245 / 282
第7章・王位継承と、狙われた魔導書
第322話・奇跡の代行者と、四人目の存在と
しおりを挟む
ああ。
涙があふれて止まりません。
私たちの窮地を救ってくれたのは、柚月ルカさんです。
3年以上も前に、日本へと帰還した先代の大魔導師。
その彼女が、私たちの前に帰ってきました。
「クリスっち、ここから先は、あーしたち勇者の仕事だから、はやくその人たちを連れて帰るし……」
ニイッと笑いつつ、私たちに向かってVサインを見せるルカさん。
そして処刑場の正門辺りが騒がしくなったかと思うと、ハーバリオス軍が一斉になだれ込んできました。
この混乱に乗じて逃げの一手を打つ、それでいいのですよね。
そう思った時、ルカさんが見たことのない魔導書を取り出して、声高らかに宣言します。
「初代勇者の一人、大魔導師カナン・アーレストの名により……エセリアルナイトの盟約すべてを破棄します。以後、エセリアルナイトたちは、己の信ずるがままに生きなさい。それが、新たな盟約です!! って、おばぁが話していたし」
声高らかに叫ぶと同時に、ルカさんの前に4枚の羊皮紙が浮かびます。
それは彼女の言葉が終わると同時に一瞬で燃え上がり、そして消滅しました。
――パッキィィィィィィィン
そしてノワールさん、ブランシュさん、そしてクリムゾンさんの手に紋様が浮かぶと、それも一瞬で砕け散り。
――フワッ
新たな紋様が浮かびました……って、それ、フェイール商店の屋号、看板のマークですよね!!
「おお、あの魔導書はまさしく、初代カナン・アーレストが保持していた叡智の魔導書ではないか」
「よぉぉぉっし、これでフルパワーだ、全力で戦えるっていうものよ」
「ルカさんがカナン・アーレスト様の魔導書を……そして、おばぁって言っていましたよね?」
「「「勇者の孫!!」」」
うんうん。
私には分からない、複雑な事情なのですよ。
「クリスティナさま、今のうちです」
「そ、そうだね。クリムゾンさん、エセリアルモードです!!」
「うぉぉぉぉ、まかせるのじゃ」
アリサちゃんの言葉につられて、思わずクリムゾンさんに指示をだします。
すると一瞬でエセリアルモードが発動し、私たちは一直線に正門まで走り始めました。
それはもう、凄まじい光景でした。
このタイミングを待っていたのか、町の中ではハーバリオス王国を始めとした連合騎士団と、魔族の騎士たちが激戦を繰り広げています。
そして王城へと向かう4人の勇者を始めとした精鋭たちの姿まで見えていました。
「これで、全て終わるのですよね……」
「いや、そうはならないかもしれぬがのう」
――スチャッ
馬車を高速で走らせつつも、クリムゾンさんが巨大な剣を引き抜きました。
その横では、ブランシュさんも杖を片手に詠唱を開始。
目の前で、なにが起きているというのでしょうか。
「強い人がいる……うん、グランザムさんが、この先で待っているよ」
アリサちゃんがそう告げながら立ち上がると、右手に力を込めます。
グランザムって、確か四天王の一人ですよね。
『破壊魔狼グランザム』、カマンベール王国の王城で、セシールさまの横に控えていた魔族。
「クリムゾンさん、ブランシュさん!!」
「ああ、わかっているって。ここは俺たちに任せな」
「左様。まあ、出来ればアリサちゃんも下がっていた方がいい。お嬢と黒の横で、じっとしているのじゃぞ」
クリムゾンさんが振り向きながらそう告げると、アリサちゃんが右手をじっと見ています。
まるで、右手に浮かびあがった紋様と話をしているみたい。
「うん、そういうことですか、分かりました!!」
そう呟いてから馬車の右窓に近寄ると、アリサちゃんが顔を出して前を見ています。
そして私たちにもはっきりと見えてきました。
前方、王都正門の正面に立つ魔族の軍勢。
そしてその中心で、地面に両手剣を突き立てて笑っている人狼の姿が。
「よくもやってくれたな……だがここまでだ。小娘、貴様の持つ魔導書、今度こそもらい受ける!!」
魔族の騎士たちが弓を構え、一斉に打ち込んできます。
それはもう、私たちを絶対に逃がさないと言わんばかりの大量の矢が降り注いできています。
