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49 神の研究所
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ソラリクスの変わりように、わたしは違う世界を見せられたような気持ちになる。
シームルグも、人では無理なレベルの発明をどんどん繰り返している。魔獣のコントロールもしていたというし、戦闘ももしかしたら強いのかもしれない。
なんだか、二人が急に遠くなったようなーーー
せっかく家族のように感じたシームルグが、遠いただのシェアメイトになってしまったような感じ。
わたしは、階段に座り込んだ。
この間まで歩くスペースもなく埃が舞っていたここは、どこかの迎賓館の入り口のように整えられた煌びやかな空間だ。
階段や扉、時計などは一つ一つに木の重厚感が感じられて、格式ある洋館のような雰囲気になっていた。
正直、寿命が尽きるまで私がここにいても、こんなにきれいに復元できた自信はない。
それが短時間でできるのが神の力なのだ。
その神を凌駕しようとしたカラドリウス。
わたしは彼女の作り歪ませたものを本当に変えられるのだろうか。
わたしはしばらくその綺麗になった空間をぼーっと眺めていた。
◇◇◇
「あら、飛鳥!遅かったわね。あっ!そこでストップよ。ここは無菌室なんだから」
無菌室?
2階のシームルグの研究室は、重厚な木の扉とは対照的に中に入るとたくさんの透明な扉がある。
なんか、入り口でお風呂の時のように四方八方から風やら光やらが当てられて白ガウンに宇宙服のようなヘルメットを被る。
「ここは傷を治すとか出血を止めるとか、痛みをとるとか戦い用のお薬を作るラボなの。」
「ほわああ!近未来だね」
あのゴミ部屋がよくぞここまで。
もうそっちからの変貌がすごすぎて言葉にならないわ。
「近未来って何?現実よ。いや、500年前に作ったから過去の遺物かな?」
シームルグは、一つの大きな機械に植物の葉を放り込む。
それはまるでシュレッダーのように細かく裁断され機械の中に入っていく。
「何やってるの?」
「この植物の成分を全部分けてくれるの。この葉っぱからは痛みをとる成分があるのよね。」
「そこまでは、カラドリウスと似てるわね」
「そうね。でも植物の場合、バラツキもあるしそのまま使ってもなかなかいい効果は得られないわ。そこで!!」
シームルグは勢いよく飛びながら、
「じゃーーーん!!」
と機械を嬉しそうに紹介する。
「何?この水みたいなの?」
大きなプールが見える。水族館レベルの大きさで、水色の中を何かがうごめいている。
それは...ゴミ屋敷の時のボウフラ。
ぞわわわわわっ、ああ、思い出したくない。
「この培養液に見えないレベルの魔菌がいるの。この中に必要な成分を流し入れると、いっせいにこの子たちがこの成分を食べ始めるの。ほらうごめいてみえるのは一斉に取り込んで大きくなっている状況よ。」
「へ、へえ...」
ゴミ屋敷を思い出し、だんだん引き気味になっていく私とは対照的に、シームルグは絶好調になっていく。
「そしてその成分を濃集したものを、次の機械に必要なだけ入れたら、それを組み合わせて、加工するの。ね!飛鳥にもできるでしょ」
「わ、わたし??」
シームルグはため息をつきながら何言ってるのという呆れた顔をする。
なんでそんなに突然、シームルグってばリケジョ化してるのよ。
だんだん髪が逆立ってきて、聖女シスターズのようになっていく。
「えーっ。ノートに書いてある分量を入れたら、勝手に成分に分かれてくれる。それを菌で濃縮。そしてこっちで加工よ!そこまで手厚くして出来ないの?この世界に、困っている人たちにこの薬たちを届けてくれるのよね。」
シームルグの熱い思いにうんうんと頷くしかない。
ソラリクスを思い通りに動かし始めてから、シームルグはこの家で誰よりも最強だ。
「時間はないのよ。戦いだけじゃなくて、病気にも効く薬もあるの。それは隣の部屋なんだけど、体に薬を入れたら勝手に悪いところを食べてくれてね...」
ああでもない、こうでもないとシームルグは話し出したら止まらない。
ついこの間まで、500年、元カレが浮気したと暴れ回っていた幽霊とは思えない変貌ぶりだ。
その日から私は毎日、昼は製薬活動で目をぐるんぐるん回しながら準備を続けることになった。
シームルグも、人では無理なレベルの発明をどんどん繰り返している。魔獣のコントロールもしていたというし、戦闘ももしかしたら強いのかもしれない。
なんだか、二人が急に遠くなったようなーーー
せっかく家族のように感じたシームルグが、遠いただのシェアメイトになってしまったような感じ。
わたしは、階段に座り込んだ。
この間まで歩くスペースもなく埃が舞っていたここは、どこかの迎賓館の入り口のように整えられた煌びやかな空間だ。
階段や扉、時計などは一つ一つに木の重厚感が感じられて、格式ある洋館のような雰囲気になっていた。
正直、寿命が尽きるまで私がここにいても、こんなにきれいに復元できた自信はない。
それが短時間でできるのが神の力なのだ。
その神を凌駕しようとしたカラドリウス。
わたしは彼女の作り歪ませたものを本当に変えられるのだろうか。
わたしはしばらくその綺麗になった空間をぼーっと眺めていた。
◇◇◇
「あら、飛鳥!遅かったわね。あっ!そこでストップよ。ここは無菌室なんだから」
無菌室?
