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前章 星降る夜(ニュイ・エトワレ)
昔話に花が咲く4
「嫉妬と独占欲の芽生えはいつだって突然に訪れるものよ。それは幼くたって関係ないの」
「突然の一人語り? エマ様、今度はなんの話ですの」
期待する声に、エマ様はもったいぶってから、笑みを浮かべた。
「ふっふっふ……。両親の愛を受ける養子に嫉妬する実子の話よ」
なんだか記憶にはあれど思い出の印象と違う話しぶりに脳が混乱してきそうだ。
「本来ならば舞台として再現したいところだけれど、生憎と役者は不在でね。ごめんなさい」
あら見たかったわ、残念ね、そんな声がする。
リュカ様がいないことにこれほど安堵するとは思わなかった。
「安心してルナちゃん、今からするお話ならどこに出しても恥ずかしくないわよ。ただ……ね、休憩ついでにちょっと女装してきてくれると助かるわ」
「ぶっ!! っ……ハアああああー!?」
安堵した矢先、とんでもない提案のせいで、思わず紅茶を吹き出してしまった。
幸い、向かいの席にはかからなかったし、お菓子も執事長であるゴーザさんがが避けて無事だ。ただテーブルクロスは犠牲になったが。
ゴーザさんの目つきが険しいものとなって僕に向かう。ひぃ……。
……――って、待てよ。
「まさか僕が女の子みたいな格好をさせられていた時の話をするおつもりで……?」
「大 正 解 よ」
「ふにゃあああああ! なんてこったあー」
控えめに言って、僕は半狂乱になった。
「ルナちゃんの可愛さを、私は認識していた。そう、だれよりもね」
エマ様の口元が怪しく持ち上がる。
(言い方ァ)
手慰みに机に円をかいたエマ様は、組んだ手の上にあごを乗せる。
「だから、夫の目を盗んで度々この子にドレスを着せたわ。ときには花の妖精のように、またあるときは深窓のお姫さまのように……と、きせかえを堪能しては念願だったファッションショーを開催していた時だった」
「それだけに留まらず、奥様はドレスを自作していらっしゃいましたし、ルナのスタイリングや写真を撮るポージングにまで気を遣っておいででした」
「あー、そういえばフレデリック様が止めるまで、段々エスカレートしていったんだよね……」と、僕も覚えていることを思い出しつつ反芻した。
目力が半端なくなったエマ様はにらみつけるかのようにテーブルクロスのシミを一点にみつめている。いや、汚れは大敵だが、そんなににらまなくても。
「ファー! 三者三様の視点がすでに最高ですわ」
「まあまあ!! ごちそうさまです」
干物のように乾いた笑いになるのをこらえて、思い出す。
エマ様に一方的に猫可愛がりされていた当時の僕はといえば――こんな状態だった。
女の子物の衣装をほぼ強引に着せられた。眼の前には、ひたすら何事かを連呼する狂気のエマ様。その沙汰に翻弄され、半べそをかくも、エマ様は止まらない。
そこへ通りかかるリュカ様。彼はたまたま通りかかったようで、僕らの様子をみるや鼻をふんとならしていた。
呆れた様子のリュカ様でさえ構わず、おもわず、僕は助けを求めた。
彼をチラチラとみつめて、小声で呼ぶ。だが、リュカ様の表情筋はびくともしない。
そう、リュカ様はヘルプに応じるつもりなど一切なかったのだ。
それどころか、むしろ……。
「ふん、そんなやつのどこがいいんだ。母様をゆーわくするな、このぺてんしめ」
と、当時にしてみればキレッキレの毒舌を披露していた。
「リュカ坊っちゃんが悪役令息みたいなことおっしゃってる……」
「あくやくれいそく? なんです、それ?」
「おほほほ、気になさらないで!!」
扇子で赤くなった顔をあおぐ隣の御婦人に首を傾げるも、内容ははぐらかされ、結局教えてくれなかった。
「あの子は一体どこでそんな言葉を覚えたのかと、私は冷や汗が止まらなかったわ」
「エマ様の書斎では?」
「はっ!? 盲点だわ……」
うっかり、と舌を出すおちゃめなエマ様だった。
そういえば旦那様の書斎には入っても奥様の書斎に入ったことはなかったな。今度お邪魔してみようか?
