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蓮介
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頼介が事故に遭ってから、今日で2週間。
俺はあの日、頼介の意識が戻ったのを確認して、すぐに病院を後にした。
その後の回復具合は気になったが、再びアイツのもとを訪ねる事はできずにいる。
それをするのは、いけないような気がしていた。
社長はそんな俺を気遣ってか、何度かメールでアイツの容体を伝えてくれていて、命の危機は脱したという事はわかっていた。
それで充分だと思った。
俺は敢えて、社長のメールにも返信しないでいた。
それでも気になって、仕事が終わると俺の足は、自然と病院に向かっていた。
仕事が終わるのはいつも深夜で、当然、面会時間だって過ぎている。
病院の前まで行き、そのまま帰るというのを、この2週間、繰り返していた。
今日もそうやって、深夜に病院の前まで来てしまった。
こんな馬鹿な真似は、今夜でやめよう。
そう思った時である。
「えっと、あの、すみません。」
突然、呼び止められた俺は、振り返って、心臓を鷲摑みにされた。
「あ、えっと、その」
相手の名前はよく分かっているのに、その名前を呼ぶ事はできなかった。
それは相手も同じだったようだ。
将太…頼介が育てた俺の息子だ。
「えーっと、その、こんな時間にどうしたんですか?」
戸惑いながら、俺に話しかけてくる。
「あ、気になって来てみたんだけど。面会時間は過ぎているだろうから、もう帰るよ。」
俺はそそくさと帰ろうとした。
「待ってください!」
「え?」
「えっと、俺も気になって来てみたんです。面会時間には、来られない理由があって。でも、時間外でもコッソリ入っちゃえば、大丈夫です。もう寝ていると思いますが、顔だけでも見て行きませんか?」
そう言って、彼は半ば強引に、俺を病院の中に連れて行った。
深夜の病棟は薄暗く、どこか気味が悪かった。
でも、彼は特に気にしている風でもない。
慣れた様子だった。
深夜の見舞いに慣れている?
彼なら、面会時間に堂々と来られるだろうに。
そう言えば、面会時間に来られない理由があると言っていた。
もしかして、俺のせいだろうか?
俺にバッタリ会うのが嫌で、面会時間を避けているのか?
否、だったら、今日だって、俺の姿を見かけても、わざわざ声をかけたりしないはずだ。
そんな事を考えながら、2人でナースステーションの前を忍び足で通り抜け、頼介の病室に向かった。
「頼介、入るぞ。」
彼は小さく声をかけながら、扉を開いた。
それに対する返事はなく、部屋の中は暗かった。
やはり、もう眠っているようだ。
「オイ、頼介。」
彼はベッドの傍まで歩み寄り、頼介を起こそうとした。
「あ、起こさなくていいよ。せっかく、気持ち良さそうに寝ているみたいだから。」
相変わらず、寝ている時と食べている時のコイツは、幸せそうだ。
こっちまで幸せな気分になる。
「でも、会いたがっていると思いますよ、頼介は。」
「いいんだ。起こさないうちに、帰ろう。」
俺はそう言って、病室を後にした。
足早に病院の外まで出てきた俺を、彼は追いかけてくる。
「待ってください!なんで、会ってやってくれないんですか!?アイツ、絶対に会いたがっていますよ!」
「俺がアイツの実のアニキだからか?」
「そうです!」
「じゃあ、君は自分の実の父親に会いたいと思っていたか?」
「あ…。」
彼は下を向いてしまった。
「特別会いたかったわけじゃないだろう?」
「正直に言えば、そうです。今回、たまたま会う事になりましたが、今だって、まるで実感はなくて。別に恨んでいるって、わけではないんです。ただ、なんか展開が早すぎて飲み込めないっていうか…。」
「だろう?アイツだって、それは同じだ。イヤ、アイツは多分、恨んでいると思う。無責任かもしれないが、アイツに会う資格は俺にはない。」
