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第一部・食戦鬼? あ、食洗機ですか。
第25話・楽しい領地経営の始まりですが……楽しい?
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夕方。
一連の騒動が鎮圧されました。
この領主館に護衛として出入りしていたごろつき冒険者やら、アカニシ男爵領の商業ギルドから派遣されてきた職員やら。
あとはこの街の酒場の従業員だったり商業地区を牛耳っている重鎮の老人とかまで、屋敷の応接間に集まって酒を飲んで歓談していましたよ。
挙句、騎士団が飛び込んでも何事か理解できず、そのまま縄で縛られてようやく酒が抜けたのか叫んでいたり。
私が執務室を後にした時の騒動は、この応接間での出来事だったそうです。
今はその者たちがまとめて玄関ホールに座らされて、沙汰が降りるのを待っているようです。
『この私にこのような真似を!!』とか『俺にこんなことをして、ただで済むと思っているのか』とか。
しまいには『私のバックには、メルルーサ子爵が付いているんだ』などど、とんでもない証拠を色々と教えてくれましたよ。
この人たちは馬鹿ですか?
あなたの目の前にいる女性は、そのメルルーサ子爵を統括しているランカスター伯爵家の令嬢ですよ?
「さて、貴方たちは後日、王都からくる審問官に引き渡します。そこですべての罪を償ってください」
「なんだ小娘がぁぁ!! とっととこの縄外すのなら、貴様の命は奪わないでやる。だからとっとと外せ」
うん、さらに馬鹿がいます。
「その小娘ですけれど。自己紹介が遅れましたね、つい先日、陛下よりこの地を治めるように仰せつかいましたシルヴィア・ランカスター準男爵です。こちらが任命書、そしてこれが準男爵の身分を証明する儀礼用短剣ですね」
私の横でコデックスさんがせ任命書を掲げ、私も短剣を前に差し出します。
すると、その場の全員の顔色が真っ青になりましたよ、一人を除いて。
「そ、そんなものは偽物だ、それに準男爵とかいったな、俺の父親はこの地を治める男爵だぞ、不敬罪で処刑されたくなかったら、とっとと俺を開放しろ」
うん、レオニード君は黙っていようね。
「その男爵に領地を与えたのは、私の父であるスミス・ランカスター伯爵なのですけれど。あんた、伯爵家の令嬢であり準男爵である私に向かって、ずいぶんと偉そうじゃない……不敬罪で、その首を嵌め飛ばしてもいいのよ?」
ニマァァァァァッといやらしい笑いの演技。
するとレオニードも真っ青な顔になりましたよ。
「それじゃあ、ここの領地には常駐騎士団はいないようなので、うちの騎士団の半分をここの常駐騎士団として市街地に派遣します。足りない人材はまあ、募集なりなんなりして集めてください。さすがに全員を常駐にしますと、私の護衛がいなくなりますので。では、まずはこの犯罪者たちを牢に閉じ見込めておいてください」
にっこりと笑顔で指示を出し、これで一件落着です。
「な、なぁ……うちの領主さまって、護衛が必要なのか?」
「むしろ、俺たちの方が守って貰われそうなんだけれど……」
などという騎士のつぶやきも聞こえてきましたけれど、そこにはにっこりと笑顔で返事。
言葉はいりませんよね?
