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2章 学園での生活
73話 隣国からのお客人
しおりを挟むお城から家に帰ると入り口の所で父さんが待ち構えていた。
「リディ、帰ってきたか。
話があるから俺の部屋へ来てくれ。」
そう言われて父さんについて行くと部屋にはソルがいて、なんだか険しい顔をしていた。
「どうしたの?」
ソルに聞いても黙ったままでどうしようと思った時、父さんが口を開いた。
「リディ、俺はこの国に来ている理由を一部の人にしか言っていないんだ。
信頼できる部下達とサトラス伯爵。他の者は俺がこの国に来た理由を知らない。
今日、サトラス伯爵から手紙が届いたんだ。この国に来ると。」
「あの、父さん。
サトラス伯爵って誰?伯爵は父さんがこの国に来た理由を言うほど仲の良い人なの?」
いや、仲のいい人だとこんな空気にはならないか。なら、仲の悪い人?いや、それこそ無いか。仲の悪い人なら理由を告げたりしないはずだ。
返事を待っていると「あぁ、言ってなかったか」と言った父さんが一瞬苦虫を噛み潰したような顔をした。
「サトラス伯爵は、ヘルマ家の現当主でリナの父親だ。つまり、リディの祖父に当たる人だ。
俺とリナの結婚を1番反対していた人で、俺が1人城へ戻ったときにも相当な文句を言われたよ。跡継ぎ以外に興味がなく子供を愛さなかった男だ。」
父さんの返事を聞いて僕は唖然とした。突然祖父だと言われても今まで話を聞いたことすら無かったのだ。それに、「子供を愛さなかった」と言う言葉で父さんがさっきの顔をした理由がわかった。
「おじいさん.......」
「あぁ、来るらしい。
と言うか、もう国を出ているだろう。この手紙を出した時にはもう出る準備は出来たと書いてあったから後2、3日もすれば着くと思う。」
そんな唐突に祖父が来るとか言われても「はぁ、そうですか」くらいにしか思えない。と言うか、何しに来るんだ。跡継ぎ以外に興味ないなら来る意味はないんじゃないか?
「何しに来るんでしょう?」
「手紙にはリディに会いに来ると書いてあった。
リナが亡くなったことは既に伝えてあった。だから、俺が国を出るとき、
「居なくなったリナとの子供が隣国にいるかもしれない。だから俺は隣国に行く。」
そう言ってきた。
でこの手紙には、
「陛下が帰ってこられないのは子供が見つかったからかの。それならば儂も会ってみたい。
陛下が帰ってこない以上いつ会えるか分からんのでな、儂もリヴラード王国へ行くことにした。手紙が届いた数日後に隣国へ着くはずじゃ。陛下がどこにおるか分からんのでな、とりあえず城に行って陛下の居場所を聞こうと思う。
孫に会えるのを楽しみにしておるよ。」
と書いてある。リディ、会いたいか?会いたくないなら別に会わなくてもいい。なんとかする。」
会いたいか、会いたくないか、そんなの会いたい。話を聞いただけだと祖父にいい感情は湧かない。でも、会えるのなら会いたい。母さんのことを聞きたい。
「父さん、会いたいよ。会って、話をしてみたい。」
父さんの目を見てハッキリ言い切ると一瞬驚いた後すぐに「わかった」と言ってソルに城へ向かって理由を話すように指示を出していた。
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