型録通販から始まる、追放令嬢のスローライフ

呑兵衛和尚

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2巻

2-3

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     ◇ ◇ ◇


 ──ヤーギリ川本流、コユーン川・上流域。
 人外魔境と呼ぶのが相応ふさわしい秘境。
 コユーン川上流域にある山脈地帯の一角、水竜の住まう巨大な湖では、流れの冒険者とバルバロッサ帝国の騎士たちが戦闘を繰り広げている。
 始めは敵対していた冒険者と水竜たちだったが、帝国の脅威を前に手を組んだのだ。
 冒険者はわずか三名、それに水竜たちが手を貸している。
 それに対して、バルバロッサ帝国の騎士は百人以上。
 魔法兵や重装の盾騎士、軽装騎士などが徐々に冒険者たちを取り囲み始めている。
 冒険者の背後には結界があるので、後ろに回られることはないのだが、さすがにこの数は多勢に無勢。
 最初は勢いのあった冒険者たちも、そろそろ限界の色が見え始めている。

「スターク、もう魔力が限界です」
「俺もだ。武器がほとんど吹き飛ばされた……どうする?」

 冒険者のリーダーであるスタークはチラリと後ろを見た。
 この背後の結界の奥が、水竜の聖域であり、【水域の聖玉】が納められているほこらがある場所だ。
 その手前には水竜の眷属であるリザードマンたちが集まり、最後の防衛ラインを引いているのだが、その数も少ない。
 最初は最前列で魔族の騎士たちと戦っていたのだが、ほぼ防戦一方、少しずつ倒れていく仲間を見て、ついに結界の内部に避難したのである。

「こいつを帝国に渡すわけにはいかないからな。そんなことになったら、この大陸のすべての水が支配されてしまうことになる」
「そうなると、彼らは大地から水を奪い、私たちを追い詰めるでしょう。そんなことにならないように、なんとしても守らなくてはなりません!」

 スタークたちは最後の気力を振り絞り、武器を構える。
 背後のリザードマンや水竜たちも疲弊ひへいし、限界が近い。
 普通ならば、人間ごときに竜族が遅れを取ることはないのだが、バルバロッサ軍の持つ古代の【魔導遺物品アーティファクト】が、竜族の力を完全に封じている。

「クックックッ。もう終わりだよ、これで聖玉は我らのものだ……行け!」

 バルバロッサ軍の騎士団長の号令。
 そして騎士たちが一斉に進んだその時。
 ──シャポーン。
 最前列の騎士たちの姿が消滅した。
 いや、正確には、騎士たちのいた場所には、小さなぬいぐるみが転がっていた。

「な、なんだ!?」

 後続の騎士がふと上を向くと、そこには一本のほうきにまたがった女二人の姿があった。

「ま、間に合いました!」
「間に合えば上等だし。え~っと、魔族の騎士たちに告ぐ。あーしは柚月ルカ、このハーバリオス王国の勇者の一人なり。貴殿らは……我が国の領土を侵害した、速やかに戻るならば命までは取らないが、抵抗するならば、処す!」

 上空から柚月が叫ぶ。
 だが、騎士団長は右手を上げてから、柚月に向かって振りおろす!

「あの小娘を落とせ!」
「甘いし! キルティング発動!」

 柚月は右手を騎士団長に向かって伸ばし、指先で印を組む。
 その瞬間、騎士団長も小さなぬいぐるみに変化した。
 地面に転がり物言わぬぬいぐるみを見て、騎士たちは動揺する。

「まだやるなら、全員をぬいぐるみにするし!」

 叫びながら、次々と騎士たちをぬいぐるみに変えていく柚月。
 次々と戦力をけずられていく恐怖が騎士たちを襲う。
 指揮官を失い、動揺したところにさらなる追撃。
 最終的には、騎士たちの三分の一がぬいぐるみに変化し、その場に転がってしまうという事態になった。


