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第百七話……みんなで一緒に!
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次の日の朝食後、モンスター披露イベントの次第をビルさんから受け取った私達は、一度それを共有するために洞窟Aに行った。
「あ……」
「ん? あー、そういうことか……」
魔壁前に到着して、私が最初に見たのは、モンスターがみんな人間の姿になっている光景だった。ただし、一体を除いて……。
たすくは、私の考えを読んで察したようだ。
そのモンスターは、『Wくん』。狼系モンスターだ。
Wくんは、みんなとは少し距離を取って、落ち込んでいる様子だった。
「たすく、みか。もう分かっていると思うが、Wくんが……」
「ああ、任せてくれ。Wくん、これから午後のイベントの流れを共有する。まずは、話しを聞いてくれ。大丈夫だよ、俺達が何とかするから」
『で、でも……僕なんか、いない方が良いよ……』
Wくんは、その見た目からは想像ができないほど、弱気で大人しい性格だった。
そんな彼を前にしても、たすくは説得に自信を持っているようだ。
「それは違う。そもそも、『いない方が良い』なんて誰も決められないんだ。じゃあ、『いた方が良い』とも言えないじゃないかと思うかもしれない。
実は、それも違う。なぜなら、それに限っては明らかなことがあるからだ。
今、君が落ち込んでいることが答えだよ。一緒に参加したいから落ち込んでるんだろ?
そして、もう一つ答えがある。ここにいる全員が君を心配しているんだ。聞かなくても分かるほどに。
周囲が君に声をあまりかけなかったのは、自分の未熟な言葉では、より傷付けてしまうかもしれないと思っているから。これは流石に考えを読んだけど。
さて、この『二つの答え』を前にして、君はどんな『答え』を出す? 君が『決める』んだ」
Wくんは、ハッとしたように顔を上げ、みんなの顔を見渡した。
『ぼ、僕が……決める……? 僕は……みんなと一緒に行きたい! 行きたいよ……! でも……まだ怖いんだ! 人間が……! おせっかいパーティーは別だけど……』
「それは仕方がないことだ。でも、それが鍵だよ。Wくんは、何度も人間に深手を負わされ、ここに戻ってきては、また人間の前に姿を現していた。それは、自分の臆病な性格を直すため。
今度は洞窟から外に出てしまうと、逃げ場所がない。あるにはあるが、そのことでみんなに迷惑をかけてしまうからできない。
人間に襲われるかどうかは関係なく、震えてしまう。
事前の議論でもそれを言い出せなかった。そうだな?」
『うん……ごめん……。でも、たすくなら確認するまでもないよね……』
「なぜ俺がわざわざ確認しているかというと、それを自覚し、みんなの前で認めることが大事だと思うからだ。
その上であえて言おう。君は臆病じゃない。自分を必死に変えようとしているヤツが臆病なはずがないんだ。まさに、命懸けだったじゃないか。
そして、臆病になったわけでもない。直前まで『なるようになれ!』と思っていたんだから。
人間に変身できないことを、自分の元来の性格に結び付けて、ただ言い訳にしていただけだよ。それがさらに負のスパイラルを生んだにすぎないんだ」
「私からもいいかな? Wくんは、公開処刑前の私と全く同じ。『怖い』『震える』、それを何とかしようと思ってる。
でも、その必要はないんだよね。みんな怖いんだよ。このあとは脚が震えるかもしれない。
でも、それでいいんだよ。人間の私だって怖いんだから。
だったら、みんなで一緒に怖がろうよ。そしたら、『あの時、怖かったよなー』って笑い話ができるんだから。
もし、一緒に行かなかったら、『いや、僕は怖くなかったけど』とも言えなくなるんだよ? せっかくだからそれを言って、『大嘘つきがここにいるぞ!』ってツッコミ入れてもらおうよ!」
「みかさん、それはネタ潰しでは?」
「…………ぷっ……あははは! やっぱり、おせっかいパーティーはすごいね! 大好き!」
「良かったよ、元気になってくれて。それじゃあ……」
「あ……! Wくんが人間に……かわいい狼少年に見えるようになった! 尻尾は生えてるけど、人間に変身できるようになったんじゃない?」
『ほ、本当⁉️ え、えっと……教えてもらった通りに……こ、こうかな……?』
「おお! できてるできてる!」
「私からは、もう見分けが付かなくなったから、誰かに確認してもらうしかないんだよね」
「う、嬉しいよぉ……。ありがとう! たすく、みか!」
「どういたしまして! それじゃあ、次第を共有しようか」
「あ、じゃあみんな、人間に変身してくれる? 質問があった時に、セレナに通訳する手間が省けるから」
「お手数をおかけします」
プレア以外のモンスターは経験の差があまりないんじゃないかと私達は思っていたが、Wくんを見ると、どうやら違ったようだ。
それから、イベントの流れを確認し、いくつかの質問を受けたものの、たすくの判断で回答できるものだけだったので、問題なく私達はその場を後にした。
さて、どうなるかな……。
国賓部屋で昼食を食べながら周りを見ると、誰も不安がっていない様子で、特にたすくとセレナは、もりもりと皿を平らげていた。
これもう『ポジティブ五人衆』でしょ……。
もしかして私、『狼少女』になっちゃった……?