そう言って、その場を立ち去る俺を、彼はもう追いかけて来なかった。
俺はあの日、頼介の意識が戻ったのを確認して、すぐに病院を後にした。
その後の回復具合は気になったが、再びアイツのもとを訪ねる事はできずにいる。
それをするのは、いけないような気がしていた。
社長はそんな俺を気遣ってか、何度かメールでアイツの容体を伝えてくれていて、命の危機は脱したという事はわかっていた。
それで充分だと思った。
俺は敢えて、社長のメールにも返信しないでいた。
それでも気になって、仕事が終わると俺の足は、自然と病院に向かっていた。
仕事が終わるのはいつも深夜で、当然、面会時間だって過ぎている。
病院の前まで行き、そのまま帰るというのを、この2週間、繰り返していた。
今日もそうやって、深夜に病院の前まで来てしまった。
こんな馬鹿な真似は、今夜でやめよう。
そう思った時である。
「えっと、あの、すみません。」
突然、呼び止められた俺は、振り返って、心臓を鷲摑みにされた。
「あ、えっと、その」
相手の名前はよく分かっているのに、その名前を呼ぶ事はできなかった。
それは相手も同じだったようだ。
将太…頼介が育てた俺の息子だ。
「えーっと、その、こんな時間にどうしたんですか?」
戸惑いながら、俺に話しかけてくる。
「あ、気になって来てみたんだけど。面会時間は過ぎているだろうから、もう帰るよ。」
俺はそそくさと帰ろうとした。
「待ってください!」
「え?」
「えっと、俺も気になって来てみたんです。面会時間には、来られない理由があって。でも、時間外でもコッソリ入っちゃえば、大丈夫です。もう寝ていると思いますが、顔だけでも見て行きませんか?」
そう言って、彼は半ば強引に、俺を病院の中に連れて行った。
深夜の病棟は薄暗く、どこか気味が悪かった。
でも、彼は特に気にしている風でもない。
慣れた様子だった。
深夜の見舞いに慣れている?
彼なら、面会時間に堂々と来られるだろうに。
そう言えば、面会時間に来られない理由があると言っていた。
もしかして、俺のせいだろうか?
俺にバッタリ会うのが嫌で、面会時間を避けているのか?
否、だったら、今日だって、俺の姿を見かけても、わざわざ声をかけたりしないはずだ。
そんな事を考えながら、2人でナースステーションの前を忍び足で通り抜け、頼介の病室に向かった。
「頼介、入るぞ。」
彼は小さく声をかけながら、扉を開いた。
それに対する返事はなく、部屋の中は暗かった。
やはり、もう眠っているようだ。
「オイ、頼介。」
彼はベッドの傍まで歩み寄り、頼介を起こそうとした。
「あ、起こさなくていいよ。せっかく、気持ち良さそうに寝ているみたいだから。」
相変わらず、寝ている時と食べている時のコイツは、幸せそうだ。
こっちまで幸せな気分になる。
「でも、会いたがっていると思いますよ、頼介は。」
「いいんだ。起こさないうちに、帰ろう。」
俺はそう言って、病室を後にした。
足早に病院の外まで出てきた俺を、彼は追いかけてくる。
「待ってください!なんで、会ってやってくれないんですか!?アイツ、絶対に会いたがっていますよ!」
「俺がアイツの実のアニキだからか?」
「そうです!」
「じゃあ、君は自分の実の父親に会いたいと思っていたか?」
「あ…。」
彼は下を向いてしまった。
「特別会いたかったわけじゃないだろう?」
「正直に言えば、そうです。今回、たまたま会う事になりましたが、今だって、まるで実感はなくて。別に恨んでいるって、わけではないんです。ただ、なんか展開が早すぎて飲み込めないっていうか…。」
「だろう?アイツだって、それは同じだ。イヤ、アイツは多分、恨んでいると思う。無責任かもしれないが、アイツに会う資格は俺にはない。」
そう言って、その場を立ち去る俺を、彼はもう追いかけて来なかった。
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