「悪いことは言わないから、よしておきなさいな、坊や」
「坊や!? というか、心を読まれ……え?」
「四人も息子がいるとわかるものよ? 大方彼女の本棚を覗こうとしてるのだろうけれど、深淵もまた、こちらを覗くものよ」
な、なんだかご婦人の目が妙に黒く感じる……。これは一体?
背筋がゾクゾクしてきたので思いつきは却下することにした。まだ深淵とやらに足を突っ込む勇気はないかもしれない。
「話に戻るわよ。ルナちゃんのアピールを不覚にも無視したうえで、リュカと私、ふたりは言い争いに発展するの」
この時の動機など単純なものだった。
母親を取られた気分のリュカ様は、そう。
つまるところおもしろくなかったのである。
リュカ様は、かかとでカーペットを叩いた。無言の抗議である。こらえきれない不満が爆発するのは、まさに時間の問題であった。
ダメ押しは、エマ様のあの発言。
「だってルナちゃんってばリュカより断然かわいいじゃない? はぁぁぁ、ルナちゃんがうちのこでよかった!」
「なッ……!?」
リュカ様はキッと僕をにらみつける。
震える奥歯を噛み締めて、幼いリュカ様はなにかをこらえた表情だった。それでも、|眦《まなじり》に浮かぶ光る粒は彼の感情をよほど赤裸々に物語ってはいたが。
リュカ様はついに吠えた。
「母様もおまえもみんなだいっきらいだ! おれは、おれはッ……――」
言いたいことを言い終える前に、反抗したリュカ様は屋敷から庭の方へ飛び出したのだった。
「……りゅか、ひゃま?」
舌っ足らずの敬称で、僕は逃げるように去った彼をいつまでもみつめていた。
「この展開、まさか」
「そうよ、『リュカ、初めての家出! 家族分断の危機』なのよ」
「エマ様のひとでなし~~、あんまりですわぁ」
(ですよね、僕もそう思います。こんなあけすけに過去をばらまいて、挙げ句、興味をそそる見出しをつけるなん、て……)
「どうしてそんなことおっしゃったの! 多感なこどもに、まるで自分の子よりほかの子がよかったみたいなセリフ……あんまりですわぁ」
(え、そっち?)
拍子抜けする僕を置いてエマ様は手慣れた様子で進行する。
「私は自分の落ち度を、夕方になって自覚したわ。ひとり屋敷を出たきり帰ってこない息子の報告を受けて、ね。夫に詰め寄られて、白状したわ。そこでようやく怖くなったのよ。あの子が人さらいや命の危機に遭ってないか。どうか無事でいて、と。夫はすぐに騎士団へ、私は街まですぐ探しに出たわ」
ふたりが切迫した様子で出ていくのを僕は見ていた。
ところが、当のリュカ様は予想外の場所に居たのだった。
リュカ様はたしかに走っていった。そう、庭の方へ。
僕は走った方向を覚えていたから、庭の中に迷わず入っていった。薄暗い庭は、昼間とは打って変わって、少し不気味だった。
僕はズボンの前を握りしめる。「りゅかさま~、りゅかさま~」とメイドさんらの真似をしながら、彼を探して。
するとどうだろう。リュカ様は噴水で屋敷からは死角になる、一人乗りのブランコに腰掛けていたのだ。
「なんだ、おまえか……」
僕が声をかけても、リュカ様は顔をあげただけ。
その頭もすぐにうつむいてしまった。
リュカ様は、切ない表情を浮かべ、両親が走っていった街の方をみつめるばかり。探しに来た僕を見てもがっかりされて。
そうだろう。
彼が探しに来て欲しかったのは、ほかでもない。
「母様は、おれのことなんか……うう」
言っているそばからリュカ様は男泣きし始めた。
弱冠六歳のこどもが。
僕にはそこまでの情緒がなかったから、なぜリュカ様が静かに涙するのか、理由は分からなかったのだ。ただ……。
「つらいの? おなかいたい?」
気づけば、首を傾ける形で下がっていた彼の頭を撫でていた。
よしよしと、孤児院で年下の子を慰めるように。
「っ……は…………」