「……あんたたちは、冒険者?」

 大量のぬいぐるみが転がっている中、柚月は黒いローブ姿のぬいぐるみを拾いつつ、スタークたちに問いかける。
 するとスタークたちは、柚月に向かって頭を下げた。

「俺たちは、自由貿易国家・パルフェランから来た冒険者です。とある依頼で、この辺りの調査をしていました」
「ふぅん。あーしの敵じゃないなら、別に構わないよ」

 そう話しつつ、柚月はぬいぐるみが手にした小さな杖を引っこ抜く。
 それは一瞬で巨大な杖に戻ると、柚月は右手でそれを構え、じっと眺める。

「こんなものがあったら、またここに来るに決まっているからね。危ないものは没収するし」
「そ、それは?」
「これは竜を支配できる錫杖しゃくじょう。王都の図書館で見た本に載っていた魔導具で、魔族が使っているって書いてあったし。そのせいで、水竜が力を失ったんじゃないかな~って思ってた」

 説明をしてから、柚月は錫杖を【アイテムボックス】に納める。
 柚月は気楽に呟いているが、スタークたちは彼女から感じる魔力に圧倒されていた。

「そ、そうですか」
「このぬいぐるみ、あと六時間で元に戻るから、今のうちに武器とか鎧とか、がしておくといいよ。誰でも外せるから」

 そう話してから、柚月も近くのぬいぐるみを物色してよさげな装備を外していく。
 そして一時間ほどすると、柚月はエリアスに何も告げずに、ス~ッと箒で飛び上がり宿場町へ帰ろうとした。

「あ、勇者様! せめてお礼を!」
「そこの騎士たちから現物で回収したからいいし。後始末、よろしく」

 ブンブンと手を振ってから、柚月はバビューンと飛んでいく。
 そしてその場に残されたスタークやリザードマン、水竜たちは、ぬいぐるみを一か所に集めることにした。

「さてと。この騎士から回収した装備を売れば、またスイーツも買えるよね。あとは、どんなメニューがあるのかな~」

 まだ見ぬスイーツと、あと少しだけお土産のことを考えつつ、柚月はまっすぐにヤーギリの町へと飛んで帰っていく。
 ちょうど時間は夕方、教会の鐘の音が遠くから聞こえてきた。


     ◇ ◇ ◇


 夕方の鐘が鳴っています。
 エリアスさんと勇者・柚月ルカさんが上流に飛んでいって、すでに一日が経過しようとしています。
 川の状態は相変わらず。土嚢を積んだ堤防のおかげで町側に氾濫する様子はありませんけど、万が一のためにと今日も冒険者さんや護衛さんたちが駆り出されています。
 私はずっと宿の食堂で、集まっている人たちに梅雨対策グッズを販売していましたけど。

「……予想外の売り上げですね。売れるかなぁと思っていた梅雨を乗り切るグッズとやらも、もう在庫がほとんどありませんよ」
「姐さん、普段なら売れる衣料品や靴とかは結構残っているんだが。これはどうするんだ?」
「川の向こうの宿場町で販売しましょう。もう夕方ですから、即日発送も……って、ブランシュさん?」

 気がつくとブランシュさんの姿が消えています。
 その代わりに、ノワールさんが椅子に座っています。
 今は店内なので執事服、鎧も剣もありません。

「鐘が鳴り終わったので、私が代わりに出てきただけですよ。それとも、私よりもブランシュの方にいてほしいとか?」
「いえいえ、そんなことは考えたこともありませんね。ブランシュさんもノワールさんも、私にとっては大切な人ですよ?」

 そう話したのですが、どうしてノワールさんは頬を押さえてプルプルと震えているのでしょうか?
 心なしか顔も赤いですし。

「あ、主にそう言われると、照れるではないですか」
「そうですか? ふふ」

 ──ガチャッ。
 ノワールさんを少しからかっていると、宿の扉が開き、柚月さんが帰ってきました。
 店内を見渡してから、私の方にまっすぐにやってきます。

「ただいまぁ。上流の件は片付いたし、数日もしないうちに川の氾濫もおさまるし」

 ──ウォォォオオォォォォ!
 店内に歓声が湧き起こりました。
 長かった川の氾濫も収まりそうで、ようやく対岸に向かうことができますね。
 まあ、渡し船の積載人数? にも限りがありそうですし、私より先に来た人が優先でしょうから、もう少しはここに留まりそうですけれど。

