ブラックな国は最強レベルアップで滅ぼそう~5人の仲間と異世界に!ゴブリン男とバカにされただ一人追い出された先のダンジョンが何気にチートだった

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13 ゴブオは当然イヤ、だけどバイセンも何かイヤだ !

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 イージー村から未知の土地マーレ山に向けて進んだ俺達は、ワイバーンとグレートレッドパイソンというかなりの大物を仕留めたので、売却と買い物の為に王都へ転移した。

 あまり良い気はしないけど、またギルドへとやって来た。
 あっ今日はスケルターがいた。
 侮辱されても気にしてないつもりだけど、顔を見ると嫌な気持ちになる。ということは、自分の中では割り切っているつもりでいたけど、許せない部分があるのだろうか ?

 「おおっ ゴブリン勇者のゴブオとゴブリン娘のゴブコの登場だぜ !!」

 「ハハハ 大変だぜー ! ギルドにゴブリンが現れたぞーー !!」

 「こないだは逃げられたからな、ほらゴブリン退治だ。ヤるんだろ ? スケルター !!」

 感じの悪い何人ものスレた奴らがつるんでいるようで、どうやらかなり盛り上がっているようだ。
 この前は何とか絡まれずに済んだし、少しずつ忘れて大人しくなるかと思ったんだけどなぁ……  
 残念だよ ! 前よりも拡散してひどくなっているんじゃないか ?

 それにしても、この前はアレキサンダーが言ってきたよな。そして今日はジェイソンも加わった。3人の後ろにも仲間っポイのが居るし。だんだん彼らのサポーターが増えるのか ?
 ゴブリン討伐隊かぁ、このまま放っておいたら大変な事になりそうだ !!

 しかしなあ。よく見りゃコイツらは決して優秀な強い実力者という感じではないよな。ガラは悪いが、どっちかといえばあぶれ者というか落ちこぼればっかりじゃないか ?

 ここに来る度にこんな奴らから屈辱を受けるのか ? それにオレだけじゃない。オレを信じて一緒に頑張っているナターシャまでバカにされるのがどうしても癇にさわるんだ。
 やがて、意を決して俺は小さく呟いた !

 「どうするんだー ? ケンタロー !!! このまま指をくわえて我慢するのか ?     冗談じゃないぜ !! もうこれ以上、こんな奴らを野放しにはできないね !」

 俺はようやく覚悟を決めると、騒ぎ立てている奴らの方を向いて正対した。
 こんなことを言い出す奴らだ。こっちを睨み付け、やるなら来いよというような、悪もの特有の態度でいる。完全に舐められてるなこれは ?

 オレの様子に気付いてこっちに近付く3人。

 「あーーーーー ??? 何だテメーは、こらーー !!!」

 「ヤんのかこら !!」

  ギルドには俺達と職員も含めて30数人居るのだけど、それまで騒がしかったギルドの喧騒は止んで、シーーンと静まり返った。
 俺達の事の進展を見守ろうというのだろう……

 「スケルターとアレキサンダーとお前はジェイソンだな ? 俺とナターシャのことを馬鹿にするのをやめてくれないか ?!」

 俺は冷静に静かに言った。

 「もし、俺達が止めなかったらどうしてくれるんだ ? ゴブリン勇者さんよー !!」

 「「ウワッハッハッハッハ !!」」

 「君らの相手をしてやっても構わないが……
 ところでギルドの職員さん方 ?? アンタ等がコイツ等のことを放っておくということは、俺が力ずくで止めさせても良いんですよね ?! 」 

 その問い掛けに、美人受付嬢のメラニアさんが答えた。

 「はい、何か壊したり死人が出たりしなければ、冒険者同士のいざこざに我々は関与致しません。しかしそんな事を言ってて大丈夫なのかしら ? 行き倒れは困りますよ !」

 スケルターたちだけじゃない、ギルドの職員の態度も本当に最低だな !? 
 どうやらオレたちよりもスケルターの肩を持っているのだろうか ? それに俺がやられるのが前提の話し方だ。それとも、あらあら新米冒険者がいい気になってチンピラに絡まれてるわ~、程度に考えているんだろうか ?

