108 / 123
第百八話……モンスターが出た!
しおりを挟む
午後になり、ビルさんを連れて改めて洞窟Aに向かった私達は、その出入口前にいた。
「よし、それじゃあ運ぶぞ」
たすくが魔壁前にいるモンスター全員に遠隔で声をかけ、返事を受けると、彼らを五秒程度で出入口まで運んできた。
『やっぱり、一番恐ろしいのは、たすくだろ……。洞窟内の景色を認識すらできなかったぞ……』
先頭を切り、ドスドスと足音を立て、トロール姿で出入口から外に出てきたTくんの表情は、モンスターとは思えないほど複雑な表情をしていた。
「あまり気にしない方が良いよ。Tくんなら、『衝撃を無効化したにせよ、その力は一体どこに行ったのか』とか色々考えちゃうだろうけど。
それにしても、案外普通の反応だね。初めての洞窟外でしょ?」
『いや、その疑問で頭が一杯だったからこそだ……。しかし、改めて眺めてみると……美しいな……』
『うん……。プレアとラピスから話は聞いてたけど、外ってこんなに色鮮やかで眩しいんだね……』
モンスター全員が外に出て辺りを見渡していると、ビルさんがみんなの前に出た。
「この洞窟は我が国の領地内にあるから、この言葉が適切かどうかは分からないが……。
ようこそ、サウズ地方サウズ国へ! 皆を歓迎しよう! そして、我が国の一員となってくれることを心から嬉しく思う!」
『ああ! 俺達もだ! 感謝する!』
ビルさんが突き出した右こぶしに、ゆっくりと優しく右こぶしを合わせるTくん。
「それでは、少し早いが予定通りの順番で私に付いてきてくれ!」
そして、ビルさんが街の方を振り返り、みんなが進み始めようとした。
しかしその瞬間、今までに感じたことがない地震が発生した。
「な、なんだ……⁉️」
「うわ、変な地震!」
それもそのはず、地震が起きた直後、洞窟Aの出入口付近がガラガラと音を立てて崩落し、中への道が完全に塞がれてしまったのだ。
変だと思ったのは、崩落の衝撃による地震だったからだろう。
その際、細かい瓦礫や砂煙が中から勢い良く吹き出してきたが、たすくがそれを遮ってくれた。
「あ、危なかったね……。誰も巻き込まれなくて良かったよ。もしかして、みんなが歩いた時の衝撃が原因?」
「いや……これは……」
「…………何だろう……何か、変……ううん……何かが変わった……?」
たすくとリズの意味ありげな言葉に、私達は息を呑んだ。
「おそらくこの崩落、意図的なものだ。だが、心配する必要はない。誰がやったかは分かった。神様だよ」
「えぇ⁉️ どういうこと⁉️」
「正確には、そうプログラムされていた。この崩落の中心に穴が空いてるだろ? そこに侵入した光の通路がそれを示してくれた。
綺麗な正八面体を連続で描いて、中に繋がってるんだ。そして、その先には『とある物』が転がっていた。先と言っても魔壁前だけど……今持ってくる」
「あ……」
私がその方法を想像した瞬間、おせっかいスキルにより、崩落現場が一瞬にして塵と化し、その奥からとてつもないスピードで、『ソレ』が向かってきた。
なんか見覚えある光景だなぁ……。
しかし、たすくは『ソレ』を手に収めず、私達に見せるように、宙に浮かせた状態に保った。
「え……? 宝石が付いたネックレス? その赤い宝石が……正八面体?」
「神様からの報酬だろうな。その条件は、『モンスターが全員、洞窟外に出ること』。
崩落現場の光の通り道が、その報酬の内容を表していて、一定期間内に魔壁前に到達して回収しないと、この宝石が消滅する、なんてこともあったかもしれないな」
「だとしたら、崩落を解消するまでに消滅してそうだよね。もしかして、それも条件に含まれるのかな? モンスターを追い出す形だと、宝石を手に入れても自分が外に出られなくなったり、今回みたいに自分が外の場合は、モンスター達と協力して魔壁前まで辿り着かないと無理な時間設定だったりとか。
でも、たすくがそれをぶっ壊しちゃった」
「今のところ、違反とはみなされていないみたいだけど……ん?」
たすくが宝石を右手に乗せ、おせっかいスキルを解除すると、ネックレスが自動的にたすくの首にかかった。
「あっ……! 呪いのネックレスだったりして!」
「それは流石に神様に失礼だろ! 多分、何か効果があるはずだ。それを確認したいが、今はそんな時間はないな。後回しにしよう。
不測の事態が起きても困るから、俺が宝石の力を抑えるように周りを包む。
ビル、とりあえず行こう!」
「あ、ああ……。それでは気を取り直して……予定通りの順番で私に付いてきてくれ!」
そして、私達とモンスター一行は、宝石の謎を残しつつも広場に向かった。
「よし、それじゃあ運ぶぞ」
たすくが魔壁前にいるモンスター全員に遠隔で声をかけ、返事を受けると、彼らを五秒程度で出入口まで運んできた。
『やっぱり、一番恐ろしいのは、たすくだろ……。洞窟内の景色を認識すらできなかったぞ……』
先頭を切り、ドスドスと足音を立て、トロール姿で出入口から外に出てきたTくんの表情は、モンスターとは思えないほど複雑な表情をしていた。
「あまり気にしない方が良いよ。Tくんなら、『衝撃を無効化したにせよ、その力は一体どこに行ったのか』とか色々考えちゃうだろうけど。
それにしても、案外普通の反応だね。初めての洞窟外でしょ?」
『いや、その疑問で頭が一杯だったからこそだ……。しかし、改めて眺めてみると……美しいな……』
『うん……。プレアとラピスから話は聞いてたけど、外ってこんなに色鮮やかで眩しいんだね……』
モンスター全員が外に出て辺りを見渡していると、ビルさんがみんなの前に出た。
「この洞窟は我が国の領地内にあるから、この言葉が適切かどうかは分からないが……。
ようこそ、サウズ地方サウズ国へ! 皆を歓迎しよう! そして、我が国の一員となってくれることを心から嬉しく思う!」
