67 / 69
三章:一戦目【駅の中のアリス】
「お前も、ふざけた態度とったらイテこますぞッ!」
しおりを挟む
銀弧は「はいよ」と言うと、画面いっぱいに拡大した新聞記事をまた自分の手のなかに収め、再度握り拳を開く。
すると今度は、どこぞの週刊誌の記事だと思われるモノが画面上に拡大された。
「あ"あ"ッ? 何で週刊誌ッ?んッな偏った情報しか載せねぇような力スッ、出してくんじゃねぇよッ、銀弧!」
自分の創ったAIにキレる雪人。
すると画面の隅を、ページの端を捲るように銀弧がニョキと顔を出して…。
ーー…
「ッッるせぇ、バカ雪人!保守的にしか物事を書けねぇ新聞だって、違う意味で偏ってるだろが!こういう週刊誌は、不確かな情報まであたかも本当のことのように面白おかしく書く面もあるが、そのぶん新聞には無い「真実の宝庫」だったりするんだよッ。要はそれを、読み手の方が見極めれるかどうかだッ!解ったかッ、バカ雪人ッ!」
…と、自分を創った雪人に対し、ブチ切れ返しながら説教をする。
横でそれを目撃した刀夜は、さっきまでの緊迫感はどこへやら、思わず呆気に取られる。
(うわ~~~~ぁっ。俺以外でユキをバカ呼ばわりしているヤツ、見るの初めてかも。)
「…………銀弧。お前とお前の創造主が、喧嘩始めたけどいいの?」
そう自分のスマホ内の銀弧に問いかける。
すると、此方の銀弧も画面内で新聞記事のページを暖簾でも捲るような感じで顔を出し、頬杖をつくような体勢でため息をつく。
ーー…
「ほっとけばいいよ、いつものことだから。」
「いつものことなんだ~ぁ。」と、刀夜は苦笑いを浮かべる。
ーー…
「言っておくけど雪人に創られたからって、僕は雪人の頭脳コピーでもなければ、主従関係でも無い。インターネットに上がっている情報量を内包している分、俺の方がアイツより数段うッ・えッ・だからッッ。刀夜もそこんところ勘違いしないでよね!」
ジロッと軽く睨む銀弧。どうやら「お前も、ふざけた態度とったらイテこますぞッ!」という意味で、刀夜にもやんわりクギを刺したようだ。
刀夜は更に苦笑いを深くし、「りょ…了解。」と言った。
「それじゃあ、俺にもその週刊誌の記事を見せてくれる?」
オズオズと聞く刀夜に、銀弧は「仕方ねぇなーぁ。」と、雪人の銀弧と同じ手順で開いてくれた。
その内容は、なんというか………こういった週刊誌らしい内容だった。
遠野 文代はアイドルグループの一人で、そのなかで一番の年長だった。だからか、アイドルを卒業した後も考えて、女優も目指していたようだ。けれどその意欲は、間違った方向に向いていた。
どうやら……自分の身体を武器に仕事を取っていたらしい。
何人もの男性と関係を持つなかで、予期せぬ妊娠。その時文代は、女優として大きな一歩になる仕事が決まりかけてたという。
忙しい仕事のなかで病院にも行けず、周囲にも言えない。心当たりの数がありすぎて、お腹の子の父親も特定できない。そんななかで文代は子供を下ろす機会も無くした。
幸い、妊娠してもあまりお腹は目立たなかったようだ。
………そしてあの幼児死体遺棄事件が起こった。
読み終わった刀夜は、ひきつった口許を手で覆う。
雪人のスマホの銀弧は、「読み手の方が見極めれるかどうかだッ。」と言っていた。はっきり言って刀夜には、真実と虚偽の境が解らない。
でも状況から推測するに、とっさんに自分の芸名が入っていたタオルを使用してしまうほど、文代は出産後に極度のパニックを起こしたと思われる。
もしかしたら自分が予定していた出産日より、かなり早かったのかもしれない。
文代は両親と暮らしている。親にも内緒だったことから産んだ子を家にも置けず、処理に困り駅のロッカーに放置した…と考えられる。
その行動のどれを取っても、自分の子供に対しての愛情の欠片も感じられない。
自分と自分の未来を守ることだけしか考えてない。
………嫌悪感で吐き気がする。
