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面倒な客①
しおりを挟む私を急いで呼びに来たメイドに連れられ私は面倒なヤツの所まで行った。
「はぁ...」
部屋の前につくと自然とため息が出てしまった。
そんなことは気にせず無情にもメイドが扉を開けてしまった。視線を向けるとニコニコと笑っている。
「やあ、ルー、久しぶりだね。
キミが全然手紙の返事をくれないから来てしまったよ」
そう私の家のソファーでくつろいでいるヤツは言った。
そもそも手紙なんて知らないんだけど......
「お久しぶりです、王太子殿下。
私は手紙など貰った記憶はありません。」
そう、我が物顔で座ってるのはこの国の王子ギラヴィアス王太子殿下だ。
「そんな他人行儀な呼び方は止めてくれ。
手紙はキチンと送ったよ。ガルシュやラルシュ辺りで止められたかな?まぁ、もう良いや」
へこたれないな~。そもそも従兄弟だけど別にそんなに仲が良いわけでも無いんだけどな。婚約話一度断ってるし。
「それで殿下、何をしに来たのですか?」
だいたいわかる。どうせまた婚約しようとか言うのだろう。でも、私にはディズがいる。他の人と婚約は陣がある以上出来ないしするつもりも無い。今は手袋をしているから陣は見えない。殿下が何を言っても私には意味がない。
「何とは、わかっているのでしょう?
私と婚約しましょう。」
はい、出た婚約話~。そういえば王妃様が『諦めてない』って言ってたなー。
「神獣は国を挙げて保護する対象。でも神獣はルーと契約している。精霊もそうだ。そして私はルーが好きだ。ルーと婚約したらみんな幸せになる。だから私と婚約しよう。」
その幸せに私は入っているのでしょうか。
ゲームとは違う。私は殿下と婚約していないし好きでもない。でも、ディズがいなかったら私は渋りながらでも許可していたかもしれない。なぜかはわからないけどそんな気がする。
でも、私には大好きな婚約者がいる。だからしっかり断らないと。たとえ殿下の怒りを買ってもいいや。殿下はそんなバカな人では無いと思うけど。
「殿下、私にはつい先ほど家族全員に認められた婚約者がいます。
明日、父様が陛下へ報告すると思います。
ですので、殿下との婚約の話は受けられません。」
言った。キッパリと。ゲームのメイン攻略キャラだけあって殿下も美形だけど私からするとディズの方がカッコいい。
「先ほど?家族、全員に?」
「ええ。
父様も母様2人も兄様も姉様もリードもみんな認めてくれました。」
「嘘だろ......
ガルシュとラルシュは最終的には許可を出すとしてもリードは出さないと思っていた.....」
「ガル兄様とリードは渋々でも許可してくれました。」
「ラルシュは!ガルシュが渋々ならラルシュは!」
「ラル兄様は私が言ったとき、すぐに許可してくれました。なんの抵抗もなくアッサリと。」
「嘘だろ..............」
殿下は落ち込んでしまった。私の知ったことでは無いけど。
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