千年の夢

瀬名

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ー はぁ



ゆっくりと吐く息は白い
例年よりも寒いと朝のニュースで言ってたっけ。

それに今朝方までうっすらと雨が降っていたせいで足元がかなり悪く歩きづらい。

天気はお世辞にも良いとはいえず、どんよりと濁っていてまるで今の俺の気持ちを代弁してる様だ。

風が吹く度に刺すような寒さに耐えきれず眉間に皺がよる。

今日は少し早めに出たし、時間にも結構余裕があるしコンビニに寄って温かい珈琲でも買ってから会社に向かうかなぁ。

確かイートインスペースがあったよな…
あの読み掛けの小説のラストも気になるし珈琲を飲みながら読み切ってしまうか。

憂鬱な気分が少しだけ上がるのを感じながら、足元に気をつけながらコンビニに向かう。


コンビニに入り、目的の珈琲をレジで注文しカップを受け取ればセルフで作る為のコーヒーメーカーにカップを入れスイッチを押す。

豆の挽く音の後にトポポ…と流れ出す音と漂う珈琲の匂いに口角を小さくあげて出来上がりを待つ。


出来上がりのメロディーが流れ、ゆっくりカップを取り出せばイートインスペースに向かい1番端に座り鞄からカバー付きの小説を取り出した。



千年の夢


タイトルじゃ分からないと思うけどこれ、BL小説。

竜と人間が恋に落ちる話なんだけど、これがもうめっちゃ感動するくらいに良い話で…あ、別に俺腐男子とかじゃないよ?同じ部署の女性陣がキャッキャと花咲かせて語ってるのを毎日聞いてたら気になってつい手を出しただらどっぷりこの小説に沼っただけ。

…健気な主人公が可愛いし、最初は冷たく優しさのやの字すらない竜が絆され主人公にだけ甘く微笑むシーンは感動と興奮で何回も読み直した。

でも物語は進めば進むほど悲しくて…
竜と人間じゃ時間の流れる早さが違うからゆっくりと年老いていく主人公に変わらず愛を注ぐも2人でいる時間が少なくなっていく事に心を痛め、遂に起き上がることもままならない主人公が竜に自分を食べて欲しいと乞う所まで読んだんだよなぁ…



…あ!やべ!思い出してたら読む時間なくなった!!
てか、俺どんだけ思い出してぼーっとしてたんだよ!



 

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