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GINJI
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頼介が元に戻った。
仕事場の面々は、そう言って安堵の声を漏らした。
あの晩の後、次の朝、目が覚めた頼介は、俺の作った朝食を食べてくれた。
流石に以前のような食欲はなかったが、一人前に近い量を平らげた。
仕事場でもオン・オフの切り替えができるようになって、必要のないところまで、殺気立った雰囲気を醸し出す事もなくなった。
あえて、問題があるとするなら、俺の後を金魚の糞のようにくっついて離れなくなった事くらいだ。
だが、もともと頼介が俺に懐いていた事を知る仲間達は、特に気にした様子もなかった。
むしろ俺といる事で頼介の精神状態が保てるのなら、心ゆくまで一緒にいてくれという感じだ。
あれから俺は、頼介のマンションで寝泊まりしている。
ひとりで居たくないと、頼介が言うからだ。
「GINJI!」
台所で調理する俺の後ろから、頼介が抱きついてくる。
「包丁を持っている時はやめろ。危ないだろう。」
一応、嗜めたが、聞いている様子はない。
「今日のメシ何?」
「今夜はおじやだ。まだ消化の良いものの方がいいだろう。胃腸も本調子じゃないだろうからな。」
「うん、俺、おじや好き。でも、GINJIも料理できるんだね。俺、知らなかったなぁ。」
「お前だって、得意だろう。少しは手伝ったらどうだ?」
「やだ。俺、GINJIの作ったものが食べたい。」
頼介は、俺に甘えられるだけ甘えているという感じだ。
夜も一緒に寝ている。
だが、本当に一緒に寝るだけだ。
軽いキスまではするが、それ以上の事はない。
俺はほとんど頼介の睡眠導入剤だった。
今夜も一緒にベッドに入る。
髪を指で梳いていてやると、それが気に入ったらしく、もっとやれと催促される。
そうこうしているうちに、眠たくなってくると、コロッと眠ってしまう。
頼介が食事も睡眠もしっかりとれるようになったのは、何より喜ばしい事だ。
痩せてしまった身体も、このままの調子でいけば、すぐに元に戻るだろう。
だが、俺は俺なりにキツかった。
毎晩、好きな奴が隣で無防備な寝顔を晒しているのに、手を出す事は出来ない。
俺は頼介の求める俺でいる。
そう決めた俺は、決して頼介に手を出すまいと決めた。
ただ、頼介の望むまま、傍に居てやるだけ。
だが、俺も男だ。
はけ口は欲しい。
情けない事に、毎晩、頼介が寝付いたのを確認すると、いつもトイレで自己処理していた。
そんな毎日に耐えかねて、俺はスマホを手に取った。
頼介はもう眠っている。
目的の相手にワンギリして、しばらく待つ。
奴は程なくしてかけ直してきた。
「しばらくぶりだな、蓮介。」
電話に出た俺は、そう声をかけた。
『久しぶりだな。』
電話の相手もそう応じた。
「将太くんはどうしている?」
『もう寝ているぞ。だから、わざわざ部屋の外に出てかけ直しているんだ。こっちの暮らしにも慣れてきたみたいだ。ここから学校にも通っている。』
将太くんが意外に新しい暮らしに順応している様子を聞いて、胸が痛む。
頼介はあれ程、苦しんだのに。
「なあ、蓮介。今から出て来られないか?」
『今から?』
「タマっているんだ。相手しろよ。」
しばし沈黙が流れる。
『いいぜ。』
蓮介は短くそう答えた。
仕事場の面々は、そう言って安堵の声を漏らした。
あの晩の後、次の朝、目が覚めた頼介は、俺の作った朝食を食べてくれた。
流石に以前のような食欲はなかったが、一人前に近い量を平らげた。
仕事場でもオン・オフの切り替えができるようになって、必要のないところまで、殺気立った雰囲気を醸し出す事もなくなった。
あえて、問題があるとするなら、俺の後を金魚の糞のようにくっついて離れなくなった事くらいだ。
だが、もともと頼介が俺に懐いていた事を知る仲間達は、特に気にした様子もなかった。
むしろ俺といる事で頼介の精神状態が保てるのなら、心ゆくまで一緒にいてくれという感じだ。
あれから俺は、頼介のマンションで寝泊まりしている。
ひとりで居たくないと、頼介が言うからだ。
「GINJI!」
台所で調理する俺の後ろから、頼介が抱きついてくる。
「包丁を持っている時はやめろ。危ないだろう。」
一応、嗜めたが、聞いている様子はない。
「今日のメシ何?」
「今夜はおじやだ。まだ消化の良いものの方がいいだろう。胃腸も本調子じゃないだろうからな。」
「うん、俺、おじや好き。でも、GINJIも料理できるんだね。俺、知らなかったなぁ。」
「お前だって、得意だろう。少しは手伝ったらどうだ?」
「やだ。俺、GINJIの作ったものが食べたい。」
頼介は、俺に甘えられるだけ甘えているという感じだ。
夜も一緒に寝ている。
だが、本当に一緒に寝るだけだ。
軽いキスまではするが、それ以上の事はない。
俺はほとんど頼介の睡眠導入剤だった。
今夜も一緒にベッドに入る。
髪を指で梳いていてやると、それが気に入ったらしく、もっとやれと催促される。
そうこうしているうちに、眠たくなってくると、コロッと眠ってしまう。
頼介が食事も睡眠もしっかりとれるようになったのは、何より喜ばしい事だ。
痩せてしまった身体も、このままの調子でいけば、すぐに元に戻るだろう。
だが、俺は俺なりにキツかった。
毎晩、好きな奴が隣で無防備な寝顔を晒しているのに、手を出す事は出来ない。
俺は頼介の求める俺でいる。
そう決めた俺は、決して頼介に手を出すまいと決めた。
ただ、頼介の望むまま、傍に居てやるだけ。
だが、俺も男だ。
はけ口は欲しい。
情けない事に、毎晩、頼介が寝付いたのを確認すると、いつもトイレで自己処理していた。
そんな毎日に耐えかねて、俺はスマホを手に取った。
頼介はもう眠っている。
目的の相手にワンギリして、しばらく待つ。
奴は程なくしてかけ直してきた。
「しばらくぶりだな、蓮介。」
電話に出た俺は、そう声をかけた。
『久しぶりだな。』
電話の相手もそう応じた。
「将太くんはどうしている?」
『もう寝ているぞ。だから、わざわざ部屋の外に出てかけ直しているんだ。こっちの暮らしにも慣れてきたみたいだ。ここから学校にも通っている。』
将太くんが意外に新しい暮らしに順応している様子を聞いて、胸が痛む。
頼介はあれ程、苦しんだのに。
「なあ、蓮介。今から出て来られないか?」
『今から?』
「タマっているんだ。相手しろよ。」
しばし沈黙が流れる。
『いいぜ。』
蓮介は短くそう答えた。
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