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友達
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結局岸野さんは、そこから更に数分悩み、アジフライを手にした。
「アジフライにするんだね」
「うん!やっぱり嬉しいことがあった日には好きな物食べたいなって!」
「嬉しいこと?」
「だって、友達が出来たんだよ?しかも転校してすぐに!それって凄く嬉しい事じゃない?」
「そりゃあ友達が出来たら嬉しいだろうけど、いつ友達なんて出来たの?」
少なくとも今日1日、僕以外と話してる所を見ていないため疑問に思う。
「何言ってるの?澄風くんの事に決まってるじゃん!!」
「え、僕?」
「当たり前じゃん!それとも、澄風くんは私の事友達って思ってない…?」
「ううん、僕も友達だって思ってる。ただ、あんまりそういう事言われ慣れてないからびっくりしただけだよ」
「あはは、流石ぼっち日本代表選抜選手だね!オリンピックでれそう?」
「言い過ぎじゃない?素直に心えぐられるんだけど…」
「ふふっ、でも、もうぼっちじゃないね。私嬉しいよ」
「母親か何かですか?」
(でも、友達か…嬉しいような、ちょっと胸が痛くなるような…)
ふと、岸野さんの顔を見てみる。相変わらず可愛い。でも、少しばかり紅く染ってるような…
「私、さっきサラッと恥ずかしい事言ったね!!ごめんね!!」
どうやら自分のセリフを思い返して恥ずかしがっていたみたいだ。まあ確かに、背中が痒くなるようなセリフだったが、ただ…
「確かに聞いてるこっちまで恥ずかしくなる言葉だったけど、でも素直に嬉しいよ、ありがとうね」
「澄風くんも一言余計だね!?でも、お礼を言われて悪い気はしないかな~なんて」
と、そんな風に照れる岸野さん。その様子を更に可愛いと思いながらも、自分のついた小さな嘘に呆れつつ、気づかれないようにため息をつくのだった。
そんな他愛もない会話を繰り広げた後、僕達はレジを済ませ店を出た。因みに、岸野さんはアジフライだけでなくキャベツも買っていた。
曰く、野菜と一緒に食べれば実質カロリー0らしい。いやどういう理論…?
「まさか帰り道も一緒だったなんてね~、席も隣だし、何だか運命感じるね!」
「運命ね…何だか出来すぎてる気もするけど」
「考えすぎ!そんなに気にしないの!」
「まあ、考えすぎだよね」
「そうだよ!ねえねえ、そう言えば澄風くんは夜ご飯何食べるのー?じゃがいもとかしらたきとかあったし、カレー?」
「しらたきはカレーに入んないでしょ…今日は肉じゃがの予定だよ」
「え!澄風くん肉じゃが作れるの!?」
「うん、でも言うほど肉じゃがって難しくないんだよ。具材切って煮込んで程よく味付けするだけだから」
「私にはその程よくが難しいのです…」
「何回か練習したら誰でもできるようになるよきっと、多分。確証はないけど」
「そこは断言して欲しかったなあ…」
と、夜ご飯の話で盛り上がりながら、2人で帰路を辿る。もうすぐ僕の家に着くのだが、岸野さんはまだ一緒にいる。あれ、もしかして家近い?近いのか…?
岸野さんも同じことを思ったのか、
「ねえねえ、澄風くんの家ってどこら辺なの?」
と、聞いてきた。
「えーっと、もうすぐ着くんだよね…そこの曲がり角を右に曲がってちょっとしたとこにある茶色い屋根がそうなんだけど」
「そうなの!?じゃあ私の家とかなり近いね!」
「やっぱりそうなんだ?ずっと一緒の道だったからもしかしたらって思ったけど、まさかそんなこと…」
「やっぱり運命ってあるんだよ!私達きっと結ばれ…あっ!」
何かを言いかけて、慌てて口を閉ざした岸野さん。さっきのように、顔がほんのり紅くなっている。その様子に、僕は頭にはてなを浮かべつつ、聞いた。
「どうしたの?何かあったの?」
「う、ううん!!何でもない!ナンデモナイ!」
「何故カタコト?」
「いいから!えっと、わ、私の家すぐ近くだから!楽しかった!また明日ね!バイバイ!」
必死の形相で言葉を紡ぎ、その場を走り去っていった岸野さん。僕は1人置き去りになった。
「なんだったんだ?」
やっぱりよく分からない。ただ、分からないならしょうがない。何か急用でも思い出したんだなって思っておこう。
そのまま僕は家に入る。その時ふと、
「また明日、か。」
と、呟く。
学校にいる時にも言われたが、あれは僕の方から言ったからな。岸野さんから言われると余計に嬉しく感じた。また明日って思ってくれているんだなって、思わずにやけてしまう。
よし、明日も頑張ろう。
てか、聞きたいこと聞けなかったな…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(やってしまったー!!私はなんて恥ずかしいことを言いかけたんだろう!!)