「おつかれさまでした。本日は、柚月さんをいたわらせてもらいますね」
「嬉しいし。あーしも、こっちの世界で、初めて本気を出したし……って、そちらの執事さんは? ブランシュさんはどこに行ったの?」

 私のそばにノワールさんがいるので驚いているようです。

「私はノワールと申します。クリスティナ・フェイール様の従者兼、フェイール商店の店員を務めています。あなたは今代の勇者様ですね?」
「そうとも言うし。あーしは柚月ルカ。よろしく」
「そうですか。今後とも、よろしくお願いします」

 丁寧な挨拶の後、ノワールさんは商品の整理を始めました。

「それでクリスっち、労わるってことは、なんかくれるの?」
「そうですねぇ。食料品の在庫がないので、新しく発注する必要もありますから……柚月さんのお好きなものを、明日の夕方には届くように、即日発送で仕入れることにしましょう」
「即日発送? ネット通販みたいだし」

 ネット通販?
 それはなんでしょうか?

「ネット通販って、なんでしょうか?」
「うーんと。あーしの世界にある買い物の方法で、インターネットで商品を注文して、それを届けてもらうし」
「へぇ、型録通販のようですね?」
「え?」

 あ、私、失言。
 チラリと柚月さんを見た瞬間、いきなり両肩をガシッと掴まれました。

「なんで型録通販のことを知ってんの? あーしにも詳しく教えるし」
「え、ええっと……あはは……ノワールさん、留守番をお願いします」
「かしこまりました」

 そのまま私は、柚月さんと部屋に移動することにしました。
 いえ、食堂で説明すると、また周りの人が騒がしくなりそうですので。


「シャーリィの魔導書、ねぇ」

 部屋に戻った私と柚月さん。
 まず、柚月さんが勇者であること、この町をほぼ無償で助けてくれたことなどを考慮した結果。
 私は、柚月さんを信用することにしました。
 そしてシャーリィの魔導書を取り出して説明すると、柚月さんの目がキラキラと輝いているではありませんか。

「おばぁの家にも、こういう型録通販の本があったし。おばぁ、インターネットとかスマホとかの使い方がわからないから、型録通販で色々と取り寄せているって話していたことあったし」
「そうなのですか? これは私が契約している魔導書でして。この中には、このように」

 ──ペラッ。
 ページをめくると、柚月さんが破顔しました。
 満面の笑みを浮かべて、型録通販のページを見ています。

「これ、どれでも取り寄せられるの?」
「はい。あらかじめお金をチャージしておけば大丈夫です。でも、即日発送は割増料金になります……それと、あの」
「大丈夫。これ、秘密でしょ? 誰にも言わないから、安心するし」

 ほっ、と一安心です。
 そのままページを捲っていますと、横で柚月さんがこれも欲しい、こっちは注文できる? と質問の嵐。
 でも、本当に楽しそうですね。

「本当なら、フェイール商店の商品はお一人様五品までという制限を設けているのですが。柚月さんは特別に、十品まで購入可能とします。あと、アーレスト商会経由でしたら、ある程度は融通してあげますよ」
「それで問題ないし……クリスっち、それ、私に見せてほしいんだけど、ダメ?」
「構いませんよ」

 彼女なら大丈夫。
 そう思ってシャーリィの魔導書を手渡しますと、柚月さんはそのままベッドに転がってのんびりと眺め始めました。
 この間に、私は【アイテムボックス】を開いて在庫を確認。
 目録を見ながら、足りない商品のチェックを始めます。
 梅雨の限定グッズが新しい商品に切り替わるのは、まだ三週間も先です。お天気が雨以外では用途があまりないので、こちらの限定グッズは入荷の数を減らし、別の商品にシフトしなくてはなりません。

