君と契りたい聖女の恋哀喪様~無敵の強さと通販スキルで村おこしは順調なのに念願の恋だけがどうしてもダメダメなのです

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05 それ どうにかならないの ?

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 この村の人達はとても温かい。
 だけど、ひどい貧困のせいでとてもお腹を空かせて苦しんでいる。

 それなのに他所から来た私を歓迎して、なけなしの食材でそれなりの料理を用意してくれたんだ。

 そりゃあ、嬉しいけどさ……

 皆が見守るなかで私だけがこんなの食えるか~~ !! 

 ハアッ、ハアッ ↘↘ いけない ! ここの人たちの貧しさに憤る心の声が溢れだしそうになっちゃったわ !

 そこで私は思ったのよね、皆の優しい気持ちにお返しできるような何かを作ろうかと……

 どうせなら皆で一緒に食べよう。そうだわ。有り合わせのご飯でもイイから、お腹に入るものを何か作っちゃおう。

 カンタンなモノで良いのよ。
 村の人はけっこう多いようだから、かなりの量が必要よね。

 お湯がグラグラと沸いてきたらお酒をドブドブッと入れてご飯と鮭をほぐし顆粒タイプのダシの素と塩を投入。

 そして私の家のキッチンにあったはずの玉子をボールにありったけ割って鍋にとき入れ、最後に火から下ろして仕上げに味噌を少し足して混ぜたら、簡単な雑炊の出来上りよ ! 

 「火を止めてから味噌を入れなさい。お味噌は生きてる。これが秘訣なのよ」ってのは婆ちゃんが教えてくれたんだよね。


 「さあみんな、簡単なものだけどできたわよ。召し上がりましょう」

 「おおっ、見たこともない料理だぞ」

 「なんじゃなんじゃ ?」

 
 私はオタマですくって、椀に注いでいった。

 いつの間にか様子を見ていたエレンさんが椀を用意していた。私のような行き当たりばったりとは違って彼女はできる奥さんのようだわ ! 

 椀とサジを各々に渡して、手に取った人から順に食べてもらった。

 米を食べる文化が無いのだろうか、見たことの無い食べ物だったからか、村の人たちは恐る恐る口にしていった。

 「熱いから気を付けてね !」

 「熱っ !! んっ ? んんっ  んだけんどうん、まあ ! うまいど」

 「うーん、悪くないかな ? それにしても不思議な味だわ」

 「ありがとうございます聖女様 ! 身体にしみわたります」

 「皆さん相当にお腹を空かせているようだったからできるだけ消化に良いものをと思ったのよ。私の故郷の食べ物が皆の舌に、それなりにでも合って良かった~ !」

 「ありがとうアイリ。正直なところ、この村は本当に、本当に貧しくて……  満足に明日の食べ物も無いところだったんだ。正直、とても助かるよ」


 「そんなに酷いの ? だったら村長、もしこの雑炊で良かったらいくらでもこしらえるから、今来ていない人も食べに来るように誘ってくれて良いのよ」

 「それは助かります !」

 「アイリ、お前なかなか太っ腹だな~ !」

 「私んとこもお父ちゃん呼んでくるべ」

 「ウチの子供も良いですか ?」

 「うん、まだまだあるから大丈夫だよ。なんなら全員呼んじゃって !」

 「「「ありがとうございます、聖女様 !!」」」

 大きな鍋がすぐに空になってもう一回、大急ぎで手早く作った。

 村人たちは余程お腹が空いていたのかとてもたくさん食べてくれた。急いでこしらえた即席で悪く言えば手抜き料理なのに「うまいうまい」と涙を流す人まで何人か現れた。


 私はそんなに大したことをしたつもりはないのに、皆が「聖女様、聖女様」と、もてはやしてくれた。

 「ぜんぜん大したことじゃないから…」って言うんだけど、食べ物によっぽど困ってたんだろうね。

 すると、村長はお礼さながら説明をしてくれた。

 「この村は農業と山や森から収穫したもので生活しているんだ…… 」

 町からはかなり離れている為に、収穫した物品を買い取ってもらっても僅かな金額にしかならず、食べ物を確保することが難しかったようだ。

 それでも村人たちは貧しいなりにも本当に親切で優しくしてくれた。

 その後で、私はひざや腰が痛いというじいさん婆さんたちに調子にのって回復魔法を掛けまくっていたら、みんな凄く調子が良くなったみたいなんだよね。

 役に立てて良かった。
 回復魔法、サイコー !
 
 それからは特にじいさん婆さんに気に入られちゃったみたいで……  できるなら私的には若い子にモテた方が嬉しかったんだけどなぁ !

 色々なことがあったからかヘトヘトになっちゃって、結局私は村長宅にそのまま泊まってしまった。
 寝付けるかな ? なんてのはいらぬ心配だったね。

 あっ、孤独なマイスイートホームなんかは大き過ぎて場所をとっていたので、迷わず早々に収納したんだよ。

 
 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
 
 それからしばらくの間、私はぶらぶらしてた。

 まず最初に村の端っこの使っていない土地を貸してもらって、そこに元世界の庭付きの自宅を設置したの。
 田舎だけに、土地は腐るほどあるんだって。

 オール電化で太陽光発電の家は異世界でも無事に機能していたわ。

 相当大き目のシステムなので電力会社に売電できないのは残念だけど、こうなったからには電力に余裕があって良かったと思うんだ。



 こっちで最初の自分用の食事はバタバタしてたからアメージング.comの冷凍ハンバーグ弁当をレンジでチンして食べたわ。

 だけど手抜きばっかりじゃ無いのよ。

 今日は鍋に放り込むだけの魚すきセットとカット済みの野菜を買って豪快に放り込んでお鍋にしたの。

 私は反鍋奉行として細かいことにはこだわらないことをモットーとしてるから、とにかく豪快にいかせてもらうわ ! 