私こと、岸野雨は先程口走りそうになった言葉を思い出しながら、自室にて羞恥に悶えていた。
(いくら久しぶりにできた友達だからって、テンション上がりすぎじゃない!?しかもよりにもよって、結ばれる運命だなんて…!)
流石に飛躍しすぎだ。いくら何でも出会って初日の人に言う言葉じゃない。というか、そもそもそういう関係でもない人に言う言葉じゃない!
「あー!!恥ずかしー!!!」
思わず叫んでしまうくらいには恥ずかしかった。なんだか今日は恥ずかしいことを言い過ぎた気がする。もしかして、気づいてないとこでも言ってしまったのではないか?
そう考えて、私は今日一日の事を思い出した。そこにでてきたのは、澄風くんとの思い出。
(まだ初日だし、何か特別なことをした訳じゃないけど、なんでかな、凄く楽しかった。)
彼は、話してて面白い人だ。最初こそちょっとチグハグな所もあったが、直ぐにそれも解消されて普通に話せるようになった。
後、顔もかなりかっこいい…
(て、私また何を考えてるの!!澄風くんは友達!すごく馬が合うってやつなの!!あーもう!心臓ドキドキしないで!止まって!あ、いや本当に止まらないで!)
自分でも思うが、今の自分は凄くおかしい。かなり浮かれてしまってる。
「もしかして、友達では済まされない関係に、なったりとか…」
と、謎の妄想を膨らませる。しかし、その妄想を振り切り
「やっぱりだめ。私にはそれは出来ない。きっと迷惑だろうから。」
諦めなきゃ。と自分に言い聞かせた。ただ、一緒にいて楽しかったのも事実。だから…
「きっとこんな機会もう来ないし…せめてこのままの関係でい続けたいな。それくらいなら、私も望んで、いいよね…?」
と、誰も居ない部屋の中で、ポツリと呟いた。
「アジフライにするんだね」
「うん!やっぱり嬉しいことがあった日には好きな物食べたいなって!」
「嬉しいこと?」
「だって、友達が出来たんだよ?しかも転校してすぐに!それって凄く嬉しい事じゃない?」
「そりゃあ友達が出来たら嬉しいだろうけど、いつ友達なんて出来たの?」
少なくとも今日1日、僕以外と話してる所を見ていないため疑問に思う。
「何言ってるの?澄風くんの事に決まってるじゃん!!」
「え、僕?」
「当たり前じゃん!それとも、澄風くんは私の事友達って思ってない…?」
「ううん、僕も友達だって思ってる。ただ、あんまりそういう事言われ慣れてないからびっくりしただけだよ」
「あはは、流石ぼっち日本代表選抜選手だね!オリンピックでれそう?」
「言い過ぎじゃない?素直に心えぐられるんだけど…」
「ふふっ、でも、もうぼっちじゃないね。私嬉しいよ」
「母親か何かですか?」
(でも、友達か…嬉しいような、ちょっと胸が痛くなるような…)
ふと、岸野さんの顔を見てみる。相変わらず可愛い。でも、少しばかり紅く染ってるような…
「私、さっきサラッと恥ずかしい事言ったね!!ごめんね!!」
どうやら自分のセリフを思い返して恥ずかしがっていたみたいだ。まあ確かに、背中が痒くなるようなセリフだったが、ただ…
「確かに聞いてるこっちまで恥ずかしくなる言葉だったけど、でも素直に嬉しいよ、ありがとうね」
「澄風くんも一言余計だね!?でも、お礼を言われて悪い気はしないかな~なんて」
と、そんな風に照れる岸野さん。その様子を更に可愛いと思いながらも、自分のついた小さな嘘に呆れつつ、気づかれないようにため息をつくのだった。
そんな他愛もない会話を繰り広げた後、僕達はレジを済ませ店を出た。因みに、岸野さんはアジフライだけでなくキャベツも買っていた。
曰く、野菜と一緒に食べれば実質カロリー0らしい。いやどういう理論…?
