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三章:一戦目【駅の中のアリス】
「刀夜。そんな無駄なこと考えなくていいよ。」
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「んっで、これからどうするんだよ?」
そんな二人(?)の矛先を切り替えて話を戻すため、刀夜は苦笑いから真顔になる。
「この駅に潜んでいる上級魑魅魍魎は阿莉里ちゃん…じゃなくて、【駅の中のアリス】だってことまではつきとめた。けれどこのまま追うにしても、ユキが言っていた『護符を使用しない成功方法』が解らなければどうにもできないだろう。」
「ああ、そのことなんだが。強制的に祓うのがダメなら、『自発的に成仏』させればいいんじゃないか?」
雪人の見解に、「自発的に成仏?」と聞き返す刀夜。
「このゲームはやり過ぎなぐらい、リアルの噂話である「都市伝説・怪異譚」のストーリーにそっているだろ?ならその噂話の根本を、解体し解決することが隠れた攻略法じゃないか?今回のこの件で言えば、その赤ん坊が【駅の中のアリス】となった理由となった『未練』を晴らしてやれば、成仏の条件はクリアできんだろ。」
雪人の意見を聞いて、刀夜もそれに一理あると思う。だが…。
「そんなにうまくいくか?」
「「いく」「いかない」は、やってみなきゃわかんねーぇな。でもやらなきゃ、「いかない」ことも立証できねぇ。」
「………でもこの場合の『未練』って…。」
眉をひそめ、言葉が途切れた刀夜の脳裏に、先ほど福☆FUKUダルマ君が言ったことが再生された…。
ーー…
「あの子の地縛霊の「未練」という根本は、「母親に会いたい。恋しい。」だけなのに…ッ!」
その脳内の記憶を覗いたかのように…。
「まーぁ、自分を棄てた母親だろうなっ。」
…と、雪人がはっきりと言った。
そしてビックリする刀夜をよそに自分のスマホを取り出すと、画面に向かって話しかける。
「銀弧。この駅で過去にあった乳児死体遺棄事件の犯人が、今どこにいるか検索しろ。」
すると雪人のスマホの画面にも、刀夜の画面にいる銀弧とまったく同じ姿をした【銀弧】が現れる。
両方とも同じAIシステムから発生した擬人化フェイス。同一人物というやつだ。
雪人のスマホの銀弧は「分かった」と一言残すと、まるで考え事でも始めたかのように顎に右手を当て、虚ろな目でうつむく。
「えっ?!銀弧って、そんなこともできるのッ???」
その間に、割り込むように雪人に聞く刀夜。
「まぁな。俺ができるハッキング技術は、銀弧にもできるようにしてある。たぶん今は、その時の新聞や警察記録から、犯人である母親の居場所を割り出している途中だろう。」
雪人は横目でスマホ内の銀弧に視線を落としながら説明する。
「でも、かなり前の事件だろ?今も同じところに住んでいるとは限らない。」
なおも刀夜は、思った疑問をぶつける。
「そうなれば、その母親の「痕跡履歴」を辿るだけだ。引っ越しをしていれば、その時使った引っ越し業者から。それらを使っていなかったとしても、役所の住所変更からでも追える。人間、生きてさえいれば、どうしたって足跡が残るもんだ。」
自信満々の雪人。
雪人がこう言うのだから、銀弧に任せれば阿莉里ことアリスの母親も見つかるだろう。だが、刀夜にまた別の不安が生まれた。
「「母親を見つける」ってことは………まさか、【駅の中のアリス】に「母親を会わせる」ってことか?」
「だな。」
「でも…いいのかなぁ?ただのゲームに他人を巻き込んで…。」
それを聞いた雪人は「ハッ。」と鼻で笑う。
「別にいいんじゃねぇ?自分が生んだ子供を、平気で棄てるような人間だぞ。自分でやらかしたことと同等の目に合っても、それは当然、必然。自業自得ってもんだ。」
「いや、でも…ッ。それとこれとは…。」
そう刀夜が言いかけると、それを遮るように持っているスマホから銀弧が…。