 「へっへっへ、お前がくたばったらこのゴブリン娘は俺達がキツーーイお仕置きして、良ーく可愛がってやるからな !」

 ナターシャは口を挟まない。ホントに賢い娘だ。こんな奴らと話したくないだけかも知れないけど、きっと俺に一任してくれてるのだろう。
 許し難い発言を聞いて一瞬頭に血が昇りかけたが彼女の態度を見て思い直す。

 「最低だな。お前らのような雑魚にキレたりしないから安心しろ !」

 「はあーー 何だとーー ??」

 「だからな。俺達を馬鹿にするのをヤ、メ、ロ !!!」

 このままではらちが明かない。早計に会話での改善は無理だと判断し、実力行使に踏み切ることにした。 そこでまずは威圧のスキルをレベル2の強さで発動した。

 「うっ うううー ?」

 「うわっ 何だコイツ、急に !」

 「バカめ ! その程度のことでビビるかよ !」

 「なんだよ情けないなぁ。ごあいさつ程度の威圧でそんなに青い顔してるのか ? ヤバいって気付いたんなら逃げたって良いんだぜ ! 
 もちろん謝罪も受け入れるし、オレたちを認めて侮辱するのをやめてくれれば、それで構わないからな」

 「バカ野郎。この程度で、お前なんか。だっ、誰が認めるかよ ?」

 「そうだ、オレたちゃ、謝り方なんて教わっちゃねーんだ !」

 「そうか ?」

 それを聞くと威圧をレベル3に上げた。

 「「うわああああああーーー !!」」

 「えっ ? 威圧を上げたのか ? そんなことができるのか ? クソ野郎め !」

 「ああその通りだが、オレのアダ名をゴブオからクソ野郎に格上げしてくれたのか ? でっ、馬鹿にするのを止めてくれるのかな ?」

 「バカめ俺はこういうのは割と平気なんだよ ! 流石にこれ以上は無いだろ ? 俺達に威圧だけで勝てると思ったら大間違いだぜ !」

 アレキサンダーはそう言うと剣を抜いて斬りかかって来た。

 「キャーーー !!」

 「ケンタロ… !」

 アレキサンダーの剣は立派な大太刀だった。
 オレたちのやり合う様子を見物していた物好きなやじ馬やギルド職員からは悲鳴が上がり、多くの人はオレが真っ二つに斬り捨てられるのを想像しただろう。

 残念ながら、その期待に応えることはできなかった。実は彼らのステータスなどはとっくに確認済みで、彼とオレのレベル差は4倍ほどなんだ。何度戦ってもアレキサンダー君が勝利するのはあり得ないだろうね。

 そんな訳だから、彼の不意打ちで決死の抜刀も、オレにはハッキリと見えてるし、止まってるかのように遅く見えている。その頭上から降って来る大太刀を親指と人差指でつまんで受け止めた。

 「えっ !!!!」

 「「「オオオォォォ !!!!!」」」

 アレキサンダーは真っ赤な顔をして大太刀を押したり引いたりグリグリしたりしようとするけど、その剣はオレが指でギュッとつまんでピクリとも動かない。

 「そうか ? 良かったな。じゃあこれはどうだ ?」

 威圧をレベル4に上げた。

 「うぐえっ !!」

 「ううっ !!」 
 バタンッ、バタンッ。
 スケルターとジェイソンは気を失った。
 
 「うううっ !」
 アレキサンダーは何とか耐えていた。
 
 俺はつかんでいた大太刀をそのままに、周りの人に広がらないように反対の手でアレキサンダーの襟首をつかんで威圧レベル5を至近距離で叩き込んでやった。

 「グエエエエエエッッ !!!」

 するとジョーーーッと、おもらしをして気を失ってしまった。

 やっとこの期に及んで、奥からギルド職員が何人か出てきた。今さら止めに来たか ?

 「なんだよ、張り合いがないなぁ ! おい、後ろのオマエらもゴブリン退治するんだろ ! 早くかかってこいよ !!!」

 「イヤイヤ !!」

 取り巻きたちは後ずさった。

 「ゴブリンだから早く退治しないと大変だぜ !! おい、この中じゃあオマエがいちばん強いな。レベル30のゲルマ君 ! さあ頑張れ、ゴブリン退治だ !」
 
 俺は逃げるゲルマの腕をぐぐっと掴んで俺の前に引っ張り出そうとした。
 すると反対の手で殴り掛かってきた。
 俺はその手もヒョイと掴んで、両手を持って引っ張り出した。

 「うっ、うわああああーー !! 何てすごい力なんだ。威圧だけじゃないのか ? 無理無理無理だーーー ! 許してくれ !!」

 「お前らは今までに許してくれって、泣いて頼む奴を許したことがあるのかよ !! オマエがコイツらのリーダーだな ? 分かってるぞ。やられる辛さを味わって少しは反省しろ !!」

 俺は有無を言わさずゲルマにパンチを放とうとした。
 しかし、ここで一回だけ今の状況について、頭の中でくるっと回して整理してみた。
 というのもだ。今までの短い人生でも、何度かくだらない失敗をしたことがあった。
 そんな失敗経験から、思ったことをすぐしてしまうのではなくて、少し間を置いてから行動しようと反省したことがあったからだ。
 
