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三章:一戦目【駅の中のアリス】
「福☆FUKUダルマ君ッ?!」
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いや、もっと正確に言えば…。
「福☆FUKUダルマ君ッ?!」
その刀夜の声に、何故か不安そうに階段を見ていた「福☆FUKUダルマ君」と呼ばれたダルマは、ビクンンンッッと飛び上がる。その反動で、赤いボディからエノキのような白く細い手足を伸ばした。
「ッ!? 手足が生えたッ!」
そして可愛らしい顔に張り付いた立派なヒゲを、鳥の羽ばたきのように左右を上下にピコピコさせながら逃げ出したのだ。
「………。」
あまりのことに一秒ほど呆ける刀夜。
まさか追っていた上級魑魅魍魎が、刀夜たちが住む市認定のゆるキャラ「福☆FUKUダルマ君」だったなんて。
「………コレって、ゲーム運営側って許可とってるのかな?」
思わず、要らぬ心配をしてしまう。…………と思っている間に、福☆FUKUダルマ君はかなり遠くまで逃げていた。
「はッ、早いッ!…やっばッ!兎に角、追わないとッ!」
刀夜も全速力で追うも、人の足元を転がっていく福☆FUKUダルマ君にはなかなか追い付けない。入ってきた改札口とは正反対の方向の、もう一ヶ所の改札口まで来てしまった。
「ハアッ…ハアッ…ハアッ…!…また、見失った…ッッ。」
荒い息のまま、一周自分の周りをスマホをかざす。すると、すぐにそこに丸い赤いモノが写り込んだ。
「いたッ!」
声をあげた刀夜。……が、次の瞬間には「……~~~あ"あ"ッ。」と落胆の表情に変わる。
それは、スマホを退かしても『リアルに存在していた』。そしてサイズがあからさまに違う。
改札口の横。御当地名物ばかりを扱っている土産物屋の軒先。ズラ~~~~リと並ぶ、福☆FUKUダルマ君………のヌイグルミ。
他にも市公認のゆるキャラだけあって、キーホルダーや福☆FUKUダルマ君饅頭など、数えきれないグッツがある。
そしてよく見れば駅構内の壁には、福☆FUKUダルマ君とコラボした旅行会社のポスターが何枚も貼られていた。
これでは本物がいても見分けがつかない。
「は~~~~ぁっっ。見つかる気がしない…。」
深いため息を吐くとドッと疲れが出た。刀夜はそのまま近くの壁に寄り掛かった…。
……と。
――…
「フギャッッ!」
…持っているスマホを通して、狛犬たちや無機質な声とは別の子供のような声がした。
「すっ、すみません!」
とっさに謝るも、後ろは壁だったはず…。
(??!……………もしかしてっ。)
刀夜は寄りかかっていた壁から体を起こすと、すぐさま回れ右をしてその壁の方を向く。
そこには福☆FUKUダルマ君のポスターが張ってあった。
刀夜はそこにスマホをかざし、ジ~~~~ィと凝視しながら顔を近づける。
とたん、ポスターのなかの福☆FUKUダルマ君から大量の汗がダラダラと浮き上がり、目線が刀夜の視線から逃れるようにユック~~リと横に泳いで行く……。
ポスターではあり得ない現象。『本物』……確定だ。
「福☆FUKUダルマ君、みっけ!!」
興奮した刀夜は声を張り上げ、スマホの画面横にある☆マークが付いた護符のイラストをタップするッ。
すると画面下に七枚の青い護符が現れたッ。
刀夜はその一枚に人差し指を置くと、画面に写し出された福☆FUKUダルマ君目掛けて、その青い護符をスワイプしたッ。
「福☆FUKUダルマ君ッ?!」
その刀夜の声に、何故か不安そうに階段を見ていた「福☆FUKUダルマ君」と呼ばれたダルマは、ビクンンンッッと飛び上がる。その反動で、赤いボディからエノキのような白く細い手足を伸ばした。
「ッ!? 手足が生えたッ!」
そして可愛らしい顔に張り付いた立派なヒゲを、鳥の羽ばたきのように左右を上下にピコピコさせながら逃げ出したのだ。
「………。」
あまりのことに一秒ほど呆ける刀夜。
まさか追っていた上級魑魅魍魎が、刀夜たちが住む市認定のゆるキャラ「福☆FUKUダルマ君」だったなんて。
「………コレって、ゲーム運営側って許可とってるのかな?」
思わず、要らぬ心配をしてしまう。…………と思っている間に、福☆FUKUダルマ君はかなり遠くまで逃げていた。
「はッ、早いッ!…やっばッ!兎に角、追わないとッ!」
刀夜も全速力で追うも、人の足元を転がっていく福☆FUKUダルマ君にはなかなか追い付けない。入ってきた改札口とは正反対の方向の、もう一ヶ所の改札口まで来てしまった。
「ハアッ…ハアッ…ハアッ…!…また、見失った…ッッ。」
荒い息のまま、一周自分の周りをスマホをかざす。すると、すぐにそこに丸い赤いモノが写り込んだ。
「いたッ!」
声をあげた刀夜。……が、次の瞬間には「……~~~あ"あ"ッ。」と落胆の表情に変わる。
それは、スマホを退かしても『リアルに存在していた』。そしてサイズがあからさまに違う。
改札口の横。御当地名物ばかりを扱っている土産物屋の軒先。ズラ~~~~リと並ぶ、福☆FUKUダルマ君………のヌイグルミ。
他にも市公認のゆるキャラだけあって、キーホルダーや福☆FUKUダルマ君饅頭など、数えきれないグッツがある。
そしてよく見れば駅構内の壁には、福☆FUKUダルマ君とコラボした旅行会社のポスターが何枚も貼られていた。
これでは本物がいても見分けがつかない。
「は~~~~ぁっっ。見つかる気がしない…。」
深いため息を吐くとドッと疲れが出た。刀夜はそのまま近くの壁に寄り掛かった…。
……と。
――…
「フギャッッ!」
…持っているスマホを通して、狛犬たちや無機質な声とは別の子供のような声がした。
「すっ、すみません!」
とっさに謝るも、後ろは壁だったはず…。
(??!……………もしかしてっ。)
刀夜は寄りかかっていた壁から体を起こすと、すぐさま回れ右をしてその壁の方を向く。
そこには福☆FUKUダルマ君のポスターが張ってあった。
刀夜はそこにスマホをかざし、ジ~~~~ィと凝視しながら顔を近づける。
とたん、ポスターのなかの福☆FUKUダルマ君から大量の汗がダラダラと浮き上がり、目線が刀夜の視線から逃れるようにユック~~リと横に泳いで行く……。
ポスターではあり得ない現象。『本物』……確定だ。
「福☆FUKUダルマ君、みっけ!!」
興奮した刀夜は声を張り上げ、スマホの画面横にある☆マークが付いた護符のイラストをタップするッ。
すると画面下に七枚の青い護符が現れたッ。
刀夜はその一枚に人差し指を置くと、画面に写し出された福☆FUKUダルマ君目掛けて、その青い護符をスワイプしたッ。
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