「では、あとのことは騎士団長にお任せします。まずは、この領内にはびこっていた汚職やらなんやらかんやら、まとめて掃除しますよ!! 私がのんびりと暮らすために!!」
「畏まりました。それでは騎士団よ、この者たちを町の詰所まで連行しろ!」
支柱引き回しで街の中を練り歩くのですから、もう彼らについてはこの領内ではまともな生活を送ろことなんてできませんね。
もっとも王都に送ることになるのでそれどころじゃないと思いますけれど。
………
……
…
これが、私がこの世界にやってきてからの一連の騒動でした。
突然の死からの異世界転生、そして実に奇妙な能力を授かった直後に暗殺者に襲われて。
それもどうにか話し合いで解決したと思ったら、今度は赴任先である領地で暴き出した犯罪行為の数々。
まだまだこの地でのもめ事は起こりそうですけれど、まずはいっかりと基盤を作らなくてはなりませんね。
はあ……。
本当に、私がゆっくりと出来る時間は、いつになったら手に入れることが出来るのでしょうか。
――to be continue
一連の騒動が鎮圧されました。
この領主館に護衛として出入りしていたごろつき冒険者やら、アカニシ男爵領の商業ギルドから派遣されてきた職員やら。
あとはこの街の酒場の従業員だったり商業地区を牛耳っている重鎮の老人とかまで、屋敷の応接間に集まって酒を飲んで歓談していましたよ。
挙句、騎士団が飛び込んでも何事か理解できず、そのまま縄で縛られてようやく酒が抜けたのか叫んでいたり。
私が執務室を後にした時の騒動は、この応接間での出来事だったそうです。
今はその者たちがまとめて玄関ホールに座らされて、沙汰が降りるのを待っているようです。
『この私にこのような真似を!!』とか『俺にこんなことをして、ただで済むと思っているのか』とか。
しまいには『私のバックには、メルルーサ子爵が付いているんだ』などど、とんでもない証拠を色々と教えてくれましたよ。
この人たちは馬鹿ですか?
あなたの目の前にいる女性は、そのメルルーサ子爵を統括しているランカスター伯爵家の令嬢ですよ?
「さて、貴方たちは後日、王都からくる審問官に引き渡します。そこですべての罪を償ってください」
「なんだ小娘がぁぁ!! とっととこの縄外すのなら、貴様の命は奪わないでやる。だからとっとと外せ」
うん、さらに馬鹿がいます。
「その小娘ですけれど。自己紹介が遅れましたね、つい先日、陛下よりこの地を治めるように仰せつかいましたシルヴィア・ランカスター準男爵です。こちらが任命書、そしてこれが準男爵の身分を証明する儀礼用短剣ですね」
私の横でコデックスさんがせ任命書を掲げ、私も短剣を前に差し出します。
すると、その場の全員の顔色が真っ青になりましたよ、一人を除いて。
「そ、そんなものは偽物だ、それに準男爵とかいったな、俺の父親はこの地を治める男爵だぞ、不敬罪で処刑されたくなかったら、とっとと俺を開放しろ」
うん、レオニード君は黙っていようね。
「その男爵に領地を与えたのは、私の父であるスミス・ランカスター伯爵なのですけれど。あんた、伯爵家の令嬢であり準男爵である私に向かって、ずいぶんと偉そうじゃない……不敬罪で、その首を嵌め飛ばしてもいいのよ?」
ニマァァァァァッといやらしい笑いの演技。
するとレオニードも真っ青な顔になりましたよ。
「それじゃあ、ここの領地には常駐騎士団はいないようなので、うちの騎士団の半分をここの常駐騎士団として市街地に派遣します。足りない人材はまあ、募集なりなんなりして集めてください。さすがに全員を常駐にしますと、私の護衛がいなくなりますので。では、まずはこの犯罪者たちを牢に閉じ見込めておいてください」
にっこりと笑顔で指示を出し、これで一件落着です。
「な、なぁ……うちの領主さまって、護衛が必要なのか?」
「むしろ、俺たちの方が守って貰われそうなんだけれど……」
などという騎士のつぶやきも聞こえてきましたけれど、そこにはにっこりと笑顔で返事。
言葉はいりませんよね?
「では、あとのことは騎士団長にお任せします。まずは、この領内にはびこっていた汚職やらなんやらかんやら、まとめて掃除しますよ!! 私がのんびりと暮らすために!!」
「畏まりました。それでは騎士団よ、この者たちを町の詰所まで連行しろ!」
支柱引き回しで街の中を練り歩くのですから、もう彼らについてはこの領内ではまともな生活を送ろことなんてできませんね。
もっとも王都に送ることになるのでそれどころじゃないと思いますけれど。
………
……
…
これが、私がこの世界にやってきてからの一連の騒動でした。
突然の死からの異世界転生、そして実に奇妙な能力を授かった直後に暗殺者に襲われて。
それもどうにか話し合いで解決したと思ったら、今度は赴任先である領地で暴き出した犯罪行為の数々。
まだまだこの地でのもめ事は起こりそうですけれど、まずはいっかりと基盤を作らなくてはなりませんね。
はあ……。
本当に、私がゆっくりと出来る時間は、いつになったら手に入れることが出来るのでしょうか。
――to be continue
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