どうして僕が狙われるんだろう

mell0812

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26話 意外

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 [長身の男]

  「ほな、いくで!」隣りに並んでいる女に合図を出した。
ピストルで撃たれた足を引きずらせながら一緒に力士に向かって駆け出した。


 さっき折られた右腕は使い物にならないため、左腕のネイルハンマーを強く握った。
力士は悠里くんを後ろの地面に置き、守っていた。

 力士は仲間に振り向き「先に行ってください! おれは後から追いつきますぞう!」 とクソ社長に言った。
「分かった。あの友人のヤクザと協力して守り抜くんだよ」
「分かりましたぞう!」
(何が守り抜くやねん! 絶対に取り返すからな)

 近づくとおれはどっしりと構えている力士の左足、左腕を狙った。
足に直接当たったが、脂肪と筋肉で全く手応えがなかった。
(岩みたいやんか!  これおれと相性悪いわ!)これは刃物じゃないとダメージが与えられないと気づいた。
「おい、刃物じゃねえと倒されへんわ!」ナイフで
足や腹に擦り傷を与えている女に言った。
「そんなの分かってるわよ!」
憎い相手に言われて感じが悪いのか、少しキレ気味で言った。

 それからも力士のパンチをギリギリ避けながら、隙を与えないようにネイルハンマー片手でひたすら殴った。

足音を一切出さず突然、背後から日本刀でおれを斬りかかってきた。
危険を察知し、サッと振り返る。
振り返りながら、ネイルハンマーを前に出し体を守った。
だがスっとネイルハンマーの手で掴む所に当たったが。そのままおれの指ごとすり抜け、体を切った。
「おれを無視すんじゃねぇよ。」

 切られた箇所から「ブシャーー」と血が飛び散った。
もう駄目かもと自分で、自分の限界を知り絶望を感じた。

「貴様! なに切られてんのよ」女が力士と相手しながら。
「喋る元気あるなら、そいつに集中しいや」出血で力が無くなってきていた。
(最後に、踏ん張るしかねぇな)

 最後の力を出し切り、しゃがみこんだ状態で右足を前に力強く踏み出し、ヤクザに向かって飛びついた。
「 お前の日本刀貰うで!」
ヤクザに突進し、ヤクザごと後ろに倒れた。
上に倒れた状態で、隙を与えず左肘で奴の顔を殴り、気合いで立ち上がった。

 日本刀を握っている右手を踏んずけ奪う。  この流れを5秒の内に一瞬で行った。

 「やっと奪えたで」と言い、日本刀を左手で握った。
「お前は、後でじっくりいたぶったるからそこで待っとき」日本刀の柄で悔しそうにしている顔を殴り、気絶させた。


 10メートル先で力士の周りをちょこまかと動き回る女を相手している力士に日本刀を左手だけで握り向かいあった。
右腕は折れてヘラヘラだから添えることすら出来ない。
「よし、やったるで!」と出血で倒れそうな俺に鼓舞した。
足を引きずらせながら駆け寄る。
(アドレナリンで痛みを凌駕して、意識保てるけど切れたらやばいやろなー)

 力士の左手目掛けて、振り下ろした。
日本刀を振った事がない。 しかも腹を斬られ血の気が減ってきてるのと、左手だけしか使えないためか、ブレブレで勢いが無く当たっても少ししか刺さらなかった。
(やべぇ、日本刀握った事ねえし片手だからか全然駄目だわ)

「いってぇぞう!」日本刀で刺され、驚きながら眉間に皺を寄せている。
「何なのそれ! 何その傷!」と女が驚いた顔で見てきた。
おれは女に近づき、耳のそばで「後ろのヤクザに斬られたから奪ったねん。 そうやお前、俺がこいつの気を逸らせるから悠里を助けろ」
「りょうかーい。 あと近い!」命令されたくない相手に命令されたのか、嫌々な返事だった。

 「おい力士! かかってこいや」とブンブン日本刀を振り回しながら挑発した。
出血で今すぐにでも倒れそうだったが、アドレナリンで何とか乗り切っている状態。

 おれの挑発で俺に向かい合い、右の大振りをしてきた。
それを後ろに下がり、スレスレの所で避けた。
避けた瞬間に右腕に近寄り、日本刀を振り下ろした。
「ザクッ」と刺さったが、やっぱり勢いがなくあまり切れない。
チラッと女の方を見ると、力士の横目を盗んでサッと悠里の方へ駆け寄った。
(いいで! その調子や!)

 刺さった日本刀を、少ししか無い残った力で踏ん張って抜いた。
その時だった。 力士の両手が俺を囲う様に広げ、俺をガシッととんでもない力で抱いた。
「グハッ」さっき斬られた所の痛みと、とんでもない力で抱かれ、全身の骨が折れる激痛が同時に襲ってきた。 
それから口からの大量の血が出て、力士の顔にかかる。

(もう終わりや、今意識飛んだら死んでまう)激痛のあまり意識が飛びそうになり、今までの疲労と痛みで力がほとんど残っていなかった。

「おい! 貴様、なに死にかけてんだよ!」と女が悠里を近くにいた仲間に預け、こっちに向かい合っていた。
「貴様は、うちが殺すんだよ! 死ぬな!」
(何言うてんねん、もう無理や)

 女は掴んでいる腕に、ナイフでザクザク切り出した。
「いってぇぞう」
すると右腕が離れ、女を平手打ちしようと振りかぶった。
女はそれをしゃがんで避け、掴まれた瞬間に落とした日本刀を拾った。
「これ使うよ!」
「それ俺のちゃうけど、ええよ」とほぼ意識が遠いてる状態で言った。
女は左腕に回り、瞬時にブンッと力強く振り下ろした。
すると太い腕の半分ぐらいまで切れ、「うわぁぁぁ!」と力士が悲痛の叫びをした。
そして女は自分の体重を乗せ、下に向かって押した。

 「ザクッ」という切れた音と共に、ボトンッと左腕が地面に落ちた。
「ぐわああああああああ!と雄たけびを上げ、右手で切断された箇所を抑えた。
左腕と共におれも踏ん張る力も出ず、そのまま左腕の上に落ちた。

 「死ぬんじゃないよ!」と女は俺に近づき、おれから手を引き剥がそうとした。
「ありがとうな、まさか君に助けらあれるとは思わんかったわ」と微笑みながら言った。

すると女の背後でヤクザが立ち上がり、ピストルで女を撃とうと構えていた。
(やばい!)
と意識が遠のいている状態から、残っていない力を足に入れ、必死に立ち上がり女を庇おうと女の背後に立った。
背後に立った瞬間に「パンッパンッ!」と何発もの乾いた音が工場内に響いた。
音が響いた直後に体に何ヶ所かに貫く感じが来た。
そしてすぐに熱い感覚に襲われ、力が抜け、その場で倒れた。
 
意識が飛びかけている状態で、女がおれにしゃがみ込み「何なのよ! なぜうちを庇ったのよ!」
おれに叫んでいた。
「ごめんな、君の相棒殺しちゃって。 君みたいな女の子二人の弟子がいるねん。 よろしく頼むわ。」と今にも消えそうな声量で言った。
(あ、終わりか。 まさかおれを恨んでる奴を庇って死ぬとわな。)
そして、体が冷たくなり、なんの力も入らず、スッと意識が無くなった。 そして永遠の眠りについた。
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