「あ……」
「ん? あー、そういうことか……」
魔壁前に到着して、私が最初に見たのは、モンスターがみんな人間の姿になっている光景だった。ただし、一体を除いて……。
たすくは、私の考えを読んで察したようだ。
そのモンスターは、『Wくん』。狼系モンスターだ。
Wくんは、みんなとは少し距離を取って、落ち込んでいる様子だった。
「たすく、みか。もう分かっていると思うが、Wくんが……」
「ああ、任せてくれ。Wくん、これから午後のイベントの流れを共有する。まずは、話しを聞いてくれ。大丈夫だよ、俺達が何とかするから」
『で、でも……僕なんか、いない方が良いよ……』
Wくんは、その見た目からは想像ができないほど、弱気で大人しい性格だった。
そんな彼を前にしても、たすくは説得に自信を持っているようだ。
「それは違う。そもそも、『いない方が良い』なんて誰も決められないんだ。じゃあ、『いた方が良い』とも言えないじゃないかと思うかもしれない。
実は、それも違う。なぜなら、それに限っては明らかなことがあるからだ。
今、君が落ち込んでいることが答えだよ。一緒に参加したいから落ち込んでるんだろ?
そして、もう一つ答えがある。ここにいる全員が君を心配しているんだ。聞かなくても分かるほどに。
周囲が君に声をあまりかけなかったのは、自分の未熟な言葉では、より傷付けてしまうかもしれないと思っているから。これは流石に考えを読んだけど。
さて、この『二つの答え』を前にして、君はどんな『答え』を出す? 君が『決める』んだ」
Wくんは、ハッとしたように顔を上げ、みんなの顔を見渡した。
『ぼ、僕が……決める……? 僕は……みんなと一緒に行きたい! 行きたいよ……! でも……まだ怖いんだ! 人間が……! おせっかいパーティーは別だけど……』
「それは仕方がないことだ。でも、それが鍵だよ。Wくんは、何度も人間に深手を負わされ、ここに戻ってきては、また人間の前に姿を現していた。それは、自分の臆病な性格を直すため。
今度は洞窟から外に出てしまうと、逃げ場所がない。あるにはあるが、そのことでみんなに迷惑をかけてしまうからできない。
人間に襲われるかどうかは関係なく、震えてしまう。
事前の議論でもそれを言い出せなかった。そうだな?」
『うん……ごめん……。でも、たすくなら確認するまでもないよね……』
「なぜ俺がわざわざ確認しているかというと、それを自覚し、みんなの前で認めることが大事だと思うからだ。
その上であえて言おう。君は臆病じゃない。自分を必死に変えようとしているヤツが臆病なはずがないんだ。まさに、命懸けだったじゃないか。
そして、臆病になったわけでもない。直前まで『なるようになれ!』と思っていたんだから。
人間に変身できないことを、自分の元来の性格に結び付けて、ただ言い訳にしていただけだよ。それがさらに負のスパイラルを生んだにすぎないんだ」
「私からもいいかな? Wくんは、公開処刑前の私と全く同じ。『怖い』『震える』、それを何とかしようと思ってる。
でも、その必要はないんだよね。みんな怖いんだよ。このあとは脚が震えるかもしれない。
でも、それでいいんだよ。人間の私だって怖いんだから。
だったら、みんなで一緒に怖がろうよ。そしたら、『あの時、怖かったよなー』って笑い話ができるんだから。
もし、一緒に行かなかったら、『いや、僕は怖くなかったけど』とも言えなくなるんだよ? せっかくだからそれを言って、『大嘘つきがここにいるぞ!』ってツッコミ入れてもらおうよ!」
「みかさん、それはネタ潰しでは?」
「…………ぷっ……あははは! やっぱり、おせっかいパーティーはすごいね! 大好き!」
「良かったよ、元気になってくれて。それじゃあ……」
「あ……! Wくんが人間に……かわいい狼少年に見えるようになった! 尻尾は生えてるけど、人間に変身できるようになったんじゃない?」
『ほ、本当⁉️ え、えっと……教えてもらった通りに……こ、こうかな……?』
「おお! できてるできてる!」
「私からは、もう見分けが付かなくなったから、誰かに確認してもらうしかないんだよね」
「う、嬉しいよぉ……。ありがとう! たすく、みか!」
「どういたしまして! それじゃあ、次第を共有しようか」
「あ、じゃあみんな、人間に変身してくれる? 質問があった時に、セレナに通訳する手間が省けるから」
「お手数をおかけします」
プレア以外のモンスターは経験の差があまりないんじゃないかと私達は思っていたが、Wくんを見ると、どうやら違ったようだ。
それから、イベントの流れを確認し、いくつかの質問を受けたものの、たすくの判断で回答できるものだけだったので、問題なく私達はその場を後にした。
さて、どうなるかな……。
国賓部屋で昼食を食べながら周りを見ると、誰も不安がっていない様子で、特にたすくとセレナは、もりもりと皿を平らげていた。
これもう『ポジティブ五人衆』でしょ……。
もしかして私、『狼少女』になっちゃった……?
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