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2章 学園での生活
78話 桃花の記憶①
しおりを挟む桃花の目は泣いたせいか少し赤くなっていた。
「目、冷やさないと目立つよ。タオル貰いに行こ。」
「あにぃ、その話し方違和感がある。私の前では前と同じ話し方で接してよ。」
「......そんなに違和感?」
「うん。 なんか、話しててこそばゆくなる。」
自分ではもう慣れてしまった話し方だから特に気にしたことも無かったけど、前世の俺を知っている妹からすると違和感を感じるみたいだ。
「そんなに......。
わかった。極力前世と同じ話し方をするようにするよ。」
「ほら! もう出来てない。
無理はしなくて良いけどさ、少し戻してくれるだけでいいんだよ。」
「が、頑張る......」
あんまり自信はないけど、桃花が言うなら頑張ってみようと思う。前世、どんな話し方してたっけ......。
「頑張る」と言った僕を見て桃花は可笑しそうにクスクス笑った。その笑みは前世の記憶と何一つ変わらない見慣れた笑みで、僕の中の何かが落ち着いていくような感じがした。
「そうだ、あにぃ。」
「ん? なに?」
笑っていた桃花がふと思い出したかのように僕の顔を見てニヤァと笑った。
「そういえばぁ~、あにぃには今彼女がいるんだよねぇ~。こっちでは婚約者だっけ。
順調ですかぁ~。」
「っ?!
な、なんで知って.......!」
「そんなのみーんな知ってるよ。婚約発表したんでしょ。隣国の王女の婚約発表だもん、ベルナーラ王国まで話はすぐに届くよ。」
「アー......ソウダネ。」
「で、どうなの? 順調なの?」
興味津々と言った感じで聞いてくる桃花は前世でよくみた恋バナ好きの女子そのものだった。
いゃ、まぁ、桃花も女子な訳だけど......前は恋愛に全く興味なさそうだったのにな。
「順調だと思う。仲良しだし、ラブラブだし......。」
最後の方は恥ずかしくて声が小さくなってしまった。それでも桃花にはしっかり聞こえていたらしく笑みを深めてニヤニヤ笑ってきた。
「へぇ~、それはそれは。よかったですねぇ~。」
恥ずかしく、赤くなった僕を桃花はクスクス笑っていた。
しかし、ハッとしたように僕をジーッと見てきた。
「なに? またなんか揶揄うつもり?」
「いや......。あにぃ。
あにぃは、この国の学校に通ってるんだよね?王子と同じ学年で。」
「? そうだけど、それが何かあるのか?」
桃花は少し考えた後、久しぶりに聞く名前を口にした。
「あにぃの学年に、アリーシェ•メルヘイヤって女の子がいないかな?
あと、ルドゥリアーナ•コフルートって女の子も。」
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