そんな刀夜の背後…。
……『何か』がヒタヒタと近づいていた…。
すると今度は、どこぞの週刊誌の記事だと思われるモノが画面上に拡大された。
「あ"あ"ッ? 何で週刊誌ッ?んッな偏った情報しか載せねぇような力スッ、出してくんじゃねぇよッ、銀弧!」
自分の創ったAIにキレる雪人。
すると画面の隅を、ページの端を捲るように銀弧がニョキと顔を出して…。
ーー…
「ッッるせぇ、バカ雪人!保守的にしか物事を書けねぇ新聞だって、違う意味で偏ってるだろが!こういう週刊誌は、不確かな情報まであたかも本当のことのように面白おかしく書く面もあるが、そのぶん新聞には無い「真実の宝庫」だったりするんだよッ。要はそれを、読み手の方が見極めれるかどうかだッ!解ったかッ、バカ雪人ッ!」
…と、自分を創った雪人に対し、ブチ切れ返しながら説教をする。
横でそれを目撃した刀夜は、さっきまでの緊迫感はどこへやら、思わず呆気に取られる。
(うわ~~~~ぁっ。俺以外でユキをバカ呼ばわりしているヤツ、見るの初めてかも。)
「…………銀弧。お前とお前の創造主が、喧嘩始めたけどいいの?」
そう自分のスマホ内の銀弧に問いかける。
すると、此方の銀弧も画面内で新聞記事のページを暖簾でも捲るような感じで顔を出し、頬杖をつくような体勢でため息をつく。
ーー…
「ほっとけばいいよ、いつものことだから。」
「いつものことなんだ~ぁ。」と、刀夜は苦笑いを浮かべる。
ーー…
「言っておくけど雪人に創られたからって、僕は雪人の頭脳コピーでもなければ、主従関係でも無い。インターネットに上がっている情報量を内包している分、俺の方がアイツより数段うッ・えッ・だからッッ。刀夜もそこんところ勘違いしないでよね!」
ジロッと軽く睨む銀弧。どうやら「お前も、ふざけた態度とったらイテこますぞッ!」という意味で、刀夜にもやんわりクギを刺したようだ。
刀夜は更に苦笑いを深くし、「りょ…了解。」と言った。
「それじゃあ、俺にもその週刊誌の記事を見せてくれる?」
オズオズと聞く刀夜に、銀弧は「仕方ねぇなーぁ。」と、雪人の銀弧と同じ手順で開いてくれた。
その内容は、なんというか………こういった週刊誌らしい内容だった。
遠野 文代はアイドルグループの一人で、そのなかで一番の年長だった。だからか、アイドルを卒業した後も考えて、女優も目指していたようだ。けれどその意欲は、間違った方向に向いていた。
どうやら……自分の身体を武器に仕事を取っていたらしい。
何人もの男性と関係を持つなかで、予期せぬ妊娠。その時文代は、女優として大きな一歩になる仕事が決まりかけてたという。
忙しい仕事のなかで病院にも行けず、周囲にも言えない。心当たりの数がありすぎて、お腹の子の父親も特定できない。そんななかで文代は子供を下ろす機会も無くした。
幸い、妊娠してもあまりお腹は目立たなかったようだ。
………そしてあの幼児死体遺棄事件が起こった。
読み終わった刀夜は、ひきつった口許を手で覆う。
雪人のスマホの銀弧は、「読み手の方が見極めれるかどうかだッ。」と言っていた。はっきり言って刀夜には、真実と虚偽の境が解らない。
でも状況から推測するに、とっさんに自分の芸名が入っていたタオルを使用してしまうほど、文代は出産後に極度のパニックを起こしたと思われる。
もしかしたら自分が予定していた出産日より、かなり早かったのかもしれない。
文代は両親と暮らしている。親にも内緒だったことから産んだ子を家にも置けず、処理に困り駅のロッカーに放置した…と考えられる。
その行動のどれを取っても、自分の子供に対しての愛情の欠片も感じられない。
自分と自分の未来を守ることだけしか考えてない。
………嫌悪感で吐き気がする。
そんな刀夜の背後…。
……『何か』がヒタヒタと近づいていた…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる