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前章 星降る夜(ニュイ・エトワレ)
昔話に花が咲く5
エマ様はとうとうふたりは、という出だしで続きから語り始めた。
「家出事件を境に仁義なき戦いが始まったわ」
「ごくり……」
「おもちゃの取り合いというね!!」
この小規模な諍いは、孤児院でもよく見かける光景だった。だがそこは職員やシスターらに厳しく躾けられていたので、僕は正直に、リュカ様にお願いした。
「リュカさまー、貸して」、と彼が遊んでいたおもちゃをねだる。
「なんでだ?」
「へっ?」
ただし出会ったばかりの僕らの関係性と、お坊ちゃま気質であるリュカ様の態度には通用しなかった。
「このおもちゃはすべておれのもの、おまえはおまえのもので遊んでいればいい」
素直に頼んでも取り付く島もない、といった態度。こどもながらにびっくりしたのを今でも覚えている。
なぜ借りられないのか、理解できない当時の僕は、譲ってくれないリュカ様に怒りさえ湧いた。
頬をぷくーっと膨らませて、頑ななリュカ様に猛抗議したのだ。
「むぅー、かしてよ! 僕のほうがとしした、なんだよ!?」
「はあ? それがどうした」
「ムキー! だから、僕がとししただからリュカさまはかしてくれなきゃなの!」
「はん。やだね」
「むおおおおおぅん!」
ろくすっぽ返せる言葉もないまま、辛辣な態度に泣きじゃくった。とはいえ、フレデリック様の腕の中で慰められるまで、リュカ様に立ち向かっていた。……まるで相手にはされていなかったのだが。
「そしてあくる日のおやつタイム。ついに、それは起きてしまったわ」
(ああ、はい。アレですねぇ)
「リュカは傲慢にも、ルナちゃんのおやつのプリンまでも食べてしまったのよ!」
「うわ~~、食べ盛り兄弟あるあるだわ」
「――ルナちゃんは、『るなにょだもんね!』と幼児返りしてしまったように、必死だったわ。火がついたように泣き出すルナちゃん相手に始終リュカはめんどくさそうだった。ルナのだもんと言い張って、リュカに謝らせようと、しつこく楯突くルナちゃん。懸命に、ひたすら一途にプリンの恨みをつのらせて」
食い下がる僕に嫌そうなリュカ様という構図こそ今と変わらないが、頑固さも未熟さもまだまだピークだった頃の話だ。
「背伸びしてもリュカの背丈になんて満足には届かない。だからでしょうね、頭に手をおいて払いのけようとしたその体格差に、リュカは衝撃を受けていたのよ」
唖然とするリュカ様はきっと思ったはずだ。
――ちんまい、と。
「ちんちくりん、そうあきらかにちっさいルナちゃんのかわいさが貫通したのよ!」
「今ちょっと僕ダメージを負ったんですが!? 気のせいですかッ!」
「……残念ながらルナちゃんでは勝てない。それを悟ることもできない愚かしさも相まって……ひたすらかわいい。泣かし泣かされしながら、リュカは初めて罪悪感というものを覚えたのよ。リュカには自発的にごめんなさいさせて、ふたりで遊ぶように指示したわ。わーいって目を輝かせるルナちゃんに、ようやくリュカも胸を撫で下ろしたみたい」
それからご満悦な僕は子供部屋のベッドですやすやと眠った。この頃ぐらいからリュカ様の体調に問題はなくなり、日中だけ一緒、というのが普通になった。
問題といえば、ぬいぐるみと寝ていることをリュカ様がからかうぐらいかな。
それはそれとして、あの部屋のぬいぐるみ、時折増えている節があるのだけれど……、フレデリック様のお土産かなあ?