すると|嗚咽《おえつ》混じりに、彼の本音が聴こえてきた。
「いか、ないで。母様、父様。おれはここにいる。なんで……おまえなんか。お、おれのほうが、ずっと、ベルナルド家のこどもなんだぞ! 一番!! おまえはっ、ひぅ、だから……!!」
頭をポンポンしていると、その涙声も収まってきた。
今度は彼の方から抱きついてくる。ぎゅっと、体を寄せて、すがりつくように。
「おれをきらわないで……、母様」
「だいじょーぶだよ、りゅかさま」
初めて甘えられる態度。僕は大丈夫だと伝えて、抱きついてくる手を繋いだ。
それから、物怖じする彼を引っ張って、メイドさんたちが待つ屋敷へと歩いていった。
「どこからともなく現れたこどもたちに使用人たちはもう騒然! 慌てて私たちを呼び戻したらしいの。帰宅してみれば、もうっ、リュカったら目を真っ赤にさせて無言で抱きついてきたわ。ごめんなさいって。謝るのは私の方なのに」
あまりに印象的な記憶だったらしく、途中からエマ様も思い出してハンカチでその目元を拭った。
彼女にとっても、忘れられない思い出なのだろう。
「うう、感動的ですわ……」
「そこからは執事長のお説教よ。主人である私やリュカも含めて、心配をかけさせたことへのね。ただしルナちゃんだけはリュカをみつけてきたご褒美として、ロリポップが与えられたわ。おいしそうに頬張りながら時折こっちをみてね。うっかりはにかむのをこらえるのに、私たち、必死だったのよ?」
ひゅっとのどが鳴った。
かと思えば、静寂を破るご婦人たちの歓声。
「んま――――!!」という甲高い発狂が美しい庭園に響き渡った。
『ついにご乱心なされた!?』と、僕は囲まれているため、気が気でない。
「というわけでまた一歩、近づいた私たち。ここからは遠慮も容赦もなくなるふたりの関係に乞うご期待!」
「突然の一人語り? エマ様、今度はなんの話ですの」
期待する声に、エマ様はもったいぶってから、笑みを浮かべた。
「ふっふっふ……。両親の愛を受ける養子に嫉妬する実子の話よ」
なんだか記憶にはあれど思い出の印象と違う話しぶりに脳が混乱してきそうだ。
「本来ならば舞台として再現したいところだけれど、生憎と役者は不在でね。ごめんなさい」
あら見たかったわ、残念ね、そんな声がする。
リュカ様がいないことにこれほど安堵するとは思わなかった。
「安心してルナちゃん、今からするお話ならどこに出しても恥ずかしくないわよ。ただ……ね、休憩ついでにちょっと女装してきてくれると助かるわ」
「ぶっ!! っ……ハアああああー!?」
安堵した矢先、とんでもない提案のせいで、思わず紅茶を吹き出してしまった。
幸い、向かいの席にはかからなかったし、お菓子も執事長であるゴーザさんがが避けて無事だ。ただテーブルクロスは犠牲になったが。
ゴーザさんの目つきが険しいものとなって僕に向かう。ひぃ……。
……――って、待てよ。
「まさか僕が女の子みたいな格好をさせられていた時の話をするおつもりで……?」
「大 正 解 よ」
「ふにゃあああああ! なんてこったあー」
控えめに言って、僕は半狂乱になった。
「ルナちゃんの可愛さを、私は認識していた。そう、だれよりもね」
エマ様の口元が怪しく持ち上がる。
(言い方ァ)
手慰みに机に円をかいたエマ様は、組んだ手の上にあごを乗せる。
「だから、夫の目を盗んで度々この子にドレスを着せたわ。ときには花の妖精のように、またあるときは深窓のお姫さまのように……と、きせかえを堪能しては念願だったファッションショーを開催していた時だった」
「それだけに留まらず、奥様はドレスを自作していらっしゃいましたし、ルナのスタイリングや写真を撮るポージングにまで気を遣っておいででした」
「あー、そういえばフレデリック様が止めるまで、段々エスカレートしていったんだよね……」と、僕も覚えていることを思い出しつつ反芻した。
