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01 株は上がっても私の価値はストップ安⤵
しおりを挟む可愛いと… 言われたことは、なくもない。
とはいえ、男女の行きつくその先の明るい未来なんて、とてもたどり着けそうにないよ。
それどころか、そんな兆しも出合いもなくって、華やかな彩りもドキドキも、どこにも何にもなかった27年間だった。
あゝ静かで孤独な喪女暮らし ≈≈≈☆☆☆
喪女とは、どうしたって愛や恋にアリツケぬ、哀しい女子を呼ぶ隠語でございます。
「あゝ、あのBLのような恋がしたい… 」
ふと、何気につぶやいちゃったけど、それが叶わないってのは分かってる。まず最初のところで、男子限定だしね。
そんな腐女子でもナニかひとつくらいは特技があるのよ。
そんなワタシの唯一の特技は<人並み外れた勘の良さ>。コレで一気に量的緩和の大きな波に乗った。
そのおかげでホンのつい先日、駅近庭付き新築一戸建を手に入れたのよね。
ってのも、株やパペットコインとかの資産運用に大成功して、どういうことか総資産は数百億円になってたんだ。
豊かで幸せ、だけどひとり静かにキラキラした暮らしを送ってた ?
ううん、正確にはこれから…
これからセレブで素敵な人生を歩み出そうとしていたところ。
それが私、松波 愛莉。
ところが、コンビニでも行こうかとしたその途中で、突然大きなトラックが迫って来た……
ああ~死んだなこれは、と思った次の瞬間には三途の川ではなくって、ちょっと不思議な異空間 ? に居たんだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そこは果てしなくつづく、聖なる真っ白な空間。
不自然に置かれた、四人掛けテーブルのイスに何故だか私は座っていたのよね。
そして向かい合った席にはウェーブのかかった長い金髪に碧眼の、とても美しい女性が頬杖をついていらっしゃった。
J.kのように気楽な感じで目の前にいたけどその存在感は普通ではなくって……
オーラってのかな ?
とかく得体の知れない重圧に息をのみ、その威圧感は、少しばかりからだを強張らせてしまい、かなり身を引かせるほどだった。
「こんにちはアイリ ! 私は女神イーリスよ !」
( はっ !? 女神様。 だけどなぁ…… )
「こんにちは ⤵⤵⤵⤵ あ~あ、この流れは異世界に転生 ? 」
(とかかなぁ。もしそうだとすると…… )
「そうよ~、正解 !
実は…… 私の世界のね、魔力のバランスをとる為に、あなたに白羽の矢が立ったのよ~ おめでとう ! 」
(うう~。せっかく苦労して成功を勝ち取って、これから楽しもうかなってところだったのになぁ…
ナニも楽しめないままで去らないといけないのかな ? 一生懸命に稼ぐだけ稼いだけど、それを使うことも無く、恋することもなく、オトコ友達の一人もできなかったし、ず~と清らかな身のままで……
女友達はそれなりにいたのよ ! だけど大きな家も、建てただけでナンにもできなかったし~⤵⤵⤵
……それはそうとちょっとだけ軽そうな女神様ね !)
「一応言っておくけど私はそんなに軽い女じゃないわよ。どっちかと言えば重い女ですから…… 」
(くっ、ヤバイっっ !? コトバにしてないのに…… ! 心を読まれたのね。この人、女神だけに侮れない ! んっ ? 人じゃないのかな ?
とっ、とっ、とにかく心を無にして真実を語らなければ… !!)
「え~~、コホン。 大変失礼しました。
とても美しい女神様。
実はせっかく現世で成功して、これからというところなのに、このタイミングで他所へなんて行きたくないなぁと思い、少しマイナス思考になってしまいました」
「そっかあ。だけどゴメンね !! ここまで来ちゃったら今さら元の世界には戻れないのよね~ !」
(くう~ 戻れないのか~ ? クソ~、イヤイヤ。無よ、冷静に、心を無に…… )
「そこを何とかお願いできませんか ?」
「う~~ん、じゃあ今なら鑑定、転移、アイテムボックス、言語習得の転生4点セットに若い健康な体とスキル操作もつけるわよ♡」
「え~~ ? それって、全員にもれなくつけてるセットじゃないですか ? でも若いはちょっと魅力だけど…… 」
責める気なんてぜんぜんないんだけれど、少しだけ訝しんだ目で女神様を見てしまった。
「ええっ、ううん ! スキル操作は特別なのよ~ !
あっ ‼
ならね、元の世界で成功したっていうあなたの資産を、どうにかして持っていけたら良いのかしら ?」
「えええっ !?
そんなことができるなんてスゴい… 、 、 、 だ… だったら異世界の方が楽しそうだし、喜んで行かせてもらいます ! 」
結局、女神様の魅力的な提案に私はあっさり口説き落とされてしまった。
「ありがとうアイリちゃん、やっと心を開いてくれたのね♡」
「ごめんなさい。思い通りにいかないからって失礼な態度をとってしまいました」
(といっても、ここ数年は来る日も来る日もいくつもの液晶モニターのチャートとにらめっこしてたから、結婚相手どころか彼氏もいないし…… これから絶対に充実させようと思ってたのよ ! 現世では上手くできなかったけど異世界なら…… )
「良いのよ ! 特に魔王を倒すとか、これといって頼みたいことはないから自由にして構わないし、あなたの幸せを祈ってるわ !」
そのとき、急に暗転してスゴい勢いで飛ばされていく感覚を覚えた。
あろうことか、気の早い女神様は説明もそこそこに最後のセリフで締めると、私を異世界に転送してしまったんだ。
(うわあ~~、まだ聞きたいこともお願いしたいこともあったのに~、女神様~~ ! できるならば水と食料に不自由して飢え死にしないようにお願いしま~す !)
すると遠くから「分かったわ~ 」と聞こえたような気がした。
ホンの少し天然で残念なところもあったけど、要望も良く聞いてくれたし、とっても美しくて好感度の高い女神様だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
さて、転移で送られたところは森の中。
何だか服がダボダボになった気がするわね。
少しスリムになったのか崩れかけていたスタイルもシュッとして、お肌にはハリが出たような気がしたし…
(あゝ !? ハリが ???
そっ、そういえば確か若い体って聞いたわ !
そうよね ?!)
じんわりと自分自身を納得させるように、心の中で念を押して年齢を確かめようとすると、そうイメージしただけで目の前のやや左上にステータスウィンドウのようなものが現れた。
「うわ ! やった~、16才ゲットよ~~ !!!」
歓びの声をもらし、コブシを握り締めた。
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