さらには騎馬隊も剣を構え、こちらに向かって走って来るじゃないですか。
『我、盟約により鋼が傷つけることを禁ずる……で、我はそのために、魔力150を魔神へ献上します……禁則処理・鋼っっっっ』
アリサちゃんが馬車から上半身を出して右手を前に向かって突き出すと、一瞬で詠唱を完了。
その瞬間、馬車に向かって飛来してくる大量の矢が、すべて地面へと落下していきました。
さらに鎧を身に着けていたもの、武器を構えていたも多の地まで地面に倒れ、身動きが取れなくなっています。
ただ、グランザムだけは未知の力に必死に抵抗しているようで、両手剣を杖のように使ってどうにか立ち止まっています。
「な……なんだと、この力は初代魔王の力……まさか、まさか!!」
『魔族たちよ、ひれ伏せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ』
そしてアリサちゃんの絶叫が響いた瞬間。
前方にいた魔族が、すべてその場に跪きました。
それは破壊魔狼グランザムも例外ではなく、耳が後ろを向いて垂れ、その場に力なく跪いています。
「クリスティナさま、今のうちです!!」
「そ、そうだね!!」
そのまま大量の魔王軍の中央を苦も無く突破すると、私たちは無事に王都正門から外に出ることが出来ました。
「さて、あとはハーバリオスまで戻るだけじゃが。魔王軍はどうするのじゃ?」
「こうする。『魔王軍に命ずる! カマンベールの地より撤退し、自国へと戻るがよい!! これは初代魔王の持つ魔王紋の継承者であるアリサ・ガナ・バルバロッサの言葉である』」
馬車から魔王軍に向かって叫ぶアリサちゃん。
すると、跪いていた騎士やグランザムの胸元にバルバロツサ帝国の紋章が浮かびあがります。
それを見てグランザムもよろよろと立ち上がると、拳を強く握って叫びました。
「くっそぉぉぉぉぉぉぉぅ。撤退だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
その絶叫ともいえる怒声に、魔王軍は一斉に正門から外へと走り出します。
うん、これが魔王紋の力なのでしょうね。
「魔王の力の一つ、神聖制約だな。魔王のみが使える秘儀で、逆らうことは死を意味するとも言われている……」
「そうね。確か紅は一度、あれを受けて本陣へ撤退したことがあったわよね」
「黒や、昔のことはどうでもよい。それよりも、今のうちに距離を取るぞ」
そんな話をしつつ、馬車はさらに加速を始めます。
そしてアリサちゃんも私に近くへとやってくると、ニイッと笑っていますよ。
「アリサも、ちょっとは役に立ったでしょ」
「ちょっとどころじゃないよ。うんうんも、ありがとうね、アリサちゃん」
「へへへ……ガクッ」
そしてアリサちゃんが、私に向かって倒れてきます。
苦しそうとかそういうのではなく、なんというか……眠っているかのように。
「ちょ、ちょっと、アリサちゃん、どうしたの」
「急激に魔力を失ったので、意識を失ったのでしょう。ちょっと失礼します」
ノワールさんがアリサちゃんを抱きかかえて、馬車の奥にあるベッドに横たえます。
そして彼女の服の袖を捲っていると、以前よりも魔王紋が広がっているのに気が付きました。
「ノワールさん、どんな様子ですか?」
「うーん。こういうのは白の方が専門なのよねぇ。ちょっと白、アリサちゃんの様子を見てくれないかしら?」
「ああ、ちょっと待ってろ」
走っている馬車の御者台から中に入って来るブランシュさん。
ああ、一時的にエセリアル状態になったのですか、器用ですよね。
そしてアリサちゃんの様子を見てみると、なんだか険しい顔になっていますよ。
「姐さん、この紋様が広がっているのがわかるか?」
「はい、力の使い過ぎとか、そういうのですよね?」
「半分だけ正解。この紋様自体が初代魔王の魂というか、意識体の塊でな。ようは、このまま広がっていくと、アリサちゃんの意識は初代魔王に飲み込まれる。魔王の力を使えば使うほど、アリサちゃんは自我が消えていくとおもう」
んんん。
んん?
