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頼介
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台所から、ごはんの炊ける良い匂いがする。
なんだか、久しぶりに嗅いだ気がする。
懐かしい匂い。
その匂いに誘われて、俺は寝ぼけ眼のまま、台所までやって来た。
何となく、将太がそこにいるような気がしたけれど、そんなわけはない。
台所に立つ後ろ姿が将太でない事を確認し、そっと溜息を吐いた。
そう、昨日、俺はGINJIと一緒に寝たんだ。
GINJIを受け入れようと思って。
だけど、俺の気持ちを知ったGINJIは、何もしないでいてくれて。
それでも、一晩中、一緒に居てくれたんだ。
GINJIは、俺の気配を感じたのか、くるりと振り返った。
「目が覚めたか、頼介。」
「うん、おはよう。GINJI。」
「よく眠れたか?」
「うん、久しぶりによく寝た。」
「良かった。」
「なんか、新鮮な感じ。GINJIが料理しているなんて。」
「俺だって、料理くらいするさ。一人暮らしも長いからな。だけど、お前は最近サボっていただろ。冷蔵庫の中、賞味期限切れのものばかりだったぞ。勝手に整理させてもらったからな。おかげで大したものは作れなかったが、朝飯にしよう。顔、洗ってこい。」
GINJIを受け入れられなかった俺の傍に、それでもGINJIは居てくれる。
申し訳なさと嬉しさで、涙が出てきたけれど、顔を洗って誤魔化した。
俺がテーブルに付くと、GINJIは熱々の土鍋を運んできた。
GINJIが作ってくれたのは、お粥だった。
朝のお粥って、身体に良いって言うよね。
最近、マトモに食べていない俺の身体を気遣っての事だろう。
梅干しの入ったお粥を、茶碗に少しだけ入れて、充分に冷ましてから手渡してくれる。
「食べられそうか?」
GINJIが心配そうに覗きこんでくる。
俺はそれを口に運んだ。
最初は少しだけ。
温かくて軟らかいお粥と酸味の効いた梅干しが、するりと喉を通った。
もう一口、もう一口と食べているうちに、あっという間に茶碗の中は空になった。
「食べられるみたい。もう少しちょうだい。」
そう言って茶碗を差し出すと、GINJIは本当に嬉しそうに俺の頭を撫で繰り回した。
その日から、俺は食事も睡眠もしっかりとれるようになった。
仕事場の皆も、俺が元に戻ったと喜んでくれた。
気付かなかったけれど、俺、皆に迷惑かけていたみたい。
仕事モードの俺って、そんなに怖いのかなぁ?
だけど、その反動もあった。
GINJIの姿が少しでも見えないと、どうしようもなく不安になるんだ。
仕事中も、そうでない時も、俺はGINJIの後を付いてまわった。
夜も、うちに泊まってもらった。
GINJIには、凄く申し訳ない事をしている自覚はあったけれど、GINJIがいないと、俺、本当にダメになりそうだった。
その日もGINJIと一緒にベッドに入った。
GINJIに甘えているうちに、俺は眠くなって、すぐに眠ってしまった。
でも、夜中に目を覚ました。
隣に居たはずのGINJIの姿がない。
俺は慌てて、飛び起きた。
GINJIを探して、廊下を歩く。
リビングの灯りが漏れていて、ここにいるんだと思って、ドアを開けようとした。
だけど、その時、GINJIの声が聴こえて、思わず身を潜めた。
GINJIは誰かと電話で話しているようだった。
「将太くんはどうしている?」
将太!?
それじゃあ、GINJIの話している相手は兄ちゃん!?
将太の様子が気になって、俺は耳をそばだてた。
「なあ、蓮介。今から出て来られないか?」
え?
こんな時間から出かけるの?
なんで?
そう思っていると…。
「タマっているんだ。相手しろよ。」
俺は一瞬、意味が掴めなかった。
相手?
何の相手?
こんな時間に、兄ちゃんと?