「ねぇクリスっち、これ、買える?」
「え、どれですか?」

 柚月さんが指さしたページには、『一つ上の高級アメニティグッズ』としるされています。
 それと、指をしおり代わりに挟んだ別のページには、女性の肌が露出した肌着が表示されています。
 こんなに破廉恥はれんちな肌着は誰も買わないと思いますので、普段は別ページの『シュミーズ』ぐらいしか販売していません。
 このブラジャーとかショーツというのは、肌を露出しすぎではありませんか? 
 いえ、人に見せるものではありませんので構わないと思いますがいや私は何を話しているのですか!

「このアメニティセット。シャンプーとコンディショナー、石鹸もセットだし、こっちのタオルセットも欲しいし……あと、アンダーウェアも一式欲しい」
「なるほど、では、こちらは取り寄せ次第、柚月さんのところにお届けしてもらいますね」
「え? 王城まで届けてくれんの?」
「はい」

 なるほど、これが【配達先指定はいたつさきしてい】のコマンドの有効活用なのですね。

「ちょっと貸してもらえますか?」

 シャーリィの魔導書を受け取り、一番後ろのページを開きます。
 そこの配達先指定の項目に触れると、目の前に羊皮紙が現れました。
『届け先登録』と書かれています。
 ここに柚月さんのことを書いておけば、問題なく届けられそうです。

「ここに届け先を書いて登録すれば、いつでも届けられますよ」
「すぐに書く!」

 慌ててベッドから飛び起きて、柚月さんがテーブルで必要事項を記入します。
 あとは『登録』と記されている場所に触れて魔力をこめると。
 ──ポン!
 羊皮紙が消え、魔導書の最後のページに『届け先一覧』というのが現れました。
 これは後で、お父様の住所も登録しておいた方がよさそうですね。

「はい、これで完了です。発注書を書きますので、もう一度何が欲しいか教えてもらえますか?」
「えっとね……」

 この後も柚月さんとの話が弾み、置いてきたノワールさんに後でねられてしまったのは内緒です。




 第二章 魔法のスパイスは禁断の味


 川の氾濫が収まり、渡し船の運営が再開されて四日後。
 ようやく私たちの順番になりました。
 当初、私たちが上流で起こったゴタゴタを収めたと勘違いした商人さんたちが、順番を譲ってくれるという話を持ちかけてきたのですが、それは素直に辞退しました。
 順番を待つ商人さんや冒険者さんを差し置いて、私が先に行くわけにはいきません。
 氾濫を収めた功労者? いえ、私は何もしていませんよ、すべて勇者の柚月さんがなさったことなのですから。
 つまり、私は何もしていませんよと事情を説明し、どうにか普通の順番に戻りました。
 ──ザァァァァァァア……
 そういうことで、無事に船に乗り込みました。現在地は川の上です。
 この河を渡る船は少し大きく、馬車が二台丸々入る大きさなんです。
 それが二隻あり、順次往復しているようです。
 ちなみに、渡し賃については取られませんでした。渡そうとしても、せめてものお礼だと言って聞かないので、仕方なくですよ。
 勇者の柚月さんは、私たちを見送ってから箒で王都へと飛んでいきました。
 ここに来る時は街道沿いに飛んできたそうですけど、帰りは川を下ってから向かうそうで、その方が早いとか。
 そんなこんなで宿場町ハラタキに着きまして。

「……ようやく到着ですか。長かったですね」
「まあ、急ぐ旅でもないことだし、別に問題ないんじゃね?」

 ブランシュさんの言葉もごもっともです。
 船から降りてようやく体を伸ばすことができましたし、今日は宿を探して一泊することにしましょう。
 折り返しの船には、対岸のヤーギリへ向かう商人さんや冒険者さんも乗り込んでいるようですし、宿も少しは空いているかなあと思います。

「まあまあ、今日はゆっくりと休むことにしましょう。もうすぐペルソナさんもいらっしゃるでしょうから」
「ふぅん。それでやけに機嫌がいいのか?」
「へ?」

 な、何を言い出すのですかブランシュさんは!
 どうしてペルソナさんが来ると、私の機嫌がよくなると言うのですか!
 まったく、とんでもないことを言わないでください!

