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建築学科のスリーピート
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スリーピートという言葉を知っているだろうか。3年連続優勝という意味だ。バスケットボールが好きな人はこの言葉にピンとくるかもしれない。今から20年近く前、バスケットボールリーグの最高峰、NBAにはバスケの神様が存在した。マイケル・ジョーダンだ。彼が所属するチームはシカゴ・ブルズ。このチームで3連覇を果たし、彼は引退した。そこからこの言葉は生まれている。
ぼくの大学の建築学科にもスリーピートを達成した人物がいた。ニラサワ先輩だ。彼はぼくの1つ上の学年で、研究室の先輩であり、バスケットボールサークルの先輩でもある。
ぼくとニラサワ先輩が最初に出会ったのは大学の体育館。彼のスラっと長い手から放たれるスリーポイントシュートは、きれいな放物線を描いてゴールに吸い込まれた。そんなニラサワ先輩が描く建築もまたきれいなのだ。繊細で、はっとするアイデアにぼくはいつも感嘆した。
ニラサワ先輩はバスケでスリーピートをとったわけではない。建築においてだ。
ぼくの大学の建築学科では卒業設計が卒業論文のかわりにもなる。大学4年生になったニラサワ先輩の設計作品は、教授陣満場一致で最優秀賞をとった。これは当時のぼくが見てもうなづけるものであった。
ある日ぼくは指導教官であるウエサカ先生に、
「ニラサワ先輩は1年生のころから優秀だったのですか?」
と聞いてみた。先生は、
「うん、彼の作品はいつも優秀作品には必ず選ばれていたね。ぼくも20年くらい学生を教えてきたけど、彼は今まで見た中で一番優秀かもしれない」
と言った。
ニラサワ先輩の評価はウエサカ先生だけでなく、他の教授からも信頼を得ている。学内でニラサワブランドが確立していた。
ニラサワ先輩はそのまま大学院に進学した。設計の授業では、教授のアシスタントをしてぼくたち学部生に的確なアドバイスをしてくれた。教え方も抜群だ。そのときがきっかけでぼくの同期であったサヤカとニラサワ先輩はつきあうことになったらしい。
サヤカは設計がもともと上手な子であったが、ニラサワ先輩とつきあってから格段に提出する作品がよくなった。そしてぼくらの代の卒業設計で、サヤカは教授陣の過半数の票を得て最優秀賞を獲得した。もちろん彼女の手伝いをしたのはニラサワ先輩だ。提出された作品はニラサワ先輩の色がそこにそのまま表現されていた。審査のあとぼくとトイレで居合わせたウエサカ先生は、
「サヤカさんの作品は良かったね。でもニラサワくんの力によるところも大きいよね。二連覇だよ」
と言った。
「まあ、そうですね」
とぼくは苦笑いしながら返した。
でも建築学科出身でない読者のかたに一応説明すると、サヤカはズルをしたわけではない。サヤカの卒業設計作品は、彼女の地元である東北地方の都市を活性化したいという動機のもとはじまったものだ。そこから彼女は一生懸命地元に帰省した際には調査をし、それを設計として積み重ねてきたのだ。
それをうまくカタチにし、プレゼンテーションとして表現したのニラサワ先輩だ。卒業設計を手伝ってもらうのはOKなのだ。極端な話、自分の作品として、きちんと説明できればよいのだ。これは社会に出てよくわかった。建築はけして一人の力だけではできない。
そして一年が経ち、修士課程2年生であったニラサワ先輩は、修士設計という、これもまた修士論文のかわりとなるもので最優秀賞をとった。そして彼は大手の組織設計に入社した。学生が参加できるコンペに提出しては入賞するニラサワ先輩には、すでに多くの会社や設計事務所からのオファーがあったらしい。
ニラサワ先輩の成し遂げた学内での功績をまとめてみよう。
大学4年に卒業設計最優秀賞。
修士1年に彼女の卒業設計最優秀賞を演出、いやこれはほぼ彼の手柄だ。
そして修士2年修士設計最優秀賞。
これでスリーピート達成になる。
いや、違った!申し訳ない。ニラサワ先輩は修士2年のとき、当時大学4年生で研究室の後輩であるカヨとつきあっていた。その年、カヨは卒業設計で最優秀賞をとった。提出された作品はこれまたニラサワ先輩の色が満載であった。ニラサワ先輩はフォーピートを達成していたのだ。
ちなみに後日談があるのでこれも紹介しておこう。
まずバスケットボールでは、引退したマイケルジョーダンはまた復帰した。そしてシカゴブルズは3連覇。またもスリーピートを獲得し、伝説となった。
