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〜Machinery city〜
「絶望」Part Final
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「失礼します」
扉を閉め、廊下に出ると外は既に暗闇に覆われていた。
…あれから二人に会話はない。どのくらい歩いたのか分からない。気付けば最初の部屋にいた。
…部屋の明かりは弱く、ベッドの机の上に薬が置かれている。…女性はもう部屋にいなかった。
「……」
『―――今日は…ゆっくり休んでちょうだい』
『―――最後に痛み止の薬…ここに置いておくから飲んで頂戴ね』
『―――こんなこと…いま言うべきことじゃないかもしれないけど、あなたのこと、ひとまず良かった。そして疑ってたこと…ごめんなさい』
『―――故郷のこと、残念だけど…辛い目に遭ってるのはあなただけじゃない。その事を覚えておいてちょうだいね…』
確か、女性はそう言っていた。
「……ッ」
…辛い目に遭ってるのは俺だけじゃない?何を知ったかのように。
『―――君が度々起こす頭痛は本当の記憶を脳が思い出そうとしているからじゃ』
追い討ちをかけるように支部長の言葉が脳をよぎる。
…そもそもなんでこんな目に遭わなければいけない。何で意味分かんないこと聞かされないといけない…ッ!
怒りが込み上げ、同時に朝のことが脳をよぎる。
…まさかあれもそうなのか。いろんなことを懐かしいと思い…
違う…
叔父達を見て涙を流し…
違う…!
そして耳元で聞こえた少年の声ー--
違う…!!違う違う違う違う違う違う!!
「―――うぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
ユウキは思い切り目の前の物を払い飛ばした。
「何でだよッ!!」
「どうしてこうなんだよッ!!」
抑え込んでいた感情が爆発し、涙が溢れでる。
…もう叔母達はいないのか…二度と会うことができないのか…
喪失感が心を襲う。
「違う違う違う違う―――」
否定するなか、過去のトラウマが蘇る。またあのときと同じになる。一番大切な人達がまた消えていく…
「―――嫌だ嫌だ嫌だ嫌だッ!!」
必死に否定する。だが否定すれば否定するほど何かの意思が支部長の言葉を突きつける。何度も何度も何度も何度も…
ユウキの中から生き甲斐が消えかける。今までは叔母達がいたから生きようと思えていた。だがもし信じてしまったら何を支えに生きればいい?
今度こそ…また、俺は…
…視線の向こうには鋭利な刃物があった。衝動に駆られそうになるある考え。だがそれを遮るように部屋の電気が弱まると、何もかもが暗闇に包まれていく。
「…っ………ぅ……っ……」
もはや部屋の中は、ユウキの泣く声だけが響いていた。
いろんな思いが交差する。誰にも理解してもらえない。誰にも助けてもらえない…知らない場所でたった一人…
…
―――世の中は残酷だ。
「……姉さん…」
月明かりが照らす部屋の中、赤髪の少女は蹲り呟いた。
気持ちの整理ができない。後悔と罪の念が心を渦巻く。
違った…全部違った…
―――どんな微かな希望でさえも、最後は絶望へと変わり、打ち砕かれる…
「…おしっ、準備は良いか?姫夏」
「…うん」
少女が薬を飲むのを見ると、兄は荷物を担ぐ。
―――幾ら喚けど時間は進む。
「………」
廃墟と化した建物の一室、青い瞳の少女は佇み、満月を見上げる。
―――救いなんてものはない…
「行ってらっしゃい」
輸送車が来ると後ろから声が聞こえた―――気がした。
…もしここにいたらそう言ってくれただろう。
青年は向き直り、覚悟を決めると前へと歩みを進めた。
「行ってきます」
―――これが現実だと常に突きつけられる…
扉を閉め、廊下に出ると外は既に暗闇に覆われていた。
…あれから二人に会話はない。どのくらい歩いたのか分からない。気付けば最初の部屋にいた。
…部屋の明かりは弱く、ベッドの机の上に薬が置かれている。…女性はもう部屋にいなかった。
「……」
『―――今日は…ゆっくり休んでちょうだい』
『―――最後に痛み止の薬…ここに置いておくから飲んで頂戴ね』
『―――こんなこと…いま言うべきことじゃないかもしれないけど、あなたのこと、ひとまず良かった。そして疑ってたこと…ごめんなさい』
『―――故郷のこと、残念だけど…辛い目に遭ってるのはあなただけじゃない。その事を覚えておいてちょうだいね…』
確か、女性はそう言っていた。
「……ッ」
…辛い目に遭ってるのは俺だけじゃない?何を知ったかのように。
『―――君が度々起こす頭痛は本当の記憶を脳が思い出そうとしているからじゃ』
追い討ちをかけるように支部長の言葉が脳をよぎる。
…そもそもなんでこんな目に遭わなければいけない。何で意味分かんないこと聞かされないといけない…ッ!
怒りが込み上げ、同時に朝のことが脳をよぎる。
…まさかあれもそうなのか。いろんなことを懐かしいと思い…
違う…
叔父達を見て涙を流し…
違う…!
そして耳元で聞こえた少年の声ー--
違う…!!違う違う違う違う違う違う!!
「―――うぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
ユウキは思い切り目の前の物を払い飛ばした。
「何でだよッ!!」
「どうしてこうなんだよッ!!」
抑え込んでいた感情が爆発し、涙が溢れでる。
…もう叔母達はいないのか…二度と会うことができないのか…
喪失感が心を襲う。
「違う違う違う違う―――」
否定するなか、過去のトラウマが蘇る。またあのときと同じになる。一番大切な人達がまた消えていく…
「―――嫌だ嫌だ嫌だ嫌だッ!!」
必死に否定する。だが否定すれば否定するほど何かの意思が支部長の言葉を突きつける。何度も何度も何度も何度も…
ユウキの中から生き甲斐が消えかける。今までは叔母達がいたから生きようと思えていた。だがもし信じてしまったら何を支えに生きればいい?
今度こそ…また、俺は…
…視線の向こうには鋭利な刃物があった。衝動に駆られそうになるある考え。だがそれを遮るように部屋の電気が弱まると、何もかもが暗闇に包まれていく。
「…っ………ぅ……っ……」
もはや部屋の中は、ユウキの泣く声だけが響いていた。
いろんな思いが交差する。誰にも理解してもらえない。誰にも助けてもらえない…知らない場所でたった一人…
…
―――世の中は残酷だ。
「……姉さん…」
月明かりが照らす部屋の中、赤髪の少女は蹲り呟いた。
気持ちの整理ができない。後悔と罪の念が心を渦巻く。
違った…全部違った…
―――どんな微かな希望でさえも、最後は絶望へと変わり、打ち砕かれる…
「…おしっ、準備は良いか?姫夏」
「…うん」
少女が薬を飲むのを見ると、兄は荷物を担ぐ。
―――幾ら喚けど時間は進む。
「………」
廃墟と化した建物の一室、青い瞳の少女は佇み、満月を見上げる。
―――救いなんてものはない…
「行ってらっしゃい」
輸送車が来ると後ろから声が聞こえた―――気がした。
…もしここにいたらそう言ってくれただろう。
青年は向き直り、覚悟を決めると前へと歩みを進めた。
「行ってきます」
―――これが現実だと常に突きつけられる…
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