発達障害の女、獣医師として生きる。

ひよく

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プロポーズ

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では、今回は今日子の恋人話続編である。

35歳になった今日子は、人生で初の恋人を得た。
仮に、彼を貴司としておこう。

今日子も変わり者ではあるが、貴司も別の意味で、変わり者であった。
年齢は今日子と同じで、見た目は立派なオッサンなのだが、中身は恋に恋する男の子。

今まで相当モテなかったんだろうな…と、自分の事は棚に上げて、今日子は思ったものである。
そう、貴司は一昔前の少女漫画のようなシュチエーションが大好きであった。

夕日の沈む海辺での告白。
夜景が見えるレストランでのクリスマスディナー。
誕生日に真っ赤な薔薇の花束。

ロマンティックな雰囲気を作り出そうとしては、いつも今日子を別の意味で笑わせてくれた。
今日子は意外に現実主義者で、そういったベタな場面でウットリする事はなかったのだ。

しかし、交際が進むにつれ、貴司も今日子の性格を把握するようになり、ロマンティックなディナーは、次第に焼き肉屋やラーメン屋へと移行していった。

そうして、お互いがお互いに慣れた交際2年目のある日の事である。

貴司は突然、みなとみらいに行こうと、今日子を誘った。
「みなとみらいのどこで、何をするの?」
そういった今日子の質問には、一切答えなかった。

貴司はみなとみらいの中心部から、少し外れた草原に今日子を連れて行った。
そこに、小さい小屋のようなものが建っていた。

(なんじゃ、ここは?)
不思議に思って、中に入ると、係員と思しき男性に搭乗手続きを求められた。

「は?」
そこはヘリポートだった。

貴司はヘリから、みなとみらいの夜景を見せたかったのである。
上空からの夜景は、例えようもないほど美しかった。

これには、今日子も感動した。

そして、ほとんどお互いの会話の聴き取れないヘリの中で、貴司は今日子の左手とり、その薬指に指輪をはめた。
無言のプロポーズであった。

「バカな男だね~結婚申し込むのに、いくらかけてんの!」
ヘリから降りた今日子の言葉は、単なる照れ隠し以外の何物でもなかった。
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