ん!
「えええ、そんなの駄目ですよ、魔王紋から魔王を追い出してください、できませんか?」
「いやぁ……すまないが、俺じゃあ無理だわ」
「クリスティナさま、私もこれについては専門外です。そして紅はさらに専門外過ぎます」
「そ、そ、それじゃあ、詳しい人はいないのですか?」
思わず問い返すと、ノワールさんとブランシュさんが同時に一言。
「「青かなぁ」」
「え? 青って?」
「それはわたくしから。クリスティナさま、私たちエセリアルナイトは全部で4人、存在していました。つまり、私たち以外の一人、それが青。すなわち、妖精王シアンです」
「では、そのシアンさんなら、アリサちゃんを助けられるのですよね!!」
最後の一人、その人にあいに行かなくてはなりません。
すると、二人とも難しい顔をしているじゃないですか。
「それがなぁ。姐さん、実はシアンって、カナン・アーレストさまから勅命を受けて、どこかで任務についているはずなんだわ」
「その内容も何もかもが、私たちは知らされていないのです。つまり、蒼の居場所を知っているのはカナン・アーレストさまだけなのですが」
「そ、そんな事って……」
絶望。
こうなったら、この世界に存在するカナン・アーレストについての手がかりを探すしかありません。
でも、どうやって?
――コンコン
そんなことを考えていると、馬車の扉がノックされました。
えええ? 今、エセリアルモードですよ?
見ることも触れることもできないうえに、超高速で走っているのですよ?
そう思っていたら、突然扉が開かれて……。
「ニシシ。あっちはハーバリオスの騎士に任せて来たし。ということで、クリスっち、本当にひっさしぶりーだし!!」
馬車の中に、ルカさんが飛び込んできました。
そして私に抱き着いて……二人で床に転がってしまいましたよ。
本当に、久しぶりですよルカさん。
涙があふれて止まりません。
私たちの窮地を救ってくれたのは、柚月ルカさんです。
3年以上も前に、日本へと帰還した先代の大魔導師。
その彼女が、私たちの前に帰ってきました。
「クリスっち、ここから先は、あーしたち勇者の仕事だから、はやくその人たちを連れて帰るし……」
ニイッと笑いつつ、私たちに向かってVサインを見せるルカさん。
そして処刑場の正門辺りが騒がしくなったかと思うと、ハーバリオス軍が一斉になだれ込んできました。
この混乱に乗じて逃げの一手を打つ、それでいいのですよね。
そう思った時、ルカさんが見たことのない魔導書を取り出して、声高らかに宣言します。
「初代勇者の一人、大魔導師カナン・アーレストの名により……エセリアルナイトの盟約すべてを破棄します。以後、エセリアルナイトたちは、己の信ずるがままに生きなさい。それが、新たな盟約です!! って、おばぁが話していたし」
声高らかに叫ぶと同時に、ルカさんの前に4枚の羊皮紙が浮かびます。
それは彼女の言葉が終わると同時に一瞬で燃え上がり、そして消滅しました。
――パッキィィィィィィィン
そしてノワールさん、ブランシュさん、そしてクリムゾンさんの手に紋様が浮かぶと、それも一瞬で砕け散り。
――フワッ
新たな紋様が浮かびました……って、それ、フェイール商店の屋号、看板のマークですよね!!
