ソウルウォーク ★魔都

神嘗 歪

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三章:一戦目【駅の中のアリス】

「……………うん、ごめん。ユキが言ってること、まったく解んない。」

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それにいくらAIだからといっても、受け答えが滑らか過ぎるような…。まるで本物の人間と対話しているような、体温のような感情がこもっている…。

「まあまあ。銀弧にはこれから色々とバックアップしてもらうんだから、仲良くなっ!」

そんな二人(?)の間に、雪人が割って入る。

「おい、ユキ。コレって何なんだよ?!お前が創ったAIだって言ってるけど、ナビゲーションNPCなら阿一ちゃんと吽ーちゃんがいただろ?」

刀夜はスマホのなかの銀弧を指差しながら詰め寄る。それに対し雪人は、冷静に説明を始めた。

「刀夜もここまでのことで判っただろ。アレは、ゲームの『本当の趣旨を選択できるか』の関門の一つだ。関門を突破した以上、今までのようなゲームサイド側からの助力は無くなる。」

その言葉にハッと思い出す刀夜。

そうだ。上級魑魅魍魎を追おうとしたときも、それを止めさせるように促した節がある。そしてそれを無視したとたん、ゲームサイドからのナビ機能が無効となった。

確かにあそこで阿ーちゃん吽ーちゃんの言う通りにしていたら、今の現状は無い。

「だからお前のスマホに、入ってきたゲームデータを書き換えることができるプログラムをダウンロードさせた。こうすれば銀弧が、あの狛犬たちの代わりにゲームナビをしてくれる。」

どうやら刀夜が思い出話に耽っている間に、持ってきたノートパソコンに刀夜のスマホを繋いで操作したらしい。

「……そんな簡単に。」

「簡単じゃねえよ。銀弧自体は前々から創っていたAI プログラムだったけど、ゲーム運営会社にハッキングかけた際にバックドアを作って、銀弧をゲーム内のナビキャラに誤認するように偽装して、そこからゲーム情報を出し入れできるようにするまでに結構骨が折れたんだぞ。」

感情的に雪人が一気に話すも…。

「……………うん、ごめん。ユキが言ってること、まったく解んない。」

大量の疑問符と苦笑いを浮かべる刀夜。

ここまで雪人に説明されても、後半の方は一つも理解できない。

「兎に角だな、ナビNPCを俺専用にカスタマイズした…みたいなものだ。」

それを聞いて刀夜が「そっか!」とばかりに、ポンッと手を打つ。そして…。

「ああ。だからこのキャラ、雪人に似て性格が悪いんだっ。」

…と、ニコやかに刀夜が口を滑らせた。

とたん…。


    「ア"ア"ッ!?」× 2


リアルの雪人と、スマホの向こうから銀弧に、挟まれるように睨まれた。刀夜は「やっちまった。」と、青ざめながら苦笑いをした。

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