空は曇り、雨は上がる

アルナ

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初めての邂逅

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「結局あの後、寝付けなかったな…」

朝8時。登校中、僕は眠い目を擦りながらそう呟いた。あんな時間に寝て、お風呂まで遅かったため、しばらくは寝付くことが出来なかった。当然と言えば当然だが…

「流石に、ちょっと眠いな…」

何とかいつもと同じ時間に起きることはできたが、体はいつもよりだるい。しんどい。この世の全てが憎い。

なんて、朝から暗い気分のまま脚だけを動かし体を平行移動させる。上下の揺れが一切ない完璧なまでの移動。まるで台車に乗せられて運ばれているかのようだ。

「まずい。頭がバグり散らかしてる。無駄に洗練された無駄のない無駄な動きを始めるくらいには…」

と、ふと思い出す。

「岸野さん、迎えに行くべきか…?いやでも、かなり早い時間だし、まだ準備終わってないんじゃないか…?それに、いきなり行ってもキモがられる可能性も…?それに、ブツブツ……」

などと、1人で同じ道を右往左往しながら独り言を呟き続ける。あまりの挙動不審に、すれ違った40代後半と思われる女性に、白い目で見られ警察に通報されかけた。

僕にとっては重大な悩み事をしていたのだが、周りにはただの不審者にしか見えないらしい。いやごめん。当たり前だ。


テッテレー、黒歴史に新たなストーリーが追加されました。


散々悩んだ挙句、僕はそのまま学校へと向かった。もう少し仲良くなってからにしようと判断。決してひよったわけではない。ヒヨッテルヤツイル?

--------------------------------------------

ジリリリリリリリン、ジリリリリリリリン

「すぅ…ふぅ…すぅ…ふぅ…」

私、岸野雨は朝が弱いです。あらかじめ設定しておいたアラームの音を無視して寝続けるくらいには。

「っ…すぅ…ふぅ……ハッ!」

目が覚めた私は飛び起きて、

「今何時!?」

時計を見た。7時50分。学校は8時30分開始だから、ギリギリです。

「あー!!!ちーこーくーすーるー!!!」

こうして私は、いつものように慌ただしい朝を迎えるのでした…

--------------------------------------------

8時15分、僕は学校についた。いつもより少し遅いけど、間に合えばいいやの精神で生きている。

「よ、空!なんか今日はいつにも増して眠そうじゃん?」

「なんだエイジかよ。」

また話しかけてきた。毎日ご苦労なことだな。

「なんだってなんだよ!?せっかく目を覚ましてやろうかと思って声掛けたのになー?」

「心配ありがとうございます、でも心配いりません」

何となく敬語で返してみた。

「なんで敬語なんだ?痒っ」

「お前もお前で中々失礼なこと言うよな。」

昨日から貶されてばかりな気がする。まあ、嫌ではないけど。

「ははっんで、何かあったのか?」

「特に何もねえよ、たまたま寝れなかっただけだ」

「なーんだ。お前のことだから、岸野さんとやらのことを考えてると思ったんだけど?」

「………」

目を逸らす。

「図星じゃねえか?てかおいおい、そんな睨むなって!別に悪いなんて言ってないだろ?」

「なんか見透かされた感じがして腹立つ」

「ま!俺はお前のこと詳しいからな!何でも分かっちまうんだよ」

「ストーカーかよ。おまわりさーん、たすけてー」

「おいバカやめろよ!?しゃれになんねぇよ!」

バカが騒いでるので無視することにした。

「相変わらず、俺の扱い酷いな…てか、今来てるのか?岸野さん」

「そう言えば、5分前なのに全然来ないな…」

どうしたんだろうか。もしかして、事故にでもあったのか…?

などと考えていると、

「ふぅー!セーフセーフ!遅刻するかと思ったぁ…」

と言いながら岸野さんが教室に入ってきた。

「おはよ、岸野さん。随分ギリギリに来たね?」

「あ、澄風くん!おはよう!いやー危なかったよぉ~…私朝弱くってなかなか目覚められないんだよね~」

僕の近くにいるエイジを一瞥した後、岸野さんはそう言いながら自分の席に座る。

「もしかして君が岸野さん??すっげー可愛いじゃん!??おい空、なんでもっと早くに教えてくれなかったんだよー??あ、多分初めましてなのかな?俺、西野エイジ。よろしく!!」

エイジが簡単に自己紹介をした。てか、教えるも何もこのクラスに入ってきたんだから、普通は知ってると思うだろ…
          
岸野さんを見ると、かなり驚いた様子で、口をポカーンと開けたまま固まっていた。

「岸野さん?」

「ふぇ!?あーごめん!びっくりしちゃって!西野くんだね?私は岸野雨!こちらこそよろしくね?………?」

岸野さんは、昨日と同じ明るい笑顔で自己紹介をした後、直ぐに難しい顔をしてしまった。緊張、してるのか?

「そんな固くならなくてもいいよ、こいつ見た目と発言があれだけど、悪いやつじゃないから」

「おいおい今聞き捨てならないこと言ったかおい、それは流石の俺も看過できねえぞ?体育館裏に呼び出すぞ?」

「こんなこと言ってるけど、別にそんなつもり一切ないから、安心して」

そんないつものくだらない会話を繰り広げる。それをみて岸野さんの緊張も少しはほぐれたみたいだ。

「う、うん!分かったよ!それより、私と西野くんの苗字ってなんか似てるね?」

「あー確かに、なんか響きがそっくりだね」

「岸野、西野、岸野、西野。ほんとだ、そっくりだな!?」

「もしかしたら、神様が名前適当につけたら、たまたま似た感じに被っちゃったのかもね?」

「そうだとしたらその神様とんでもねぇやつだな?はははっ!」

ぎぎぎぎぎぎぎんんんんんんんこの世の終わりのような音

「とっいっけね!じゃあ戻るわ!またな~」

チャイムを聞き、慌てて戻っていくエイジ。それを2人で見ながら

「ね?悪いやつじゃないでしょ?バカだけど」

「みたいだね~」

と話したのを最後に、教室に入ってきた先生に目を向けるのだった。
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