「おお、あの魔導書はまさしく、初代カナン・アーレストが保持していた叡智の魔導書ではないか」
「よぉぉぉっし、これでフルパワーだ、全力で戦えるっていうものよ」
「ルカさんがカナン・アーレスト様の魔導書を……そして、おばぁって言っていましたよね?」
「「「勇者の孫!!」」」
うんうん。
私には分からない、複雑な事情なのですよ。
「クリスティナさま、今のうちです」
「そ、そうだね。クリムゾンさん、エセリアルモードです!!」
「うぉぉぉぉ、まかせるのじゃ」
アリサちゃんの言葉につられて、思わずクリムゾンさんに指示をだします。
すると一瞬でエセリアルモードが発動し、私たちは一直線に正門まで走り始めました。
それはもう、凄まじい光景でした。
このタイミングを待っていたのか、町の中ではハーバリオス王国を始めとした連合騎士団と、魔族の騎士たちが激戦を繰り広げています。
そして王城へと向かう4人の勇者を始めとした精鋭たちの姿まで見えていました。
「これで、全て終わるのですよね……」
「いや、そうはならないかもしれぬがのう」
――スチャッ
馬車を高速で走らせつつも、クリムゾンさんが巨大な剣を引き抜きました。
その横では、ブランシュさんも杖を片手に詠唱を開始。
目の前で、なにが起きているというのでしょうか。
「強い人がいる……うん、グランザムさんが、この先で待っているよ」
アリサちゃんがそう告げながら立ち上がると、右手に力を込めます。
グランザムって、確か四天王の一人ですよね。
『破壊魔狼グランザム』、カマンベール王国の王城で、セシールさまの横に控えていた魔族。
「クリムゾンさん、ブランシュさん!!」
「ああ、わかっているって。ここは俺たちに任せな」
「左様。まあ、出来ればアリサちゃんも下がっていた方がいい。お嬢と黒の横で、じっとしているのじゃぞ」
クリムゾンさんが振り向きながらそう告げると、アリサちゃんが右手をじっと見ています。
まるで、右手に浮かびあがった紋様と話をしているみたい。
「うん、そういうことですか、分かりました!!」
そう呟いてから馬車の右窓に近寄ると、アリサちゃんが顔を出して前を見ています。
そして私たちにもはっきりと見えてきました。
前方、王都正門の正面に立つ魔族の軍勢。
そしてその中心で、地面に両手剣を突き立てて笑っている人狼の姿が。
「よくもやってくれたな……だがここまでだ。小娘、貴様の持つ魔導書、今度こそもらい受ける!!」
魔族の騎士たちが弓を構え、一斉に打ち込んできます。
それはもう、私たちを絶対に逃がさないと言わんばかりの大量の矢が降り注いできています。
さらには騎馬隊も剣を構え、こちらに向かって走って来るじゃないですか。
『我、盟約により鋼が傷つけることを禁ずる……で、我はそのために、魔力150を魔神へ献上します……禁則処理・鋼っっっっ』
アリサちゃんが馬車から上半身を出して右手を前に向かって突き出すと、一瞬で詠唱を完了。
その瞬間、馬車に向かって飛来してくる大量の矢が、すべて地面へと落下していきました。
さらに鎧を身に着けていたもの、武器を構えていたも多の地まで地面に倒れ、身動きが取れなくなっています。
ただ、グランザムだけは未知の力に必死に抵抗しているようで、両手剣を杖のように使ってどうにか立ち止まっています。
「な……なんだと、この力は初代魔王の力……まさか、まさか!!」
『魔族たちよ、ひれ伏せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ』
そしてアリサちゃんの絶叫が響いた瞬間。
前方にいた魔族が、すべてその場に跪きました。
それは破壊魔狼グランザムも例外ではなく、耳が後ろを向いて垂れ、その場に力なく跪いています。
「クリスティナさま、今のうちです!!」
「そ、そうだね!!」
そのまま大量の魔王軍の中央を苦も無く突破すると、私たちは無事に王都正門から外に出ることが出来ました。
「さて、あとはハーバリオスまで戻るだけじゃが。魔王軍はどうするのじゃ?」
「こうする。『魔王軍に命ずる! カマンベールの地より撤退し、自国へと戻るがよい!! これは初代魔王の持つ魔王紋の継承者であるアリサ・ガナ・バルバロッサの言葉である』」
馬車から魔王軍に向かって叫ぶアリサちゃん。
すると、跪いていた騎士やグランザムの胸元にバルバロツサ帝国の紋章が浮かびあがります。