「セイ、『かっぽーじゅーつ』!」
「「「はい?」」」
「みんなも復唱して。せーの」
「「「かっぽー、じゅーつ?」」」
エマ様がまたおかしなことを口走り始めた。しかもそれを他の参加者にまで強要しているという。
「そうよ、ルナちゃんは伝説の杯を求めるの」
「どこでですの?」
「いい質問ね。もちろん『喫茶幻想郷』で」
「もしやかの割引商品ではなくって!?」
一人の発言を皮切りに婦人たちがざわめきだす。エマ様はもったいぶったように、ゆっくりと首肯した。
「ええ。今では廃れてしまったけれど、当時はアベックストローでしか飲むことを許されなかった伝説の一品……らぶらぶ・カップルジュースセットよ!」
なんだろ、ひとつも覚えていない昔話だ。
僕は自分の気持ちに蓋をして、興味半分で人ごとのように聞き耳を立てる。表向きは大変遺憾です、みたいな顔を取り繕う。
「かっぽーじゅーつ……?」
昔の僕は、通りかかった店のショーウィンドウに映った商品をみておふたりに指さしたそうだ。
「ほしい! ルナ、あれのみたい!!」
背伸びでジャンプしては、物をねだったらしい。しかし物が物らしく、さすがのエマ様も最初はごめんねとなだめ、注文できない理由を述べたという。
まさかおねだりが通らないと思わなかった僕は、幼児らしく、だだをこねた。
「いーやーだああ。かってよー、じゅーつ、のみたあああいー、ぐすん」
両親ふたりもこれには困ったらしい。なにせ注文できない理由が理由だ。馬車の後ろに乗って僕のわがままにイライラしていたリュカ様は……さもありなん。
「はん。おまえはお子様だからダメなんだ」
自分のことをさくっと棚に上げてリュカ様は核心を突く。
「う……うう、ルナ、ちびくないもん! おとなだもん!!」
「大人はだもんなんて言わないぞ?」
「ぴぇぇぇぇー、リュカさまがいじめる~~」
泣き出した僕を慰めるために、フレデリック様は代わりの商品を店先で探そうとした。僕の機嫌をごまかそうとメニュー表に目を走らせる。その表情は鬼気迫るものだったとか。背中は冷や汗まみれだったらしいけれども。
そこへ、いやに真剣な目をした客に気づいた店のマスターが出てきた。好々爺といった風情でカールした口ひげの店主は、一連の過程を聞くと茶目っ気たっぷりにウィンクをした。
ベルナルド家一同はそれを二度見する。
店主はにっこり笑って、特別ですとオーダーを快諾したのだった。
サービスの一環として、アベックにしか本来渡さないストローを、兄弟という組を理由に、注文は受け付けられた。ほんとの兄弟ではなかったけれどね。
「さあ、召し上がれ。かわいいペアルックのお坊ちゃん方」
ピンク色に塗られたストローは中央部がマスターのヒゲのようにカールしてハート型を描いていたという。
「ふっわああああ~~! アレだ、ほんとにクルクルストロー出てきちぁあ!」
「フン、こんなものでずいぶんご機嫌だな」
手を叩いて喜ぶ僕は早速口をつける。もはやリュカ様の嫌味に応じる暇もないままで。
ひたすら急く僕は、のどをならしてストローをすすった。
「ひゃい……あれれ? のめ、んぐ……ズズズ……はにゃ?」
そのせいか、悲しいかな、僕の頭には説明すら入っていなかった。飲めないことがまた悲しくて、ボロボロと目から滴をこぼしていたという。せっかく出てきたものの、やはりお子様な僕では無理なのかと、涙がちょちょ切れるほどに。
「おい、聞いてないのか」
「ん? ぐすん……またリュカさまはぼくをばかにするの? ふええ、リュカさまきらい~~」
「なっ!? おまえごときがおれを嫌うなんて許さないぞ!」
「こわぁいいいいー」
机を叩いて抗議するリュカ様と大泣きする僕。店内はある意味騒然。エマ様が慌てて僕を抱きかかえて慰めに走るも、涙は急に引っ込まない。そんな店内を見かねてか、リュカ様は言った。
「おい! おまえも一緒に吸え」
「ふぇ? なんで……」
「いいから。こうだ!」
「へにゃぁ!?」
リュカ様の手によって強引に鼻をかすめ、口へとストローが突っ込まれる。そして、言った通りに吸うと――ごくり。
世にも甘いジュースがのどの奥へと流れていくではないか。たちまち目を輝かせたという、現金な僕。
ちいさな口でちびちび飲んでいると次第に店内が活気づいた。
窓際だったこともあり外からも目についたようだ。お客さんがどんどん入っては僕らと同じものを注文していく。
店主は看板に急きょ一日限定サービスと銘打って、『誰でもペアサービス』に打って出た。
僕らは頭をおっつけながらちゅうちゅう吸う。
間近にある相手の顔がおかしい僕と、店外からも注目を浴びるのが純粋に恥ずかしいリュカ様とは、同じように赤い顔をしていたとか――。
(なんです、それ! う、……羨ましい。正直、かつてないほど昔の僕が羨ましいんですがッ!?)