戸惑っている俺を置いて、GINJIは玄関へと消えていった。
なんだか、久しぶりに嗅いだ気がする。
懐かしい匂い。
その匂いに誘われて、俺は寝ぼけ眼のまま、台所までやって来た。
何となく、将太がそこにいるような気がしたけれど、そんなわけはない。
台所に立つ後ろ姿が将太でない事を確認し、そっと溜息を吐いた。
そう、昨日、俺はGINJIと一緒に寝たんだ。
GINJIを受け入れようと思って。
だけど、俺の気持ちを知ったGINJIは、何もしないでいてくれて。
それでも、一晩中、一緒に居てくれたんだ。
GINJIは、俺の気配を感じたのか、くるりと振り返った。
「目が覚めたか、頼介。」
「うん、おはよう。GINJI。」
「よく眠れたか?」
「うん、久しぶりによく寝た。」
「良かった。」
「なんか、新鮮な感じ。GINJIが料理しているなんて。」
「俺だって、料理くらいするさ。一人暮らしも長いからな。だけど、お前は最近サボっていただろ。冷蔵庫の中、賞味期限切れのものばかりだったぞ。勝手に整理させてもらったからな。おかげで大したものは作れなかったが、朝飯にしよう。顔、洗ってこい。」
GINJIを受け入れられなかった俺の傍に、それでもGINJIは居てくれる。
申し訳なさと嬉しさで、涙が出てきたけれど、顔を洗って誤魔化した。
俺がテーブルに付くと、GINJIは熱々の土鍋を運んできた。
GINJIが作ってくれたのは、お粥だった。
朝のお粥って、身体に良いって言うよね。
最近、マトモに食べていない俺の身体を気遣っての事だろう。
梅干しの入ったお粥を、茶碗に少しだけ入れて、充分に冷ましてから手渡してくれる。
「食べられそうか?」
GINJIが心配そうに覗きこんでくる。
俺はそれを口に運んだ。
最初は少しだけ。
温かくて軟らかいお粥と酸味の効いた梅干しが、するりと喉を通った。
もう一口、もう一口と食べているうちに、あっという間に茶碗の中は空になった。
「食べられるみたい。もう少しちょうだい。」
そう言って茶碗を差し出すと、GINJIは本当に嬉しそうに俺の頭を撫で繰り回した。
その日から、俺は食事も睡眠もしっかりとれるようになった。
仕事場の皆も、俺が元に戻ったと喜んでくれた。
気付かなかったけれど、俺、皆に迷惑かけていたみたい。
仕事モードの俺って、そんなに怖いのかなぁ?
だけど、その反動もあった。
GINJIの姿が少しでも見えないと、どうしようもなく不安になるんだ。
仕事中も、そうでない時も、俺はGINJIの後を付いてまわった。
夜も、うちに泊まってもらった。
GINJIには、凄く申し訳ない事をしている自覚はあったけれど、GINJIがいないと、俺、本当にダメになりそうだった。
その日もGINJIと一緒にベッドに入った。
GINJIに甘えているうちに、俺は眠くなって、すぐに眠ってしまった。
でも、夜中に目を覚ました。
隣に居たはずのGINJIの姿がない。
俺は慌てて、飛び起きた。
GINJIを探して、廊下を歩く。
リビングの灯りが漏れていて、ここにいるんだと思って、ドアを開けようとした。
だけど、その時、GINJIの声が聴こえて、思わず身を潜めた。
GINJIは誰かと電話で話しているようだった。
「将太くんはどうしている?」
将太!?
それじゃあ、GINJIの話している相手は兄ちゃん!?
将太の様子が気になって、俺は耳をそばだてた。
「なあ、蓮介。今から出て来られないか?」
え?
こんな時間から出かけるの?
なんで?
そう思っていると…。
「タマっているんだ。相手しろよ。」
俺は一瞬、意味が掴めなかった。
相手?
何の相手?
こんな時間に、兄ちゃんと?
戸惑っている俺を置いて、GINJIは玄関へと消えていった。
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