「まさか帰り道も一緒だったなんてね~、席も隣だし、何だか運命感じるね!」
「運命ね…何だか出来すぎてる気もするけど」
「考えすぎ!そんなに気にしないの!」
「まあ、考えすぎだよね」
「そうだよ!ねえねえ、そう言えば澄風くんは夜ご飯何食べるのー?じゃがいもとかしらたきとかあったし、カレー?」
「しらたきはカレーに入んないでしょ…今日は肉じゃがの予定だよ」
「え!澄風くん肉じゃが作れるの!?」
「うん、でも言うほど肉じゃがって難しくないんだよ。具材切って煮込んで程よく味付けするだけだから」
「私にはその程よくが難しいのです…」
「何回か練習したら誰でもできるようになるよきっと、多分。確証はないけど」
「そこは断言して欲しかったなあ…」
と、夜ご飯の話で盛り上がりながら、2人で帰路を辿る。もうすぐ僕の家に着くのだが、岸野さんはまだ一緒にいる。あれ、もしかして家近い?近いのか…?
岸野さんも同じことを思ったのか、
「ねえねえ、澄風くんの家ってどこら辺なの?」
と、聞いてきた。
「えーっと、もうすぐ着くんだよね…そこの曲がり角を右に曲がってちょっとしたとこにある茶色い屋根がそうなんだけど」
「そうなの!?じゃあ私の家とかなり近いね!」
「やっぱりそうなんだ?ずっと一緒の道だったからもしかしたらって思ったけど、まさかそんなこと…」
「やっぱり運命ってあるんだよ!私達きっと結ばれ…あっ!」
何かを言いかけて、慌てて口を閉ざした岸野さん。さっきのように、顔がほんのり紅くなっている。その様子に、僕は頭にはてなを浮かべつつ、聞いた。
「どうしたの?何かあったの?」
「う、ううん!!何でもない!ナンデモナイ!」
「何故カタコト?」
「いいから!えっと、わ、私の家すぐ近くだから!楽しかった!また明日ね!バイバイ!」
必死の形相で言葉を紡ぎ、その場を走り去っていった岸野さん。僕は1人置き去りになった。
「なんだったんだ?」
やっぱりよく分からない。ただ、分からないならしょうがない。何か急用でも思い出したんだなって思っておこう。
そのまま僕は家に入る。その時ふと、
「また明日、か。」
と、呟く。
学校にいる時にも言われたが、あれは僕の方から言ったからな。岸野さんから言われると余計に嬉しく感じた。また明日って思ってくれているんだなって、思わずにやけてしまう。
よし、明日も頑張ろう。
てか、聞きたいこと聞けなかったな…
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(やってしまったー!!私はなんて恥ずかしいことを言いかけたんだろう!!)
私こと、岸野雨は先程口走りそうになった言葉を思い出しながら、自室にて羞恥に悶えていた。
(いくら久しぶりにできた友達だからって、テンション上がりすぎじゃない!?しかもよりにもよって、結ばれる運命だなんて…!)
流石に飛躍しすぎだ。いくら何でも出会って初日の人に言う言葉じゃない。というか、そもそもそういう関係でもない人に言う言葉じゃない!
「あー!!恥ずかしー!!!」
思わず叫んでしまうくらいには恥ずかしかった。なんだか今日は恥ずかしいことを言い過ぎた気がする。もしかして、気づいてないとこでも言ってしまったのではないか?
そう考えて、私は今日一日の事を思い出した。そこにでてきたのは、澄風くんとの思い出。
(まだ初日だし、何か特別なことをした訳じゃないけど、なんでかな、凄く楽しかった。)
彼は、話してて面白い人だ。最初こそちょっとチグハグな所もあったが、直ぐにそれも解消されて普通に話せるようになった。
後、顔もかなりかっこいい…
(て、私また何を考えてるの!!澄風くんは友達!すごく馬が合うってやつなの!!あーもう!心臓ドキドキしないで!止まって!あ、いや本当に止まらないで!)
自分でも思うが、今の自分は凄くおかしい。かなり浮かれてしまってる。
「もしかして、友達では済まされない関係に、なったりとか…」
と、謎の妄想を膨らませる。しかし、その妄想を振り切り
「やっぱりだめ。私にはそれは出来ない。きっと迷惑だろうから。」
諦めなきゃ。と自分に言い聞かせた。ただ、一緒にいて楽しかったのも事実。だから…
「きっとこんな機会もう来ないし…せめてこのままの関係でい続けたいな。それくらいなら、私も望んで、いいよね…?」
と、誰も居ない部屋の中で、ポツリと呟いた。
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