俺のオヤジはビジュアル系です。

ひよく

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GINJI

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頼介に対する自分の態度で、自己嫌悪に陥りながら車を走らせていると、スマホが鳴った。
発信者は将太君。
俺は路肩に車を停めて、電話をとった。

将太君は泣いているようだった。
なかなか言っている意味がわからなかったが、頼介を殴って怪我させてしまったと言った。
しかも、頼介は身動き取れない程の状態だと言う。

将太君はとにかく不安だったようだ。
頼介がもう帰って来ないような気がして…。
実際、よく確認すると、昨晩、将太君は俺にも連絡を入れていた。
俺が気付かなければならなかったんだ。
俺の責任だ…。

だが、何よりもまず頼介の容体が心配だ。
急いで、頼介のマンションに取って返した。

実際に頼介の様子を見ると、思った以上に酷いようだ。
顔色は青白く、身動きも取れないらしい。

俺は医者を呼んだ。
勿論、表立って看板を出している医者ではない。
裏社会の医者だ。

その医者の見立てでは、肋骨骨折との事だった。
だが、それだけではない事が、後になってわかった。

肺が出血して、血を吐いてしまった。
肺に溜まった血は、医者が出してくれたが、もっとちゃんとした病院で手術をしなければならないと言われた。

だが、頼介はそれを断固拒否した。
将太君を守りたいのだろう。

俺はその医者から、更に裏の世界の病院を紹介してもらい、そこに行く事にした。
本当は素人が動かすのも、マズイかもしれないが、そうも言っていられない。

「頼介、病院に行こう。ツライかもしれないが、我慢してくれ。」
そう言って、出来るだけそうっと、頼介を抱き上げた。

将太君も付いて来ようとしたが、断った。
可哀相だが、来ない方がいい。

俺は車の助手席に頼介を乗せた。
それだけで、頼介は苦しそうに呻いた。

病院までは車で1時間程かかった。
その間、頼介の状態が悪くならないか、気になって仕方なかった。

「頼介、もうすぐ病院だからな。しっかりしろよ。」
俺は落ち着いているふりをしながら、努めて優しく、声をかけ続けた。

病院に着くと、頼介は処置室に、俺は別の部屋に案内された。

落ち着いた物腰の、事務員と思われる男が話し始めた。
「××医師から連絡は受けています。」
××医師…さっきの医者だ。

「なら、話が早い。アイツを治療してやってくれ。」
「勿論です。ただ、あの傷は明らかに殴打痕のようですが、どこで誰にやられたものでしょう?」

俺は答えに窮した。

「それは言わなければならない事なのか?」
「念のための確認です。お答えにならなければ、それでも構いません。」

そう言われて、しばし悩んだ。

「あれをやったのは、俺だ。ちょっとした行き違いで喧嘩になってな。つい手が出てしまった。反省はしている。」
そう言われても、事務員は特に戸惑った様子は見せなかった。

「こちらの病院は少々特殊な事情をかかえた患者様がやってこられます。ご希望がなければ、特に警察に通報するような真似はいたしません。但し、コレは充分にいただきますよ。」

事務員は暗に金を要求してきた。
そりゃあ、そうだろうな。
ここを紹介した医者にも、随分、ふんだくられた。
手術して入院ともなれば、半端な金額では済まないだろう。

だが、問題はない。
金なら、吐いて捨てる程ある。
いくらだって、出してやるさ。

「必要な額を指定してもらえれば、すぐにでもキャッシュで持って来よう。」
俺はそう約束した。

俺はこの事を蓮介に連絡した。
バンドの仲間や事務所関係者よりも先に。

万が一、また輸血が必要になった時の事を考えて…というより、頼介の兄として、アイツにはこの場に来てほしかった。

蓮介はすっ飛んできた。
事情は電話で話したが、よく飲み込めないという感じだった。

「将太に殴られたって?」
「あぁ。昨晩、頼介がなかなか帰らないで、不安になってしまったようだ。それが怒りに繋がったんだろう。運も悪かった。この間の事故でもアイツは肋骨を折っていて、それがまだ完治とは言えない状態だったそうだ。少し骨が脆くなっていたんだな。その脆くなった肋骨がまた折れて、肺を傷付けてしまったようだ。」
「そう言えば、昨晩、頼介のスマホは鳴りっぱなしだった。‘あの子’が心配してずっとかけていたんだな。俺も気付くべきだった。」

そうこうしているうちに、頼介の手術は終わった。
前回の大手術とは違い、肺の出血点を止めるだけの、短い手術だった。
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