それを見てグランザムもよろよろと立ち上がると、拳を強く握って叫びました。
「くっそぉぉぉぉぉぉぉぅ。撤退だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
その絶叫ともいえる怒声に、魔王軍は一斉に正門から外へと走り出します。
うん、これが魔王紋の力なのでしょうね。
「魔王の力の一つ、神聖制約だな。魔王のみが使える秘儀で、逆らうことは死を意味するとも言われている……」
「そうね。確か紅は一度、あれを受けて本陣へ撤退したことがあったわよね」
「黒や、昔のことはどうでもよい。それよりも、今のうちに距離を取るぞ」
そんな話をしつつ、馬車はさらに加速を始めます。
そしてアリサちゃんも私に近くへとやってくると、ニイッと笑っていますよ。
「アリサも、ちょっとは役に立ったでしょ」
「ちょっとどころじゃないよ。うんうんも、ありがとうね、アリサちゃん」
「へへへ……ガクッ」
そしてアリサちゃんが、私に向かって倒れてきます。
苦しそうとかそういうのではなく、なんというか……眠っているかのように。
「ちょ、ちょっと、アリサちゃん、どうしたの」
「急激に魔力を失ったので、意識を失ったのでしょう。ちょっと失礼します」
ノワールさんがアリサちゃんを抱きかかえて、馬車の奥にあるベッドに横たえます。
そして彼女の服の袖を捲っていると、以前よりも魔王紋が広がっているのに気が付きました。
「ノワールさん、どんな様子ですか?」
「うーん。こういうのは白の方が専門なのよねぇ。ちょっと白、アリサちゃんの様子を見てくれないかしら?」
「ああ、ちょっと待ってろ」
走っている馬車の御者台から中に入って来るブランシュさん。
ああ、一時的にエセリアル状態になったのですか、器用ですよね。
そしてアリサちゃんの様子を見てみると、なんだか険しい顔になっていますよ。
「姐さん、この紋様が広がっているのがわかるか?」
「はい、力の使い過ぎとか、そういうのですよね?」
「半分だけ正解。この紋様自体が初代魔王の魂というか、意識体の塊でな。ようは、このまま広がっていくと、アリサちゃんの意識は初代魔王に飲み込まれる。魔王の力を使えば使うほど、アリサちゃんは自我が消えていくとおもう」
んんん。
んん?
ん!
「えええ、そんなの駄目ですよ、魔王紋から魔王を追い出してください、できませんか?」
「いやぁ……すまないが、俺じゃあ無理だわ」
「クリスティナさま、私もこれについては専門外です。そして紅はさらに専門外過ぎます」
「そ、そ、それじゃあ、詳しい人はいないのですか?」
思わず問い返すと、ノワールさんとブランシュさんが同時に一言。
「「青かなぁ」」
「え? 青って?」
「それはわたくしから。クリスティナさま、私たちエセリアルナイトは全部で4人、存在していました。つまり、私たち以外の一人、それが青。すなわち、妖精王シアンです」
「では、そのシアンさんなら、アリサちゃんを助けられるのですよね!!」
最後の一人、その人にあいに行かなくてはなりません。
すると、二人とも難しい顔をしているじゃないですか。
「それがなぁ。姐さん、実はシアンって、カナン・アーレストさまから勅命を受けて、どこかで任務についているはずなんだわ」
「その内容も何もかもが、私たちは知らされていないのです。つまり、蒼の居場所を知っているのはカナン・アーレストさまだけなのですが」
「そ、そんな事って……」
絶望。
こうなったら、この世界に存在するカナン・アーレストについての手がかりを探すしかありません。
でも、どうやって?
――コンコン
そんなことを考えていると、馬車の扉がノックされました。
えええ? 今、エセリアルモードですよ?
見ることも触れることもできないうえに、超高速で走っているのですよ?
そう思っていたら、突然扉が開かれて……。
「ニシシ。あっちはハーバリオスの騎士に任せて来たし。ということで、クリスっち、本当にひっさしぶりーだし!!」
馬車の中に、ルカさんが飛び込んできました。
そして私に抱き着いて……二人で床に転がってしまいましたよ。
本当に、久しぶりですよルカさん。
537
あなたにおすすめの小説
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。