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2人の初夜
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さて、夜はふけ。晩餐も終わり、いよいよ寝室へ向かう。
寝室はこの3ヶ月で壁紙やカーテン、布団やカーペットなどを新しいものに全て変えた。
侯爵家自体、とても良い作りをしてはいるが、やや古びた感じであったので、とても新鮮な印象を受ける。
先にシアが寝室へと入っていって、寝るための身支度をする。
その後、少し時間を置いてからサージャが寝室へと入っていった。
寝室では、シアがベットに座っていた。長く垂れた髪は、蝋燭の光を受けキラキラと輝いて見える。その中に色の白い顔の空色の瞳が鮮明にサージャを捕らえていた。
サージャは、静かにその美しい金の髪が触れるくらい近くのベッドに腰かけた。
シアは、少しだけ小さな声でサージャに囁く。
「サージャは、よく見ると夜空の瞳をしといるのね?」
サージャは、優しくシアの手を握る。
「そんなふうに言われてことは、生まれて初めてだが?」
「あら?髪も真っ黒で、本当に夜から切り取ったみたいに・・・」
シアはそういうと、サージャの手を握り返してきた。サージャが少しビックリして、目を瞬く。
「昔から、そう。私がまだ子供の頃から、あなたは他の人とは違っていたわ。」
シアが嬉しそうにそう言うと、うっとりと瞳を閉じた。
「あれは確か殿下が始めて閲兵式に臨んだ時だったか。あなたは全身真っ黒な鎧に身を包んで・・・とても迫力があって。私、幼心にも興奮してしまって。その後、陛下に近衛隊に入りたいと我儘をいったものだ・・・」
サージャも近衛隊にいたから、そういう事もあっただろうが・・・いや、ありすぎていつのことかは分からないが。幼い頃から皇女がこんな事を考えていたとは、流石に思いつかなかった。
シアは、さらにビックリするような事を続ける。
「だから、剣術も陛下に頼んで習ったし、馬にも乗れるのだよ。それだけではない。侯爵家は、元々軍人の家系。屋敷も城のような優美さはなく、どちらかと言えば防御のできる砦のようなたたづまい!本当に素晴らしい事この上ない!」
シアは瞳をキラキラと輝かせながらサージャの手をさらに強く握り返してきた。
「私は本当に侯爵家に降下したのだと、嬉しくって、サージャに感謝の意を伝よう!」
サージャは、興奮するシアを横目に、大変冷静であった。
「では、侍女から聞いた初夜のお話は?」
「うむ、こうして手を繋げばいつのまにか終わると申しておった!」
ニコニコニコ・・・
「えっと・・・」
サージャはため息をついた。
そう、つまり。嵌められたのだ。皇帝に。
この婚礼は、褒美などというものではなく、嫁の貰い手のない娘を押し付ける最高の方法だったという事だ。そう、アナスタシアは、とても精神年齢が子供で。立派な女性の体をしているが・・・19歳と言えど、初夜など迎えられない人であるのだ。まあ、確かに、そういう行為をしなくとも、シアは、ジェットラム公爵家に降下した以上、皇帝にしてみたら問題はない。
サージャは、シアから手を離し、頭をガリガリと掻き毟った。
「どうしたのだ?どこか悪いのか?!」
シアが驚きながらサージャの顔を覗いてくる。
サージャは、ベットから立ち上がると、こう言った。
「シア、今晩は疲れただろうからここでゆっくりしたまえ。私は急用を思い出したので今日は別の部屋で過ごす」
そう言うと、サージャは、あっという間に部屋を出ていった。
こうして後に残されたシアは、ニコニコしなが1人寝室に残されたのである。
「うむ、サージャはなんと親切な夫であろう。私はここでは退屈しなくても良さそうだ。」
と。
寝室はこの3ヶ月で壁紙やカーテン、布団やカーペットなどを新しいものに全て変えた。
侯爵家自体、とても良い作りをしてはいるが、やや古びた感じであったので、とても新鮮な印象を受ける。
先にシアが寝室へと入っていって、寝るための身支度をする。
その後、少し時間を置いてからサージャが寝室へと入っていった。
寝室では、シアがベットに座っていた。長く垂れた髪は、蝋燭の光を受けキラキラと輝いて見える。その中に色の白い顔の空色の瞳が鮮明にサージャを捕らえていた。
サージャは、静かにその美しい金の髪が触れるくらい近くのベッドに腰かけた。
シアは、少しだけ小さな声でサージャに囁く。
「サージャは、よく見ると夜空の瞳をしといるのね?」
サージャは、優しくシアの手を握る。
「そんなふうに言われてことは、生まれて初めてだが?」
「あら?髪も真っ黒で、本当に夜から切り取ったみたいに・・・」
シアはそういうと、サージャの手を握り返してきた。サージャが少しビックリして、目を瞬く。
「昔から、そう。私がまだ子供の頃から、あなたは他の人とは違っていたわ。」
シアが嬉しそうにそう言うと、うっとりと瞳を閉じた。
「あれは確か殿下が始めて閲兵式に臨んだ時だったか。あなたは全身真っ黒な鎧に身を包んで・・・とても迫力があって。私、幼心にも興奮してしまって。その後、陛下に近衛隊に入りたいと我儘をいったものだ・・・」
サージャも近衛隊にいたから、そういう事もあっただろうが・・・いや、ありすぎていつのことかは分からないが。幼い頃から皇女がこんな事を考えていたとは、流石に思いつかなかった。
シアは、さらにビックリするような事を続ける。
「だから、剣術も陛下に頼んで習ったし、馬にも乗れるのだよ。それだけではない。侯爵家は、元々軍人の家系。屋敷も城のような優美さはなく、どちらかと言えば防御のできる砦のようなたたづまい!本当に素晴らしい事この上ない!」
シアは瞳をキラキラと輝かせながらサージャの手をさらに強く握り返してきた。
「私は本当に侯爵家に降下したのだと、嬉しくって、サージャに感謝の意を伝よう!」
サージャは、興奮するシアを横目に、大変冷静であった。
「では、侍女から聞いた初夜のお話は?」
「うむ、こうして手を繋げばいつのまにか終わると申しておった!」
ニコニコニコ・・・
「えっと・・・」
サージャはため息をついた。
そう、つまり。嵌められたのだ。皇帝に。
この婚礼は、褒美などというものではなく、嫁の貰い手のない娘を押し付ける最高の方法だったという事だ。そう、アナスタシアは、とても精神年齢が子供で。立派な女性の体をしているが・・・19歳と言えど、初夜など迎えられない人であるのだ。まあ、確かに、そういう行為をしなくとも、シアは、ジェットラム公爵家に降下した以上、皇帝にしてみたら問題はない。
サージャは、シアから手を離し、頭をガリガリと掻き毟った。
「どうしたのだ?どこか悪いのか?!」
シアが驚きながらサージャの顔を覗いてくる。
サージャは、ベットから立ち上がると、こう言った。
「シア、今晩は疲れただろうからここでゆっくりしたまえ。私は急用を思い出したので今日は別の部屋で過ごす」
そう言うと、サージャは、あっという間に部屋を出ていった。
こうして後に残されたシアは、ニコニコしなが1人寝室に残されたのである。
「うむ、サージャはなんと親切な夫であろう。私はここでは退屈しなくても良さそうだ。」
と。
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