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 乙女ゲームと決意

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 私は、この乙女ゲームのシナリオを思い出していた。




 この乙女ゲームは剣と魔法のファンタジー世界で戦闘が有り乙女ゲーム要素有りのゲームだった。だから戦闘メインで進める人も乙女ゲーム要素メインで進める人も居た。

 このゲームには様々な種族が存在していた。その中で悪と言われる種族が居た。それは魔族と呼ばれる種族だ。最後の選択肢が出るシーンは魔族との戦争シーンだった。

 ヒロインが学園に入学し、攻略対象と出逢う。そして色々なイベントをクリアして最後の選択肢のイベントになる。この選択肢での選択の結果と今まで集めた愛情度によってエンドが変わってくる。
ハッピーエンドで、魔王を倒してヒロインと攻略対象が付き合うエンド。
トゥルーエンドで、魔王を封印してみんな仲良し、いい友達エンド。
バッドエンドで、魔王軍に敗れ王国陥落、全員死亡エンド。
になっている。


 そしてこのゲームに出てくるヒロインに嫌がらせする悪役令嬢。それが私。...ではなく私の前世から嫌いな侯爵令嬢である。

 私はヒロインのライバル令嬢。悪役とは違いヒロインの親友でありライバルの立ち位置。ともに高め合う仲間だ。


 攻略対象は六人いる。


 一人目は常に笑顔を絶やさないが腹黒い第1王子
ギラヴィアス・リン・サーファ

 二人目は戦闘狂で国一番の剣使いと言われる近衛騎士団団長
メルス・ロル・ヴォルク

 三人目は冷静な頭脳を持つ国一番の魔法使いで近衛魔法士団団長
ハリス・ロル・ヴォルク

 四人目はライバル令嬢の兄でありラルシュの双子の兄
ガルシュ・メイ・ローゼ

 五人目はライバル令嬢の兄でありガルシュの双子の弟
ラルシュ・メイ・ローゼ

 六人目はメーデル公爵家の跡取りであり優しい
ソラヴィル・メイ・メーデル

隠し攻略キャラはわからない。魔王かと考えたがスチルも姿もシルエットすらも見られなかった魔王が隠し攻略キャラとは考えられない。
あぁ、前世で何度も魔王の姿を見たいと願ったものか.....


 話を戻そう。このゲームには『火、風、水、地、光、闇、無』の7属性が存在する。
 その中でヒロインは光魔法が使える。
別に光の魔法使いは珍しくない。それに、ヒロインの魔力量は決して多くはない。しかし強力な光魔法が使えることが大きいのと、ヒロインに限らず光魔法は唯一魔族を浄化させることが出来ることから光の魔法使いは大切にされている。

 逆に闇の魔法使いの方が珍しい。というか現在闇の魔法使いはいない。
光の魔法使いと違い闇の魔法は制御が難しく失敗すると心が闇に飲まれて死んでしまうのだ。だから闇の魔法使いはいないし珍しい。
 確かゲーム内で私は闇の魔法使いだった気がする。生きてるし大丈夫だろう。


 他の属性の魔法は自分の持つ属性で、精霊が力を貸してくれれば誰でも使える。無属性は魔力さえ持っていればダレデモ使える。


 魔力とは空気中や体内にある魔法を使うために必要な力だ。量の違いはあっても全ての人が体内に魔力を持っている。
魔族の国はなぜが空気中や体内の魔力が多く一人一人の力がとても強い。

 精霊は、無属性以外の魔法を使う際に力を貸してくれる大切なパートナーだ。精霊がいなければ無属性以外の魔法は使うことができない。

 無属性魔法は魔力さえあれば誰でも使うことが出来る魔法だ。精霊は必要ないから直ぐに使える。といっても、魔道具を使ったり自分の身を守る障壁を作ったり身体強化をしたりするくらいにしか使えないが。




 私は乙女ゲームの内容やその他細かなことを思い出してやるべきことを決めた。

 とりあえず、ヒロインとは極力関わらず魔法と剣術を鍛えて冒険者にでもなろう。ゲーム開始は学園入学からだ。後1年はあるから問題ない。

 でも、とりあえず怪しまれないように今まで通りの生活をしよう。

「目指せ!平和な冒険者ライフ。」

私は小声で決意を叫んだ。








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