ーー…
「刀夜。そんな無駄なこと考えなくていいよ。」
…とゆっくり顔を上げながら言った。
そんな二人(?)の矛先を切り替えて話を戻すため、刀夜は苦笑いから真顔になる。
「この駅に潜んでいる上級魑魅魍魎は阿莉里ちゃん…じゃなくて、【駅の中のアリス】だってことまではつきとめた。けれどこのまま追うにしても、ユキが言っていた『護符を使用しない成功方法』が解らなければどうにもできないだろう。」
「ああ、そのことなんだが。強制的に祓うのがダメなら、『自発的に成仏』させればいいんじゃないか?」
雪人の見解に、「自発的に成仏?」と聞き返す刀夜。
「このゲームはやり過ぎなぐらい、リアルの噂話である「都市伝説・怪異譚」のストーリーにそっているだろ?ならその噂話の根本を、解体し解決することが隠れた攻略法じゃないか?今回のこの件で言えば、その赤ん坊が【駅の中のアリス】となった理由となった『未練』を晴らしてやれば、成仏の条件はクリアできんだろ。」
雪人の意見を聞いて、刀夜もそれに一理あると思う。だが…。
「そんなにうまくいくか?」
「「いく」「いかない」は、やってみなきゃわかんねーぇな。でもやらなきゃ、「いかない」ことも立証できねぇ。」
「………でもこの場合の『未練』って…。」
眉をひそめ、言葉が途切れた刀夜の脳裏に、先ほど福☆FUKUダルマ君が言ったことが再生された…。
ーー…
「あの子の地縛霊の「未練」という根本は、「母親に会いたい。恋しい。」だけなのに…ッ!」
その脳内の記憶を覗いたかのように…。
「まーぁ、自分を棄てた母親だろうなっ。」
…と、雪人がはっきりと言った。
そしてビックリする刀夜をよそに自分のスマホを取り出すと、画面に向かって話しかける。
「銀弧。この駅で過去にあった乳児死体遺棄事件の犯人が、今どこにいるか検索しろ。」
すると雪人のスマホの画面にも、刀夜の画面にいる銀弧とまったく同じ姿をした【銀弧】が現れる。
両方とも同じAIシステムから発生した擬人化フェイス。同一人物というやつだ。
雪人のスマホの銀弧は「分かった」と一言残すと、まるで考え事でも始めたかのように顎に右手を当て、虚ろな目でうつむく。
「えっ?!銀弧って、そんなこともできるのッ???」
その間に、割り込むように雪人に聞く刀夜。
「まぁな。俺ができるハッキング技術は、銀弧にもできるようにしてある。たぶん今は、その時の新聞や警察記録から、犯人である母親の居場所を割り出している途中だろう。」
雪人は横目でスマホ内の銀弧に視線を落としながら説明する。
「でも、かなり前の事件だろ?今も同じところに住んでいるとは限らない。」
なおも刀夜は、思った疑問をぶつける。
「そうなれば、その母親の「痕跡履歴」を辿るだけだ。引っ越しをしていれば、その時使った引っ越し業者から。それらを使っていなかったとしても、役所の住所変更からでも追える。人間、生きてさえいれば、どうしたって足跡が残るもんだ。」
自信満々の雪人。
雪人がこう言うのだから、銀弧に任せれば阿莉里ことアリスの母親も見つかるだろう。だが、刀夜にまた別の不安が生まれた。
「「母親を見つける」ってことは………まさか、【駅の中のアリス】に「母親を会わせる」ってことか?」
「だな。」
「でも…いいのかなぁ?ただのゲームに他人を巻き込んで…。」
それを聞いた雪人は「ハッ。」と鼻で笑う。
「別にいいんじゃねぇ?自分が生んだ子供を、平気で棄てるような人間だぞ。自分でやらかしたことと同等の目に合っても、それは当然、必然。自業自得ってもんだ。」
「いや、でも…ッ。それとこれとは…。」
そう刀夜が言いかけると、それを遮るように持っているスマホから銀弧が…。
ーー…
「刀夜。そんな無駄なこと考えなくていいよ。」
…とゆっくり顔を上げながら言った。
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