「別に、ペルソナさんが来るからって機嫌がいいわけではありませんよ。足りない商品が届くのですし、こちらでも商売をするのですから。さあ、宿を探しに行きますよ!」
「はいはい、姐さんについていきますわ」

 まったく。
 とりあえずは宿を探しに向かいましょう。
 この町から先は、街道をずっと北上すれば目的地のオーウェン領領都に到着します。
 私もヤーギリから北には来たことがないため、ちょっとだけワクワクしています。

「あ、この辺りの宿がよさそうですわね」
「それじゃあ、ここにするか」

 表街道に面した宿で、お客さんの出入りもあります。
 宿の隣には馬車を停める場所もあり、隊商キャラバンが来ても大丈夫なように作られています。
 早速、宿に入って部屋を取ると、そのまま部屋の中で一休み。
 ちょっとはしたないですけれど、ベッドに横になって足を伸ばして人心地ひとごこち
 でも、ブランシュさんが窓辺から外をこっそりと見ているようですけど。

「何か、不安なことでもありますか?」
「悪意は感じない。まあ、好奇心旺盛おうせいな商人や冒険者が、姐さんを探しているようだけどな」
「悪意はないのなら、別に構わないのでは?」
「そうなんだよなぁ。多分、ヤーギリから渡ってきた商人から、姐さんが売っていた商品について話を聞いたんじゃないかなぁ」

 それならそれで、構わないと思いますけれど?

「在庫は心もとないですけれど、そろそろ到着しますから問題はありませんよね?」
「そうだな……と、俺は時間だ、あとはノワールに任せる」

 ──ヒュゥン。
 ブランシュさんの身体が光り輝いて、私の指輪に戻っていきます。
 そして入れ違いに姿を現したノワールさんは、突然扉をにらみつけました。

「ノワールさん、何かありましたか?」
「いえ、通り過ぎただけのようで。それと、外にペルソナ様がいらっしゃったようです」
「では、行きましょう」

 私もノワールさんも、ペルソナさんと会うのは一週間ぶりです。
 早速、外で荷物を受け取って支払いを終えますと、ペルソナさんが指折り数えて何かを考えています。

「どうかなさいましたか?」
「いえ、フェイール様の型録通販会員レベルがそろそろ上がりそうなので。次のレベルになりますと、旅行券の取り扱いも可能となります」
「旅行券?」
「はい。詳しくはまだお伝えできませんが、そう遠くない未来にご説明できるようになりますよ。では、私はこれで失礼します。またのご利用を、お待ちしています」
「はい、ありがとうございます」

 いつものような挨拶。
 そしてペルソナさんの馬車を見送っていましたら。

「クリスティナ様。あの男だけは、夫とするには問題がありますが」
「……は? な、何を言い出すのですか!」
「いえ、先ほどペルソナ様を見送っていたクリスティナ様のお顔が、まるで恋する乙女のようでしたので」
「そそそそそ? そんなことはありませんわよ!」

 ブランシュさんといいノワールさんといい。
 何故、私がペルソナさんに恋していると言わんばかりなのですか?
 そんなことは考えたこともありませんわ。
 確かに、この前のピンチを救ってくれた時は格好よくて、ちょっとドキドキしましたけれど。
 ペルソナさんにはそういう憧れのようなものは、ありますけど、恋心ではありません!

「そういうことなので!」
「はあ、何がそういうことなのか私には理解が及びませんが。ああそれと、周りの商人たちがクリスティナ様に興味津々のようですけど」
「は、はい!」

 すぐに商人モードに戻ります。
 そして明日からこの町でも露店を開きますと告げて、今日は部屋にこもるとします。
 届いた荷物の分類もありますし、何を売るか考えなくてはなりませんから。


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