2階のシームルグの研究室は、重厚な木の扉とは対照的に中に入るとたくさんの透明な扉がある。
なんか、入り口でお風呂の時のように四方八方から風やら光やらが当てられて白ガウンに宇宙服のようなヘルメットを被る。
「ここは傷を治すとか出血を止めるとか、痛みをとるとか戦い用のお薬を作るラボなの。」
「ほわああ!近未来だね」
あのゴミ部屋がよくぞここまで。
もうそっちからの変貌がすごすぎて言葉にならないわ。
「近未来って何?現実よ。いや、500年前に作ったから過去の遺物かな?」
シームルグは、一つの大きな機械に植物の葉を放り込む。
それはまるでシュレッダーのように細かく裁断され機械の中に入っていく。
「何やってるの?」
「この植物の成分を全部分けてくれるの。この葉っぱからは痛みをとる成分があるのよね。」
「そこまでは、カラドリウスと似てるわね」
「そうね。でも植物の場合、バラツキもあるしそのまま使ってもなかなかいい効果は得られないわ。そこで!!」
シームルグは勢いよく飛びながら、
「じゃーーーん!!」
と機械を嬉しそうに紹介する。
「何?この水みたいなの?」
大きなプールが見える。水族館レベルの大きさで、水色の中を何かがうごめいている。
それは...ゴミ屋敷の時のボウフラ。
ぞわわわわわっ、ああ、思い出したくない。
「この培養液に見えないレベルの魔菌がいるの。この中に必要な成分を流し入れると、いっせいにこの子たちがこの成分を食べ始めるの。ほらうごめいてみえるのは一斉に取り込んで大きくなっている状況よ。」
「へ、へえ...」
ゴミ屋敷を思い出し、だんだん引き気味になっていく私とは対照的に、シームルグは絶好調になっていく。
「そしてその成分を濃集したものを、次の機械に必要なだけ入れたら、それを組み合わせて、加工するの。ね!飛鳥にもできるでしょ」
「わ、わたし??」
シームルグはため息をつきながら何言ってるのという呆れた顔をする。
なんでそんなに突然、シームルグってばリケジョ化してるのよ。
だんだん髪が逆立ってきて、聖女シスターズのようになっていく。
「えーっ。ノートに書いてある分量を入れたら、勝手に成分に分かれてくれる。それを菌で濃縮。そしてこっちで加工よ!そこまで手厚くして出来ないの?この世界に、困っている人たちにこの薬たちを届けてくれるのよね。」
シームルグの熱い思いにうんうんと頷くしかない。
ソラリクスを思い通りに動かし始めてから、シームルグはこの家で誰よりも最強だ。
「時間はないのよ。戦いだけじゃなくて、病気にも効く薬もあるの。それは隣の部屋なんだけど、体に薬を入れたら勝手に悪いところを食べてくれてね...」
ああでもない、こうでもないとシームルグは話し出したら止まらない。
ついこの間まで、500年、元カレが浮気したと暴れ回っていた幽霊とは思えない変貌ぶりだ。
その日から私は毎日、昼は製薬活動で目をぐるんぐるん回しながら準備を続けることになった。
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