目力が半端なくなったエマ様はにらみつけるかのようにテーブルクロスのシミを一点にみつめている。いや、汚れは大敵だが、そんなににらまなくても。
「ファー! 三者三様の視点がすでに最高ですわ」
「まあまあ!! ごちそうさまです」
干物のように乾いた笑いになるのをこらえて、思い出す。
エマ様に一方的に猫可愛がりされていた当時の僕はといえば――こんな状態だった。
女の子物の衣装をほぼ強引に着せられた。眼の前には、ひたすら何事かを連呼する狂気のエマ様。その沙汰に翻弄され、半べそをかくも、エマ様は止まらない。
そこへ通りかかるリュカ様。彼はたまたま通りかかったようで、僕らの様子をみるや鼻をふんとならしていた。
呆れた様子のリュカ様でさえ構わず、おもわず、僕は助けを求めた。
彼をチラチラとみつめて、小声で呼ぶ。だが、リュカ様の表情筋はびくともしない。
そう、リュカ様はヘルプに応じるつもりなど一切なかったのだ。
それどころか、むしろ……。
「ふん、そんなやつのどこがいいんだ。母様をゆーわくするな、このぺてんしめ」
と、当時にしてみればキレッキレの毒舌を披露していた。
「リュカ坊っちゃんが悪役令息みたいなことおっしゃってる……」
「あくやくれいそく? なんです、それ?」
「おほほほ、気になさらないで!!」
扇子で赤くなった顔をあおぐ隣の御婦人に首を傾げるも、内容ははぐらかされ、結局教えてくれなかった。
「あの子は一体どこでそんな言葉を覚えたのかと、私は冷や汗が止まらなかったわ」
「エマ様の書斎では?」
「はっ!? 盲点だわ……」
うっかり、と舌を出すおちゃめなエマ様だった。
そういえば旦那様の書斎には入っても奥様の書斎に入ったことはなかったな。今度お邪魔してみようか?
「悪いことは言わないから、よしておきなさいな、坊や」
「坊や!? というか、心を読まれ……え?」
「四人も息子がいるとわかるものよ? 大方彼女の本棚を覗こうとしてるのだろうけれど、深淵もまた、こちらを覗くものよ」
な、なんだかご婦人の目が妙に黒く感じる……。これは一体?
背筋がゾクゾクしてきたので思いつきは却下することにした。まだ深淵とやらに足を突っ込む勇気はないかもしれない。
「話に戻るわよ。ルナちゃんのアピールを不覚にも無視したうえで、リュカと私、ふたりは言い争いに発展するの」
この時の動機など単純なものだった。
母親を取られた気分のリュカ様は、そう。
つまるところおもしろくなかったのである。
リュカ様は、かかとでカーペットを叩いた。無言の抗議である。こらえきれない不満が爆発するのは、まさに時間の問題であった。
ダメ押しは、エマ様のあの発言。
「だってルナちゃんってばリュカより断然かわいいじゃない? はぁぁぁ、ルナちゃんがうちのこでよかった!」
「なッ……!?」
リュカ様はキッと僕をにらみつける。
震える奥歯を噛み締めて、幼いリュカ様はなにかをこらえた表情だった。それでも、|眦《まなじり》に浮かぶ光る粒は彼の感情をよほど赤裸々に物語ってはいたが。
リュカ様はついに吠えた。
「母様もおまえもみんなだいっきらいだ! おれは、おれはッ……――」
言いたいことを言い終える前に、反抗したリュカ様は屋敷から庭の方へ飛び出したのだった。
「……りゅか、ひゃま?」
舌っ足らずの敬称で、僕は逃げるように去った彼をいつまでもみつめていた。
「この展開、まさか」
「そうよ、『リュカ、初めての家出! 家族分断の危機』なのよ」
「エマ様のひとでなし~~、あんまりですわぁ」
(ですよね、僕もそう思います。こんなあけすけに過去をばらまいて、挙げ句、興味をそそる見出しをつけるなん、て……)
「どうしてそんなことおっしゃったの! 多感なこどもに、まるで自分の子よりほかの子がよかったみたいなセリフ……あんまりですわぁ」
(え、そっち?)