 「たのむよ ! 勘弁してくれー !」

 泣きそうな顔で懇願するゲルマの顔を見ていたら、ここでやっちまったら俺もコイツらと同じじゃないか ? と思い返した。

 「もう、イジメないでくれよな !」

 掴んでいた手を離してオレは言った。

 「うん。分かった分かった ! 許してくれるのか、パイセン !」

 ゲルマは何度も何度も小さく縦に首を振って親しげに言ってきた。

 「あんたにゃかなわないぜ。こんなに強いお方とは思いませんしたよ、パイセン。これからはオレたちのこたー、あごで使ってもらって構わないすよ」

 ゲルマ君は難を逃れたがメチャクチャチャラい感じで懐いてしまったようだ。

 どうやら、一応ゲルマ君とは和解できたようだ。
 だけど、こんな感じのコイツらとつるむのなんてちょっと考えようだ。できれば遠慮したいものだ。

 ホッとしたのも束の間で、よく見ればギルドにいた他の冒険者やギルドの職員も威圧の影響を受けて、気を失った人や蒼白い顔をしている人がいた。

 しまった !

 威圧が仕掛けた本人だけでなく、周りに影響してしまうとは考えてなかった。

 「ナターシャ ! 失神した人に大急ぎで回復魔法を頼むよ」

 「うっ、うん… 」

 倒れた2人の見物人を急いで治療した。

 更に、蒼白い顔をしている人にもヒールをかけていった。
 ふう~。アブナイアブナイ。


 「派手にやりおったのー !!」
 気が付くとおっさんが近くにいた。

 「メラニアさんの許可はいただきましたよ !」

 「ギルマス、すみませ~ん。ケンタローさんが ……これ程とは思いませんでした ↘↘↘」
 この人がギルマスなのかぁ ?

 「こんな化け物みたいな奴の実力も見抜けんとは情けない…… してケンタローよ、ここにはケンカをしに来たのではなかろう ?」
 
 「ケンカは売られただけで、俺は平和主義なんだぜ !」

 「そうだ、パイセンは平和ナンタラっちゅうやつだぜ !」

 こういう時は腰ぎんちゃくのゲルマは心強いかもな。ギルマスはちょっと怖いし。

 「それは知らなんだ !」
 
 「あー、あのさ、買い取って欲しいモノがあったんだよメラニアさん !」

 「はい。先程は失礼しました。ではこちらのテーブルの上に出して下さいますか ?」

 「えっ ? ここで良いの ?!」

 「はい !」

 「ナニ出すんスカ ?」

 「じゃあ遠慮なく…… !!」

 「おーい ! 待て待て、出すなっ !!!!!」

 「えっ ? はい !」

 「ギルマス ? どうしたんですか ?」

 「はぁーーー、  まあ分からんわな。今のコイツの顔を見たかメラニア ? オマエらの驚く顔が楽しみだって感じの顔をしとったぞ ! ……で、お前、何を出すつもりだったんだ ?」
 
 「やりますねギルマス ! グレートレッドパイソンですけど…… 」

 「はあああ ?? ウソだーー ! 」

 「ええええっ ? スゴいッす !」

 「どこにあるんだそんなの ?」

 「嘘だろ。適当なこと言うなよ !」

 「えっ ? お前ら見たいのか ?」

 しょうがないので、切り落とした赤ヘビの頭だけをアイテムボックスから取り出してやったんだ。

 「イヤーーーー !!」

 「ひえええーー !!」

 「うわわわわーー !! スゲーー !!」

 「ううっ… 」

 頭だけと言っても机くらいの大きさで結構デカイんだけど、そいつを取り出して見せてやったよ。
 また、何人か卒倒しそうだ。メラニアさんも倒れそうな身体をどうにか机にもたれて堪えていた。

 「胴体の方も出しましょうか ? メラニアさん !」

 「待て待て待てーー !! 勘弁してくれや ! うちのモンがいろいろ粗相して悪かったな。担当も呼ぶから倉庫の方まで来てくれないか ?」

 「ハハハ、ジョークですよ。お願いします。ギルマスは話が通じそうで助かりました」

 「コヤツ、アイテムボックスまで持っておるのか !? しかも、あのサイズの赤ヘビとか…… ? ホッホッ、久々に桁外れな奴が現れたのう !」

 「ケンタロパイセン、スゴいっす。オイラ感動したっす。もう一生付いていくっすよー !!」

 「イヤイヤあんた、どう見たって俺より年上でしょ ! そのパイセンってのだけは止めてくれよー。寒気がするんだよ」

 「うぇい ! 分かったっすケンタロさん !!」

 まったく、ホントに分かってんだろうかね ?
 どうも調子が狂うなぁ。

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