ソウルウォーク ★魔都

神嘗 歪

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二章:チートな 創造主 と 雪人たちのゲーム前の予習

「まあ、人間のお前じゃあその程度だよなぁ。」

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(まあ、人間のお前じゃあその程度だよなぁ。)


白檀の顔は、そう言っているような気がした。

見たとたん、菖蒲の胸のなかでム力~~ァッッと怒りがこみ上げてきて、怒りが恐怖を一時的に忘れさせた。

さっきは手しか伸ばすことができなかったが、今度は足も動くッ。

「…させるかぁッッ!!」

明星に突進している男の背後から太ももに目掛けて、タックルするようにつかんで倒れこむッ。

ドスンッと重い音と、巻き添えを食って引っ掛かったテーブルの上の物がガシャンガシャンと連続して落ちていった。

受け身を取れず、腹を床に強打する菖蒲の目の前を、食べ物や食器の破片が飛び散る。だが、その向こう…ッ。

 「邪魔だッ!死ねッ!」

          「…ツッ?!」

…太ももを掴んでいる男が体を無理矢理捻り、菖蒲の脳天目掛けてナイフを振り下ろそうとしたッ。


             「…ハァ。」


白い毛並みを蓄えた白檀の口から、小さな溜め息が漏れた。それも、あからさまに「呆れた」と言っているかのように…。

すると、白檀の尾てい骨あたりから白い縄のようなモノが、空をうねりながら男のナイフを持つ手首に絡まる。

よく見れば、白い縄だと思っていたのは白檀の尾。

「うッ、う"わぁッ!?」

白い尾は、まるで獲物に噛みついた蛇のように、手首に絡んだまま男の体を高く浮かせる。その時、菖蒲に恐怖が戻ったことで、手の力が抜けて男の太股を放した。

枷が無くなった男の体は人形のように振り回され、その後床に思いっきり叩きつけられた。

「ガッ!…ハッ!!」

男の目が白目を向き、床にうつ伏せのまま動かなくなる。……こちらも気絶したようだ。


今度こそ、本当に終ったと長い溜め息を吐く菖蒲。

よく見れば二度も命の危機だった明星は、ちゃっかり杏仁豆腐だけは守っていたようで、グチャグチャになった部屋の中で優雅に味わっていた。

「んっ?終わった?…っていうか、菖蒲、なに頑張っちゃってるの?そんなことしなくても、白檀が何とかしてくれるのにーぃ。」

明星は食べ終えた器をテーブルの上に置きながら、あっけらかんと言う。

(…そのヤツがッ、俺を煽って来たんだよッッ!!)

菖蒲はそう心の中で怒鳴るも、それは口には出さず、代わりに「……反射的に動いちまっただけだ…。」と答える。そして床に座り込んだまま、続けて「………コイツら何なんだ?」と明星に質問した。

質問しながら倒れている男たちのほうを見ると、いつの間にか猫から、外見は人間のメガネSPの姿になった白檀が手早く拘束している。

白檀を見るとまたム力ムカするが、それを押さえて明星のほうに向き直した。

明星はニッと笑った。

「うん。たぶん「六鐘重工業」「大宮祭建設」「永久森製薬」「百華プロダクション」のどこかが、私を殺すために雇った殺し屋なんだと思うよ。」
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