今のリュカ様ではどう親切心を発揮しても付き合ってくれそうにない演出に僕は動機がする。お子様の純真さがうらやまし……。
「まるでちいさい恋人さんね」
(なゃんと!?)
「ふふ、そうね。照れていたのはませたリュカだけだったけど、それもまた味わい深いのよ」
(ぐぬぬ……)
ふと隣の婦人が僕をみて首を傾げた。
「それにしてもルナちゃん様ってそんなに泣き虫なんですかぁ?」
「え……ええーっと」
(たしかに。昔の僕って泣いてばっかりいないか?)
過去の自分の涙腺に疑問を抱いていると、エマ様が回答した。
「今はそんなことないわよ。でも昔は感受性が豊かで自分の情緒に振り回されていた感じかしらね」
「ああ、なるほど」
「そういえばこんなこともあったね……。帰りの馬車の中でふたりを隣同士にさせておいたら、先にルナちゃんが眠ってしまって。でね、寝ぼけていたのかしら、リュカの指にちうちう吸い付いてたのよ!? あの子は仰天して、でも寝ているルナちゃんを起こさないよう叫び声を抑えてて……」
「「「ンぎゃああああああ!?」」」
その裏話に、ご婦人たちは揃って発狂し、あとには悶絶していたのだった。
「家出事件を境に仁義なき戦いが始まったわ」
「ごくり……」
「おもちゃの取り合いというね!!」
この小規模な諍いは、孤児院でもよく見かける光景だった。だがそこは職員やシスターらに厳しく躾けられていたので、僕は正直に、リュカ様にお願いした。
「リュカさまー、貸して」、と彼が遊んでいたおもちゃをねだる。
「なんでだ?」
「へっ?」
ただし出会ったばかりの僕らの関係性と、お坊ちゃま気質であるリュカ様の態度には通用しなかった。
「このおもちゃはすべておれのもの、おまえはおまえのもので遊んでいればいい」
素直に頼んでも取り付く島もない、といった態度。こどもながらにびっくりしたのを今でも覚えている。
なぜ借りられないのか、理解できない当時の僕は、譲ってくれないリュカ様に怒りさえ湧いた。
頬をぷくーっと膨らませて、頑ななリュカ様に猛抗議したのだ。
「むぅー、かしてよ! 僕のほうがとしした、なんだよ!?」
「はあ? それがどうした」
「ムキー! だから、僕がとししただからリュカさまはかしてくれなきゃなの!」
「はん。やだね」
「むおおおおおぅん!」
ろくすっぽ返せる言葉もないまま、辛辣な態度に泣きじゃくった。とはいえ、フレデリック様の腕の中で慰められるまで、リュカ様に立ち向かっていた。……まるで相手にはされていなかったのだが。
「そしてあくる日のおやつタイム。ついに、それは起きてしまったわ」
(ああ、はい。アレですねぇ)
「リュカは傲慢にも、ルナちゃんのおやつのプリンまでも食べてしまったのよ!」
「うわ~~、食べ盛り兄弟あるあるだわ」
「――ルナちゃんは、『るなにょだもんね!』と幼児返りしてしまったように、必死だったわ。火がついたように泣き出すルナちゃん相手に始終リュカはめんどくさそうだった。ルナのだもんと言い張って、リュカに謝らせようと、しつこく楯突くルナちゃん。懸命に、ひたすら一途にプリンの恨みをつのらせて」
食い下がる僕に嫌そうなリュカ様という構図こそ今と変わらないが、頑固さも未熟さもまだまだピークだった頃の話だ。
「背伸びしてもリュカの背丈になんて満足には届かない。だからでしょうね、頭に手をおいて払いのけようとしたその体格差に、リュカは衝撃を受けていたのよ」
唖然とするリュカ様はきっと思ったはずだ。
――ちんまい、と。
「ちんちくりん、そうあきらかにちっさいルナちゃんのかわいさが貫通したのよ!」
「今ちょっと僕ダメージを負ったんですが!? 気のせいですかッ!」
「……残念ながらルナちゃんでは勝てない。それを悟ることもできない愚かしさも相まって……ひたすらかわいい。泣かし泣かされしながら、リュカは初めて罪悪感というものを覚えたのよ。リュカには自発的にごめんなさいさせて、ふたりで遊ぶように指示したわ。わーいって目を輝かせるルナちゃんに、ようやくリュカも胸を撫で下ろしたみたい」
それからご満悦な僕は子供部屋のベッドですやすやと眠った。この頃ぐらいからリュカ様の体調に問題はなくなり、日中だけ一緒、というのが普通になった。
問題といえば、ぬいぐるみと寝ていることをリュカ様がからかうぐらいかな。
それはそれとして、あの部屋のぬいぐるみ、時折増えている節があるのだけれど……、フレデリック様のお土産かなあ?
「セイ、『かっぽーじゅーつ』!」
「「「はい?」」」
「みんなも復唱して。せーの」
「「「かっぽー、じゅーつ?」」」
エマ様がまたおかしなことを口走り始めた。しかもそれを他の参加者にまで強要しているという。
「そうよ、ルナちゃんは伝説の杯を求めるの」
「どこでですの?」
「いい質問ね。もちろん『喫茶幻想郷』で」
「もしやかの割引商品ではなくって!?」
一人の発言を皮切りに婦人たちがざわめきだす。エマ様はもったいぶったように、ゆっくりと首肯した。
「ええ。今では廃れてしまったけれど、当時はアベックストローでしか飲むことを許されなかった伝説の一品……らぶらぶ・カップルジュースセットよ!」
なんだろ、ひとつも覚えていない昔話だ。
僕は自分の気持ちに蓋をして、興味半分で人ごとのように聞き耳を立てる。表向きは大変遺憾です、みたいな顔を取り繕う。
「かっぽーじゅーつ……?」
昔の僕は、通りかかった店のショーウィンドウに映った商品をみておふたりに指さしたそうだ。
「ほしい! ルナ、あれのみたい!!」
背伸びでジャンプしては、物をねだったらしい。しかし物が物らしく、さすがのエマ様も最初はごめんねとなだめ、注文できない理由を述べたという。
まさかおねだりが通らないと思わなかった僕は、幼児らしく、だだをこねた。
「いーやーだああ。かってよー、じゅーつ、のみたあああいー、ぐすん」
両親ふたりもこれには困ったらしい。なにせ注文できない理由が理由だ。馬車の後ろに乗って僕のわがままにイライラしていたリュカ様は……さもありなん。
「はん。おまえはお子様だからダメなんだ」
自分のことをさくっと棚に上げてリュカ様は核心を突く。
「う……うう、ルナ、ちびくないもん! おとなだもん!!」
「大人はだもんなんて言わないぞ?」
「ぴぇぇぇぇー、リュカさまがいじめる~~」
泣き出した僕を慰めるために、フレデリック様は代わりの商品を店先で探そうとした。僕の機嫌をごまかそうとメニュー表に目を走らせる。その表情は鬼気迫るものだったとか。背中は冷や汗まみれだったらしいけれども。
そこへ、いやに真剣な目をした客に気づいた店のマスターが出てきた。好々爺といった風情でカールした口ひげの店主は、一連の過程を聞くと茶目っ気たっぷりにウィンクをした。
ベルナルド家一同はそれを二度見する。
店主はにっこり笑って、特別ですとオーダーを快諾したのだった。
サービスの一環として、アベックにしか本来渡さないストローを、兄弟という組を理由に、注文は受け付けられた。ほんとの兄弟ではなかったけれどね。
「さあ、召し上がれ。かわいいペアルックのお坊ちゃん方」
ピンク色に塗られたストローは中央部がマスターのヒゲのようにカールしてハート型を描いていたという。
「ふっわああああ~~! アレだ、ほんとにクルクルストロー出てきちぁあ!」
「フン、こんなものでずいぶんご機嫌だな」
手を叩いて喜ぶ僕は早速口をつける。もはやリュカ様の嫌味に応じる暇もないままで。
ひたすら急く僕は、のどをならしてストローをすすった。
「ひゃい……あれれ? のめ、んぐ……ズズズ……はにゃ?」
そのせいか、悲しいかな、僕の頭には説明すら入っていなかった。飲めないことがまた悲しくて、ボロボロと目から滴をこぼしていたという。せっかく出てきたものの、やはりお子様な僕では無理なのかと、涙がちょちょ切れるほどに。
「おい、聞いてないのか」
「ん? ぐすん……またリュカさまはぼくをばかにするの? ふええ、リュカさまきらい~~」
「なっ!? おまえごときがおれを嫌うなんて許さないぞ!」
「こわぁいいいいー」
机を叩いて抗議するリュカ様と大泣きする僕。店内はある意味騒然。エマ様が慌てて僕を抱きかかえて慰めに走るも、涙は急に引っ込まない。そんな店内を見かねてか、リュカ様は言った。
「おい! おまえも一緒に吸え」
「ふぇ? なんで……」
「いいから。こうだ!」
「へにゃぁ!?」
リュカ様の手によって強引に鼻をかすめ、口へとストローが突っ込まれる。そして、言った通りに吸うと――ごくり。
世にも甘いジュースがのどの奥へと流れていくではないか。たちまち目を輝かせたという、現金な僕。
ちいさな口でちびちび飲んでいると次第に店内が活気づいた。
窓際だったこともあり外からも目についたようだ。お客さんがどんどん入っては僕らと同じものを注文していく。
店主は看板に急きょ一日限定サービスと銘打って、『誰でもペアサービス』に打って出た。
僕らは頭をおっつけながらちゅうちゅう吸う。
間近にある相手の顔がおかしい僕と、店外からも注目を浴びるのが純粋に恥ずかしいリュカ様とは、同じように赤い顔をしていたとか――。
(なんです、それ! う、……羨ましい。正直、かつてないほど昔の僕が羨ましいんですがッ!?)
今のリュカ様ではどう親切心を発揮しても付き合ってくれそうにない演出に僕は動機がする。お子様の純真さがうらやまし……。
「まるでちいさい恋人さんね」
(なゃんと!?)
「ふふ、そうね。照れていたのはませたリュカだけだったけど、それもまた味わい深いのよ」
(ぐぬぬ……)
ふと隣の婦人が僕をみて首を傾げた。
「それにしてもルナちゃん様ってそんなに泣き虫なんですかぁ?」
「え……ええーっと」
(たしかに。昔の僕って泣いてばっかりいないか?)
過去の自分の涙腺に疑問を抱いていると、エマ様が回答した。
「今はそんなことないわよ。でも昔は感受性が豊かで自分の情緒に振り回されていた感じかしらね」
「ああ、なるほど」
「そういえばこんなこともあったね……。帰りの馬車の中でふたりを隣同士にさせておいたら、先にルナちゃんが眠ってしまって。でね、寝ぼけていたのかしら、リュカの指にちうちう吸い付いてたのよ!? あの子は仰天して、でも寝ているルナちゃんを起こさないよう叫び声を抑えてて……」
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