ニラサワ先輩も大学に復帰した。組織設計に所属しながら特任講師として三年間、学生の卒業設計を指導することになったのだ。会社でも特例の措置らしい。そしてその三年間、彼のゼミの学生が卒業設計ですべて最優秀賞を獲得したのだ。しかも三人とも全員女の子。。。まさかね。
ぼくの大学の建築学科にもスリーピートを達成した人物がいた。ニラサワ先輩だ。彼はぼくの1つ上の学年で、研究室の先輩であり、バスケットボールサークルの先輩でもある。
ぼくとニラサワ先輩が最初に出会ったのは大学の体育館。彼のスラっと長い手から放たれるスリーポイントシュートは、きれいな放物線を描いてゴールに吸い込まれた。そんなニラサワ先輩が描く建築もまたきれいなのだ。繊細で、はっとするアイデアにぼくはいつも感嘆した。
ニラサワ先輩はバスケでスリーピートをとったわけではない。建築においてだ。
ぼくの大学の建築学科では卒業設計が卒業論文のかわりにもなる。大学4年生になったニラサワ先輩の設計作品は、教授陣満場一致で最優秀賞をとった。これは当時のぼくが見てもうなづけるものであった。
ある日ぼくは指導教官であるウエサカ先生に、
「ニラサワ先輩は1年生のころから優秀だったのですか?」
と聞いてみた。先生は、
「うん、彼の作品はいつも優秀作品には必ず選ばれていたね。ぼくも20年くらい学生を教えてきたけど、彼は今まで見た中で一番優秀かもしれない」
と言った。
ニラサワ先輩の評価はウエサカ先生だけでなく、他の教授からも信頼を得ている。学内でニラサワブランドが確立していた。
ニラサワ先輩はそのまま大学院に進学した。設計の授業では、教授のアシスタントをしてぼくたち学部生に的確なアドバイスをしてくれた。教え方も抜群だ。そのときがきっかけでぼくの同期であったサヤカとニラサワ先輩はつきあうことになったらしい。
サヤカは設計がもともと上手な子であったが、ニラサワ先輩とつきあってから格段に提出する作品がよくなった。そしてぼくらの代の卒業設計で、サヤカは教授陣の過半数の票を得て最優秀賞を獲得した。もちろん彼女の手伝いをしたのはニラサワ先輩だ。提出された作品はニラサワ先輩の色がそこにそのまま表現されていた。審査のあとぼくとトイレで居合わせたウエサカ先生は、
「サヤカさんの作品は良かったね。でもニラサワくんの力によるところも大きいよね。二連覇だよ」
と言った。
「まあ、そうですね」
とぼくは苦笑いしながら返した。
でも建築学科出身でない読者のかたに一応説明すると、サヤカはズルをしたわけではない。サヤカの卒業設計作品は、彼女の地元である東北地方の都市を活性化したいという動機のもとはじまったものだ。そこから彼女は一生懸命地元に帰省した際には調査をし、それを設計として積み重ねてきたのだ。
それをうまくカタチにし、プレゼンテーションとして表現したのニラサワ先輩だ。卒業設計を手伝ってもらうのはOKなのだ。極端な話、自分の作品として、きちんと説明できればよいのだ。これは社会に出てよくわかった。建築はけして一人の力だけではできない。
そして一年が経ち、修士課程2年生であったニラサワ先輩は、修士設計という、これもまた修士論文のかわりとなるもので最優秀賞をとった。そして彼は大手の組織設計に入社した。学生が参加できるコンペに提出しては入賞するニラサワ先輩には、すでに多くの会社や設計事務所からのオファーがあったらしい。
ニラサワ先輩の成し遂げた学内での功績をまとめてみよう。
大学4年に卒業設計最優秀賞。
修士1年に彼女の卒業設計最優秀賞を演出、いやこれはほぼ彼の手柄だ。
そして修士2年修士設計最優秀賞。
これでスリーピート達成になる。
いや、違った!申し訳ない。ニラサワ先輩は修士2年のとき、当時大学4年生で研究室の後輩であるカヨとつきあっていた。その年、カヨは卒業設計で最優秀賞をとった。提出された作品はこれまたニラサワ先輩の色が満載であった。ニラサワ先輩はフォーピートを達成していたのだ。
ちなみに後日談があるのでこれも紹介しておこう。
まずバスケットボールでは、引退したマイケルジョーダンはまた復帰した。そしてシカゴブルズは3連覇。またもスリーピートを獲得し、伝説となった。
ニラサワ先輩も大学に復帰した。組織設計に所属しながら特任講師として三年間、学生の卒業設計を指導することになったのだ。会社でも特例の措置らしい。そしてその三年間、彼のゼミの学生が卒業設計ですべて最優秀賞を獲得したのだ。しかも三人とも全員女の子。。。まさかね。
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