27 / 69
二章:チートな 創造主 と 雪人たちのゲーム前の予習
「まあ、人間のお前じゃあその程度だよなぁ。」
しおりを挟む(まあ、人間のお前じゃあその程度だよなぁ。)
白檀の顔は、そう言っているような気がした。
見たとたん、菖蒲の胸のなかでム力~~ァッッと怒りがこみ上げてきて、怒りが恐怖を一時的に忘れさせた。
さっきは手しか伸ばすことができなかったが、今度は足も動くッ。
「…させるかぁッッ!!」
明星に突進している男の背後から太ももに目掛けて、タックルするようにつかんで倒れこむッ。
ドスンッと重い音と、巻き添えを食って引っ掛かったテーブルの上の物がガシャンガシャンと連続して落ちていった。
受け身を取れず、腹を床に強打する菖蒲の目の前を、食べ物や食器の破片が飛び散る。だが、その向こう…ッ。
「邪魔だッ!死ねッ!」
「…ツッ?!」
…太ももを掴んでいる男が体を無理矢理捻り、菖蒲の脳天目掛けてナイフを振り下ろそうとしたッ。
「…ハァ。」
白い毛並みを蓄えた白檀の口から、小さな溜め息が漏れた。それも、あからさまに「呆れた」と言っているかのように…。
すると、白檀の尾てい骨あたりから白い縄のようなモノが、空をうねりながら男のナイフを持つ手首に絡まる。
よく見れば、白い縄だと思っていたのは白檀の尾。
「うッ、う"わぁッ!?」
白い尾は、まるで獲物に噛みついた蛇のように、手首に絡んだまま男の体を高く浮かせる。その時、菖蒲に恐怖が戻ったことで、手の力が抜けて男の太股を放した。
枷が無くなった男の体は人形のように振り回され、その後床に思いっきり叩きつけられた。
「ガッ!…ハッ!!」
男の目が白目を向き、床にうつ伏せのまま動かなくなる。……こちらも気絶したようだ。
今度こそ、本当に終ったと長い溜め息を吐く菖蒲。
よく見れば二度も命の危機だった明星は、ちゃっかり杏仁豆腐だけは守っていたようで、グチャグチャになった部屋の中で優雅に味わっていた。
「んっ?終わった?…っていうか、菖蒲、なに頑張っちゃってるの?そんなことしなくても、白檀が何とかしてくれるのにーぃ。」
明星は食べ終えた器をテーブルの上に置きながら、あっけらかんと言う。
(…そのヤツがッ、俺を煽って来たんだよッッ!!)
菖蒲はそう心の中で怒鳴るも、それは口には出さず、代わりに「……反射的に動いちまっただけだ…。」と答える。そして床に座り込んだまま、続けて「………コイツら何なんだ?」と明星に質問した。
質問しながら倒れている男たちのほうを見ると、いつの間にか猫から、外見は人間のメガネSPの姿になった白檀が手早く拘束している。
白檀を見るとまたム力ムカするが、それを押さえて明星のほうに向き直した。
明星はニッと笑った。
「うん。たぶん「六鐘重工業」「大宮祭建設」「永久森製薬」「百華プロダクション」のどこかが、私を殺すために雇った殺し屋なんだと思うよ。」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる