俺のオヤジはビジュアル系です。

ひよく

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頼介

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GINJIと兄ちゃんの間には、そういう関係がある。

あの晩、俺はそれを知ってしまった。

勿論、俺はそれをどうこう言える立場じゃない。
俺はGINJIを受け入れられなかったんだから。

だけど、GINJIは俺の傍にいながら、兄ちゃんと繋がっていたんだ。

将太も、GINJIも、兄ちゃんに奪われていく。

俺はその日から、ますますGINJIの傍を離れられなくなった。
自分でも、おかしいんじゃないかと思う。
だけど、GINJIの姿が見えなくなると、不安で気が狂いそうだった。

でも、俺は気付いてしまった。

兄ちゃんが俺のものを奪っていくわけじゃない。
俺が兄ちゃんのものを奪ってきたんだ。

なんで、今まで気が付かなかったんだろう?

将太は、兄ちゃんの実の息子だ。
GINJIも、もともと兄ちゃんの仲間だったんだ。
R-GUNを結成したのも、兄ちゃん。
律子さんだって、もとはと言えば兄ちゃんの…。

俺は兄ちゃんの居場所をすべて奪ってきてしまった。
俺の居場所は、すべて兄ちゃんから奪ったもの。

そして今、兄ちゃんが現れて、そのすべてを奪い返そうとしている。

俺のすべてが持っていかれる。
兄ちゃんに、持っていかれる…。

怖い…。
怖い!!

「頼介、どうした?」

気が付くと、GINJIが俺の顔を覗き込んでいた。

そうだ。
ここはTV局。
これから、音楽番組の収録だった。
今からメイクに入るところ。
俺のヘアメイクさんが、どうしたら良いのかわからなそうな顔で、佇んでいた。

俺は片時もGINJIから離れたくなくて、本来、別々に用意されている控室があるのに、GINJIの控室で準備しているところだった。

「なんでもない。お願いします。」

俺はヘアメイクさんに声をかけた。
GINJIも自分のメイクをやってもらおうというところだった。

GINJIが自分のヘアメイクさんと談笑している。
俺もよく知っている人。

だけど…。

「あれ?」

俺は目を擦った。
よく知っているはずのGINJIのヘアメイクさんが、違う人物の顔に見えたんだ。

GINJIと楽しそうに話しているのは…兄ちゃん?
そんなわけはない。
だけど、ヘアメイクさんの顔が、兄ちゃんの顔に見えた。

「あの、始めてもいいですか?」

俺のヘアメイクさんが、俺に声をかけてきて、俺は振り返る。

その顔も兄ちゃんだった。

「あ、あ…。」

俺の様子がおかしい事に気付いて、GINJIと佐久間さんが寄ってきた。
佐久間さんの顔も、兄ちゃんの顔だった。

「うわぁぁああー!!」

俺は大声を出して、控室を飛び出した。
吃驚して、周りの人間が寄ってくる。
そのすべてが、兄ちゃんの顔をしていた。

そこから逃げようと思って、振り返ると鏡があった。
そこに映っているはずの自分の顔が…ない。

「嫌だぁー!!!」

俺は喚き散らした。
その後は、記憶が途切れている。

ただ、GINJIが必死に俺を抱きとめていたのだけが、頭の隅に残っていた。
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