 かなり多めに作って村の皆にも振る舞ったのよ。

 えっ ? これも手抜きなの ? 私の中ではちょっと頑張ったんだけどなぁ~

 一応ね、今日はダシは手を抜かずにたっぷりの鰹節と昆布でとったのよ ! どうどう ? 良いでしょ ? この日も自分なりには美味しくできたのよ、フンス !!

  自己マンだけどさ ! 炊き出しをすると結構たくさんの人が来てくれるから、二升炊きの炊飯器を2つ買って、元々の五合炊きと合わせて全部で3つがフル稼働よ。

 これがなかなかに大変 !

 だけど本当は、元々料理はしてもそんなに得意ではないのよね。

 ずっと独り暮らしだったからお腹に入れば何でもいいやって思ってたところはあるし…


 それにしても村の人達は本当に貧しくて、ろくに食べてないみたい。
 一日一食だなんて信じられる ?
 お腹と背中がくっついちゃうわよね。

 皆の健康状態は最悪だし、2日に一回は炊き出しをしないと倒れる人が出そうなのよね……
 
 そして、地味だけど忘れてはならないのはメイクよ。

 私はそんなに不細工ではないけど自分で美人と言い切れるほどではないの。だけどさ、メイクさえあれば相当良い線まで持っていけるのよ。

 この世界のキレイな女子には悪いけど、普通な私が追い付き追い越させてもらうわよ !

 良くね、若い男の子が化粧をしないスッピンが美しい女性が好きだって言ったりしてるけど、そういう人に限って案外バッチリメイクの女に吸い寄せられてるし。

 まったくさ、スッピンで~すってタレントの画像とかだって、ぜんぜんスッピンじゃないし。

 何もメイクしないままで家の外に出るなんて私にはそんな度胸は無いのよ ! お願い許して !! そして化粧品が買えるアメイジング様、ありがとうございます !

 
 えー、こほん、少しメイク事情にアツくなってしまいましたが、それから……  村の付き合いは家族のようですっかり顔も名前もいきさつも覚えてもらえたようです。

 その辺をぶらぶらしていると、じいさん婆さんにアイリ、アイリや~と呼び掛けられるようになった。

 そして即席マッサージと称してこっそり回復魔法をかけてあげると、野菜や果物を持っていけとホイホイ渡される。

 皆、貧乏でそんな余裕無いはずなのにねぇ。

 何なんだろう、ここの人達のおおらかさって。

 仕方がないからもらい物にはまた、アメイジングで買った何かしらお返しの品を渡したりするんだよね。

 さっきオヨネ婆さんにオレンの実を2個貰ったから板チョコをあげたんだよ。

 オヨネさんたら、わりと甘いもの好きだからね。

 だけど若い男で寄ってくるのはガキんちょとのっぺりとクラウくらいなのよ。ああ、のっぺりってのはレイのことよ。

 クラウにも板チョコあげたらレイにも請求されちゃった。

 仕方ないからレイにもあげたけどね。

 そもそも若い人は他にいないし、あ~私の救いはクラウだけだわ~ !

 元世界の日本では真面目にガツガツ稼ぐだけで、恋もできなかった。

 その分この世界では恋をして絶対に取り戻したいのよ !!


 そんな代わり映えのしないこの村の、ある日の早朝にちょっとした動きがあった。

 この村の主な産業は麻を紡いだ糸や布のようでね、ちょうど今日は村人たちがこれまでに作って貯めた、 たくさんの繊維を街に届けに行く日なんだって。

 村長とレイとクラウ。それにトーマスとパーシーのじいさんも行くようなの。大丈夫かなぁ、心配ね。

 荷車と荷馬車で2日の道のりは、運が悪ければ強い魔物も出たりして大変なんだよ、と村長はぼやいていた。

 「村長、大丈夫なの ? 」

 「ああ、心配ないよ。この辺りのことは良く知ってるし、ボツボツ行くさ」

 (ボツボツって、じいさんズは今にも倒れそうだけど……  あっそうだ !)

 「あのさ、だったら私のアイテムボックスに入れていったら ? ずいぶんと楽なんじゃないの ?」

 「ああ、それも考えたんだけど、そうなるとアイリにも一緒に行ってもらわないといけなくなるからな。こんなこと女の子には頼み辛くって……」
 
 「私、街に行ってみたいわ !」

 「おーおー、アイリや。町になんぞ行ったら、もうこんな田舎には戻って来てくれないんじゃないかえ ?」

 「大丈夫よ。ちゃんと又帰って来てパーシーの作ったオレンの実のジュースを飲みに来るからさ !」

 「フォッフォッ 約束じゃぞー !」

 
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