっとも嬉しそうじゃない。どうして?私とお昼を食べられるのよ?普通もっと嬉しいでしょう?なのになんでそんなに嫌そうな顔をするの?私とシル様は運命で結ばれているのに......
「断る。
行くぞリディ。」
「あ、うん。」
そうこうしているうちにシル様は背を向けてしまった。そしてリディルさんもそんなシル様を追いかけるように行ってしまった。
「待ってください~」
叫んでも2人とも待つどころか振り返ることもしてくれなかった。
リディルさんには名前を聞いた時に魅了魔法をかけた。けれど跳ね返ってしまったからリディルさんには効いていない。別にいい。本命はシル様だ。
でも、シル様にも効いてないような気がする。跳ね返ってはこなかった。けれど効いてる様子もなかった。どうして?
私は何故?何故?と自問自答を繰り返しながらもその日は諦めた。
その日から毎日2人に話しかけ続けた。けれど一度も魅了が効いている気配はない。そんななか、ダンス練習があることを知った。本当はシル様と踊りたいけれど私はダンスが得意じゃない。情けないところを見せたくはないので今回のダンス練習は諦めることにした。
ダンス練習の時間、誰と踊るか話していると1人の女の人が歩いてきた。
その人が通る道は人が割れていく。誰だろう。知らない人だ。
考えていてもわからない。私は考えることをやめようとしているとその人が話しかけてきた。
「アリーシェ•メルヘイヤさん、その男子生徒達と距離が近いのではないですか?」
女の人はそんなことを言ってきた。
どうしてこんなことを言われなくてはならないのかと考えて1つの考えが頭に浮かんだ。きっと悔しいのだ。人が避けて自分には誰も寄り付かないから私が異性に囲まれているのが悔しいのだろう。
周りにバレないよう、私は心の中で女の人を嘲笑った。
けれど、そんなこと表情には出さず少し怯えた風に言い返した。
「い、良いじゃないですか。お友達と仲良くしてはいけないんですか!」
「お友達ですか...
その方達には既に婚約者がいます。にも関わらず貴方は距離が近すぎるのです。
貴方のいる距離はご友人同士の距離ではございません!」
あくまで『友達』ということを強調したのがいけなかったのか言い返すことができなくなってしまった。
確かに自分でも気がついていた。距離が近すぎることをけれど気にしていなかった。だって私はヒロインだもの。けれどそれを言っても何にもならない。ならば言い返さないのが良い。
「うっ....」
言い返さずに涙を流してみた。すると案の定男子達が庇ってくれた。これで私は被害者に見える。ふふふっ。
「俺達のアリーシェを泣かすなよ!」
「「「そうだ、そうだ!」」」
そんな言葉にも彼女は一歩も引いた感じがしなかった。
「あなた方は、自分の婚約者のことを覚えていてその方の側にいるのですか?」
「「「こ、婚約者?」」」
男子達も婚約者のことを聞いて困っている。この人は嘘を言っているんじゃないの?悔しいのを悟られないようにするために。
「うるさい!
そもそも、おまえは誰なんだよ!」
「そうだ!
アリーシェを泣かした悪魔め!」
男子達がその言葉を発した時、周りの人の雰囲気が変わった。
青くなっている人もいるし、赤くなって怒っている人もいる。どうして?もしかして、私が責められていることに気がついてみんなが怒ってくれているのかしら。
「そもそも今は授業中だ。
授業を中断させるなんて恥知らずめ。」
「アリーシェを泣かしたことは許されないことだぞ!
そもそも何の権利があってアリーシェを泣かした!」
「はぁ...」
「おい、返事をしたらどうだ!」
男子達の言葉に彼女はため息をついていた。
言い返す言葉がなくなったのだろうか。自分の味方がいないと心細いわよね。そろそろ謝れば良いのに。邪魔してごめんなさいってね。
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