拍子抜けする僕を置いてエマ様は手慣れた様子で進行する。
「私は自分の落ち度を、夕方になって自覚したわ。ひとり屋敷を出たきり帰ってこない息子の報告を受けて、ね。夫に詰め寄られて、白状したわ。そこでようやく怖くなったのよ。あの子が人さらいや命の危機に遭ってないか。どうか無事でいて、と。夫はすぐに騎士団へ、私は街まですぐ探しに出たわ」
ふたりが切迫した様子で出ていくのを僕は見ていた。
ところが、当のリュカ様は予想外の場所に居たのだった。
リュカ様はたしかに走っていった。そう、庭の方へ。
僕は走った方向を覚えていたから、庭の中に迷わず入っていった。薄暗い庭は、昼間とは打って変わって、少し不気味だった。
僕はズボンの前を握りしめる。「りゅかさま~、りゅかさま~」とメイドさんらの真似をしながら、彼を探して。
するとどうだろう。リュカ様は噴水で屋敷からは死角になる、一人乗りのブランコに腰掛けていたのだ。
「なんだ、おまえか……」
僕が声をかけても、リュカ様は顔をあげただけ。
その頭もすぐにうつむいてしまった。
リュカ様は、切ない表情を浮かべ、両親が走っていった街の方をみつめるばかり。探しに来た僕を見てもがっかりされて。
そうだろう。
彼が探しに来て欲しかったのは、ほかでもない。
「母様は、おれのことなんか……うう」
言っているそばからリュカ様は男泣きし始めた。
弱冠六歳のこどもが。
僕にはそこまでの情緒がなかったから、なぜリュカ様が静かに涙するのか、理由は分からなかったのだ。ただ……。
「つらいの? おなかいたい?」
気づけば、首を傾ける形で下がっていた彼の頭を撫でていた。
よしよしと、孤児院で年下の子を慰めるように。
「っ……は…………」
すると|嗚咽《おえつ》混じりに、彼の本音が聴こえてきた。
「いか、ないで。母様、父様。おれはここにいる。なんで……おまえなんか。お、おれのほうが、ずっと、ベルナルド家のこどもなんだぞ! 一番!! おまえはっ、ひぅ、だから……!!」
頭をポンポンしていると、その涙声も収まってきた。
今度は彼の方から抱きついてくる。ぎゅっと、体を寄せて、すがりつくように。
「おれをきらわないで……、母様」
「だいじょーぶだよ、りゅかさま」
初めて甘えられる態度。僕は大丈夫だと伝えて、抱きついてくる手を繋いだ。
それから、物怖じする彼を引っ張って、メイドさんたちが待つ屋敷へと歩いていった。
「どこからともなく現れたこどもたちに使用人たちはもう騒然! 慌てて私たちを呼び戻したらしいの。帰宅してみれば、もうっ、リュカったら目を真っ赤にさせて無言で抱きついてきたわ。ごめんなさいって。謝るのは私の方なのに」
あまりに印象的な記憶だったらしく、途中からエマ様も思い出してハンカチでその目元を拭った。
彼女にとっても、忘れられない思い出なのだろう。
「うう、感動的ですわ……」
「そこからは執事長のお説教よ。主人である私やリュカも含めて、心配をかけさせたことへのね。ただしルナちゃんだけはリュカをみつけてきたご褒美として、ロリポップが与えられたわ。おいしそうに頬張りながら時折こっちをみてね。うっかりはにかむのをこらえるのに、私たち、必死だったのよ?」
ひゅっとのどが鳴った。
かと思えば、静寂を破るご婦人たちの歓声。
「んま――――!!」という甲高い発狂が美しい庭園に響き渡った。
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