俺のオヤジはビジュアル系です。

ひよく

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頼介

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春香ちゃんと飲んで、酔い潰れてしまった。
GINJIとの事があって、これからまた元のような関係に戻れるのか不安で、つい飲み過ぎてしまった。

気付いたら、見知らぬ部屋に居た。
狭い6畳一間のアパート。
なんでこんな所に?
と思ったけれど、なんだかどうでも良くなってしまった。
GINJIがまだ俺を許していないというのがわかったから。

でもGINJIは俺を家まで送ってくれた。
多分、酔い潰れた俺を迎えに来たのも、GINJIなんだろう。
何故、あの部屋にいたのかは謎だけど。

送ってくれる間、車の中でもGINJIは何も話さなかった。
こちらから、一生懸命、話しかけようとしたけれど、全くの無視。
本当に悲しくなってしまった。

やっぱり俺はGINJIがいないと、生きていけないと思う。
でも、俺はGINJIに見捨てられたのかな?

家に着いたので、とりあえずGINJIにお礼だけは伝えた。
それに対しても、返事はなく、GINJIは無言で車を発進させた。

俺は溜息を吐きながら、マンションの自分の部屋へと帰って行った。
玄関を開けると、人の気配を感じた。

この時間は、将太は学校に行っているはず。
不思議に思って、リビングに行くと、やはり将太がいた。

しかも、かなり怒っているようだった。
俺は意味がわからなかった。
今までだって、朝帰りは当たり前のようにしていたし、その時にいちいち連絡を入れていたわけではない。
それでも、将太は自分のペースで、メシ食ったり、勉強したり、寝たりしていたんだ。

だけど、スマホを確認してみて、驚いた。
将太からの着信が、100件近く入っている。

コイツ、不安だったんだ。
俺がまた事故にあったんじゃないかと。
このまま帰らないんじゃないかと。

俺はなんて事をしてしまったんだろう?
一言、連絡入れれば済む事だったのに。
将太の気持ちを全然考えていなかった。

「…。ごめん。」
俺は絞り出すような声で謝った。

でも、将太は不安が沸点を超えて、怒りに変換されたらしい。
将太に初めて殴られた。

俺はあえて抵抗しなかった。
どんなに殴られても良いから、将太の気持ちを受け止めようと思った。

だけど、殴られているうちに、気が遠くなってきた。
身体も充分に出来上がってきている17の息子の腕力を舐めていた。

気付いた時には、真っ青になった将太が俺を抱き起していた。

また、将太を泣かせてしまった…。
申し訳なくて、痛む腕を伸ばして、将太の頭を撫でてやった。

「病院に行こう!」
と言われたが、それに従うわけにはいかない。
とにかく寝て治そうと思って、立ち上がろうとしたが、肋骨のあたりに鋭い痛みが走って、上手く立てなかった。
将太が慌てて支えてくれた。

将太に俺の部屋まで連れてきてもらい、ベッドに横になった。
でも、全身がバラバラになったような痛みに耐えきれなかった。

そう思っていると、1度部屋から出ていた将太が戻ってきた。
俺の枕元にやって来て、泣きながら俺の手を握る。

「今回は俺が悪かった…。将太のせいじゃないよ。」
俺はそう言ったが、
「頼介は悪くない。親に手をあげるなんて、最低だ。」
そう言って、震えていた。

しばらくそのままだったが、例の肋骨のあたりの痛みは、どんどん酷くなる。
その時、玄関のチャイムが鳴った。

「GINJIさんだ!」
将太は縋るような声を出し、玄関にとんでいった。

すぐにGINJIは将太と共に俺の部屋にやってきた。
おれは「ごめん…。」と謝ったが、GINJIはそれどころではないという感じだった。

「どこか痛むのか?」
GINJIは訊いてきた。

そこでさっきから、肋骨のあたりに痛みがあって、動けない事を正直に話した。
実際、話をするだけでも苦しい。

「今のまま、放っておく事は出来ない。医者を呼ぶぞ。」
GINJIはそう言ったが、
「ダメだよ!殴られた怪我だってバレたら、将太が補導されちゃうかもしれない。医者は嫌だ!」
と懇願した。
俺のせいで、将太が罪に問われるなんて、絶対に嫌だ。

「大丈夫だ。俺達の業界には裏の医者との繋がりもある。そういう医者を呼ぼう。」
そう言って、有無を言わさず。GINJIはどこかに電話をした。

30分くらいして、その医者はやっていた。
まともに身動きできない俺を見て、
「派手にやられたな。」
と、一言。

「一番痛むのはここか?」
医者は肋骨の辺りを押した。

「痛っ!」
俺は我慢できずに声をあげた。

「ふむ。おそらく肋骨は折れているぞ。」
医者はそう言った。
レントゲンを撮ったわけではないので、詳しい事は言えないみたいだけど。

将太は青い顔をしながら、医者の話を聞いていた。

折れた肋骨が肺に刺さったりすると大変なので、とにかく絶対安静を言い渡された。
後は痛み止めを処方して、その医者は帰って行った。

GINJIもその後、すぐに帰った。
仕事の調整をしなければいけないんだろう。
復帰したばかりだというのに、本当に申し訳ない。

将太は俺の手を握りながら、ずっと泣き続けていた。
悪いのは、俺なのに。

「俺は大丈夫だから。将太、泣くな。」
俺はただ、そんな言葉を繰り返していた。
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