『ああ! 俺達もだ! 感謝する!』
ビルさんが突き出した右こぶしに、ゆっくりと優しく右こぶしを合わせるTくん。
「それでは、少し早いが予定通りの順番で私に付いてきてくれ!」
そして、ビルさんが街の方を振り返り、みんなが進み始めようとした。
しかしその瞬間、今までに感じたことがない地震が発生した。
「な、なんだ……⁉️」
「うわ、変な地震!」
それもそのはず、地震が起きた直後、洞窟Aの出入口付近がガラガラと音を立てて崩落し、中への道が完全に塞がれてしまったのだ。
変だと思ったのは、崩落の衝撃による地震だったからだろう。
その際、細かい瓦礫や砂煙が中から勢い良く吹き出してきたが、たすくがそれを遮ってくれた。
「あ、危なかったね……。誰も巻き込まれなくて良かったよ。もしかして、みんなが歩いた時の衝撃が原因?」
「いや……これは……」
「…………何だろう……何か、変……ううん……何かが変わった……?」
たすくとリズの意味ありげな言葉に、私達は息を呑んだ。
「おそらくこの崩落、意図的なものだ。だが、心配する必要はない。誰がやったかは分かった。神様だよ」
「えぇ⁉️ どういうこと⁉️」
「正確には、そうプログラムされていた。この崩落の中心に穴が空いてるだろ? そこに侵入した光の通路がそれを示してくれた。
綺麗な正八面体を連続で描いて、中に繋がってるんだ。そして、その先には『とある物』が転がっていた。先と言っても魔壁前だけど……今持ってくる」
「あ……」
私がその方法を想像した瞬間、おせっかいスキルにより、崩落現場が一瞬にして塵と化し、その奥からとてつもないスピードで、『ソレ』が向かってきた。
なんか見覚えある光景だなぁ……。
しかし、たすくは『ソレ』を手に収めず、私達に見せるように、宙に浮かせた状態に保った。
「え……? 宝石が付いたネックレス? その赤い宝石が……正八面体?」
「神様からの報酬だろうな。その条件は、『モンスターが全員、洞窟外に出ること』。
崩落現場の光の通り道が、その報酬の内容を表していて、一定期間内に魔壁前に到達して回収しないと、この宝石が消滅する、なんてこともあったかもしれないな」
「だとしたら、崩落を解消するまでに消滅してそうだよね。もしかして、それも条件に含まれるのかな? モンスターを追い出す形だと、宝石を手に入れても自分が外に出られなくなったり、今回みたいに自分が外の場合は、モンスター達と協力して魔壁前まで辿り着かないと無理な時間設定だったりとか。
でも、たすくがそれをぶっ壊しちゃった」
「今のところ、違反とはみなされていないみたいだけど……ん?」
たすくが宝石を右手に乗せ、おせっかいスキルを解除すると、ネックレスが自動的にたすくの首にかかった。
「あっ……! 呪いのネックレスだったりして!」
「それは流石に神様に失礼だろ! 多分、何か効果があるはずだ。それを確認したいが、今はそんな時間はないな。後回しにしよう。
不測の事態が起きても困るから、俺が宝石の力を抑えるように周りを包む。
ビル、とりあえず行こう!」
「あ、ああ……。それでは気を取り直して……予定通りの順番で私に付いてきてくれ!」
そして、私達とモンスター一行は、宝石の謎を残しつつも広場に向かった。
0
あなたにおすすめの小説
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。
【あらすじ】
異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。
それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。
家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。
十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。
だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。
最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。
この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。
そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。
そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。
旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。
☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。
☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです
忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
魔道具頼みの異世界でモブ転生したのだがチート魔法がハンパない!~できればスローライフを楽しみたいんだけど周りがほっといてくれません!~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
10才の誕生日に女神に与えられた本。
それは、最強の魔道具だった。
魔道具頼みの異世界で『魔法』を武器に成り上がっていく!
すべては、憧れのスローライフのために!
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる