ソウルウォーク ★魔都

神嘗 歪

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二章:チートな 創造主 と 雪人たちのゲーム前の予習

「ヒット一件。上級の魑魅魍魎で宜しければ500メートル圏内にいます。」

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――…
「はい、その通りです刀夜殿。ですが、この付近には青の護符七枚で倒せる魑魅魍魎はいません。青の護符で倒せる下級の魑魅魍魎がいるところまで、ナビによるルート検索しますか?」


阿ーちゃんと吽―ちゃんは、小首を傾げて可愛らしい声でハモる。これはゲーム内の機能の一つ、音声コントロールだ。

「阿―ちゃん」「吽ーちゃん」と呼んでから用件を喋ると、その事柄に関してサポートしてくれる。他にもゲーム外のことでも、会話やスマホ内の機能であればある程度は承認し実行してくれる。

「いないのかーぁ。本当、敵の出現率悪いなーぁ。」

ガッカリしながらも、二匹に向かって「じゃあ、ナビお願い。」と言おうとする刀夜に、いきなり横から顔を突き出した雪人が「必要ない。」と遮る。

「はっ?なんで?」

刀夜はグリンッと雪人に顔を向けると聞き返した。

「そんなチマチマと経験稼ぎしてたら、一週間なんてあっという間に終わっちまうだろうが。ガンガン強いヤツ倒して、とっととVRゲームのほうに行くぞ!」

鼻息荒く雪人は言うが、ゲームほぼ初心者の刀夜だってそれが無謀と解る。

「待て待て。下級の魑魅魍魎ですらこんな出現率なのに、それ以上のヤツなんてそう簡単に見つかるわけ…。」

呆れ気味に言いかけた刀夜に、今度は…。


――…
「ヒット一件。上級の魑魅魍魎で宜しければ500メートル圏内にいます。ですが、赤色の護符がなければ、95%の確率で倒すのに失敗します。…ナビによるルート検索をしますか?」


阿―ちゃんと吽―ちゃんが、ハモりながら告げた。すると今度は「かまわない、ナビしろ。」と嬉しそうに雪人が言った。

「だから聞いてたか?!成功率5%だぞ!それも俺たち初トライだ、成功率はもっと低くなる!そんなの護符をドブに捨てるようなものだろうッ!」

…と言ったところで、刀夜が何かに気がついたように目を見開く。

「………ッて待て?もしかしてユキは、ここら辺に中級の魑魅魍魎が出現するって知って、待ち合わせ場所にしたのか?」

刀夜の問いに、雪人はフフンと自慢気に鼻を鳴らす。

「まぁなっ、前々からゲームオンリーのコミニティーサイトで【ソウルウォーク★魔都】の攻略の情報収集していた。…つても、そんなに人気があるゲームでもないからプレイしているヤツ自体少なかったし、大した情報は無かったんだけど、それでも手がかりになりそうな『変な噂話』が書き込みあった。」

「『変な噂話』?」

聞き返す刀夜。
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