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GINJI
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「おい、GINJI。」
「どうしたんだよ?アイツ…。」
再びの仕事復帰から1週間。
頼介は、これまでの穴埋めをするかのように、勢力的に仕事に取り組んでいた。
今日も朝から深夜にまで及ぶ仕事。
俺達もようやく私服に戻ったところだった。
そんなUSHIOとNAOTOが、俺にそう声をかけてきた。
復帰してからの頼介は、最高にキレが良かった。
歌声は冴えわたり、射貫くような視線も健在。
だが…。
「お疲れサマ。」
頼介も私服に戻って、出てきた。
いつもだったら、和やかな雰囲気が立ち込める帰り間際の俺達の間に、緊張感が走る。
「本当、疲れたな、頼介。腹減っただろ?メシでも行かないか?」
俺はできるだけ穏やかに、頼介に声をかける。
しかし、あえなく断られ、アイツはさっさと帰って行った。
慌てて佐久間さんが後を追う。
だけど、あの調子じゃ、佐久間さんも追い払われるかもしれない。
頼介が、全くオフモードに戻らない。
オフモードの犬コロみたいなアイツを知っているから、周りの人間は怜悧なアイツにも普通に接してくる事ができたんだ。
こっちを通常モードに持って来られたら、周りの身が持たない。
遠くから見ている分には、その魅力に酔いしれる事ができるが、実際に一緒に仕事をしていこうと思うと、隙のなさすぎるアイツはダメだ。
実際、アイツの視線で過呼吸を起こしたスタッフもいた。
これじゃ、チームが崩壊してしまう。
俺は頼介を追って、外に出た。
「頼介!」
頼介を呼び止める。
「なんだ?」
頼介が一際、鋭い視線を向ける。
それに怯みそうになる自分を励まし、頼介に話しかけた。
「1人で帰る事はないだろう。佐久間さんまで断って…。一応、有名人なんだからな。俺が送ろう。」
「必要ない。どうせ、私服じゃ気付く奴なんて、いないからな。」
否、気付く。
今の頼介なら、私服でも充分に気付かれる。
ただ、話しかける勇気のある奴はいないだろうが…。
「とにかく!減るもんじゃないんだ。いいから、乗れ。」
そう言って、俺は強引に頼介を車の助手席に乗せた。
車中でも、俺達は無言だった。
頼介から話しかけてくる事はなかったし、俺も何と話しかけて良いかわからなかった。
だが、何か話さなければと思い、俺は口を開いた。
「頼介。」
「なんだ?」
「お前、寂しいんだろ?将太君がいなくなって。安易に蓮介に任せようなんて言った俺が悪かった。将太君を迎えに行こう。な?」
そんな俺を一瞥し、頼介は吐き捨てるように答えた。
「将太?関係ない。俺はアイツに傍に居てほしいなんて、1度も頼んだ事はないぜ?いるから、面倒見ていただけだ。実の父親の下へ帰りたいなら、もう俺には何の責任もない。勝手にすればいいさ。」
そんな頼介に対して、俺も段々イライラしてきた。
「いい加減にしろ!心にもない事、言いやがって!」
俺は頼介の肩を掴んで、強引に引き寄せた。
驚いた。
もともと着痩せする質だから、今まで気付かなかったが、たった1週間で信じられないくらい痩せてやがる。
そう言えば、あれだけ食べる事が大好きなコイツが、マトモに何か食っているところを、この1週間見ていない。
「頼介!」
堪らなくなって、俺は頼介を抱きしめた。
頼介は抵抗しなかった。
「こんな路肩で、何をどうするつもりだ?誰に見られているか、わからないんだぜ?」
そう挑発的に呟くアイツの口唇を、俺は自分の口唇で塞いでいた。
「どうしたんだよ?アイツ…。」
再びの仕事復帰から1週間。
頼介は、これまでの穴埋めをするかのように、勢力的に仕事に取り組んでいた。
今日も朝から深夜にまで及ぶ仕事。
俺達もようやく私服に戻ったところだった。
そんなUSHIOとNAOTOが、俺にそう声をかけてきた。
復帰してからの頼介は、最高にキレが良かった。
歌声は冴えわたり、射貫くような視線も健在。
だが…。
「お疲れサマ。」
頼介も私服に戻って、出てきた。
いつもだったら、和やかな雰囲気が立ち込める帰り間際の俺達の間に、緊張感が走る。
「本当、疲れたな、頼介。腹減っただろ?メシでも行かないか?」
俺はできるだけ穏やかに、頼介に声をかける。
しかし、あえなく断られ、アイツはさっさと帰って行った。
慌てて佐久間さんが後を追う。
だけど、あの調子じゃ、佐久間さんも追い払われるかもしれない。
頼介が、全くオフモードに戻らない。
オフモードの犬コロみたいなアイツを知っているから、周りの人間は怜悧なアイツにも普通に接してくる事ができたんだ。
こっちを通常モードに持って来られたら、周りの身が持たない。
遠くから見ている分には、その魅力に酔いしれる事ができるが、実際に一緒に仕事をしていこうと思うと、隙のなさすぎるアイツはダメだ。
実際、アイツの視線で過呼吸を起こしたスタッフもいた。
これじゃ、チームが崩壊してしまう。
俺は頼介を追って、外に出た。
「頼介!」
頼介を呼び止める。
「なんだ?」
頼介が一際、鋭い視線を向ける。
それに怯みそうになる自分を励まし、頼介に話しかけた。
「1人で帰る事はないだろう。佐久間さんまで断って…。一応、有名人なんだからな。俺が送ろう。」
「必要ない。どうせ、私服じゃ気付く奴なんて、いないからな。」
否、気付く。
今の頼介なら、私服でも充分に気付かれる。
ただ、話しかける勇気のある奴はいないだろうが…。
「とにかく!減るもんじゃないんだ。いいから、乗れ。」
そう言って、俺は強引に頼介を車の助手席に乗せた。
車中でも、俺達は無言だった。
頼介から話しかけてくる事はなかったし、俺も何と話しかけて良いかわからなかった。
だが、何か話さなければと思い、俺は口を開いた。
「頼介。」
「なんだ?」
「お前、寂しいんだろ?将太君がいなくなって。安易に蓮介に任せようなんて言った俺が悪かった。将太君を迎えに行こう。な?」
そんな俺を一瞥し、頼介は吐き捨てるように答えた。
「将太?関係ない。俺はアイツに傍に居てほしいなんて、1度も頼んだ事はないぜ?いるから、面倒見ていただけだ。実の父親の下へ帰りたいなら、もう俺には何の責任もない。勝手にすればいいさ。」
そんな頼介に対して、俺も段々イライラしてきた。
「いい加減にしろ!心にもない事、言いやがって!」
俺は頼介の肩を掴んで、強引に引き寄せた。
驚いた。
もともと着痩せする質だから、今まで気付かなかったが、たった1週間で信じられないくらい痩せてやがる。
そう言えば、あれだけ食べる事が大好きなコイツが、マトモに何か食っているところを、この1週間見ていない。
「頼介!」
堪らなくなって、俺は頼介を抱きしめた。
頼介は抵抗しなかった。
「こんな路肩で、何をどうするつもりだ?誰に見られているか、わからないんだぜ?」
そう挑発的に呟くアイツの口唇を、俺は自分の口唇で塞いでいた。
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