異世界<おせっかい>人情ラプソディ~いや、『おせっかいスキル』で無双って何⁉️~

立沢るうど

文字の大きさ
83 / 123

第八十三話……来訪者!

しおりを挟む
 朝食を食べたあと、私達は国家保育資格試験の問題を作成していた。参考資料を先に作るより、そちらを先に作った方が私達に合っていたからだ。
 その問題を元に、たすくが参考資料を並行して作成することにした。

「じゃあ、これ。『ビルくん三歳が泣き喚き、他の子どもに危険が及ぶ可能性がある場合、保育者はビルくんまたは他の子どもに対してどのように接すればよいか。正しいものを全て選びなさい。ただし、いずれの子どもも、その両親から預かっていることを前提とする。
 一、一刻も早く他の子どもから引き離す。
 二、ビルくんが泣き止むまで見守る。
 三、他の子どもにビルくんを何とかするよう諭す。
 四、ビルくんに他の子どもが迷惑するからと言って泣き止むよう注意する。
 五、ビルくんがなぜ泣いているのかビルくんに聞く。
 六、ビルくんがなぜ泣いているのか他の子どもに聞く。
 七、ビルくんが泣いている原因を取り除いてあげる。
 八、ビルくんが自分で原因を取り除けるようアドバイスする。
 九、なぜそのような状況になったのかを分析して他の子どもに教える。
 十、詳細な分析結果を保育者同士で共有する』」
「また、さり気なく難しい問題を出してきたな……。選択肢も多いし。一は間違いだと思わせて、実は正しい。保護者間で大事になったり、責任問題になったりするからな。だから、二は正しくない。あとは、すぐには分からないけど、十は間違いなくひっかけだろ」

「そうそう。あとは、保育と教育をわざと混在させた。問題を解くだけで、効率良く勉強できるからね。だからこそ、微妙に間違いやすくもあるんだけど」
「やっぱり、みかは才能あるよ。具体的な問題から発展して、色々なことを想像できる上に、効率まで考えられてるなんて、普通はできないんだから。これなら楽しく勉強できそうだし」

「自分でも意外だったかも。問題がスルスル出てくるのは間違いないからね。次は、『どうしても女性保育者のおっぱいを吸いたいビルくん』にしようかな」
「可哀想なビルくん……。訴えられないようにしないと……」

 問題作成を続けていると、国賓部屋の扉がノックされた。

「おはよう。今、大丈夫かな?」
「お、噂をすれば。おはよう」
「おはよう。って言うか、ずっとビルくんの話題だったけど……」

「率先して問題を作成してくれているとは流石だな。感謝する。報酬はしっかり用意しているから安心してほしい。
 さて、保育と教育関連が終わったら、モンスター用社会適合テストの方に移りたいんだが、日程的にはどんな感じになりそうかなと思って聞きに来た。
 もちろん、無理はしなくていい。おせっかいパーティーが城に滞在する分には、いくら長くてもこちらとしては嬉しいのだから」
「どうだ、みか? みか次第のところがあるから」
「深夜残業しないなら、早くて四日後かなぁ。遅くても五日後。問題だけなら二日でできるけどね」

「じゃあ、完成した問題から、先代に学習していただくか。資格試験と言っても、落とすための試験ではないからな。仮に落ちても、その場でどこが間違っていたかを確認して再試験だ。すでに、保育も教育も始まっているのだから、時間差がないに越したことはない」
「本当に流石だよ、ビルは。十分に時間があるなら、それが試験のあるべき姿だよ」
「問題の対照性やバランスも考えたいんだけど、それも後回しでいい? もしかしたら、問題そのものが変わるかもしれないよ? もちろん、整合性や本質は変わらないようにするけど」

「それなら問題ない。そもそも私達が求めるクオリティ以上のものが出来上がっているのだから。最終確定は、まだ先でいいよ。一度売った商品と違って、手直しはいくらでも効く。是非、完璧を求めてほしい」
「本来、クオリティと納期のバランスは考えないといけないけど、俺達の場合は仕事の範囲も量も限られてるからな。だから、最終的なクオリティを追求できるってわけだ」
「そこまで期待されたら、やるしかなくなっちゃったじゃん……」

「ありがとう、みか。ただし、何度も言うが、無理はしないでくれよ。肉体的にも精神的にも。休みながらでいいんだ。国家持続方針や社会適合テストの時と違って、そこまで急いでないんだからな」
「ビルもな。まだ不十分だろ? ちゃんと寝て、家に帰ってくれよ……とサーズなら昨日みたいに言うぞ。嬉しくて張り切るのも分かるけどな。そういう時こそ、慎重になるべきだ。調子に乗ると碌なことがない。本当にないんだ……」
「……」

「……。ありがとう、たすく。是非、そうするよ。さて、私は仕事に戻る。午後以降なら、城内を自由に歩いてかまわない。明日以降なら、城外でも。
 何か問題が起こらない限り、私はここに来ない。完成した問題は、コーディーに毎朝渡してくれ。ただし、四日後の朝に進捗を聞きに来るから、順調に行った場合、たすく達はその次の日に洞窟Aに行って、モンスター用社会適合テストをモンスター達に説明、レクチャーしてほしい。私達は行かずに別の仕事をしている。
 モンスターは『責任』を知らないとのことだが、もし責任者を呼べと言われたら、その結果を踏まえて『モンスターと人間の共存社会実現方針』を作成した時点で来ると伝えてほしい。その際は、こちらも事情があって忙しいんだと、ハッキリ言ってくれてかまわない。ただし、君達との関係を蔑ろにしているわけではない、ということも伝えてほしいかな。自分達の命を優先するのは当たり前だからな」
「分かった。強さの上下関係があるから、強くは言われないと思うけど、その時があれば不信感を払拭させつつ伝えるよ」

 ビルさんがお礼を言って、仕事に戻って行ったあとは、私達も昼食まで仕事を続けた。



 午後になって、国賓部屋のドアがまたノックされ、一人の女性が入ってきた。
 すでに『友人』ランクであり、似たような人を見たことがある既視感とその美貌、物腰の柔らかさから、まさに清楚系お嬢様、箱入り娘といった感じで、それが誰であるかは想像に難くなかった。

 でも、何かおかしい……。いや、明らかにおかしいんだけど……。

 だって、その女性の体が微妙に透けてるんだから……。しかもあれは……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです

忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。 それは、最強の魔道具だった。 魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく! すべては、憧れのスローライフのために! エブリスタにも掲載しています。

処理中です...